女帝・緋村怜華、恥じらい乙女に還る夜~部下の俺はギャップにもう限界です~【毎話読み切り】 作:ren@ハーメルン
その晩もいつものように、
タワーマンションの自室のベッドで、怜華は
「ゆうくん……あっ、しゅき……きもちいの……あんっ、もっと……」
腰をくねらせ、内壁をうねらせて、涙目で悠斗を見上げながら、ただひたすらに快楽に溺れている。
悠斗は怜華の腰を抱き寄せ、深く、優しく突き上げ、彼女のとろけた表情を堪能していた。
突然、鋭く切迫した着信音が、ベッドルームに鳴り響く。
枕元の会社携帯。緊急事態の専用ラインからだと、すぐにわかった。
悠斗の動きが止まる。怜華が体を固くする。
二人は顔を見合わせる。着信音は鳴り続けている。
「…………」
「…………」
すぐに、無言で頷き合う。
さすがに繋がったまま電話に出るわけにはいかない。そっと腰を引いて、熱を引き抜く。ちゅぽん……という湿った音が部屋に響く。
「んっ……」
怜華の表情が、一瞬、切なそうに歪む。
抜かれた寂しさと、余韻の疼きが混じり、涙目で悠斗を見つめる。
「ゆうくん……」
だが、怜華は瞬時に視線を切り替えて起き上がると、ベッドサイドのバスローブをばさりと羽織った。熱の残る裸体を隠すように、ベルトをきゅっと結ぶ。
その真剣な表情には、十数秒前まで蕩けきっていたれいちゃんの面影はもはや存在しない。
氷の女帝・緋村怜華は。
鳴り続けていた会社携帯を手に取った。
「緋村です。状況を報告してください」
冷静で厳格な、いつもの部長のトーン。
的確に質問を投げかけ、関係各所に鋭く指示を飛ばしていく。
「……了解。今すぐ全メンバーに緊急招集をかけて。資料は私が共有フォルダにアップロードします。リスク評価は15分以内に再確認、クライアントへの連絡は私が直接行います。……はい、今からタクシーで向かいます」
悠斗は、心の底から痺れてしまう。
だが見惚れている暇はない。同行することを見越して、一足先に身支度を開始する。
シャワーを浴びる余裕はなさそうだ。ティッシュで後処理をして、服を着る。ついでに怜華の支度に必要な物を用意しておく。
今の悠斗にできるのは、それだけだった。
怜華はバスローブ姿のまま、チャットを飛ばしつつメールを書き上げ、通話相手と協議しながら資料のアウトラインを組み立て、ドラフトに起こしていく。女帝のマルチタスクぶりが遺憾なく発揮される。悠斗はただ、彼女を見守ることしかできない。
真剣な面持ちで作業する彼女は、バスローブの裾が少し開いたことに気づかない。
めくれた裾の内側に。
火照った肌と、しとどに潤ったままの茂みが、ちらりと見えた。
悠斗の体の中心が、ぞくぞくと震える。
(やっべ……怜華さん、冷静に指示飛ばしてるのに、めっちゃかっけーのに……バスローブの下はまだ火照ってて、濡れてて……)
すでにスーツに身を包んだ悠斗の下半身が、再び反応してしまいそうになる。
ひととおり連絡を終えた怜華は、視線に気づくと顔を赤らめ、バスローブの裾を合わせて体を隠した。
「や、ゆうくん、今は、見ないで……」
声はまだ少し甘く掠れていて、れいちゃんの余韻がかすかに残っている。
しかし、すぐに表情を引き締めると、クローゼットからスーツを取り出した。
「ごめんなさい、行かなきゃ。──佐久平くんも、一緒に、来てくれる?」
「もちろんです」
悠斗は立ち上がり、怜華の背中をバスローブごと抱き寄せたい衝動を我慢して、答える。
「全力でサポートします、緋村部長」
怜華は小さく頷くと、悠斗の胸にほんの一瞬だけ顔を埋める。彼女の奥底に、まだ先程の熱量がくすぶっているのが感じられた。
「ありがとう。ゆうくん……帰ったら、また……」
次の瞬間にはもう、氷の女帝の表情に戻っていた。
ティッシュを差し出しながら、悠斗は思う。
(このギャップ、たまらねぇ……。女帝の部長と、俺だけのれいちゃん……)
怜華のバスローブの下に残る火照りは、悠斗の胸に、甘く疼くように刻まれた。
* * *
タクシーの中は、静かだった。
後部座席で隣り合う二人は、言葉を交わさず、ただ窓の外を流れる夜のネオンを見つめていた。
怜華の身体は、まだ火照っていた。
感じていた悠斗の熱、抜かれた瞬間の切なさ、内壁に残る疼きと蜜の感触が、熾火のように体の奥底で熱を発している。
同時に怜華の頭脳は、緊急事態の対応策、メンバーへの指示、クライアントへのフォロー、すべての段取りと対処策を必死に、しかし冷静沈着に、組み立てていく。
膝の上に置いた手を、怜華はぎゅっと握りしめた。
悠斗もまた、無言だった。
怜華の横顔を時折ちらりと見つめながら、さっきまでの甘い余韻と、いま怜華が背負っている重圧とを、同時に感じていた。
オフィスに到着する。一緒に来たのがバレないよう、時間差で通用口から入る。集まってくれたメンバーたちと、深夜の緊急会議が始まった。
怜華はいつも通り的確に指示を飛ばし、リスクを一つずつ潰していく。悠斗は隣でサポートし、資料をまとめ、怜華の言葉を補完する。
メンバーたちは、女帝の冷静さと決断力に内心で感嘆しつつ、粛々と作業を進めた。
二時間後、ようやく事態はクローズした。怜華の迅速な初動のおかげで、影響は最小限に抑えられた。
最後の電話を切った瞬間、怜華の肩から力が抜けた。メンバーたちに、
「今日は本当にありがとう。みんな、ゆっくり休んで」
と声をかけ、一人ずつタクシーで帰宅させる。
フロアには、怜華と悠斗だけが残された。
無言で目が合う。
怜華の瞳はまだ少し潤んでいる。緊張が解けた後の、甘い疲労が浮かんでいる。
悠斗の視線も、どこか熱を帯びている。
怜華は小さく息を吐き、心の中で思う。
(ゆうくんの熱が、まだ身体に残ってる……。でも、今から帰宅したら、もう午前様……)
そんな時間まで付き合わせるわけにはいかない。
すでに、緊急事態の対応に数時間を割いてもらっているのだから。
唇を噛み、視線を逸らす。
そんな怜華の表情を見た悠斗は、静かに口を開く。
「……怜華さん」
怜華が顔を上げる。悠斗は優しく微笑み、怜華の手をそっと握った。
「今夜は、近くのホテルに泊まりませんか」
怜華の瞳が見開かれる。
一瞬、言葉を失う。
「……え?」
「もう遅いし、怜華さんも疲れてますよね? 俺も……怜華さんと、まだ一緒にいたいです」
悠斗の声は低く、穏やかだが、そこには確かな温度があった。
「でも……」
「俺も、怜華さんと同じです」
「えっ?」
「続き、したいって思ってますよね?」
怜華の頬が、ゆっくりと真っ赤になる。悠斗は指を絡め、優しく引き寄せる。
怜華は抵抗せず、悠斗の胸に額を預けた。
「もう、ばか……」
二人はフロアの照明を消し、オフィスを出た。
夜半を過ぎ、灯りもまばらになった夜の街を、タクシーで近くのシティホテルへ向かう。
怜華は悠斗の肩に頭を預け、静かに目を閉じた。彼女の髪を優しく撫でながら、悠斗は心の中で思う。
(怜華さん……今日も、完璧な女帝でいてくれた。でも、今夜は……俺のれいちゃんに、もう一度、たっぷり甘えさせてあげたい)
* * *
ホテルの部屋に入った瞬間、悠斗は怜華を抱き寄せた。怜華のスーツの下に残る火照りが、再び熱く疼き始める。
「んっ……悠斗、くん……」
「怜華……さん……」
悠斗は怜華を抱き上げてベッドに運ぶと、優しく横たえて服を脱がせる。
自分の服も脱ぎ捨てて、隣に滑り込む。
向き合って、柔肌を優しく撫でながら、静かに語りかける。
「あのさ……今日の怜華さん、マジでかっこよすぎた。ヤバかった」
「もう、ゆうくん、上手いんだから……夜中に集まってくれた皆のおかげよ」
「いや、そこじゃなくて」
「え?」
「裸にバスローブ一枚で指示飛ばしてた姿が」
「…………っ!」
「だって、あんなにとろとろになってたれいちゃんが、バスローブ羽織っただけで、一瞬でプロの顔になってさ」
悠斗の声には、どこか憧れと尊敬の響きがあった。
怜華は恥ずかしそうに顔を赤らめ、悠斗の胸に顔を埋める。
「や……っ」
「で、電話で鋭い指示を飛ばしてんのに、バスローブの下の裸はめっちゃエロくて、濡れてて」
「そんな……変態……。見ないでって言ったのに……っ」
「見ますよ。俺の怜華さんが、世界一かっこよくて、世界一エロい瞬間だったんですから」
「うぅっ………恥ずかしい……」
顔をそむけて恥じらう怜華。
だが、その肌には、火照りが戻って来ている。胸の先端は硬く尖り、太ももの内側には蜜の跡が光っている。
悠斗は怜華の髪を優しく撫で、首筋にキスを落としながら、ゆっくりと胸を包み込む。
桜色の頂を指先で転がし、舌で優しく舐め上げるとすぐに、怜華の理性は溶けていった。
「んっ……ゆうくん……。きもちい……」
重圧から解放された怜華は、身も心も完全に蕩けて、いつも以上にふにゃふにゃになっていた。
女帝の仮面はどこかに置き去りになり、ただ甘えたい、愛されたい、抱きしめられたいという本能だけが残っている。
怜華の脚を開き、秘部に指を這わせる。余韻で熱く濡れたそこは、つぷりと悠斗の指を、再び迎え入れる。
「あぅ……やっ……あっ、あん」
「れいちゃん……」
「んっ……ああっ……」
「かっこいい女帝の怜華さんも、俺の前でだけとろとろになるれいちゃんも、どっちも、大好きです」
耳元で囁き、指をゆっくりと動かし始める。
くちゅり、とざらざらとした部分を擦ると、怜華の腰がくねり、甘い吐息が漏れる。
「ああっ……そこ……っ。はあぁっ……」
「可愛いよ……さっきの続き、しようね、れいちゃん」
「んんっ……ゆうくん……待ってた」
怜華の唇を奪い、深く舌を絡めながら、正常位で自分のものをゆっくりと沈めていく。
怜華の内壁が、きゅうっと熱く締まり、悠斗を優しく包み込む。
「あんっ……」
しばらくじっとして、粘膜同士が馴染むのを待つ。
内壁はすぐに数時間前の記憶を取り戻し、まとわりつくようにうごめき始める。
やっと戻って来られた、と悠斗は感じる。
怜華の〝ナカ〟に。
「……ただいま、れいちゃん」
「えっ……? お、おかえり、なさい…………って、ひゃうっ!?」
反射的に応えてから、予想外に卑猥なその暗喩に、怜華は赤面する。
だが、肉体的な結合以上に、二人だけのこの甘い空間は、精神的な居場所でもあった。
部長としての激務を終え、ただのれいちゃんでいられる場所に戻って来たという安堵感。それが、彼女の締め付けをいっそう熱くさせる。
「電話中も、資料作ってる時も、ずっと待ってたんですよね?」
「そんなこと、言わないで……」
「ふふ。今日はお疲れさま。最高にかっこよかったです……俺のれいちゃん」
「あんっ、ゆうくんが……ゆうくんがいてくれたから……」
腰を抱き寄せ、優しく、深く、何度も突き上げる。
怜華の声はどんどん甘く溶け、涙が頰を伝う。
「あっ、ゆうくん、あ、あ、あっ、だいしゅき、あんっ」
怜華の額にキスを落とすと、悠斗は耳元で囁く。
「うん、俺も好きだ……。れいちゃん、俺のれいちゃん」
「んんっ、ゆうくんっ、ゆうくんっ……!」
「女帝の怜華さんも……甘えん坊のれいちゃんも……ずっと、俺だけの……っ!」
二人は互いの熱を分け合い、深く繋がったまま、何度も絶頂を繰り返した。
* * *
ダブルベッドの上には、すっかり満足した表情の二人が横たわっている。
悠斗の胸で、怜華は幸せそうに息を吐く。
「ゆうくん……今夜は……こうして、ぎゅっとしてて……」
「うん、朝まで、俺が守るから……。だからゆっくり休んでください。本当にお疲れ、れいちゃん……」
夜は更けてゆく。
ホテルの窓の外では都会の灯が、二人の甘い時間を静かに照らしていた。
(つづく)
次回、「6話 怜華、出勤前に朝のホテルで愛される」
一夜明けて、出勤前の二人の甘々な一コマ。これまでと違い、がっつり怜華さん視点です!
今回、怜華さんの格好良い一面が少しでも伝わると良いなあと思っております。
独自路線を突っ走ってる自覚があるので、
果たして読む人がいるのか、カテエラじゃないか、正直すごい不安です。
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