特級チー牛と性処理支援相談員さん【国家公認】 作:メロディ下村
【この話の登場人物】
・長谷部(俺)……大手電機メーカーの営業マン。叡桜大学のOB。親友ガブリエルの異変を追いかける。
・響子……長谷部の妻。叡桜大学のOGで、広告代理店の営業。気が強く、さばさばした美人。特級チー牛の制度が大嫌い。
・ジャンヌ……長谷部の親友・ガブリエルの婚約者。二十七歳。結婚まで体を許さなかった、堅物の爆乳美人。
・玲央奈……特級チー牛の「ドスケベ福祉広域調整官」。腰まで届く黒髪の、冷たく澄ました美女。
・牛山千尋……国に認定された特級チー牛。大学を中退したばかりのキモオタ。
今の俺は、ある動画の販売アカウントを運営している。
何を売っているのかは、あとで話す。始まりは、親友のガブリエルが会社に来なくなった、という知らせだった。
ガブリエルとは、叡桜大学の国際交流サークルで同期になってからの付き合いだ。フランスから留学してきて、今は総合商社で、海外の企業を相手に英語で取引をまとめている。婚約したと聞いてから、少し疎遠になっていた。
知らせをくれたのは、ガブリエルと同じ商社にいる、大学の同期だった。もう二週間、無断で休んでいるという。
胸騒ぎがして、俺はガブリエルのマンションを訪ねた。
ドアを開けたガブリエルを見て、息をのんだ。女にモテた男の面影は、どこにもない。頬はこけ、目の下には濃い隈が浮いていた。
「ジャンヌさんは?」
婚約者の姿が見えないので訊いた。ガブリエルは一瞬だけ、何かを思い出そうとするような顔をした。それから何も答えず、俺を追い出してドアを閉めた。
放っておけるはずがなかった。
◇
何日かして、SNSでガブリエルの名前を見つけた。
アカウントの名前は、ガブリエルの本名そのままだった。アイコンも、あいつがいつも使っている写真だ。並んでいる投稿は、どれも動画の宣伝だった。
“【新作】結婚まで処女を守っていた婚約者が、ついにキモオタのチ○ポで初アクメ。一本千円。購入した端末でのみ再生できます”
リンクの先は、会員制の動画販売サイトだった。サムネイルに映った女を見て、手が震えた。
ジャンヌさんだった。ガブリエルの婚約者が、あられもない姿で写っている。
並んだタイトルのうち、三つが目に飛び込んできた。
“【乳圧プレゼン】元高級ブランド広報の金髪フランス美女ジャンヌ(27)が、自慢のJカップ百六センチを「新商品」としてご紹介! その使い心地を、キモオタのチ○ポで実演します”
“【初搾乳】「お乳なんて出ませんわ……」結婚まで処女を守っていた婚約中の爆乳美女が、四つん這いでJカップを搾られて、初めてのアクメ顔を晒すまで”
“【NTRビデオレター】婚約者ガブリエルへ。「あなた、ごめんなさい」――ジャンヌは、特級チー牛・牛山千尋様の性処理支援相談員になりました”
ジャンヌさんは、真面目な人だ。敬虔なカトリックで、結婚するまではと、ガブリエルにも指一本触れさせなかったと聞いている。それが、これではまるでAV女優だ。
怒りなのか戸惑いなのか、自分でもわからなかった。気づけば、俺は購入のボタンを押していた。
支払いは、スマホ決済で一瞬だった。けれど、再生ボタンを押しても、画面には一行の文字が出るだけだった。
“この端末では再生できません”
何度やっても同じだった。購入済みの一覧には、たしかにジャンヌさんの動画が並んでいるのに。
動画の下には、レビュー欄があった。並んでいるのは、ハンドルネームとアイコンだけの購入者たちだ。その中の一人に、俺はDMを送った。
返事は、すぐに来た。
“新作の通知かと思ったら、誰? あんた”
ハンドルネームは「むぎちゃ」。アイコンは、どこかのアニメのキャラクターだった。顔も本名も、わからない。
ガブリエルとの関係を訊くと、むぎちゃは笑う顔の絵文字を三つ並べてきた。
“あの販売アカウントの人? 自分の婚約者の動画、自分で宣伝してんの。ウケるよな”
耳を疑った。あのガブリエルが、婚約者の動画を売っている?
見せてくれ、と俺は打った。むぎちゃは、買った端末でしか再生できないと言い張った。
“だから、同時視聴なら招待してやるよ。視聴料、一万な”
俺は、言われるままに一万円を送金した。
招待のリンクを開くと、スマホの画面が切り替わった。むぎちゃの画面共有だ。顔も声も出さず、画面の隅のチャット欄に、文字が流れるだけだった。
“ちょっと見せるだけだぞ。バレたら、もう売ってもらえないかもしんないし”
再生が始まった。
間違いない。ジャンヌさんだ。
◇
画面の中のジャンヌさんは、仕事のときと同じスーツ姿だった。ハニーブロンドをきっちりとまとめ、ジャケットのボタンを一番上まで留めている。そのジャケットが、胸のところだけ苦しそうに張っていた。
首元には、小さな金の十字架が光っている。
背筋を伸ばして、カメラに一礼する。ブランドの広報をしていたころの、隙のない顔だった。
「本日ご紹介いたしますのは、わたくしの新しい商品……この胸です。牛山様、どうぞ最後までご覧くださいませ」
ジャンヌさんは、ジャケットのボタンを上から一つずつ外した。続けてブラウスのボタンも外し、前をゆっくりと左右に開く。
白いブラのカップに両手を差し入れ、中身をすくい出した。押し込められていた乳房が、ぶるんと揺れてこぼれ出る。
ジャケットにもブラウスにも、袖を通したままだった。きちんと着たスーツの前から、白い膨らみが二つだけ突き出している。
頬が、かすかに赤い。それでも声は、プレゼンの調子を崩さなかった。
「こ、こちらが……百六センチ、Jカップでございます。これから、わたくしのおっぱいで牛山様のおチンポを挟んで、乳圧を実演いたします」
画面が切り替わった。カメラは、ベッドに寝そべった男の目の高さにある。
スーツ姿のまま、ジャンヌさんが男の脚のあいだに膝をついた。谷間にとろりとローションを垂らす。両手で双丘を寄せ、くちゅ、くちゅ、と塗り広げた。
画面の手前から突き出した肉棒を、たわわな膨らみが根元まで呑み込んだ。
白い肉が上下するたび、ぬちゅ、ぬちゅ、と粘った音がする。ぎこちなかった動きが、だんだんなめらかになる。
「ん……っ、は……硬くて、熱い……。っく、ふ……い、いかが、でしょう……乳圧、きちんと、伝わって……ご、ご紹介、を……」
台詞が、途中で途切れた。谷間の上から亀頭が顔を出すと、ジャンヌさんはそこに唇をつけた。舌先で鈴口をくすぐってから、ちゅっと吸う。
谷間から亀頭がのぞくたびに、今度はピンクの舌を長く伸ばして迎えにいく。膨らみを上下させながら、張りつめた先を何度も舐め上げた。
俺は、目を逸らせなかった。
“な? 堅いのが崩れていくのが、いいんだよ”
チャット欄に、むぎちゃの書き込みが流れた。画面が、次の動画に切り替わる。
二本目は、四つん這いの搾乳ものだった。
ジャンヌさんは、裸のままベッドの上で手と膝をついていた。カメラは、その脇から撮っている。
重たい乳房が、真下に垂れ下がっていた。ジャンヌさんは、顔だけをカメラに向けた。
「わ、わたくしの、おっぱいを……これから、牛山様に、搾っていただきます……」
画面の外から伸びた手が、その乳肉を根元から搾った。
「やっ……そ、そんな、お乳なんて、出ませんわ……っ、ん、はぁ……ッ」
嫌がっていたのは、最初だけだった。搾られるたびに、ジャンヌさんの腰が勝手にくねりはじめる。
「ん゙っ……だめ……搾られるの、きもち、いい……っ。わたくし、おかしく、なって……っ、あ゙ぁっ♡」
あのジャンヌさんが、こんな声を出すのか。
三本目で、ジャンヌさんは正座をしていた。一本目と同じスーツを、ボタンを一番上まで留め直して着ている。カメラを、まっすぐに見つめていた。
「ガブリエル、ごめんなさい。わたくしジャンヌは、あなたの婚約者ですが、牛山様の、性処理支援相談員になりました」
落ち着いた、いつもの声だった。それが一番こたえた。
「お口では牛山様の隅々まで舐めさせていただき、おっぱいは、お風呂でスポンジに使うことを許していただきました」
ジャンヌさんは、膝の上で手を重ねたまま続けた。
「もちろん、あそこもお尻の穴も、牛山様のお好きなように……。それが、あなたの償いですから」
償い。何の話だ。
ジャンヌさんは、最後に小さく付け足した。
「……牛山様のおちんぽ寂しん坊が、少しでも慰められますように」
おちんぽ寂しん坊。聞いたことのない、ふざけた言葉だった。
頭が真っ白になりそうだった。それでも、相手役の男の呼び名だけは耳に残った。
牛山様。
“この動画な、特級チー牛様が、俺ら一般のチー牛のために格安で売ってくれてるらしいぞ”
むぎちゃは、なぜか誇らしげに書き込んだ。
特級チー牛。ニュースで見たことがある。国がたった一人だけ認定した、保護対象の若い男だ。
チー牛というのは、冴えない男をからかうネットのスラングだ。それが、そのまま国の制度の名前になっている。
最初に聞いたときは、悪い冗談だと思った。なのに、誰も笑っていなかった。俺も、なぜか笑う気になれなかった。
国に守られて、どこかで暮らしているだけ。一般人には関係のない存在のはずだった。
俺は吐き気をこらえて、チャット欄で聞ける限りのことを聞いた。
まとめると、こうだ。
ガブリエルの他にも、自分の妻や恋人の動画を売っている男がいる。値段は一本千円。売上を貯めると、売っている男に何かがあるらしい。
動画は、買った人の端末でしか再生できず、保存も転送もできない。だから売っている男は、客に招かれて、画面越しにしか女の動画を見られない。わざと招いて見せつける客もいるという。
次に見たい内容をDMで送ると、それが新作になる。要望料も千円だ。むぎちゃは二回要望を出して、プレゼンと搾乳を手に入れたのだそうだ。
同時視聴が終わる直前、チャット欄に最後の一行が流れた。
“あんたも、そのうち売る側になったりしてな”
◇
家に帰ると、妻の響子が出迎えてくれた。
「おかえり……どうしたの、その顔」
俺の顔を見るなり、響子は眉を寄せた。
はっきり言って、響子は美人だ。大学のミスコンでは準グランプリで、サークルの同期の中では一番人気だった。気が強くて、さばさばしている。
そこが魅力でもあり、ときどき短所でもある。明るい巻き髪に、形のきれいな胸。左手の薬指には、俺と揃いの指輪が光っている。
もし響子が、ジャンヌさんと同じ目にあったら。
想像しただけで、背中が冷たくなった。
「……何があったの? ガブリエルのこと?」
俺は、今日わかったことを全部話した。響子は怒ったような目で、じっと俺を見つめていた。
そのとき、俺のスマホが震えた。行政からのお知らせを受け取る、公的なアプリの通知だった。
“【償い通知】厚生労働省 孤立青年保護局”
開くと、硬い文面が並んでいた。
“社会的孤立青年特別保護制度に基づき、認定者・牛山千尋氏から、貴殿に対する償い申告が受理されました。”
“認定者が受けた被害について、謝罪と誠意をお示しください。申告の内容は、認定者との面談の場でお伝えします。”
牛山千尋。牛山様。
動画の中で、ジャンヌさんが呼んでいた名前と同じだった。
面談の場所は、特級チー牛保護施設とあった。俺には、その牛山という男に何かをした覚えなど、一つもない。
「何よ、これ。謝れっていうの? 謝るのは、向こうのほうでしょ」
画面を覗き込んだ響子が、声を尖らせた。
「わかったわ。明日、その特級チー牛に問いただしに行きましょう」
さすが俺の妻だ。響子も、ガブリエルとは学生時代からの友人で、ジャンヌさんとも面識がある。もともと、特級チー牛という制度にも反対していた。
ウジウジ悩んでいる場合じゃない。俺も腹を決めた。
◇
翌日、俺は有給を取り、響子と二人で特級チー牛保護施設へ向かった。
響子は、大口の商談に着ていく勝負服を選んでいた。白いブラウスに、黒のタイトスカート。
形のいい胸でブラウスがきれいに張っているのに、襟のボタンを一つ外して、堂々と着こなしている。タイトスカートは、肉付きのいい尻と太ももにぴんと張りつめていた。
元は高級ホテルだったらしい。本館は男子禁制で、男の来客は離れの建物で応対する決まりだという。
「気後れしちゃだめよ。こうなったら、徹底的に叩いてやるんだから」
響子の言葉に背中を押されて、俺は離れに入った。来客用の椅子に、二人で並んで座る。低いテーブルを挟んだ向かいのソファに、あいつがいた。
『ふひっ……ど、どうも。特級チー牛の、牛山です』
「牛山様付きのドスケベ福祉広域調整官、玲央奈と申します。本日は、どのようなご用件でしょう」
牛山は、裸にバスローブを一枚羽織っただけだった。ひょろりとした猫背をソファに沈め、脚だけをテーブルの上に投げ出している。
黒縁の分厚い眼鏡に、自分で切ったような重い前髪。大学の、どの教室の隅にもいそうな男だった。どこかで見た顔のような気もしたが、思い出せない。
ソファの脇に立つ調整官は、黒いチャイナドレスを着ていた。立ち襟を喉元まで留めた、隙のない着こなしだ。
なのに胸元だけが丸くくり抜かれて、白い谷間がのぞいている。腰まで届く黒髪は、まっすぐ下ろしていた。
切れ長の目は、俺たちを見ているのに、何も映していないようだった。
響子の目が、今まで見たことがないほど冷たくなった。
「早速だけど。あなた、動画に出てるのは事実よね?」
「はい。牛山様は、定期的に動画の撮影をしております」
『そ、それが……どうか、しました?』
響子の冷たい声を、牛山はにやけを隠しきれない顔で受けていた。目は泳いでいるのに、口元だけが嬉しそうに緩んでいる。
「私たちの友人の婚約者、ジャンヌさん。彼女がその動画に出てるのは、どういうことかしら?」
「ジャンヌですか。……確かに出演しています。八本です」
八本。俺が見たのは、そのうちの三本にすぎなかったのだ。
『ジャンヌさん、か、堅かったのに……今は、すっごくエッチなんですよ。ふひっ』
響子が、テーブルに手を叩きつけて立ち上がった。
「人の婚約者にひどいことしといて、何様よ! あんた、ジャンヌさんに何をしたの!」
「牛山様。お帰りいただきますか」
調整官の問いに、牛山はひらひらと手を振った。
『い、いいですよ。……ジャンヌさんは、僕の相談員として、迎えてあげたんです』
「迎えた!? そんなの、ありえるわけないでしょ!」
牛山は、指で眼鏡を押し上げながら首をかしげた。
『ふひっ。ほ、ほら……勉強も運動もできるイケメンで、綺麗な婚約者がいる陽キャって、む、むかつくじゃないですか』
牛山は、テーブルの上の脚を組み替えながら、激昂する響子を楽しそうに眺めていた。一つ一つの仕草が、人を苛立たせる。俺も、拳を握っていた。
「ガブリエルは、あんたと違って努力してるの! あんたみたいなのは、死んだほうがマシよ!」
『こ、こんなふうに偉そうだから……ジャンヌさんも、相談員にしちゃいました。爆乳美人なので、し、仕方ないですよね』
「それと、動画に何の関係があるっていうのよ!」
牛山は、出来の悪い生徒に教えるような顔をした。
『だ、だって、ジャンヌさんは、ガブリエル先輩の償いですから。先輩が自分で売って、みんなに見てもらわないと、意味ないじゃないですか』
牛山は、脇に立つ調整官へ手を伸ばし、その尻を掴んだ。
『調整官さんみたいに、ぼ、僕が初めての人は……誰にも見せないで、大事に大事にするんですけど』
「……牛山様。来客中です」
調整官は、眉ひとつ動かさなかった。それでいて、尻を掴む手を払おうともしない。響子は唖然としている。
俺は、動画の売上をどうしているのかと訊いた。特級チー牛は、収入を得ることを禁じられているはずだ。
『ガブリエル先輩も、ほかの人も……自分の大事な売上なのに、む、無駄遣いしてるみたいですけど?』
「収入のない牛山様が、おっしゃることではありません」
調整官は、尻を揉まれたまま淡々と言った。牛山はにやにやしながら、響子をいやらしい目で見ている。響子は殺気立った目で睨み返し、テーブルを何度も叩いた。
「こぉのぉ、クズやろぉ! いいかげんにしなさいよ!」
『ひっ……こ、こわ……。調整官さん、た、たすけて』
響子が手を振り上げた。牛山はテーブルから脚を下ろし、調整官の腕を引いて自分の前に立たせ、その陰に縮こまった。
女を盾にするのか。俺も響子も、もう我慢できなかった。
二人でテーブル越しに身を乗り出す。調整官が両手を広げて、俺たちを押しとどめた。
「お待ちください。……牛山様は、みじめなお方なのです」
冷たく澄んだ声だった。牛山の手下とはいえ、女性は殴れない。俺たちは、ひとまず椅子に腰を戻した。
「牛山様は、キモくて、陰キャで、チー牛で……もう救いようのないクズです」
「そんなの、見ればわかるじゃない。なんで、あんたはこのクズを庇うのよ」
「それは……牛山様が、哀れにも“おちんぽ寂しん坊”だからです」
おちんぽ寂しん坊。ジャンヌさんが、動画の最後に口にした言葉だ。
『あ、あぁ……お、おちんぽが、寂しいなぁ……ふひっ』
意味がわからず、俺は響子を見た。
様子がおかしかった。真っ赤だった顔から、すうっと血の気が引いていく。響子は震えながら俯いた。
背中をさすって覗き込むと、その目に涙が溢れていた。
「そ、そんな……知らなかった……まさか、“おちんぽ寂しん坊”だなんて」
響子は、声を上げて泣きはじめた。
寂しかろうが何だろうが、どうでもいいだろう。俺がそう言うと、響子は俺の手を振り払った。濡れた目で、俺を睨む。
「寂しい思いをしてる人に……どうでもいいって、なによ」
「牛山様はクズでありながら、大変お寂しい思いをしているのです」
調整官の陰から出てきた牛山は、またソファにふんぞり返り、テーブルに脚を投げ出した。バスローブの前が、もう不自然に盛り上がっている。
『ふひひっ。あ、あぁ……勃起、止まらなくなってきちゃった』
あいつのどこに、泣ける要素がある。なのに響子は泣いている。それどころか、椅子から降りて床に膝をつき、テーブルに額をつけて、牛山に謝りはじめた。
「ご、ごめんなさい……“おちんぽ寂しん坊”と知らずに、失礼なことを」
『ふひっ。ほ、本当に、傷ついてるんですけど……』
響子を起こそうとすると、調整官が俺に話しかけてきた。腫れ物を見るような目だった。
「牛山様のおちんぽは、生まれてから二十一年、ずっと独りぼっちでした」
調整官は、論文の結論でも述べるように、淡々と続けた。
「誰かの大切な女性に慰めていただかないと、寂しくて勃起が収まりません。けれど、慰められるほど、次の寂しさは深くなる。その繰り返しで、“おちんぽ寂しん坊”は治らないのです」
どこが不憫なのか、まるでわからない。好き勝手をしているだけじゃないか。俺が睨んでも、響子はさらに泣くばかりだった。
「私のように初めてを捧げた相談員が、ハーレムで寄り添って差し上げています。それでも、定期的に誰かの大切な女性をお借りして、その男性に見届けていただかないと、牛山様は満足できないのです」
調整官は、表情を変えないまま言い切った。その切れ長の目が、わずかに潤んで見えた。響子も、本気でこの話に涙ぐんでいる。
異様な空気だった。怖くなって、俺は立ち上がり、響子に帰ろうと促した。床に膝をついたまま、響子は泣き腫らした目で、まっすぐ牛山を見つめていた。
「私も……力になれないかしら」
『……き、きた。ふひっ』
肩を掴んで揺さぶったが、払いのけられた。響子は深呼吸をして、牛山だけを見て言った。
「ちょうど、夫もここにいるわ。夫に届いた償い通知……あれは、妻の私が果たす。“おちんぽ寂しん坊”を、私にも慰めさせて」
「それは、よいお考えです。牛山様、いかがなさいますか」
『ふひひっ……も、もう、ビンビンで困ってたんです。お、お願いしようかな』
響子は、俺でも見たことがないほど嬉しそうに笑った。
俺は、必死に響子の腕を掴んだ。
「あなたは黙ってて。あなたが牛山様に何をしたのかは、知らない。でも、通知が来たってことは、何かしたんでしょ。その償いは、私がちゃんと果たすから」
『長谷部さんは……す、座って、見ててください。“おちんぽ寂しん坊”って、ほんとに大変なので』
牛山にそう言われた途端、膝から力が抜けた。俺は椅子に座り込み、そのまま立てなくなった。
腰が、椅子に縫いつけられたように動かない。声を出そうとしても、喉が鳴るだけだった。焦る俺をよそに、牛山は響子に、服を脱いでほしいと言った。
響子は素直に頷いて、床から立ち上がった。
「いいわ。私の体で、牛山様の“おちんぽ寂しん坊”を慰めてあげる。……脱ぐわね」
ブラウスのボタンが、上から一つずつ外れていく。指を動かすたびに、薬指の結婚指輪が光った。前が開き、ブラウスが肩から滑り落ちる。
『ふぉぉ……エ、エロ……。長谷部さんの奥さん、け、けっこういいおっぱい、してますね』
俺の真横で、妻が服を脱いでいる。それを牛山が、眼鏡を曇らせて眺めている。それだけで、気が狂いそうだった。
響子は頬を赤くしながらも、手を止めなかった。タイトスカートのホックを外し、張りつめた腰から引き下ろす。スカートが床に落ちて、ネイビーのレースの下着だけになった。
俺の誕生日に、響子が自分で選んで買ってきたものだった。
調整官が、ソファの脇に膝をついた。白い指で、バスローブの前をめくる。
「牛山様。前を、失礼いたします」
テーブルに投げ出された脚の付け根に、それがあった。
太く、赤黒く、血管を浮かせて反り返っている。ひょろりとした体には、不釣り合いな代物だった。俺のものとは、比べ物にならなかった。
「こ、これが……“おちんぽ寂しん坊”……。こんなに硬く腫らして、かわいそうに……」
響子は、胸の前で手を握りしめた。泣き出しそうな、切なげな顔だった。
『ふひっ……じゃ、じゃあ、響子さんの手で、シコシコしてもらって。それから、お、お口で。さ、最後は、長谷部さんの前で、中出し、ですね』
「……いいわ。手でも、お口でも、中でも。全部、私が慰めてあげる」
牛山は俺を見て、にたりと笑った。
『長谷部さんは……ぼ、僕のこと、覚えてないみたいですけど』
何のことだ、と訊き返したかった。声は、喉の奥で潰れたまま出てこなかった。
響子は、もう俺を見ていなかった。
次回、響子 ご主人立ち会いのもと、中出し撮影
どのヒロインのエロが読みたいですか?
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ひなた
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ジャンヌ
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響子
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あげは
-
ラクシュミ
-
凛
-
紫苑
-
メイファ
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シア
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スカーレット
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玲央奈