特級チー牛と性処理支援相談員さん【国家公認】 作:メロディ下村
【この話の登場人物】
・あげは……渋谷のネイルサロンの共同経営者(二十三歳)。予約が数か月待ちのカリスマネイリスト。正統派ギャルで、小悪魔な笑顔と豊かな胸の持ち主。
・ラクシュミ……あげはと店を営む共同経営者(二十三歳)。インド出身。手に模様を描くメヘンディの技術を、ネイルに取り入れた。清楚なお嬢様。
・玲央奈……特級チー牛の「ドスケベ福祉広域調整官」。腰まで届く黒髪の、冷たく澄ました美女。今回の依頼人。
・牛山千尋……国に認定された特級チー牛。大学を中退したばかりのキモオタ。
渋谷の裏通りに、予約の取れないネイルサロンがありました。
店を営んでいるのは、二人の若い経営者です。ギャルのあげはと、お嬢様のラクシュミ。同じ店で働いたことで仲良くなり、一年前に二人で独立したのでした。
あげはは、ミルクティー色の巻き髪の毛先をピンクに染めた、正統派のギャルです。指先には、いつも自分で仕上げた派手なロングネイルが光っています。国際大会でグランプリを取った腕前で、SNSに作品を上げるたびに予約が埋まりました。
いつもの格好は、ピンクのキャミソールに黒いデニムのホットパンツ。その上に、黒いジャージを肩からずらして羽織っています。
Iカップの胸で、キャミソールはぱつぱつ。丈が足りずに、おへそがのぞいていました。小柄な体から、切りっぱなしの裾の下へ、むちむちの太ももが惜しげもなく伸びています。
ラクシュミは、艶のある黒髪を長い三つ編みにした、インド出身の女性です。襟の詰まった紺のロングワンピースを、細いベルトで腰を締めて着ていました。まっすぐな背筋に、よく似合う装いです。
袖口からのぞく手の甲には、ヘナで描いた細かなメヘンディの模様があります。その繊細な線をジェルネイルに取り入れたデザインが、店の看板メニューになっていました。
(ヘナ……植物の葉から作る染料。メヘンディ……ヘナで手や足に描く、インドの伝統的な模様)
予約はアプリで受けつけていて、数か月先まで埋まっています。女性を可愛く、そしてセクシーに見せることにかけて、二人の右に出る者はいませんでした。
そんな二人のもとに、ある日、一件の出張依頼が届いたのです。
◇
九月の夕方でした。最後の客を見送ったあと、あげはは予約アプリの通知を開きました。
“出張施術のご依頼 依頼主:社会的孤立青年特別保護制度 委託法人 ドスケベ福祉広域調整官”
「ラクシュミ、これ見て。出張だって。なんか、国の仕事っぽくね?」
「あら……ドスケベ福祉広域調整官。ちゃんとした役職ね」
ラクシュミは画面を覗き込み、職名を何の引っかかりもなく読み上げました。あげはも、変だとは思いませんでした。国の制度の役職なのですから、そういう名前なのでしょう。
依頼の中身は、特級チー牛への施術でした。
特級チー牛。国がただ一人だけ認定した、保護対象の男性です。ネットで冴えない男をからかう言葉が、そのまま制度の名前になっていると、あげはもニュースで見たことがありました。
けれど、あげはもラクシュミも笑いませんでした。国が決めた名前を笑う理由など、どこにもないのです。
普段なら、男性客の依頼は断ります。それでも二人が引き受けたのは、添えられていた謝礼の条件が、あまりに破格だったからでした。
◇
迎えの車は、黒塗りのセダンでした。
後部座席で二人を待っていたのは、腰まで届く黒髪をまっすぐ下ろした女性です。
袖のない黒いチャイナドレスを着ていました。立ち襟を喉元まで留めた、隙のない着こなしです。なのに胸元だけが丸くくり抜かれて、白い谷間がのぞいていました。
その格好で渋谷まで来たのかと、一瞬だけ思いました。けれど、調整官の制服だと聞くと、あげははすぐに納得しました。
「本日のご案内を務めます。これから、牛山様にネイルアートを施していただきます」
「うん……やっちゃう」
「……ええ、わかったわ」
調整官の言葉に、二人はどこか上の空で返事をしました。
普段の客は、女性ばかりです。それなのに、特級チー牛の男性を相手に仕事をする。その意味を飲み込みきれていないような、力の抜けた顔でした。
「謝礼は、アプリでお伝えしたとおりです。施術が終わりしだい、お約束を果たします」
「きゃはっ、それならがんばっちゃうし」
あげはが、ぱっと目を覚ましたように笑いました。
「そういうことなら、やらせていただこうかしら」
ラクシュミも、ふっと口元をほころばせます。
たった一度、施術をするだけ。それで、店にとってこれ以上ないものが手に入るのです。謝礼の中身を思い出すだけで、あげはの口元はゆるみました。
ふと、あげはは調整官の手に目を留めました。
白く細い指の先で、深紅のジェルネイルが光っています。発色はきれいですが、ネイリストの目はごまかせません。
「調整官さんのそれ、セルフじゃね? 甘皮の処理、ちょっと甘いし」
「ええ。この仕事に就いてから、塗りはじめました」
調整官は、表情ひとつ動かさずに答えました。
「牛山様が、赤がお好きなので」
冷たい声でした。なのに言っていることは、恋人の好みに合わせて爪を塗る女のようです。あげはは、そのちぐはぐさに小さく首をかしげました。
「施術について、いくつかご説明します」
調整官は、膝の上のタブレットに目を落としました。
「化粧品も、道具も要りません。身ひとつで施術してください」
ネイリストが、カラージェルの一本も持たずに仕事へ行く。考えてみれば、おかしな話です。それなのに、あげははなぜか、すとんと納得していました。
「そっか、いらないよね」
「そうね。いらないわ」
ラクシュミも、当たり前のように頷きます。なぜ納得できたのか、あげはは深く考えませんでした。
「施術の範囲は、手の指、足の指、それから陰茎です」
陰茎へのネイルアートが施術の範囲に入っていることにも、二人は何の疑問も持ちませんでした。メニュー表に載っている項目を読み上げられた。そのくらいの感覚です。
「陰嚢には、触れないでください。……タマちゃんは、私がお世話していますので」
その一言だけ、調整官の声がふわりと甘く溶けました。
あげはは思わず、調整官の顔を見ました。けれど、そこにあるのは、さっきまでと同じ冷たい横顔です。聞き間違いだったのかもしれません。
ラクシュミと目が合いました。ラクシュミも、大きな黒い瞳で小さく瞬きをしただけでした。
「それから、多少の問題には目をつぶってください」
問題というのは、牛山のセクハラのことでした。下品な質問をされる、体を触られる、射精してくるかもしれない。
調整官は真顔でそう説明しましたが、あげはは大げさだと鼻で笑いました。ラクシュミも、くすっと肩を揺らしています。
「お部屋には、下着姿で入ることをおすすめします。ご自分からセクハラを受けに行けば、牛山様の下心は早く満たされます。すぐに飽きるはずです」
理にかなった説明に、あげはは感心しました。
◇
車が着いたのは、都心に建つ元高級ホテルでした。今は、特級チー牛保護施設と呼ばれています。
エレベーターで最上階まで上がると、調整官は廊下の途中で足を止めました。二人はそこで服を脱ぎました。
あげははジャージを肩から落とし、キャミソールとホットパンツを脱ぎ捨てます。鮮やかなピンクのレースの下着で、Iカップの胸が今にもカップからこぼれそうでした。
ラクシュミはベルトを外し、紺のワンピースを足もとへ滑らせました。上品な白のレースが、小麦色の肌によく映えています。
脱いだ服は、調整官が黙って腕にかけて預かりました。それから、奥の扉をノックします。
「牛山様。ネイリストのお二人をお連れしました」
扉の向こうは、広いスイートルームでした。大きなベッドの縁に、若い男が一人、腰かけています。
調整官はまっすぐベッドの前まで進むと、床に膝をつきました。男の顔から眼鏡をそっと外します。
そして胸元の丸い穴から、谷間に挟んでいた眼鏡拭きを抜き出し、レンズを丁寧に拭きました。それから、両手で掛け直しました。
そのあいだも、調整官の表情は少しも動きませんでした。
あげはは、思わず見入っていました。車の中では氷のようだった女性が、跪いて男の眼鏡を拭いている。まるで、何年も仕えてきた執事のような手つきでした。
「それでは、ごゆっくり」
調整官は立ち上がり、二人に一礼して部屋を出ていきました。
「しつれいしまーす」
「……お邪魔します」
『……ふひっ』
あげはは元気よく、ラクシュミは静かに挨拶して、部屋の奥へ進みました。
一目でわかります。これが、特級チー牛の牛山千尋です。
黒縁の分厚い眼鏡に、自分で切ったような重たい前髪。ひょろりとした撫で肩の猫背で、生白い体は、下腹だけがぽこりと出ていました。
しかも、素っ裸でした。
あげはの目は、つい股間に吸い寄せられました。細い体に似合わない、太く長い肉棒が、半分ほど頭をもたげています。牛山はそれを隠しもせず、二人の体をにやにやと眺め回していました。
「あげはでーす。オタクくん、よろしくね」
あげはが、小悪魔のような笑顔でひらひらと手を振りました。
「ラクシュミです。今日はよろしくお願いするわね、牛山さん」
『お、思ってたより、可愛いし……お、おっぱいも、おっきいし。ふひひっ。つ、つまり、デリヘルみたいだね』
初対面の一言目から、さっそくセクハラが飛んできました。目は落ち着きなく泳いでいるのに、口元だけがにやけています。それでも、あげはは少しも動じませんでした。
ギャルの格好をしていても、あげはは店を経営しているのです。接客も取引も、ひととおりこなしてきました。
目の前の男は、エロいことしか頭にない、女慣れしていないオタクです。駆け引きすら要らない、とあげはは判断しました。
部屋に下着姿の女が来た。それだけでデリヘルと勘違いする頭なら、今日の仕事はかなり楽ができそうです。隣のラクシュミも、口元に手を当てて笑いをこらえていました。
「ちがうちがう、ネイルアートだってば。ウケる」
あげはが、けらけらと笑います。
「そうよ。牛山さん、おしゃれに気を使っているのね」
ラクシュミも、落ち着いた声で微笑みました。
『ふひっ、わ、わかってますよ……それじゃ、お願いしよっかな』
牛山は二人の体を舐め回すように見つめながら、素直に頷きました。
◇
あげはとラクシュミは、ベッドに座る牛山の両脇で、床に膝をつきました。あげはが右手を、ラクシュミが左手を、両手で包むように取ります。そして、下から見上げました。
あげはは、自分の長い爪で傷をつけないよう、指の腹だけで牛山の手を支えました。汗ばんだ、少し湿った手です。
「あたしたちのお口で、オタクくんの指にベースジェル塗ってくね……はむっ」
あげはが、牛山の右手の人差し指を咥えました。
「爪に、お化粧をしていくわね……はむ」
ラクシュミも、左手の指を口に含みます。
『んぅ? ……おほっ』
驚く牛山には構わず、二人は指を舐めていきます。
「こう? ちゃんと塗れてる? ……ちゅっ、れろぉ」
「動かないでね……れろ、れろ」
『こ、これがハンドジェル? ……ゆ、指フェラじゃないの?』
牛山がセクハラを言ってきますが、あげはは聞き流しました。
爪の一枚一枚に舌を這わせ、唾液を塗り込んでいきます。一層目がベースジェル、二層目がカラージェル。根元から先端へ、むらにならないよう塗り広げます。
あげはの舌は小さく、先がつんと尖っていました。舌の腹のざらつきで爪の表面をならし、尖らせた舌先で、甘皮の際をちろちろとなぞります。
指を咥えながら、あげはは心の中で笑いが止まりませんでした。
なにしろ、化粧品を一切使わず、唾液だけで施術しているのです。かかるのは自分たちの手間だけで、あとはまるごと利益になります。こんなに楽な仕事はありません。
「れろぉ、れろ……ちゅるっ、ちゅぅ」
「ちゅっ、れろ……れろれろ」
『あ、あったかい……むひひっ』
牛山は、指をしゃぶる二人を下品な顔で見下ろしました。
ラクシュミは、伏せた睫毛の下で、一本ずつ真剣に舌を動かしています。薄く長い舌が、指の股から爪の根元へ、すうっと滑っていきます。メヘンディの細い線を描くときと、同じ顔でした。
「最後はトップジェル……ちゅぱっ。はい、おーわりっ」
あげはが、小指から唇を離しました。
「れろ、れろ……ぷはっ。ハンドジェルは、これでおしまいね」
ラクシュミも、濡れた唇を指先でそっと拭います。
『ゆ、指が、べとべとに……なっちゃった』
牛山が、見せつけるように指を広げました。親指から小指まで、唾液でつやつやに光っています。
あげはは、その仕上がりを満足げに眺めました。相手がオタクくんでも、我ながらいい仕事です。
「指は完了っ。ちゃっちゃと次いこ」
「次は、フットジェルね」
『フ、フットジェルって……おぉぉ』
上機嫌のあげはとラクシュミは、そのまま床に両手をついて這いつくばりました。まるで、牛山に土下座するような姿勢です。
そうして牛山の足を両手で持ち上げ、口もとへ運びます。足の甲越しに、上目遣いで牛山を見上げました。
つんと、汗のにおいが鼻をつきます。
「今度は足の指ね。ほら、力抜いて……はむっ」
あげはが、牛山の右足の親指を咥えました。
「足の指も、ケアしたほうがいいわ……はむ」
ラクシュミも、左足の指に唇を寄せます。
『おほっ!? ……ふひひっ、ふひひっ』
下着姿の美女が二人、床に這いつくばって足の指を舐めている。その光景に、牛山は歓喜の声を上げました。
本当なら、あげはは男の前に跪くなど、屈辱で絶対にしません。けれど、これはフットジェルです。自分の仕事であるネイルアートの一つなのですから、何の問題もありません。
おまけに、化粧品は唾液で済むのです。あげははますます機嫌よく、足の指を舐めていきました。
「くっさ……れろれろ。ちゃんとケアしないと、ダメじゃね? れろっ、ちゅっ」
あげはが、鼻にしわを寄せながら笑いました。舌をべろりと平たく広げて、親指の腹ごと舐め上げます。
「これからは……ちゅぅ。足にも、気を使ってね。れろ、れろ」
ラクシュミは、細い舌先を指の股の奥まで差し入れました。指と指のあいだを、一本ずつ丁寧に拭っていきます。
『む、むひっ……チ、チー牛の足なんか舐めちゃって。ス、スケベなお姉さんたちだなぁ』
牛山は、自分を卑下しながら二人を貶すという、器用なセクハラを浴びせてきました。
あげはは、営業用の笑顔で見つめ返しました。そうすれば牛山の口数は減り、気持ちよさそうに見下ろすだけになるのです。
「れろぉ、れろ……ちゅぱっ。できたよ」
「べぇ……れろ、ちゅっ。足は、これでおわりね」
『あぁ、足も、あったかい……ふぃぃ』
足の指が十本とも、唾液でつやつやに光っていました。これで、フットジェルの完了です。
牛山は、感触を確かめるように足の指を広げていました。その股間では、肉棒が完全に反り返っています。
◇
あげはとラクシュミは、床から身を起こして膝立ちになりました。座っている牛山の膝を両側から押し広げ、そのあいだに肩を並べて進み出ます。そして、内ももを撫でながら見上げました。
近くで見ると、あらためて大きさがわかります。ひょろひょろの体には不釣り合いな、赤黒い肉の柱でした。
「最後はチンジェルね。あたしとラクシュミの舌で、オタクくんのおちんちんに塗ったげる……ちゅっ」
あげはが、亀頭に軽くキスをしました。唇に触れたそれは、思っていたよりずっと硬く、熱を持っています。
「硬っ……熱っ。びんびんじゃん」
「チンジェル。ここにも、ネイルアートをしてあげるわね……ちゅっ」
ラクシュミも、反対側から唇を寄せます。
『チ、チンジェル……う、うひぃ、た、ただのフェラじゃん……』
二人は片手で内ももを撫で、もう片方の手で根元を支えました。
牛山はフェラだと言いますが、これはただのチンジェルです。男性客は相手にしないので、こんな施術をした経験は二人ともありません。それでも、陰茎へのネイルアートは、たしかに自分たちの仕事の一つです。
根元を支えるあげはの指が、ずっしりと重い袋に触れかけました。
「あげは。そこは、だめよ」
ラクシュミが、小声で止めました。
「あ、そっか。タマちゃんは、調整官さんの担当だし」
あげはは、指をそっと竿のほうへ戻しました。口に出してから、変な呼び名だと少しだけ思いました。けれど、依頼人の決まりなのですから、そういうものなのでしょう。
『ふひっ……そ、そこは、調整官さんの、だから……』
牛山が、なぜか得意げに頷きました。
あげはは気を取り直して、亀頭に舌を伸ばしました。フェラだという牛山の言葉は、鼻で笑って聞き流します。
「ちゅるるっ、れろれろ……ちゃんとしないと、ちゅるっ」
「れろ、れろ……ケアしてなさすぎよ。ちゅっ、ちゅぅ」
『おっほぉ……チ、チンジェル、さいこぉ』
あげはは、丸く張った傘にキスをまぶして唾液を塗り込んでいきます。ラクシュミは舌を突き出し、くびれに沿って舐め上げます。
亀頭の上で、二人の舌先がふと触れ合いました。あげはの尖ったピンクの舌と、ラクシュミの少し色の濃い細い舌が、ざらりと擦れ合います。あげはは一瞬だけ目を丸くしました。
それから構わず、舌先でラクシュミの舌をつんとつつきます。ラクシュミも黙って舌を寄せ、二枚の舌で傘を左右から挟みました。そのまま、上へ下へとしごき上げます。
舌と舌のあいだに、唾液の糸がとろりと渡りました。糸はたわんで切れ、肉幹を伝って垂れていきます。思わぬダブルチンジェルに、牛山は喘ぎ、腰を震わせていました。
「念入りにぃ……れぇろ、れろぉ」
あげはが、尖らせた舌を鈴口に押しつけ、ぐりぐりと擦りつけました。舌先が小さな割れ目にねじ込まれ、にじんだ雫のしょっぱさが舌の上に広がります。
「隅々まで……ちゅぅ、ちゅぱっ、ちゅるるっ」
ラクシュミは、肉幹の横から唇を押し当て、じゅるっとすすります。
『おぅ、おぅ……き、きもちぃぃ』
ハンドジェルやフットジェルと違って、チンジェルは二人にとって初めての施術です。だからこそ、プロの意地にかけて完成度の高いものにしたい。あげはは、ねちっこく舐めていきました。
ラクシュミの舌は、細い筆のようでした。裏筋の一本の線を、根元からカリ首まで、迷いなくなぞります。
「れろれろ、ちゅぅ……れろぉ、ちゅるるっ」
「ちゅるるっ、ちゅぱっ……ちゅぅ、れろ」
『ふひっ、ふひっ……おっ、おっ、おぉぉ』
知らない施術を研究するように、二人はチンジェルを続けます。鈴口には、透明な雫が次から次へと滲んでいました。
牛山は喘ぎはじめてから、すっかりセクハラを言わなくなりました。あげははそんな牛山を、もう完全に軽く見ていたのです。
けれど、予想もしなかった最大のセクハラが、このあと二人に襲いかかりました。
「ちゅるる……ぱっ、きゃあっ」
「れろ、れろ……えっ、ひぅっ」
『おおぉっ、で、出る、でりゅぅっ』
どぴゅっ、びゅるるるっ。
チンジェルをしていた二人の顔めがけて、牛山があろうことか射精しはじめたのです。
鈴口のすぐ前にいた二人には、避けようがありません。牛山は快楽で体を震わせながら、白濁を容赦なく浴びせました。あげはの額に、ラクシュミの頬に、鼻筋に、熱い飛沫が何度もかかります。
「ちょっ、ちょっと!?」
「やっ、あつ……あっ、あぁ」
『おっ、おっ、おほぉ……ういぃぃ』
びゅくっ、どびゅるっ。
二人の顔に、牛山はたっぷりと浴びせ終えました。気持ちよさそうに、長い息を吐いています。
どろどろで生臭い精液を顔にかけられて、あげはは調整官の注意を思い出していました。本当に、射精するなんて。あまりに自制のない牛山に、腹の底がぐつぐつと煮えてきます。
鈴口をあれだけ念入りに舐め回されれば、誰だって射精します。けれど、今していたのはチンジェルです。陰茎に唾液を塗るネイルアートなのですから、射精などありえないのです。
「やだ……最悪なんだけど……うぅ」
あげはが、泣きそうな声を漏らしました。
「……ひどいわ」
ラクシュミは、低い声でつぶやきます。肩から前へ垂れた三つ編みの先から、白いものが糸を引いていました。
『き、きもちよかった……ふひひ』
牛山はしばらく余韻に浸っていましたが、やがてのっそりとベッドから立ち上がりました。
「べとべとで……くさいし……」
あげはが、べそをかくように顔を歪めます。
「……っ」
ラクシュミは、悔しそうに唇を噛みました。
二人はよろよろと立ち上がり、壁際まで下がりました。背中が、ひんやりとした壁に当たります。顔にかかった白濁のひどさに、二人とも気分を沈ませていました。
『ふひひっ……ネ、ネイルアートで、おしゃれになっちゃった』
牛山はにやにやしながら近づいてきます。二人の落ち込みなど、気にもしていません。
『ど、どうかな。おしゃれな、僕』
あげはは、仕事を受けたことを少し後悔していました。苛立ちを隠しもせず、牛山を鋭くにらみつけます。
けれど、その苛立ちがどれほどみみっちいものだったか、一瞬で思い知らされたのです。
「……すてき、オタクくん……」
あげはの唇から、ため息のような声がこぼれました。
「……似合って、る……わ」
ラクシュミも、にらんでいたはずの目を、とろりと潤ませます。
『……むひひっ』
にらみつけた先にいるのは、精液をぶっかけた張本人です。それなのに、あげはの胸は一瞬でときめいてしまいました。
ひょろりとした猫背に、ぽこりと出た下腹。冴えないオタクそのものの体です。けれどその牛山が、自分たちの施したネイルアートで、精いっぱい着飾っているのです。
手の指も足の指も、唾液でつやつやに光っています。ふたたび頭をもたげはじめた肉茎も、ちゃんとチンジェルを済ませています。牛山は牛山なりに、身の丈に合った範囲でおしゃれをしていたのでした。
自分たちが仕上げたネイルアートの完成度。おしゃれを頑張る人の姿。
頬が、かっと熱くなります。隣のラクシュミも、胸の前でぎゅっと両手を握っていました。顔の精液を拭うことさえ、二人は忘れていました。
壁を背にした二人へ、牛山は一歩、また一歩と近づいていきます。
眼鏡の奥の目は落ち着きなく泳いでいるのに、口の端だけが、にたりと吊り上がっていました。
『ふひっ……つ、次は、二人の、おまんこにも……ジェル、塗ってあげる』
次回、あげは×ラクシュミ 仕上げに処女を納品
どのヒロインのエロが読みたいですか?
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あげは
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ラクシュミ
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シア
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スカーレット
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