唐突で済まないが、俺はヌマヅの妖精ルビィに森であっていた。
「俺はUFOとかビッグフットとな、幽霊とか妖怪にあって見たかったんだ……」
ルビィはかなり小さく、俺の話を聞いていた。
「そうなんですか……♡よくわかりませんけど」
おもむろにポロンとペニスを出す、ルビィはクンカクンカと匂いを嗅いだ。
「ふとださんのこれ……変な花みたいな……♡」
「嗚呼、そうだぞ……♡」
ペロペロとそれを舐める、妖精にぶっかけ!男の夢が叶う!
ドビュッ♡ビュービュー♡ビュービュー♡
白濁まみれになるルビィ。
「妖精オナホールにするか……♡」
俺はルビィのパンティーをずらす。
「この浮気モノ!」
ヨハネが木の陰から現れた、更にダイヤも現れ……
「ルビィ、付き合う男は選びなさい……!」
「私に会うんじゃなかったの!」
「だからこうしてこの世界に……」
「不倫じゃない!しかも妖精と!」
「スタコラサッサだぜ〜」
俺はノートで現実世界に帰った。
「あーえらい目にあった……」
俺はノートで黒澤ルビィの居場所を探した。
浦の星女学院、放課後。
俺は廊下を歩いていると、家庭科室から小さな声が聞こえてきた。
「うーん……こっちのほうがいいかなぁ……」
中をのぞくと、黒澤ルビィが机に向かっていた。
「何をしているんだ?」
「ピギィッ!?」
ルビィは驚いて椅子から立ち上がった。
「せ、先生!? びっくりしたぁ……」
「悪い、驚かせたな」
机の上には色とりどりの布やリボン、裁縫道具が並んでいた。
「衣装を作っているのか?」
「ううん、これは衣装の飾りを直してるの。ちょっとほつれちゃって……」
「ほう……」
俺は手元をのぞき込んだ。
細かい縫い目が、綺麗に揃っている。
「上手いもんだな」
「えへへ……ありがとう♡」
「曜も衣装を作っていたが、お前も相当な腕前だな」
「曜ちゃんはすごいんだよ! ルビィも、もっと上手になりたくて……」
ルビィは嬉しそうに布を広げた。
「ここのリボンを変えたら、もっと可愛くなると思うの!」
「なるほどな……」
俺には裁縫の知識はほとんどない。
しかし、ルビィが楽しそうに説明する姿を見ていると、こちらまで嬉しくなってくる。
「なあ、ルビィ」
「はい?」
「今度の休み、一緒に手芸用品を見に行かないか?」
「……えっ?」
ルビィの手が止まった。
「せ、先生と……二人で?」
「ああ。デートだ」
「ピ、ピギィッ!?」
ルビィは真っ赤になった。
「で、デートって……ルビィと……?」
「嫌だったか?」
「ち、違うの! 嫌じゃないよ!」
彼女は慌てて首を横に振った。
そして、小さく息を吸った。
「……ルビィ、行きたいです」
「そうか」
「でも……」
「ん?」
「お店、ルビィが選んでもいい?」
「ああ、もちろんだ」
「えへへ……じゃあ、先生に見せたいものがいっぱいあるの♡」
その笑顔を見て、俺は思った。
今回のデートは、彼女に案内してもらうのも悪くないな。
俺は現実世界に戻ると、ノートを確認した。
「むむむ???」
いつの間にか、新しい文章が浮かび上がっていた。
『警告:黒澤ダイヤが近くにいます。彼女の心の中は「あのスケコマシ!」と思っています。ご注意を……』
『警告:津島善子が近くにいます。彼女の心の中は「浮気者!」と思っています。ご注意を……』
「……おいおい」
なんだ、この親切すぎる警告機能は。
いや、親切というより、完全に俺を面白がっているような気がする。
「今度のデートは難関そうだ……」
「何が難関なんですの?」
「うおっ!?」
振り返ると、黒澤ダイヤが立っていた。
腕を組み、にっこりと微笑んでいる。
……目が笑っていない。
「ダ、ダイヤ……いつからそこに?」
「『むむむ???』の辺りからですわ」
最初からじゃないか!
「それで、何が難関なのです?」
「いや、今度の休日に手芸用品を買いに行こうと思ってな……」
「手芸用品?」
「ああ。ルビィと一緒に、Aqoursのお守りを作る予定なんだ」
「……ルビィと?」
ダイヤの眉がぴくりと動いた。
「先生。少々、お話がありますわ」
……来た。
「ま、待て。別にやましいことはないぞ」
「まだ何も申し上げておりませんけれど?」
「…………」
しまった。
そのとき、廊下の向こうから声が聞こえてきた。
「あっ、先生!」
黒澤ルビィだった。
「お姉ちゃんも一緒なんだね!」
「あら、ルビィ」
「先生、今度のお休みのことなんだけど……」
「ルビィ!」
ダイヤが慌てて妹の肩に手を置いた。
「あなた、本当に先生と二人で出かけるつもりなの?」
「う、うん……」
「どうしてお姉ちゃんに相談してくれなかったのです?」
「だって……まだ予定を決めたばかりだもん」
ルビィは少し困ったように笑った。
「それにね、お姉ちゃん」
「何ですの?」
「Aqoursのみんなのお守りを作るんだよ。先生と一緒に」
「……お守り?」
「うん! お姉ちゃんの分も作るから、楽しみにしててね♡」
ダイヤは一瞬、言葉を失った。
「……わ、私の分も?」
「もちろん!」
「そ、そうですの……」
先ほどまで険しかった表情が、ほんの少し緩んだ。
……よし、今なら。
俺はそっとノートを開いた。
『黒澤ダイヤの警戒心が少し和らぎました』
「……本当に便利だな、このノート」
「先生?」
「いや、何でもない」
しかし、その直後。
「へえ……ルビィとデートするんだ?」
背後から聞き覚えのある声がした。
津島善子だった。
「……ヨハネ?」
「ふふん。ずいぶん楽しそうな話をしてるじゃない」
俺はノートに視線を落とした。
『警告:津島善子の嫉妬心が上昇しています』
「……今さら警告するなよ!」
「何の話よ!」
やれやれ。
今度のデートは、出発前から前途多難らしい。
俺は沼津の手芸店にいた。
車で来たが、言うまでもない。ヨハネとダイヤの監視を避けるためである。
ノートもあるので大丈夫だと思うが……。
「先生? 待った?」
「待つよりも待たせる方が大変だろう……」
走れメロスみたいなことを言ってしまった。
黒澤ルビィの私服は、白い丸襟のブラウスに淡いピンクのカーディガン、膝丈のチェック柄フレアスカートだった。
足元は白いソックスに茶色のストラップシューズ。肩には小さなショルダーバッグを掛け、髪には桜色のリボンを結んでいる。
いかにもルビィらしい、可愛らしい服装だった。
「今日はおしゃれしてきたんだな」
「えへへ……♡ ルビィ、このリボン、自分で作ったんだよ」
「ほう、自作なのか」
「うん! お洋服に合わせてみたの」
「なるほど。よく似合ってるよ」
「ありがとう、先生♡」
ルビィは嬉しそうにリボンへ手を添えた。
「それじゃあ、今日はルビィ先生に教えてもらおうかな」
「えっ?」
「手芸については、俺よりルビィのほうが詳しいだろ?」
「えへへ……じゃあ、今日はルビィが案内するね!」
彼女は店の入り口を指さした。
「まずは布を選ぼう! 九人分だから、いっぱい考えなくちゃ!」
「頼りにしてるぞ、ルビィ先生」
「もう、先生ったら……♡」
そう言って笑う彼女の姿は、学校で見せる少し控えめな様子とは違っていた。
どうやら今日は、俺が教わる番らしい。
「針に糸、それぞれのイメージカラーリング似合った布に紐、ややこしいな、家庭科の授業は料理以外全滅だったんだ……」
「針に糸、それぞれのイメージカラーに合った布に紐……ややこしいな。家庭科の授業は料理以外全滅だったんだ……」
俺は手芸店の商品棚を眺めながら、思わずため息をついた。
「えへへ……そんなに難しく考えなくても大丈夫だよ、先生♡」
ルビィは楽しそうに布を手に取った。
「まずはお守りの大きさを決めて、それから布を選ぶの」
「ふむふむ」
「それでね、布の色に合わせて紐を選ぶと、もっと可愛くなるんだよ!」
「なるほど……料理でいうと、食材と調味料の組み合わせみたいなものか?」
「うーん……ちょっと違うかも」
「違うのか……」
「でも、先生の言いたいことは分かるよ♡」
ルビィはくすくす笑った。
「先生は料理が得意なの?」
「ああ、少なくとも裁縫よりはな。包丁なら扱えるが、縫い針はどうも苦手で……」
「じゃあ、今度は先生がルビィに料理を教えてね!」
「おっ、交換授業か」
「うん!」
ルビィは嬉しそうにうなずいた。
「今日はルビィが先生で、今度は先生が先生!」
「……結局、俺は先生のままじゃないか」
「あっ、ほんとだ!」
二人で笑った。
「さて、ルビィ先生。まずは何を買えばいい?」
「えっとね……九人分のお守りを作るなら、少し多めに布を買ったほうがいいと思うの」
「失敗することも考えてか?」
「うん。でも……」
ルビィは俺を見上げて、いたずらっぽく微笑んだ。
「先生の分は、もっと多めに必要かも♡」
「おいおい、そんなに不器用だと思われてるのか?」
「えへへ……だって、さっきから針と糸を見て困ってるんだもん」
……反論できなかった。
「よし。そこまで言うなら、俺も本気を出そう」
「本当?」
「ああ。九人分、全部自分で縫ってやる!」
「えっ!? ぜ、全部!?」
「……無謀だったか?」
「ううん! ルビィも手伝うから、一緒に頑張ろうね♡」
そう言って、ルビィはピンク色の布を俺に差し出した。
「じゃあ、まずはこれから!」
「それは?」
「ルビィのお守り!」
「なるほど。最初の一個はルビィの分か」
「うん!」
彼女は少し照れながら、布を胸元に寄せた。
「先生が初めて作るお守り、ルビィがもらってもいい?」
「もちろんだ」
「えへへ……ありがとう♡」
……さて。
料理なら多少の自信はあるが、裁縫となると話は別だ。
果たして俺は、指を刺さずにお守りを完成させられるのだろうか。
『警告。黒澤ダイヤと津島善子が接近中。現在の心境は、それぞれ「あの浮気者!」と「タラシ!」です。ご注意を……』
「はあー……」
またか。
俺は安物の財布からブラックカードを取り出した。
「先生、そんなボロボロのお財布を使っているの……?」
「ん? ああ、昔から使っているからな」
「でも、先生ってお金持ちなんだよね?」
「まあな」
「だったら、新しいのを買わないの?」
「使えるうちは使う主義なんだ。別に困ってないし」
「そっかぁ……」
ルビィは少し考え込んだ。
「よかったら、ルビィが作りましょうか?」
「財布を?」
「うん! 布のお財布なら作れるよ。先生の好きな色にして……」
「いや、いい。すぐにここを出ないと……」
「えっ?」
俺は購入した手芸用品を抱え、店の出口へ向かった。
「先生、どうしたの?」
「ちょっと急用を思い出してな」
「でも、お買い物は終わったんだよね?」
「ああ。必要なものは全部買った」
「それならいいけど……」
ルビィは首をかしげた。
「変なセンセイ……?」
俺たちは駐車場に向かい、赤いスポーツカーに乗り込んだ。
ギュッと彼女の手を握る。
温かい。
「ピギィッ!?」
ルビィは驚いて俺を見た。
「せ、先生……?」
「……悪い。急いでいたから、少し落ち着きたくてな」
「あ、ううん……」
ルビィは自分の手を見つめた。
「先生の手も、温かいね……♡」
「そうか?」
「うん。さっきまで、すごく慌ててたから……」
「まあ、ちょっと事情があってな」
「……お姉ちゃんのこと?」
「鋭いな」
「えへへ。先生、分かりやすいんだもん」
ルビィは小さく笑った。
「でもね、先生」
「ん?」
「お姉ちゃんは、ちゃんとお話しすれば分かってくれると思うよ」
「……そうだな」
俺は彼女の手をそっと離した。
「ありがとう、ルビィ。少し落ち着いたよ」
「えへへ……よかった♡」
俺はシートベルトを締め、エンジンをかけた。
すると、ノートに新しい文字が浮かんだ。
『警告。黒澤ダイヤが駐車場に到着しました』
「……げっ」
「先生?」
「何でもない!」
「もう、またそれ!」
ルビィの笑い声が車内に響いた。
……どうやら、今日の俺にはノートよりもルビィの笑顔のほうが効くらしい。
俺はエンジンをかける前に、ノートを開いた。
『黒澤ダイヤ、手芸店に到着まで推定二分』
『津島善子、同じく推定三分』
「……危なかった」
「何が?」
「いや、何でもない」
「先生、さっきからそればっかり」
ルビィは頬を少し膨らませた。
「ルビィに隠し事?」
「……実は、ダイヤと善子が俺を探しているらしい」
「お姉ちゃんと善子ちゃんが?」
「ああ」
「だったら、一緒にお守りを作ればいいのに」
「…………」
なるほど。
その発想はなかった。
「先生?」
「いや、ルビィは優しいなと思って」
「えへへ……だって、みんなのお守りなんだもん♡」
俺は苦笑した。
どうやら、追いかけっこをしているのは俺だけらしい。
「それより、先生」
「ん?」
「お財布のこと、やっぱり考えておいてね」
「まだ諦めてなかったのか」
「うん!」
ルビィは楽しそうに笑った。
「先生のお財布、ルビィが作ってみたいんだ」
「……そうか」
高価な財布なら、いくらでも買える。
だが、誰かが俺のために作ってくれる財布というのは、少し違う。
「じゃあ、お守りが完成したら頼もうかな」
「本当!?」
「ああ。ただし、無理はするなよ」
「うん! 頑張るね♡」
そのとき、ノートに新しい文字が浮かんだ。
『警告。黒澤ダイヤが駐車場へ移動を開始しました』
「……おっと」
俺は車を発進させた。
「先生、次はどこに行くの?」
「そうだな……落ち着いて裁縫ができる場所を探そう」
「えへへ。じゃあ、今度こそルビィが先生だね!」
……頼むから、裁縫の授業中くらいは平和であってくれ。
「小腹が減ったなぁ……」
運転しながら、俺は呟いた。
「ルビィもアイスクリームが食べたいなぁ……♡」
「アイスか。何が好きなんだ?」
「チョコミントよりもセンセイ……♡」
「……ん?」
「……あっ!」
ルビィは自分の口を両手で押さえた。
「な、何言ってるんだろ……恥ずかしい……♡」
「ハハハ! 全世界で大ヒットしそうなフレーズだな!」
「も、もう! 笑わないでよぉ……!」
「いやいや、いい言葉だと思うぞ。ただ、『先生』よりも『あなた』のほうが歌詞としてはいいんじゃないか?」
「あなた……?」
「そう。『チョコミントよりもあなた』。どうだ?」
「……!」
ルビィはしばらく考え込んだ。
「なんだか……アイドルの歌みたい!」
「だろう?」
「えへへ……でも、それだと……」
「ん?」
「ルビィが先生のことを好きって言ったの、分からなくなっちゃうね……♡」
「…………」
今度は俺が黙る番だった。
「……ルビィ、意外と大胆だな」
「ピギィッ!? い、今のは忘れてぇ!」
「ハハハ、分かった分かった」
ルビィは真っ赤になって窓の外を向いた。
「……先生のいじわる」
「悪かったよ。お詫びにアイスをおごろう」
「……本当?」
「ああ。好きなのを選んでいいぞ」
「じゃあ……」
ルビィは少し考えてから、にっこり笑った。
「チョコミント!」
「そこはチョコミントなんだな!」
「えへへ……だって、おいしいもん♡」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
……まさか、この何気ないやり取りが、後にとんでもない歌の題名になるとは、このときの俺は知る由もなかった。