Aqours優勝! そしてコーチも失神!
翌日から、そのニュースで持ちきりだった。
だが、俺は思った。
こんな騒ぎも、いつかは思い出話となり、泡のように消えていくのだろう、と。
浦の星女学院の廃校が決まっていることもあり、俺のもとには多くの学校からスクールアイドルの顧問としてのスカウトが舞い込んできた。
中には、あのA-RISEからの誘いまであった。
どうやらA-RISEは襲名制になっているらしい。
……変わっているなぁ。
しかし、俺はすべて断った。
食指が動かなかったのだ。
もともと、アルバイト時代には嫌なことを我慢して、ストレスを溜め込んでいた。
だからこそ、自分の描く未来像にない仕事を、わざわざ引き受けたくはなかった。
無論、仕事を「ガキの使い」だと思っているわけではない。
ただ、本当にやりたくなかったのだ。
……ある種の燃え尽き症候群なのかもしれない。
それでも、Aqoursの3年生組の卒業式には出席した。
思えば、高海千歌と初めて会った頃、彼女のそばには3年生の松浦果南がいた。
……もしかしたら、彼女のおっぱいにも呼ばれたのかもしれない。
へへへ。
それはさておき。
卒業式で彼女たちの涙を見たとき、俺は決心した。
旅に出よう、と。
まずは、久しぶりに両親の墓参りをした。
μ'sやAqoursとの出会い。
エロノートという不思議な存在。
そして、俺自身が経験してきた、信じられないような出来事の数々。
そのすべてを、両親に報告した。
……父さんと母さんは、いったい何と答えただろうか?
それから俺は、彼女たちが思い出話で語っていた場所を訪ねて回った。
かつての貧乏旅行とは違う。
関西や九州、そして今まで行ったことのなかった東北や北海道、沖縄にも足を延ばした。
山海の珍味も食べた。
……美味かった。
アメリカのニューヨーク、ロシアのモスクワ、中華人民共和国の香港、台湾、韓国のソウル、エジプトのカイロ、メキシコ、
ウクライナのキエフ、イスラエルのエルサイム……
流石に環境がかわりすぎて、非日常が日常になってしまう恐怖を感じた、したがって、日本に戻ることにした。
そんなある日のことである。
エロノートを持ちながら、とある土地、とあるどこにでもある居酒屋で晩御飯を食べようとした。
「腹減ったなぁ〜とりあえずビールとトマト……」
俺は横にいる席の男を見た、ビールとトマトの定番のあとに、そいつと同じものを注文しようとしたのだ。
「エロノート……?」
間違いない……見間違えるはずもない……色は違うが、アレはエロノート……!
男も凝視する、俺の持っているエロノートに凝視している!
「済まない、相席いいか?」
「ああ、かまわないぞ」
店員にも了承を取った。
ビールとトマトがやってきた。
「朝下レフトダーク、通称朝下ふとだだ」
「肝織田豚男です……」(なんちゅー名前だ……)
その前から俺たちは話をしていた。
どこで、エロノートを拾ったのか、その後どうかしたのか……
興味深いのは知らない女性も多いが、高坂穂乃果の名前が出た時だ、まさか
「寝取られやんけ〜」と思ったが……
彼も驚いて、お互いのエロノートの高坂穂乃果のページを見せあいっこした。
「「制服が違う……!!」」
話し合ってみると、イベントや日本や世界を揺るがした事件などが違う……
「「パラレルワールド……!!」」
「なるほど……」
よくよく考えれば俺一人で、はるか未来の少子化問題に対応できるとは思えない。
しかし、エロノートの持ち主にそれまで出会ったことがない……
考えられるのは並行世界での活動だ。
一体何人エロノートの持ち主がいるのか?
おそらくは百、千、いやもっとあるかもしれない……
それらと出会う確率が少ないのは、エロノートのルールにも書かれているのだろうがルールが膨大すぎて確認するのも面倒くさい、裏ルールかもしれない。
「じゃあ、またな……いやもうあうこともないかもしれない……」
俺はそう言って去った。
その後、俺は豪華ホテルでエロノートで真剣に書き始めた。
『俺専用のハーレム島、表向きは少子化や科学や医学の研究、映画館や美術館、劇場などの一大人工島を作る……俺の一番嫌な思い出の場所に……!』
翌日、俺は久しぶりに自宅に帰った、すると自宅に政府の人間から電話がかかった。政府の許認可や工事、環境への影響までエロノートが改変した!
また銀行の預金通帳を見るともともと金持ち立ったが更に莫大なお金が入っていた。
銀行の人は泡吹いて倒れたであろう。
そして魔法の杖を振るかのようにその島、
「レフトダーク島」が瀬戸内海に作られた!!!
一方、高海千歌たち……Aqoursは……
千歌は旅館の手伝いをその頃しており、
昼休みに、テレビを見ながらみかんを食べていた。
「続いてのニュースです……H県の瀬戸内海に、少子化対策などの巨大な人工島が作られる計画が政府から発表されました……」
「朝下先生……!」
テレビの画面を見て、千歌は驚いた。
スマートフォンのLINEに次々連絡がはいる、彼女のそれについている、ストラップの彼にもらったお守りが輝きだした!
「みんな!学校に来て!」
漸くなれた新しい学校にみんなついた、元3年生組も松浦果南以外、ついた。
「これ……やっぱり先生の……!」
千歌は言った。
「未来を通り越してファンタジーずら……!SFずら!」
「リトルデーモン……ダーリンは本当にサタンだったの〜!」
津島善子が叫ぶ。
「サタンならとっくにみんな魂、奪われているズラ!ただの人間のはずズラ!」
「……いいえ……ある意味、朝下先生に心を奪われているのでは?」
小原鞠莉が言う。
「人間として、ブッブー!なところは多いですが……」
はーっとため息をつきながら、黒澤ダイヤは言う。
「う、うん……お姉ちゃんの言いたいこともわかる、テレビでいうダメンズ……っていうのかな……」
黒澤ルビィは両手の人差し指をツンツンしながら言う。
「……ルビィ、変なテレビを見ていると、受験に失敗しますわよ……」
「ピギィ!?」
「ねぇ、みんな、お守り空けない?」
渡辺曜が言う、一部は頷くが。
「マルは開けたくない……なんか福が逃げそうだから……」
桜内梨子は、
「気持ちは分かるわ……!でも……あの島に行くにはこれがどうも必要に思えてくる……」
冷静に分析した。
千歌は恐る恐る手を挙げた。
「実は……開けようとしたんだけど、何故か開かなかった……!」
「それはブッブーですわ!」
津島善子は
「ガーン、リトルデーモン、ダーリンが呪いのアイテムを……!?」
「多分9人全員揃わないと開かないズラ!パズルみたいなもんズラ!」
全員がうなずく。
「なんで果南は来ないのかしら……?」
「まさか!ダーリンを略奪愛、寝取られですわ〜!」
「寝てから言うズラ……」
「寝てるわよ!」
(あっ言うんだ……という一同)
全員のスマホにLINEが届く。
「みんな!港に来て!」
「みんな、見て! 手紙があるよ!」
千歌が、テーブルの上に置かれていた『閃光のハサウェイ』全3巻と、一通の手紙を手に取った。
「そういえば、果南ちゃん。どうして先にここにいたの?」
「朝起きたら、知らない男の人が来てね。このクルーザーの鍵を渡されたの。『Aqoursの9人でお守りを開いて、島に来てほしい』って……。たぶん、私がAqoursの中で唯一、船の免許を持っているからだと思う」
「じゃあ、手紙を読むね……」
千歌は封筒から便箋を取り出した。
『千歌。どうして『閃光のハサウェイ』なんて暗い話を置いたんだ、と思っているだろう』
「……うん」
千歌は思わず返事をした。
『確かに暗い物語だ。だが、俺が人生で最も駄目だった時期、何度も読み返して救われた作品でもある』
千歌は少し驚いた顔をしたが、そのまま読み続けた。
『俺は受験に失敗して、一浪した。両親に勧められて、瀬戸内海にある、不登校の生徒を受け入れる学校に通うことになった』
「……まさか」
梨子が小さくつぶやいた。
『だが、それが失敗だった。高校を卒業した気弱な俺と、中学校にもほとんど通えていなかった人間たちが出会った結果、悲惨ないじめが始まった』
千歌の声が次第に小さくなる。
『不良のような男に顔を殴られ、鼻の骨を折られた。財布から一万円以上を奪われたこともある』
「そんな……」
ルビィが口元を押さえた。
『心が折れかけた俺を支えてくれたのが、ハサウェイだった。彼は俺以上に悲惨な運命を背負っていた。それでも、彼の苦悩を読んでいる間は、一人じゃないと思えた』
誰も口を挟まなかった。
『俺は猛勉強して、次の受験には合格した。だが、そこでもいじめられた』
『そんな俺を、今度はとあるアイドルが救ってくれた』
「……アイドル?」
曜がつぶやいた。
『その後も職業を転々とした。あとは、みんなに語ったとおりだ』
梨子が顔を伏せた。
「そういえば、先生……お父さんを生活習慣病で亡くして、お母さんも亡くして……。遺産相続で兄弟姉妹と争ったって、話していたわね……」
梨子が悲しそうにつぶやいた。
千歌は再び手紙に目を落とした。
『あの頃の俺は、人生の中でも本当に無駄な時間を過ごしたと思っていた』
『だが、君たちAqoursと出会って、考えが少し変わった』
『人生に無駄な時間なんてなかった。いつか、そう思えるようになりたい』
『だからこそ、俺はあの瀬戸内海に人工島を作った』
『かつて俺を苦しめた場所を、今度は誰かが笑顔になれる場所に変えたいんだ』
『俺の過去は変えられない。でも、その場所の未来なら変えられる』
『そして、いつの日か、胸を張って言いたい』
『俺の人生も、ちゃんと輝いていたんだ、と』
千歌はボロボロと泣いていた、梨子に机にあるティッシュを差し出す。
追伸、Aqoursのみんなへ。
高海千歌ちゃんへ。
君と出会わなかったら、俺はもう一度スクールアイドルの顧問をやろうとは思わなかっただろう。
君は普通の女の子だと言っていたけど、普通の女の子があんな奇跡を起こせるものか。
君が探していた輝きは、最初から君の中にあったんだよ。
それと、みかんの食べ過ぎには注意しなさい。手まで黄色くなるぞ。
桜内梨子ちゃんへ。
君のピアノは、俺の心を何度も癒やしてくれた。
音楽は不思議だな。言葉にできない気持ちまで伝えてくれるんだから。
これからも、君だけの音楽を奏でてほしい。
それと、俺のことを題材にした曲を書くなら、できれば悲劇ではなく喜劇にしてくれ。
俺の人生、十分に悲劇をやったからな。
松浦果南ちゃんへ。
海を愛する君には、今回の船旅を任せたい。
君が海に潜って見てきた世界を、今度は俺にも教えてほしい。
君の強さも優しさも、俺はよく知っているつもりだ。
それと、ハグはほどほどに頼む。
君の力で抱き締められると、俺の背骨が心配になる。
黒澤ダイヤちゃんへ。
君には何度叱られたか分からないな。
だが、君の厳しさは、いつだってAqoursを大切に思う気持ちから生まれていた。
そんな君を、俺は尊敬している。
これからも自分に厳しく、他人には優しい君でいてほしい。
ただし、俺への「ブッブー!」は少し減らしてくれるとありがたい。
渡辺曜ちゃんへ。
君は何でも器用にこなすけれど、時々、自分の気持ちを後回しにしてしまうところがある。
もっと自分の願いを大切にしていいんだよ。
海でも陸でも、君ならきっと素晴らしい景色を見つけられる。
それと、俺のスポーツカーを運転したがっていたけど、まずは安全運転からな。
船の操縦と車の運転は別物だから。
津島善子ちゃんへ。もとい、ヨハネへ。
君は自分を堕天使だと言っていたな。
だが、俺には君が誰よりも人間らしく見えたよ。
失敗して、落ち込んで、それでも自分の好きなものを諦めない。
そんな君が、俺は大好きだ。
いつか本当に魔法が使えるようになったら、俺にも見せてくれ。
……ただし、俺をカエルに変えるのは禁止だぞ。
国木田花丸ちゃんへ。
君は本を読むのが好きだったな。
本には、まだ見ぬ世界へ連れていってくれる力がある。
俺も本に救われた人間だから、その気持ちはよく分かるよ。
これからも、たくさんの物語に出会ってほしい。
そして、いつか君自身の物語も書いてみてくれ。
ただし、俺を登場させるなら、せめて美男子にしてほしい。
小原鞠莉ちゃんへ。
君の明るさと行動力には、何度も驚かされた。
でも、君が本当にすごいのは、仲間のためなら自分の立場も財産も惜しまないところだと思う。
君のおかげで、俺もお金の使い方を少し考えるようになったよ。
……その結果が人工島だから、説得力はないかもしれないが。
今度、島のホテルの経営について相談に乗ってくれ。
黒澤ルビィちゃんへ。
最初は人前で話すのも苦手だった君が、大勢の観客の前で堂々と歌っていた。
その姿を見たとき、俺は本当に嬉しかった。
勇気というのは、怖くなくなることじゃない。
怖くても、一歩踏み出せることなんだ。
これからも、その優しい心を忘れないでほしい。
それと、困ったときは遠慮せずに周りを頼りなさい。
お姉ちゃんだけでなく、俺もいるんだから。
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最後に、9人全員へ。
俺は君たちに輝きを教えたつもりだった。
でも、本当は逆だったのかもしれない。
君たちが笑い、泣き、悩み、それでも前へ進む姿を見て、俺自身が何度も救われた。
ありがとう、Aqours。
君たちの優勝は、俺にとっても一生の宝物だ。
浦の星女学院がなくなっても、Aqoursとして過ごした時間は消えない。
そして、俺たちの物語も、まだ終わりじゃない。
レフトダーク島で待っている。
今度は俺が、君たちを新しい世界へ案内する番だ。
追伸の追伸。
船酔いには気をつけろよ。
特に千歌ちゃん、みかんを食べ過ぎた状態で船に乗るんじゃないぞ。
朝下レフトダークより。
「ねぇ、みんな! これ、私たちの新しい衣装みたいだよ!」
花丸が船内に置かれた段ボール箱を見つけた。
中には、Aqoursの9人それぞれの名前が書かれた衣装が入っていた。
「先生、こんなものまで用意してくれたんだ……!」
千歌が嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃあ、みんな! 出発するよ!」
果南が操縦席に向かう。
「出発進行、ヨーソロー!」
曜の元気な掛け声が響いた。
こうして、Aqoursの9人を乗せたクルーザーは、レフトダーク島へと向かった!
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「あー、案外早く着いたね……」
千歌が船から降りながら言った。
目の前には、見たこともないような光景が広がっていた。
海に浮かぶ巨大な人工島。
整備された港には何隻もの船が停泊し、その奥には高層ビルが立ち並んでいる。
「レフトダーク島……未来ずら〜!」
花丸が目を輝かせた。
「まあ……ホテルオハラよりも大きいビルまであるなんて……」
鞠莉も驚きを隠せなかった。
島の職員が近づき、クルーザーをロープで岸壁に固定した。
「まるで魔法ね……。こんなものを作っちゃうなんて……」
果南が感心したようにつぶやく。
「いいえ、SFですよ!」
花丸が胸を張った。
「それより、私のリトルデーモンはどこなのよ〜!?」
善子が辺りを見回した。
「あの中央にある、ものすごく大きなビルに行ってみようよ!」
ルビィが指差した。
「本当にすごいところに来ちゃったね……。あのビル、百階くらいあるんじゃない?」
梨子が高層ビルを見上げる。
「それに、まだ建設中の建物も多いですわね……」
ダイヤの言うとおり、遠くでは巨大なクレーンが何本も動いていた。
島は、今まさに成長している最中だった。
「フハハハハハハハハハ!!!ようこそ!!!Aqoursの諸君!!!」
火薬が破裂する音がする、業者に大金を払って見たが今の俺にははした金だ!
そして俺は漆黒のマントをはばたせながら登場する。
「リトルデーモン!」
目をキラキラさせながら津島善子が両手を合わせる。
「まるで悪の大幹部ずら!」
「マル笑っちゃう……」必死に笑いを堪らえようとする花丸。
「君達Aqoursには開島式のイベントに参加してもらいたい!」
俺は宣言する。
「それは大役ですわね……」
とダイヤ。
「私達に……?武者震いがしてきました……」
「準備了解だよ!」
と曜。
「専用の曲も作らないと……」
「負けられない……!私頑張ります!」
「それでこそ!高海千歌ね!噂には聞いていたわ!」
どこからか声がする!
そして俺の周りに9人が地面から現れジャンプする!
「あーっ!あなたたちは!」
「「「「「「「「「μ's!!!」」」」」」」」」
「そう、朝下レフトダーク先生……もとい会長のために、スケジュールをあけたわ!」
「会長!?」
「そう、この星の未来を救うために会社を作った!その名も朝下株式会社!」
「なにそれそのまんまじゃない!意味わかんない!」と西木野真姫。
「ウフフ、うち社長とかの愛人になるの夢やったんや……!」と東條希。
「あーっ!抜け駆けは許さない!」と矢澤にこ。
「お披露目は1週間後!シャル・ウィ・ダンス!みんなついてこい!」
「うん!」とみんなが言った。
闇は光を求めそれを手に入れた!
俺達は輝き続ける!
俺達の伝説はここからだ!(とりあえず完結)