TSしたボクの事務的奉仕が魔王軍で評価されすぎている 作:ぷに凝
この世界に転生する以前の日本では、なにかとコンプライアンスやらセクハラの問題が取り沙汰されていた。
尻を触ったり、性的な話題を振るなんてもっての外。恋愛の話をするだけで顔を顰められるなんてこともしょっちゅうだった。
だからこそ、魔族としてこの世界に生まれ、魔王軍に入隊した時は心底面食らったものだ。
「うっ……! メルアン、口に出すぞっ、受け止めろ……!」
この世界では、全くの逆。
性的奉仕こそ、女が生きていくための1番の道なのだから。
ボクは書類を整理しながら無表情で口を開け、目の前で扱かれる黒ずんだペニスの前に顔を近づけた。
びゅっ! びゅるっ! びゅるるるっ!!!
「メルアンっ、いいぞっ……! 全部受け止めろ……!」
「はい、ブルタン様」
ペニスから大量の白濁液が吹き出して、ボクの口内のみならず顔全体を熱く汚していく。
オーク軍軍団長のブルタン様は、口を開けさせた上で顔に射精するのがお好きだ。性欲旺盛なオークなので、射精量も凄まじい。
特にブルタン様はボクに射精する時、特段精液が濃くなるそうだ。そんな情報知りたくなかった。
「ふぅ……!! よし、いい子だメルアン。じゃあ俺様のちんぽを掃除しろ……」
「はい、ブルタン様」
ひとしきり射精し終わると、ブルタン様は決まってペニスのお掃除を要請する。
もちろん、お掃除とはお口によるものだ。
ボクはブルタン様のペニスに吸い付き、じゅっぽじゅっぽとできるだけ下品な音を立てながら竿全体を舐めまわした。
「おぉっ……! メルアン、いいぞっ……! 最高の女だお前は……!!」
下品なフェラチオも、舌で舐めまわされるのも、吸い付いて顔が歪むのも、全部ブルタン様の趣味に合わせたもの。
こういう風に奉仕すると、ブルタン様は大層喜ばれる。
「俺の子を孕ませてやる……っ、妊娠しろ、メルアン……!!」
喜ぶのはいいんだけど、頭を押さえつけながら“妊娠しろ”って囁くのはやめてほしい。
フェラで妊娠するわけないし、ちょっと息苦しい。精液の匂いや雄臭さにはもう慣れきってしまったので何も感じないけど、気道を塞がれたらえづいてしまう。
それだけ興奮してる証ではあるんだけど。
やがて、尿道に残った僅かな精液すら吸い取って、お掃除を終えるとちゅぽんとボクの口からペニスが離れた。
磨かれて、黒光りするペニスはまだギンギンにそそり立っていた。
「……メルアン。今から寝室に行くぞ。お前のことを抱き潰してやらないと気が収まらな……」
「申し訳ありません、ブルタン様。この後の仕事がありますので、私はこれで」
お掃除フェラが終わった後、ボクを危険な眼光で睨め付けるブルタン様にそう言って頭を下げた後、指をパチンと鳴らして立ち上がる。
指の音に合わせてボクの顔と体、机の上の書類までも汚していた大量の白濁は消え去り、さらに乱れていた書類の山がピシッと整えられた。
掃除魔法と整理魔法。ボクがまともに使える数少ない魔術だ。
ごくんっ、と口の中の精液を飲み下すとそれをブルタン様は血走った目で話ならしながら見つめる。
掃除魔法は汚れを消し去る魔法ではなく、移動させる魔法だ。
ゴミ箱などに移動させては不敬に当たるし、バレたら後で酷い目に遭う(1敗)。なので、口の中に移動させてごっくんするのが1番の処理方法だ。
ブルタン様はこの処理方法すらも気に入っているらしく、多少萎えたはずのペニスがまたギンっと反り立ったのが見えたが、足早にその場で退散した。
あそこでブルタン様の誘いを断りきれずにいると、ボクは寝室に連行されて朝まで出ることができなくなる。
翌日の業務に支障が出るレベルでブルタン様との行為は激しいし、何より今日の分の仕事がまだ終わっていないのでキリのいいところで切り上げて逃げ回るしかないのだ。
その分の皺寄せは次回の奉仕に向かうので、毎回ものすごい量の欲望を受け止めなければならないのだが。
ブルタン様に気に入られてしまった以上は仕方のないこととして、ボクは受け入れていた。
「ふぅ……」
まだ口内に残るねばついた精液の感触を飲み下しながら、ボクは廊下に備え付けられた鏡に映る自分の姿を見た。
白い長髪に湾曲した悪魔ヅノ。童顔気味な顔立ちにピッチリと着込んだスーツと尻から伸びる矢印状の細い尻尾。
それが今のボクの姿で……。
“通算性奉仕実績No.1”の成績を誇り。
“男殺しのメルアン”の異名を欲しいままにする女悪魔だ。
「……」
不服すぎるだろ。
*
魔王軍における女魔族の出世街道の1番の近道は、男魔族への性的奉仕にある。
別に女性蔑視的な価値観があるからそうなっているというわけではなく、それが最も効率的に組織を回すための方法だからだ。
むしろ魔王軍では女性は重宝されている。そもそも数が少ないし、屈強な魔王軍の男たちの相手を過不足なく務められる女なんてそうはいない。
一晩中抱かれても潰されない体力を持つというだけで、将来は約束されているようなものだ。
まぁ、人間たちは魔王軍のこの風習を唾棄し、“前時代的で野蛮な魔王軍の実態”として喧伝しているようだが。
その環境に適応できる者にとっては、特に問題ではない。
「あらぁ♡ メルちゃんじゃなぁ〜い♡ ブルタンの相手はもう終わったのぉ?」
「リリィ様」
適応できる者、というのはメルアンの目の前にいる彼女のような者だ。
下着同然で局部と胸以外を隠していない、ほぼ紐のような衣装を身に纏って蠱惑的な笑みを浮かべる女悪魔。
サキュバス軍のリリィ様だ。
「ブルタン様には寝室に誘われたのですが、明日の業務に差し支えると判断して、ご容赦していただきました」
「それが良いと思うわぁ。この前の断りきれなかったメルちゃん、足ガックガクで大変だったものねぇ♡」
リリィ様のにんまりとした笑みにボクは無表情で答えない。
その時のことを深掘られるのは恥ずかしいからだ。
「それにしても凄いわよねぇ、メルちゃん。あのブルタンが一人の女の子に飽きもせず絡み続けるなんて、今までなかったのよぉ? シヴァ様を相手にした時ですら、あんなに興奮しないのよぉ?」
「恐れ多いことです」
「謙虚ねぇ? メルちゃん。やっぱりその辺りが男の琴線に触れるのかしら?」
サキュバスであるリリィ様に、性に関することで褒めてもらえるというのは、この魔王軍では大変名誉なことだ。
だけど、ボク自身は全然そういう方法で褒められようと思っていなかったので、とても複雑な気分だ。
むしろ、性奉仕とは距離を置こうとしていた。
だって、ボクは前世で男だから。
この世界では女に生まれてしまったが、ボクの内にはまだ男が残ってる。
だから、魔王軍に入隊した時も当初は誰もやろうとしない事務仕事で結果を残そうとしていたのだ。
大雑把な者が多い魔王軍では、それが評価されづらい仕事ではあることはわかっていたが、女として男に媚びるよりは100倍マシだと思っていた。
だからこそ、奉仕を求められた時は角が立たないように受け入れつつ、出来るだけ事務的に処理して興味を引かないようにしていた、はずだった。
「メルアン、その……今日も、頼めるか?」
「……」
それが今では、どこへ行っても性奉仕を求められる。
男たちはボクの顔を見た途端、股間を大きくしてしまう。
軍の中で1番の堅物で、“鉄の男”とまで表されるミノタウロス軍のバッファ軍団長でさえも。
何故かボクが部屋に訪れると、決まってご奉仕を所望されるのだ。
「……下着を脱いでください、バッファ様」
「あ、あぁ。すまないな……」
ボクは自分の倍ほどある身長の男に跪き、腕ほどの太さがあるペニスを前にして表情に出さず嘆息した。
本当に、どうしてこうなってしまったのか。