TSしたボクの事務的ご奉仕が魔王軍で評価されすぎている 作:ぷに凝
手コキというのは、これで案外事務仕事の天敵といえる。
「い、いいぞメルアン……上手だ……」
顔のすぐ横でぐちゅぐちゅと水音を立てながら、先端が泡立っていくペニス。
ボクは左手で玉袋を揉みながら、右手の人差し指と親指で輪っかを作り、ちゅこちゅことペニスの先端を擦っていた。
そう、手コキの厄介な所とはここだ。
最低でも竿を扱くのに片手が埋まるし、目上の方へ行うなら両手を使って玉袋も丁寧にもてなさなければならない。
特にオーガ軍団の軍団長であるシュラ様にするのなら、目線も合わせず適当に済ませるなどもっての外。
じぃ〜っと目線を合わせながら、快楽と気恥ずかしさで赤くなっていく顔を冷たい目で見つめると、シュラ様はお喜びになる。
普段は軍団長としてしっかりとした姿を見せなければいけない分、情けない姿を見られることに興奮する性癖を持っているようだ。
そういった少々アブノーマルなプレイを要求するの、実はハードルが高い。
魔王軍の女たちは横の繋がりが強く、“誰々にどういうプレイを要求された”という話をするのが一種のステータスになってしまっているからだ。
男たちの間でもそれは周知の事実であり、男たちは自分の性癖が露見することを恐れて、思うようなプレイが出来ずにいた。
その点、ボクはそもそも魔王軍の他の女たちと交流することが少ない。プレイ内容が露見するリスクが低いのだ。
そもそもボクは、進んで他人とそういう話をしたいとは思わないし。
「出るぞっ、メルアンっ!!」
「はい。いっぱいお射精なさってください。シュラ様」
ペニスがビクビクっと震え、暴れ出し始めると同時にボクはペニスを口に含んだ。
口を窄めながら喉奥までストロークして、口全体でペニスを搾り取るような動きをする。
「イック……っ!」
喉の奥でかっと焼けるような熱さの白濁が迸り、気道を圧迫する。
むせ返るような雄臭が鼻の奥に広がるが、ボクは嫌な顔一つせず、じ〜っと痙攣しながら口の端から涎を垂らすシュラ様の目を見つめ続けた。
「あぁ……メルアン……気持ちいいぞ……」
「そふぇふぁよふぁふぁふぁふぇふ」
口の中で白濁を受け止めるボクの頭を優しく撫でるシュラ様。オーガ特有のゴツゴツとした肌は少し痛いが、手つきが優しいのでそこまで嫌ではない。
ただ、問題はもう一つ。
「メルアンっ、こっちも出るぞ!」
「はい、カムイ様」
ボクの背後から、苦しそうな声と同時にぐちゅぐちゅと激しくなっていく水音。
ボクは結んだ自分の髪を避け、首筋……うなじを露出させた。
「あぁ……美しい……!」
その瞬間、首筋にぱたぱたと降りかかる熱い粘膜の感触。
露出したうなじ目掛けて射精されたという実感が、首から垂れてくる液体の感触で嫌でもわかる。
「……カムイ。何度も言うが、いくらメルアンが何も言わないからって、それはどうかと思うぞ……」
「ふぅ……お前が言えたことではないだろう、シュラ。お互い様だ」
前はシュラ様に、後ろはもう一人の軍団長カムイ様に。
“赤鬼のシュラ”と“青鬼のカムイ”。双璧と称される二人の青年による欲望を顔の前と後ろで受けて、ボクはくらくらするような精液の匂いに息を整えた。
汚れを魔術で消しながら、ボクは何故こうも特殊性癖の相手をさせられるのだろうと、憂鬱な気分になった。
*
言っておくが、ボクはエッチなことなんて本当はしたくないのだ。
当たり前だろう。誰が好き好んで男のモノを咥えたり、手で扱いたり、足で踏んで気持ち悪い液体を吐き出させたいと思うのか。
ボクは普通に女の子が好きだし、男に愛を囁かれてもこれっぽっちも嬉しくない。
ボクは至って普通の、ノーマルな趣向を持つ男性なのだ。
なので。
「メルアン……君はまるで荒地に咲く一輪の花だ。美しく、気高く、それでいて儚い。君ほど美しい女性に、私は会ったことがない」
こういうことを言われても、全然嬉しいとか感じないのだ。
女性にとっては心を溶かすであろう彼の甘いマスクや言葉も、ボクにとっては“ツラいいな”程度の感想で済んでしまう。
というか、耳元で囁くならまずはこの魔法による拘束を外して欲しい。
ダークエルフ軍軍団長のローリエ様。
「好きだよ、メルアン……」
“好きならこの拘束を解いていただきたいのですが”。
と、言葉に出そうとしても口が動かない。顔含めて魔法によりガチガチに固められてしまっているからだ。
そんな状況で、胸周辺と……あとは股間部分だけ拘束されず、ボクは後ろからローリエ様の甘い愛撫を胸で受け止めていた。
ちなみにローリエ様の声と顔は女性が好みそうなものだが、これも魔法により変えているものだ。
詳しくは知らないが、以前他の女性にこっぴどく振られてから、彼はこうして魔法で見目を変えるようになさったのだとか。
同時に、酷い女性嫌いになられたとも聞いていたが、ボクのこの現状を鑑みるにあれはガセだったんだろうか。
いや、流石に拘束魔法で身動きが取れない相手に無理やり……なんてことしてたら、アンテナの低いボクにも伝わりそうなもの。
ぎこちない手の動きや、固められていないにも関わらず秘所が触れられていないあたり、こういうことをするのは初めてなのかもしれない。
いずれにせよ、ボクから出来ることは何もなかったのだが。
「……全然、興奮してるように見えないな」
数十分ほど愛撫を続けたところで、ローリエ様はそう言って動きを止めてしまわれた。
うん、まぁ動けない状態で部屋に連れ込まれて、かれこれ数十分、揉まれたけど。
なんというか……慣れていらっしゃらない感じがしたので。
「!? ま、待て。まさか……意識があるのか……!?」
そんな感想を抱くと、ローリエ様はボクの様子から何かを感じ取ったのか、突然狼狽なさった。
もしかして、この魔法。本来は意識も止めるはずのものだったのだろうか。
だからローリエ様はボクにバレていないと思って今まで胸を揉んでいた?
……そうなると、耳元で愛の言葉を囁き続けていたのが謎だけど。
「ち、ちがっ! メルアン、これは僕の意思じゃ……!? こ、こんなこと本当はしたくも……ああ、クソッ!!」
とにかく、想定外のことが起きたローリエ様の取り乱しようは凄かった。
一瞬、ボクは殺されちゃうんじゃないかとまで思うほどすごい目で睨まれたりもして。
死んでしまうと、今までの苦労が報われないなぁなんてことを思いつつ。
「……軽蔑してるんだろう。知っているぞ。あれだけ愛し合った彼女もそう。最後にはそうなったんだ。お前も他の女と同じだ」
最終的に、ローリエ様は魔法による変身を解除して。
「好きなだけ喚き散らすといいさ」
ボクの拘束が解かれたのだった。
「ありがとうございます、ローリエ様」
ベッドに座りながら、ボクの表情を見たくなさそうに項垂れるローリエ様。
そんな彼は、先までの女を籠絡するためのものではなく、本来の……どこか陰気な雰囲気を纏った青年に戻っていたのだった。
そんな彼に、まずボクはぺこりと頭を下げた。
「ハッ。心にもないことを言うんだな。動けない間、心の中で僕を罵倒していたんだろう? そう思われて当然の所業だからな」
自嘲気味に笑うローリエ様。
そんな彼に、ボクはなんと言うべきか迷って。
「慣れていらっしゃらない、とは思いました」
「……下手くそだったんだろう? わかってる。お前の反応でそんなことは……」
「いいえ」
どちらかと言うと。
「とても優しい手つきでしたので……どこか、遠慮されているように感じたと言いますか」
「……」
「そうなると、ボクの方もあまり感じづらくなってしまうのです」
相手が気持ち良くなっていない状態で、自分だけ気持ちを高ぶらせることは難しい。
なので。
「──拘束を解いた今なら、遠慮なく出来ますか?」
ボクはそんな風に提案して。
ローリエ様が目を見開く。
「……あ、ああ」
しばしのフリーズののち、ボクは頷いたローリエ様の膝上にちょこんと座った。
胸を揉むだけだというのに、ローリエ様はひどく緊張している様子だった。
なので、そんな彼と手のひらを重ね合わせながら。
「あと、ローリエ様」
と、ボクは彼の耳元に囁いた。
「ボクは、そちらのお顔の方が好きですよ」
親しみ深いし。
転生前のボクと似た雰囲気だ。
「……」
ローリエ様はその言葉に反応を返すことはなく。
ただ無言で、私の胸に手を伸ばした。
……その後、しばらくボクとローリエ様は二人で過ごし。
ローリエ様は、耳がものすごく弱いということがわかった。