武者修行中に助けた青年が世界的大富豪、九鬼財閥の御曹司だったらしい。そのまま、あれよあれよという間に執事やメイドに連行されて。飛行機に乗って日本に帰国した。
「失礼致します。私、九鬼従者部隊序列3位クラウディオと申します」
「俺は不破錬(ふわれん)です」
「これはこれは…ご丁寧にありがとうございます」
この老執事、俺が今までに出会った中でも2番目に強い。正直、勝てるか微妙だな
「不破様、紅茶でも如何ですか?」
「いいんですか?」
「簡単な事で御座います」
優雅に紅茶をカップに注ぎながらも隙がない、微かな音から恐らく暗器や鋼線を身に付けている。
「主がいらっしゃるまで、暫しお寛ぎ下さいませ」
「どうも」
クラウディオの他に付近に5人は居る。実力的にはかなり劣るが強い、俺を監視しているのだろう
体感的に30分くらいだろうか、クラウディオがドアを開けると長身の銀髪の男と学生服を身に纏った女、銀髪の和服美人が入ってきた。
「よお~!おめぇが英雄を助けてくれたってヤツか?」
武人ではないが凄まじい気を発している。恐らく九鬼家の総帥だろうか
「は、はい。不破錬と申します」
「ん。かてぇかてぇ!息子の命の恩人だ。無礼講ってもんよ!なぁ局、揚羽」
豪快に笑いながら眼は笑っていない、傍に居た内の和服美人が1歩前に出た
「帝様、そうは言っても九鬼の当主相手に普通は無礼は出来ませんよ。アナタが英雄を救ってくれたのね。我は九鬼局、礼を言います」
「いえ、たまたま居合わせた中で、人として当然の行動をしただけです」
そう答えると横にいた最後の1人がズイっと俺の顔を覗き込んできた。
「うむ!素晴らしい精神よ。我の弟を助けた事といい、見上げた男よ。九鬼、揚羽である!」
思い返せば、この中で唯一。武人としての気当たりを直接叩き込んで来たのが揚羽様だった。そして俺はうっかり気当たり返しをやってしまった
「っ…と…」
「おい、大丈夫か揚羽?珍しいな、立ちくらみか?」
「大丈夫なのですか?」
気当たりを返された場合、その強さによっては相手を気絶させてしまう事もある。
「大丈夫だ父上、母上。不破錬、お前…我の気を跳ね返すとは…武の心得があるようだな」
「……大変、失礼しました!」
クラウディオが俺を制圧出来るように背後に移動している、主に危害を加えたようなものだ仕方ないが
「よい!しかし気に入ったぞ…お前、暫く此処に泊まって行け。そして我と話をしよう」
「お?コイツが気に入ったか。いいぜ!揚羽もそういう年頃かぁ」
「そうですね。英雄も明日には帰りますから、不破さん泊まって行ってくださいね」
「有難く。帰国したばかりで身を寄せる所もなかったので助かります!」
「それではお部屋を用意致しましょう」
あれよあれよという間に部屋を用意され、ソファに腰掛けていた。流石金持ちは客間も凄いんだな…しかし、力を隠しきれないとは未熟だな俺も
本当に強い者程、力を隠すものだ不要な争いを産まぬ為ではあるが…俺は世界最強を倒す為に強くならなければならないからだ
コンコン
不意にノックの音で考え事をやめる
「どうぞ」
「我、顕現である!」
気配で分かってはいたが九鬼揚羽様だった。一体なんの用事だろうか