淫蕩記 ~モリガン・アーンスランドはいかにして女たちを狂わせたか~~ 作:レズバとか好きだから……
「あぁっ♡ あっ、あっ、あっ♡」
「はぁ~ん♡ モリガン様ぁ♡」
赤い衣に身を包み、もとより少ない布地のあちこちから玉肌というに相応しい光沢質の滑らかなソレをあられもなく露出した女が、目の下に赤いアイラインが引かれ、オリエンタルな雰囲気を醸し出す青いチャイナドレスの女と身悶えしながら絡み合い、自身の『主』たる淫魔。いや、魔界を統べる女王に媚び売っている。
「ぅひぃいいぃ♡♡♡」
「イグッ♡ イグッ♡♡♡ イグッ♡♡♡♡♡」
「もっとこっちを見てぇ♡ いじめてぇ♡ いやぁぁぁ~♡♡♡」
――いや、その二人だけではない。魔女やその眷属の邪悪な女たちが夜な夜な行うという淫らなサバトめいて、無数の女たちが嬌艶という名に恥じぬ淫らな宴を開いている。魔界三大貴族アーンスランド家当主『モリガン・アーンスランド』はその光景を目を細めて見つめ、微かに唇を歪めてつぶやいた。
「――退屈だわ」
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◆◆◆淫蕩記 ~モリガン・アーンスランドはいかにして女たちを狂わせたか~◆◆◆
一人目の犠牲者:『女天狗』
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世界には様々な格闘技があり、それを管理する団体や細かなレギュレーションが存在する。ボクシングや柔道、空手には体重による階級制が取り入れられ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、南北アメリカといったエリアに細分され、ローカル・メジャーに分かれた様々な団体やそれらが主催する大会があり……言ってしまえば、あなたの身近な市営やら町営やらの体育館で開催されるちびっこ空手大会なんかもそうだ。格闘技には正々堂々戦うための決まりがあって、ルールの中で戦う。だが、それに相反するように人間は『どの格闘技が一番強いのか』『誰が一番強いのか』という問いを行ってきた。その結果、さまざまな『無差別級』の大会が世界各国で乱立した。キングオブファイターズトーナメント、ミリオネアファイティング、世界格闘トーナメント、G社主催の鉄拳トーナメントなどなど。流派や階級のみならず武器使用までが認められるものも珍しくなく、中にはヴァリアブル・ジオのような世界最強のウェイトレスを決める大会という変わり種まで存在する。
そんな中、DOATECなる巨大コングロマリットが主催する『デッドオアアライブ』大会にはとある名物選手が居ることをきっとあなた達は知っているだろう。
――女天狗。
ただ。そのようにだけ名乗る正体不明の女ファイター。天狗界からやってきただとか言い、実際、人間とかけ離れた『天狗の羽』による機動や『風』を操る山神としての神通力、そして人間の尺度を完全に無視したその言動は第2回DOA大会での世紀末天狗禍の裏で蠢いていた邪悪、万骨坊を想起させ人々に最初こそ警戒されたものの、自身が『面白い』と見た大会やファイターにちょっかいをかけていくそのスタイルはいまでは『おてんば天狗姫』の愛称で親しまれているのだが……。
――ファンの間では、その女天狗が特段意識しているファイターが居るという噂がある。
それは最初、女天狗本人がたまに身につけるグラファイトと呼ばれるボディスーツ状衣装のカラーリングからまことしやかに囁かれ始めた。黒革のレオタード、紫のストッキング。そして翼。そのシルエットは、彼女と同じく人ならざる存在。『夜を這いずるもの』の一人――モリガン・アーンスランドの刺激的なコスチュームに酷似していたからだ。
――モリガン・アーンスランドは、女天狗以上にその名を聞く機会は多いだろう。サキュバスという種族の、そして格闘技界のセックスシンボルの一人として名高い彼女は正真正銘魔界を統べる女王だ。魔界三大貴族『アーンスランド家』の当主として、魂の迷い子リリスと一体化した後、凄まじい力で群雄割拠めいた魔界を統一――。現在では争いごとが減った魔界を『退屈』と一蹴し、身を焼くような刺激を求めて各地の格闘技大会に参加しては、優勝をかっさらっていく。その気まぐれな動向と高い実力にハンターたちも振り回され、運良く相対しても返り討ちにあるのが常。その妖艶さと強さから人間の間でも人気が高いとくれば――同様の行為を繰り返す女天狗が意識するのもさもありなんというもの。むしろ彼女のグラファイト・コスチュームはモリガンへの挑発ではないかとすら言われていたが、参戦する大会が不運にもかち合わず、今までその激突は実現しなかった。そう、今の今までは。
「へぇ……あなたが深山の女天狗。ニホンのダークストーカーズと戦ったこともあればニンジャやサムライを見たこともあるけれど、天狗というのは始めてだわ。相性がよければいいけれど――」
「ついに会えたのう。あーんすらんどとやら。そなたの名はわらわも聞いておった。あちこちでぱたぱた羽ばたくコウモリ女がおると。正直、目障りよ。好む好まざるにそなたの名を聞かされておったゆえな……」
非合法な地下格闘技トーナメント『華戦』。裏にシャドルーやネスツ、M.I.S.Tが噛んでいてその資金集めのために行われているだの黒い噂の絶えない大会で、二人は相対した。
「あら、御大層な挨拶ね。存外、ファンの声が気になるタイプなのはわかったけれど……その美貌と躰だけじゃなく名声まで欲しいなんて欲張りなコ……」
「ぬかせ。わらわは千年を生きた山神ぞ。小娘が知ったような口を利きおって。仕置きしてくれる!」
からん。女天狗の高下駄が地を蹴り、翼が空を捉えて闇の中に舞い上がり、それを余裕のある黄金の瞳が見据える。激闘の幕開け。同大会史上最大のPV数を叩き出し、無数の人々が欲望混じりに美貌の闘士2人を見守るこの試合は――。
「ふふ、気持ちいいでしょ?」
「いやぁーっ!!!!?」
モリガンの必殺技の中で最も破壊力が高く、かつ蠱惑的な美技――ダークネスイリュージョン。自らのまやかしとともに相手を責め立てるそれが決まり、艶やかな悲鳴とともに女天狗の体が宙に浮き、それから2、3拍遅れて、どう、という鈍い音とともに地面に墜落する。勝負は決した。
「ぅぐぅ……ぅっ、あっ……あぁ…………」
女天狗は半端に肘をついて身体を起こすも、それ以上動けない。しばらく悶えるように熱い吐息とうめき声をあげていたが、数秒もすると力尽き、顔を伏せるようにその場に横たわる――。
その姿を見下ろしながら、いつも勝利した女天狗がするように、モリガンは妖艶に舌なめずりをして見せて。
「ま、69点ってところかしらね。戦い方は悪くはないわ……♡ それより、そんな100点の身体をしているんだもの。どうなるかは――分かっているわよね?」
モリガンは力なく横たわる女天狗の横に、まるでベッドルームでくつろぐように同じく横たわるとたわわな乳房を覆う布の内側に手のひらを滑り込ませ、その大きさと柔らかさを確かめるように、自分の手のひらにコリコリと弾力を伝える乳首を転がすように、それを愛撫する。
「くぅんっ……♡ や、やめ……♡」
と、モリガンの腕に、力なく女天狗の手がかかる。しかし、ダメージからろくな抵抗になっていない。むしろ、その些細な抵抗がモリガンのサディスティックな気分をさらに高揚させた。
「この華戦では勝者による敗者へのボーナスタイム――ま、オブラートを介さずに言ってしまえば凌辱が認められているのは知っているわよね♡ そんな体してるんだから、てっきり、負けるために参加してきたのかと思っていたわ♡」
鉄拳トーナメントやキングオブファイターズのように武器の使用を容認する大会、デンジャーゾーンのような危険地帯を設置し、結果死者すら出ることを容認するデッドオアアライブのような大会など、今の格闘シーンは過激化している。そんな中、『裏』の格闘技大会は差別化として『性』を売り物にするようになった。その最もポピュラーなルールが、この『華戦』のように敗者は人権を剥奪され、勝者による凌辱が行われるというものだ。当然、モリガンも女天狗もその事を承知して――そのうえで刺激を求めて参加した。
「嫌じゃ嫌じゃ……嫌なのじゃ……ああっ♡」
乳房をいじられるたび、いやいやをするように身体をにじる女天狗。しかしそれを押し留めるようにモリガンは乳房をいじるのを一旦やめて女天狗の上に馬乗りになると、身体をピッタリと重ねるようにして、あらわな鎖骨に長い舌を押し付け、ぐじゅると唾液を塗りたくりながら――。
「はぁっ……♡ そこ、やめ……やめよ……♡」
「ふふ、可愛い……♡ あなただってここまで勝ち上がるまでに何人も何人も、犯して、楽しんで、壊してきたくせにちょっとムシがいいんじゃないかしら……♡」
互いのハリのある乳房がこすれあい、スポンジとスポンジをぶつけ合うようにぐにぐにといやらしく形を変える。あぁ、と吐息を漏らす女天狗の顔が見る間に紅潮し始めた。
「やっぱりおっぱいが弱いのね♡ もう乳首が勃ってるわよ? いやらしい身体……♡」
「いやん♡ いやん♡ このっ、ああ♡ 体を揺らすな♡ おっぱいこすれぇぇぇ……♡」
唇を噛んだ女天狗。しかし鼻から、ふーっと熱い息が漏れ出す無様な様を見ればモリガン側にここでやめるなどという選択肢は存在しない。女のセックスアピールとして最も目立つ胸という部位を比べ合うように、ひたすらにぐにぐにと乳比べが如く押し付けるうち、徐々に女天狗の乳房がモリガンのそれに負けて左右に広がって。
「あはは、おっぱい、負けて垂れちゃって♡ 私のほうがいい身体だって、認めちゃったのかしら♡ オンナとして負けを認めちゃった?」
「ぃいっ♡ ち、ちがっ♡ わらわの身体はおぬしのような下品な夢魔の身体とは比べるべくも――ああ♡♡♡」
モリガンに食って掛かるように身を起こそうとしたところで、両脇の下から背中に腕を通されて。より乳房を強く押し付けられると、女天狗の身体がびくんとふるえる。それを見逃すほど、モリガンはお人好しではなくて。
――ぐちぃっ♡
「お゛っ♡♡♡」
「アハッ♡ ひどい顔よ♡ もしかして軽くイッちゃった? 本当に可愛い……♡ お転婆天狗姫ちゃん……♡」
レオタード越しに、盛り上がった股と股が。淫肉が触れ合うと、女天狗のそこから背筋を快楽電流が一瞬で脳まで駆け上って、理性を焼き焦がした。肉と肉が薄革越しにセックスをしている。ぶるぶると膣口が震え、己のまたに温かいぬめりが。潤いが齎されるのを女天狗は感じた。軽くだが、イッてしまった。
「嫌……おまえは、おまえさまは一体何者ぞ……♡ わらわがこうも簡単に――やっ♡♡♡」
モリガンは女天狗の問いに答えなかった。いじわるに答えてあげなかった。おまえをオンナに堕すものだと、目を細めて、唇をついばみながらゆっくりとわからせてやるように腰をくねらせて、一旦の返事の代わりとしながら、まぶたをケイレンさせ、真っ赤に染まった天狗姫の甘イキ顔を己の黄金の瞳に焼き付けるように、ゆっくりと堪能してから。
「――ワンナイトの相手に名前って必要? 今、この瞬間だけ高まればいい……そう思わない?」
ワンナイト――それが一夜だけの関係であることは横文字に疎い女天狗にも理解できた。その瞬間、自身の子宮がきゅうきゅうと収縮し、焼け落ちた理性に不安が広がっていく。この快楽を感じられるのが、たった一回だけ。そう、理解してしまうと自らの心が絶望に昏く沈んでいくようだった。女天狗の心は、モリガンから与えられた快楽によって、もはやドロドロの汚泥のように蕩けはじめていて――。
「いやっ♡ わんないと……一夜だけの関係なんて、いやじゃ♡ も、もっとこし……あっあっ、こし、こし、ほしい♡ ほし、ほしぃっ♡♡♡」
「あら、オネダリ? ふふ、本当に可愛いのね♡ 千年生きたと言っていたのに、まるで生娘みたいに渡しを求めて。いいわ、徹底的にやってあげる。戻れないくらい深く深く堕落させてあげる――♡」
「ひゃああっ♡♡♡ おまた、おまたぁ♡♡♡」
おねだり。情けなく、先程まで戦っていた相手に頼み込む己に女天狗は自分自身で驚いてしまったが、それが聞き入れられたと見るや、安堵感が広がっていくのを感じてしまって。
(あぁ、よかった。もっと心地よくなれる♡ あそこ、もっといじめてもらえ――ぁ、わらわはなにを、かんがえ、て――?)
しかし、モリガンが女天狗の首筋をぞるぞると舌でこそぐように舐りながら、腰骨同士が軋むほど強くぐりぐりと腰を強く押し付けて腰を淫らにグラインドさせると、そんな疑問は頭の中にかかった深い快楽の靄のなかに消えていく。硬い地面と、やわらかいのにしっかりと芯があるような温かいモリガンの女性器を押し付けられて、女天狗はカリ、カリと鋭い爪を地面に立てるほど快楽に溺れる。だらしなく、足が開く。唇の端から、よだれがこぼれる。体の芯からじんじんと快楽が染み出す。汗が吹き出し、あそこが。あそこが茹だってしまうほど熱を持っている。
「おまた、じゃなくて『おまんこ』♡ いい? 『おまんこ』よ♡ 言ってご覧なさい♡」
「おっ、『おまんこ』っ♡ 『おまんこ』ぉ♡♡♡ 『おまんこ』いいのぉ♡♡♡♡♡」
知識としては当然知っている。だが、何も知らないおぼこのように扱われ、丁寧に淫らな言葉を言うように導かれると、自分でも笑ってしまうほど、何のためらいもなく『おまんこ』が口をついた。
「いい子――もう、私の言葉に逆らえなくなっているのね♡ いいわ、あなたがどんどん私のモノになっていく♡♡♡」
そう言ってモリガンは女天狗の頬に強くキスをする。じゅううっ、赤く印をつけるほどに強く口吸いされた経験はそれなりに睦事を経験してきた女天狗も、はじめてのできごとだったが……それが所有印を目立つところに刻まれると、誰かに所有されるということが、これほど安心できるものか――いままでどこか嫌っていた束縛。それをされることがうれしいと、思ってしまった。その瞬間だった。
「あ、ぁあぁ、あっ、あっ♡♡♡」
ぱきん。なにかが、女天狗の中で弾けたというより、折れた。
「どうしたの」
モリガンが短く、微笑を称えて問いかける。分かっているくせに。知っているくせに。女天狗は唾液でベチャベチャになった口元を舌でぬぐい、モリガンの背に手を。膝裏に両足を絡めて、もはや逃さじとばかりに身体を重ねてから、一言だけ言う。
「こ、この、いけず♡ すけこましっ♡」
それから。
「わ、わらわをおまえさまのオンナにしてくりゃれ♡ 一晩だけの関係なんて、いや♡ わらわはおまえさまにおかしくされてしもうた♡ もう、こんなに気持ちいいこと、知ってしまったら離れられぬ……♡」
ぐちゅ♡ ぐちゅ♡ ぐち♡ ぐじゅ♡
女天狗が愛おしそうにしたから腰を動かすたび、淫らな水音が二人のおまたの接合部から響く。既にレオタードの股ぐらはもはや布が用をなさぬほど、女天狗の愛液で汚泥めいて湿っていて。
「……この天狗姫、おめさまの妾にしてください♡」
「あは♡ あはははは♡ 妾♡ そんな良い待遇で迎えてあげないわ♡ 私はモリガン・アーンスランド――魔界を統べる女王たるサキュバス。おまえのような弱いオンナを妾なんかに迎えたらなんて言われるか――ペット。いいえ、家具よ。おまえはアーンスランド城を彩る家具の一つ♡ そうね、酒樽――魔力を絞るタンクとして、飼ってあげるわ……♡」
モリガン・アーンスランドはゾクゾクと背を震わせながら自分の下で懇願する弱いメスを見下ろし、総宣告する。強い女が、弱いメスになる。気高い聖女が、淫売の娼婦になる。千年を生きる神が、ただのペットになる――。堕落。それは、サキュバスという生き物の本能に刻まれた、最も快楽を感じる瞬間だ。
「……宜しくお願い申し上げまする――わらわは、おまえさまのぺっと、家具でございます♡」
女天狗はもはやどんな待遇も受け入れざるを得ない。快楽に囚われ、快楽を失うのが怖いから。モリガンという存在に見放されるのが、怖いから――驚くほど簡単に、自らの尊厳を快楽と引き換えに売り渡す。
「いいわぁ……♡ あなたのいやらしい魂のパトスを感じるの……そうね、女天狗という名前は少々味気ない。新しい名前を授けてあげる。あなたは『ミカボシ』。地へと零れ堕ちた星。これからはそう名乗るといいわ♡」
女天狗、改めミカボシ。天狗とは夜空を駆ける流れ星の寓意であるとも言われるが、その宇宙から零れ落ちた悪神。堕落し、淫魔の眷属に成り下がった山神はこれからそう名乗るのが相応しい――。
「さあ、ミカボシ♡ 夜はまだ長いわ♡ せいぜい、意識まで振り落とされないように気をつけなさい♡ 私が荒ぶる神であるあなたを見事調教してあげる♡」
「ああっ、おまえさまっ♡」
こうして、モリガン・アーンスランドという奈落のもとにまた一人、女が堕ちていった。彼女がその後どうなったかは、誰も知らない……彼女たち当人を除いては……