淫蕩記 ~モリガン・アーンスランドはいかにして女たちを狂わせたか~~ 作:レズバとか好きだから……
「あら、ようやくのおでまし? 存外に手が遅いのね。それとも女王様は『お忍び』の旅行にうつつを抜かして魔界の統治がおざなりになってしまったのかしら?」
魔界において三大貴族とよばれるアーンスランド家。その領地に静かに毒がはびこりつつあった。なにも魔界といっても秩序のない怪物の群れが住まう荒野ばかりではなく、知恵と文化を持った魔族たちの街が存在するのだが――歓楽街を統括するアーンスランド家の眷属が殺され、そっくりそのまま新参の『魔族』がそこをのっとったとあなた――モリガン・アーンスランドが執事から聞かされたのは、しばらく地上をさまよい各地の格闘大会を荒らして帰った時のことだった。モリガンにとって養父ベリオールから引き継いだ領地の経営は面白いことではなく、むしろ退屈の極みだ。大抵のことは執事や侍女たちに任せており、それで今までうまく回っていたものの――こんな『心躍る』出来事はハジメテと言わざるを得ない。まさかコトもあろうに、自分の領地で自分に弓を引く面白い存在がでてこようとは。居てもたってもいられずその『跳ねっ返り』がいるという娼館を訪れてみれば、最奥のVIPプレイルームで待ち受けていたのは赤いドレスを着た少女であった――。
「あはは、それではご挨拶をば。女王サマ。わたくしはグリュ=ヴォ512傑が一人にしてもっとも格下、頁を赤く染め上げる哀れなる記述のひとつ。名前は――そうね、アナザーブラッドとでも呼んでいただければ幸いですわ」
=======================================
◆◆◆淫蕩記 ~モリガン・アーンスランドはいかにして女たちを狂わせたか~◆◆◆
二人目の犠牲者:『アナザーブラッド』
=======================================
「……へえ。パイロンの同輩か何かかしら。まあいいわ。はるばる”紛い物”が魔族気取りで相手をしてくれるのだもの。何でもいいわ。貫くような刺激をくれるのならね」
星辰の果てから来たりし者。かつて精気を奪って絞り殺してやった宇宙的存在と同じか、あるいはより悪質な来訪者にさすがのモリガンも肌が泡立つようなひりつきを感じざるを得ない。
「まぁ! 宇宙の支配者を気取るあのようなものの同類だなんて。宇宙的恐怖というにはあれはまだ正常の範疇に収まりすぎておりますわ。所詮はクトゥグァやジュク=シャブと同程度……」
そう言って、アナザーブラッドと名乗る少女は宮廷風の礼から居住いをただし、値踏みするような視線で唇に人差し指を当て、まるで無警戒に、モリガンへと歩み寄ると頭一つ以上身長差があるその胸に、身をあずけるようにしてしなだれかかった。
「あはは♡ さすがはちっぽけな魔界を統べる女王サマ。とっても広い度量をお持ちのようで、幸いでございますわ。ええ、ええ、私ならばあなたの退屈を払って、醒めない夢と言う名の地獄に魂をいざなってさしあげられます」
白魚のような手が這う。乳房を下からもちあげ、谷間を指でなぞり、モリガンの鼓動を確かめるように心臓の上に掌をあてがう。とくん、とくん、とくん。
「率直に申し上げますわ。私はあなたの魂が欲しいの。だからこんな魔界くんだりまで遊びにきたのだけれど、正直――退屈で抜け出したくなるところだというのは女王様のお考えに同意せざるを得ないわね。だから、少しいたずらをしたのだけれど――待ったかいがある刺激を私に与えてほしいの♡ こんな場所で待っていたのだから、わかるでしょう?」
サキュバスは性交によって魂を刈り取る。いや、正確に言えば生き物のリビドーを吸収して糧とするだけであるため、それ以外の。戦いの興奮などでもよいのだが、もっとも直接的なのはセックスなのだ。(無論、モリガンはセックスと同様戦いの興奮も大好きだ)
この少女は――あなたの土俵で戦ってあげる、と挑発しているに等しい。
外宇宙存在への生物敵嫌悪感。しかしそれと同時に――ある主の興奮を感じた。眼の前の存在は人の形をしただけのナニカだ。そんな存在と身も心もひとつに通じ合えれば、これまでにない悦楽を得られるのではないか――。ケモノや蟲とするようなゲテモノ趣味めいた下品な欲望を刺激されたのは否めない。
「……ええ。いいわ。素敵な夢を見せてあげる……♡ けれど――今の貴方は虚ろに見えるわ。まるで一夜のまぼろし。偽物の命」
モリガンの着衣が蝙蝠となって霧散すると同時に、アナザーブラッドを名乗る少女の着衣をその牙で引き裂いて果実の皮を剥くように裸身を熟れたような娼館の空気に晒す。同時、じゅぶりと、上から覆い被さるように唇が重ね。たわわな胸に顔を埋めさせ、心臓に宛がった手を己の頬へあてがって。そして己の手を、小さくとも実った瑞々しい果実のような尻を引き寄せるために伸ばして這わせて。
「私も分かたれた半身をこの身に宿したことがあるから、理解はできるわ。自分に大切なナニカが欠けているようで落ち着かないんでしょう。さしずめ、今の貴方は魂の迷い子なのね。もし、私が貴方に負けたなら存分にこの魂をむしゃぶって、その渇きを沈めればいい」
「あははははっ! あははははははははっ! 私が空虚な
ア少女は、モリガンの指摘に一瞬、唇を噛んで――それから凄絶な笑みを浮かべた。絶望と憎悪をアイロニーめいて噛み砕いたようなまさしく邪悪な微笑みと言うにはあまりにも攻撃的すぎる表情。
「不快。ええ、不快よ。睦みあう前に他の女の事を考えているのだって悪趣味。同じように空虚なくせに、退屈を感じているくせに、少女のように純粋に物事を楽しんでいるのだって気に入らない。あなたの頁という頁を私というインクで赤く染め上げてあげる。終わらない素敵な悪夢に落してあげる。連綿と隣り合って続く永劫回帰の地獄で泣き叫ばさせてあげる」
敵意をにじませるアナザーブラッドとモリガンのまぐわいがはじまる。眷属たるコウモリたちに血のフリルとヴェールを剥ぎ取られ白い肌を晒したアナザーブラッドは、身長の高いモリガンの口づけを、体を艶めかしく反らせて受け入れた。
「れろぉ……あむ……ちゅばっ……♡ ちゅっ♡ ぢゅっ♡」
貪るような、挑むような口づけ。どうじに尻たぶを揉みしだく細い白魚のような指は足の付根から太ももに絡みつくようにいやらしくくねる。頬に当てがわれたもう片手は、まるで禁断の果実を手に取るかのように繊細だ。
「はぁっ♡ 存外大したことがないのね」
くちゅりと水音をたてて一旦唇が分かたれる。互いの唾液で濡れた唇を舐めるアナザーブラッドの瞳はもし手に寸鉄があるならばそれをあなたの胸につきたててしまいそうなほど鋭い悪意に満ちていて、モリガンはノドを鳴らして、とろん、蕩けたような恍惚の表情のまま尻肉の感覚を確かめようとするかのように人差し指を口に運んでしゃぶり、それから垂れた唾液をぬぐい取った。
「ぅん♡ はぁ♡ こわいわね……♡ 写本だって高価で貴重なものでしょう? ……写し取られた原本の価値が高ければ、だけれど――あなたの存在は一体何?」
モリガンはこれまでたくさんの世界を見てきた。とある世界で見た人類の敵を掃討するための白と黒の人形兵器は相克しながらも己の魂を輝かせていた。青と赤のイレギュラーハンターは苦悩しながらも人類のために戦い続けていた。己の定義を他人に求めることは間違いではないが、モリガンはどうしても『己』を持っていた彼らを想起して――眼の前の少女が『上』を見すぎて『己』を持たぬことを不憫に思うところがあった。最も、今は彼女に挑みかかられているのだ。領地を荒らしたという咎もあることだし、少々お仕置きして痛い目を見せてやるのも良い――。
「『お母様』(オリジナル)を侮辱するつもり……?」
だが、その名も高き魔導書ネクロノミコンの『オリジナル』を母として歪んだ劣情を寄せるアナザーブラッドは、敵としてみているあなたの物言いはすべて悪しざまに聞こえるのか。もはや表情の険しさを隠さず、言葉尻に噛みついた。あるいは、アナザーブラッドは『お母様』を犯して歪めてやろうと考えるあまり、どうしてもその『後追い』をしていた感は否めない。
そう、上を見すぎてそればかり追っているというモリガンの見立ては当たっていた。
「モリガン・アーンスランド。あなたの死に様の絶叫こそ私のリビドーを狂おしく掻き立てるの。果てなさい。魔界の統治権とともに……!」
モリガンが口に運んだ人差し指を乱雑に奪い取るように握り、それをまるで、男根に奉仕するように、フェラチオのようにねぶりしゃぶるアナザーブラッド。挑戦するようにどうかしら?と劣情と殺意のこもった視線をあなたに向けながら、その小さな体で魔界の女王をベッドに押し倒せば。
「殺してやる――」
その言葉とともに、柔らかな肢体があなたにはしたなく絡みつく。両手は背中へと回され、胸元に埋められた頭はじゅぶじゅぶとだらしない音とともにあなたの胸の谷間に唾液を塗りたくり。しなやかな足は大きく広げられたかと思えば、腰をまるで捕食か交尾する虫のようにがっちりとホールドして、たがいのソコを腰骨が軋むほど強く押し付け合う。
「ころしてやるころしてやるころしてやる。私のおまんこで狂い死にさせてやる♡」
憎悪に濡れた女性器が、モリガンのソコを嬲る。
「あぅ♡ はふ♡ ふーっ……んっ♡ 今の貴女のその”生”の表情、貴女が思ってる以上にそそるわ……♡」
貪るように腰を使われて、モリガンは悩ましい喘ぎ声を上げながら自身の乳房の間から射殺さんばかりの視線を向ける少女の頭を抱え、母親がするような愛おしさで谷間にその顔を掻き抱いた。男女を問わず劣情を齎す毒の蜂蜜めいた媚態。そこに混じる見せかけだけの慎ましさ。秘めた気高さ。どれも、要らない。振りかざし振り乱す荒れ狂うような感情こそモリガンにとって、サキュバスにとっての甘露であるのだから。
――だが、やはり彼女はナニカが欠けている。それが意図的なものなのかは、『複製』ゆえなのかはわからないが、どちらにせよ、相手を見定めようとする夢魔と敵意に相手を見失い後追いに翻弄される対比は無情にも浮き彫りになっていく。
「一つ教えてあげる……♡ 貴女がアーンスランドになるつもりなら、恐怖と絶叫の統治なんて流行らないわよ♡」
おかえしとばかりにちゅぷりと、アナザーブラッドの耳を頬張り甘く吸い立てて耳孔。を舐めくすぐりぐぶり、ぐぢゅりと聴覚を犯しながら、そのいやらしい音が呪音となって音声筆記めいて写本の『記述』へ絡みつき侵していく。
「っ……!」
耳に生ぬるい舌が侵入してきた瞬間だった。いや、アナザーブラッドはそれが舌ではなく、まるでかつて自分を記述するために這い回った『筆先』のようにも感じられた。『私』が書き換えられていく。悪辣なる死者の書の魔術的記述が、下劣で月並みで――官能的なソレに書き換えられていく。アナザーブラッドは、恐怖したはずだった。しかしそれさえ、一瞬にして淫猥な感情へと上書きされてしまう。手始めに『おまんこ』の定義が『トロキツロリマンコ』に上書きされて、オンナとしての機能がメスとしての機能へと歪められていく。『セックス』の定義は『ドスケベ変態レズ交尾』などという口に出すのもはばかるような直接的で下品な表現へと変えられていく。
「あっ!? あああっ♡ な、なにを……イヤッ♡ 私を書き換えないで♡」
強い嫌悪の感情とともに発した言葉のはずが、まるで娼婦が客の興奮を誘うためにはっする演技のように甘ったるい、イヤッ♡なんてハートマークがついたようなソレに置き換わってしまった。自分がなくなる。いや、なくなるのではない。『モリガン』で空虚な場所が満たされていく――。
「あっ♡ あっ♡ やめてっ♡ ヤメテぇん♡ ひんにゅうおっぱい♡ モリガンのおっぱいでいじめないでっ♡ トロキツロリマンコぐじゅぐじゅしないでぇっ♡♡♡」
口を突く言葉はもはや何もかもいやらしい。アナザーブラッドの敵意すら、愛欲と淫欲に書き換えられ、眼の前の存在を貪ることしか考えられなくなる。
「ほぉ゛っ♡ 女王サマの柔らかくてエロい体、コーフンするっ♡ いやあっ♡ いやあんっ♡ もっと私を見て♡ 所詮あなたはこの程度なのね♡ って蔑んで♡ 私をおまんこでころしてぇん♡♡♡」
敵愾心で守られていた魂が徐々に徐々にモリガンに喰らわれていく。いや、魂を。尊厳を汚されていく。そしてお互いの腰骨を擦り合わせながら、アナザーブラッドのつつましい身体を、熟れた大人の身体を用いてプレス器押し潰すようにして。陰核を擦り合わせるように腰を浅ましく揺らして。バラの花茎が如く細いので、手折る事ができるのではないかと思ってしまえる肢にしっとりとした夢魔の脚が絡みついて――。
「アナザーブラッド♡ あなたも魔術書なら人間の真似なんて辞めなさい♡ 貴女のセックスを楽しむのよ。ほら、お互いの、魔力タンクにもなる子宮をパスで繋げるの……♡ 私に禁項まで全部明かしなさい♡ ……そうすれば、貴女を見てあげる。貴女を認めてあげる。貴女の存在を認識して、逃げられなくしてあげる……」
記述に絡みついた呪音が、まるで乾いた羊皮紙にインクが染みていくように羅列となって爆発的に広がって、既存の記述が汚されていく。夢の中で人が欲望を発露し夢魔に啜られるように、アナザーブラッドの中で抑圧されていたものが全て淫欲に、あまつさえ負の感情も劣情に変換されていく。
奥まで読み耽るように、一文字一文字、一単語一単語の意味を丁寧に解きほぐしていくように。トロキツロリまんこを擦り上げながらクリトリスをねっとりと押し潰されると、モリガンの身体に宿る淫気が、呪詛が膣粘膜から浸蝕してくる。そして、それが浸蝕するほどに己が読み解かれ、言葉が残酷なまでに真実だと突きつけて来る。甘い誘いというにはあまりにも毒気の強い誘惑な言葉だが――
「……へぇ……、あなた、男の子から分かれたのね……でも貴女には貴女の名前が必要……九朔、狂朔……そうね、貴女の赤はとても美しいもの。」
唾液で溺れるほどのディープキスを強いながら瞳を覗き込んで汚染していく。その中で言葉が流れて来る。
「紅朔。そう名乗りなさい。受け入れなさい。貴女はアナザーブラッドじゃない。誰かの
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ……♡」
「――私の定義に溺れなさい……♡」
こんな事、言われてしまったら。
モリガン・アーンスランドという夢の中にアナザーブラッドはオチていく。きもちがいいきもちがいいきもちがいい。まるで新雪に指で文字を書くようにアナザーブラッドの最もデリケートで大切な部分までもが書き換えられて。
「う゛わ゛ぁあ゛ぁああぁぁっ♡♡♡♡♡」
喉から絞り出すような嬌声。失神したアナザーブラッドの口からまろびでた舌がモリガンに淫辱される。唾液とともに膨大な女王の魔力が流れ込み、まるで所有印めいて少女の舌に魂そのものにコウモリの紋章を刻印した。
「はい♡ モリガンさまぁ♡ アナザーブラッドの奥の奥まで、全部あなたさまに拝読していただきますう♡ でも、知ってるくせに♡ もう、私が差し出せる頁なんて残ってないってこと♡」
子宮と子宮がなんの魔術的防壁もなくつながる。東洋医学の経絡の基にして、西洋魔術の魔術回路の心臓部である子宮をそのような状態でつなげるなどと魔術師であるならば命を差し出すようなものだが、少女はもはやモリガンに屈服敗北したことを。モリガンの眷属であることを認め、それをさしだしたのだ。
「記述が、魂がエロい言葉でよごされるぅ♡♡♡ あははは♡♡♡ あはははははっ♡♡♡ きもちいい♡ きもちいいよぉ♡」
もはや少女は、モリガンの手の内だ。単純に魂を喰らい尽くして殺すことも、好きなように記述を加えてより痴態と屈辱と本人が感じられぬ屈辱をあたえてやることもできた。
「紅朔……ああ、ああ、感謝いたします。ソレが私の名前。新しい私――ええ、私は紅朔。モリガン・アーンスランドの下僕にしてトロキツロリマンコですわ♡」
新たな名を与えらた書物は、今までのしがらみから解き放たれ――
「うおほっ♡ トロキツロリマンコ♡ 女王様のつよつよお姉様マンコに優しく導かれながらイクッ♡♡♡」
サキュバスの女王のおもちゃとして、あまりにも下品な誓約の絶頂を迎えた。