手コキを初めてしてから、あれはもう何度目だっただろう。
最初の夜以降、私たちは自然と「処理する」関係を繰り返していた。悠貴が「お姉ちゃん、今日も……」と小さな声で頼んでくれば、私は呆れた顔をしながらも彼の部屋に行き、手で彼を抜いてあげた。最初は戸惑っていた手つきも、今では彼の弱いところや、どう動かせば早く果てるかをだいたい把握している。射精したあと、悠貴はいつも子供みたいに安堵した顔で「ありがとう」と言い、私はティッシュで手を拭いて部屋を出る。そして自室に戻って、残った熱を一人で処理する——その繰り返しだった。
挿入はしていない。キスはする。触れる範囲は少しずつ広がっている。それでも、決定的な線はまだ越えていない。
そんな日々が続いていたある夜のことだった。
両親が早めに二階へ上がったあと、リビングに二人きりになった。テレビの音が小さく流れているだけの静かな空間。私はソファに深く腰を預けてスマホを見ていたが、隣に座った悠貴の視線が気になって仕方がなかった。
「お姉ちゃん」
「なに?」
「……今度は、僕もお姉ちゃんを気持ちよくしてあげたい」
予想していた言葉だったのに、胸が小さく跳ねる。私はスマホを置いて、ゆっくりと彼を見た。悠貴は少し赤くなった顔で、しかし逃げない目で私を見つめ返してくる。
「急に何を」
「だって、いつもお姉ちゃんばかりしてくれるから。不公平だよ。僕も、お姉ちゃんの気持ちいいところ、知りたい。触りたい」
悠貴の声が、いつもより低かった。甘えるような響きの中に、本気の熱が混じっている。私は彼の目を見つめたまま、しばらく黙っていた。ここ数日、手で彼を抜いてあげるたびに、自分の体も欲しがっているのを自覚していた。それでも「姉が弟を処理してあげる」という形を崩したくなかった。なのに、こうして正面から言われると、拒む理由がうまく見つからない。
「……入れないでよ」
「うん。入れない。触るだけ。口とか、指とか……全身、優しくしてあげる」
「……わかった。ただし、本当に入れないこと。約束して」
「約束する。絶対に」
悠貴がこくりと頷く。その仕草が、妙に大人びて見えた。私は小さく溜息をついて立ち上がり、彼の手を引いた。
「じゃあ、部屋に行きましょう」
悠貴の部屋に入り、ドアに鍵をかける。間接照明だけをつけた薄暗い空間に、二人の呼吸が小さく響く。いつもの「処理」のときより、明らかに空気が重い。
悠貴が近づいてきて、私の髪を優しく撫でた。
「緊張してる?」
「悠貴こそ」
「うん、してる。でも、嬉しい」
私は彼をベッドの縁に座らせ、自分は床に膝をついた。すでにズボンの上から硬くなっている。ここ数日で慣れた手つきでベルトを外し、ジッパーを下ろす。下着の中から熱いものを取り出すと、先端がすでに湿っていた。
「……初めて、口でしてあげるわよ」
「え、うん……お願い」
私は少しだけ彼の目を見てから、顔を近づけた。熱い匂いが鼻先をくすぐる。舌先で先端を転がすと、悠貴が大きく息を吸った。覚悟を決めて、ゆっくりと口に含む。熱い肉が舌の上に乗り、重みと脈打ちが直接伝わってくる。思っていたより大きくて、奥まで入れるのは難しい。それでも、頬を凹ませて吸うと、悠貴の腰がびくんと跳ねた。
「んっ……お姉ちゃん……口、熱い……気持ちいい……」
私は上下に頭を動かし始める。舌を絡ませ、時々先端を強く吸う。唾液が糸を引き、くぽ、くぽ、と卑猥な音が部屋に響く。悠貴の手が私の髪に触れ、優しく撫でてくる。その感触が、妙に気持ちよかった。私はさらに深く含もうと試み、喉の奥に当てる。涙が出そうになるほど苦しいのに、悠貴の甘い声が聞こえると、体の奥が熱くなった。
「もっと……そう、そこ……お姉ちゃんの舌……やばい……」
手で根本を握り、口と手で同時に責める。悠貴の喘ぎが徐々に高くなり、腰が小刻みに動き始める。私の髪を掴む力が少し強くなった。
「出る……お姉ちゃん、口の中に出していい? 飲みたい……?」
私はこくりと頷き、吸いながら待った。次の瞬間、熱い精液が喉の奥に勢いよく流れ込んでくる。苦いのに、甘い。量が多い。私はできるだけ飲み干し、最後の一滴まで舌で掃い取ってから、ゆっくりと口を離した。糸を引く唾液と精液が、唇と彼のものを繋ぐ。
悠貴が肩で息をしながら、ぼんやりと私を見ている。目がとろんとして、とても幼く見えた。
「……ごめん。一気に出して。苦しくなかった?」
「大丈夫。スっきりしたでしょ」
「うん。今度は……本当に、お姉ちゃんの番」
悠貴が私を優しくベッドに押し倒す。部屋着を一枚ずつ、焦らすように脱がせていく。ブラを外されたとき、冷たい空気に乳首が硬くなった。下着だけになった私を、彼は熱い視線でじっと見つめた。
「綺麗だよ、お姉ちゃん」
「……変なこと言わないの」
「本当だよ。いつも見てた。触りたいって思ってた」
彼はまず、私の耳に唇を寄せた。熱い吐息を吹きかけ、耳たぶを軽く歯で捉える。ぞくりとした快感が背筋を駆け上がり、私は小さく肩を震わせた。次に首筋。血管の上をゆっくりと舌でなぞられ、鎖骨にキスを落とされる。くすぐったいのに、熱い。体が勝手に彼を求めるみたいに反ってしまう。
「ん……悠貴……」
「声、出していいよ。両親、もう寝てるから」
悠貴の手が胸に回る。柔らかな膨らみを包み込み、親指で乳首を転がす。すでに硬くなっていた乳首を、彼は丁寧に摘まみ、唇で吸い始めた。甘い刺激が下腹部に直結して、私は背中を大きく反らした。反対の胸も忘れずに愛撫され、左右の乳首を同時に責められると、腰がくすぐったように疼いた。
「あっ……そこ、弱い……んっ」
「ここ、すごく敏感なんだね。覚えとく」
お腹を舌でなぞられ、へそに軽くキスをされる。くすぐったいのに、熱が残る。背中側に回されると、肩甲骨から腰にかけて、ゆっくりと舌と唇で愛撫された。お尻を両手で揉まれ、柔らかな肉を割り開くように指が浅く入る。恥ずかしいのに、体が正直に反応してしまい、私は枕に顔を埋めた。
太ももを内側から舐め上げられ、私は思わず膝を閉じかけた。悠貴はそれを優しく開き、秘部に顔を近づける。熱い息が割れ目にかかり、腰がびくっと跳ねる。
「……見ないで」
「見る。綺麗だから。もうこんなに濡れてるよ、お姉ちゃん」
次の瞬間、舌がクリトリスを捉えた。
「んあっ……!」
甘い快感が一気に広がる。悠貴は不器用なのに、驚くほど丁寧だった。クリトリスを舌先で転がし、時々強く吸う。唇で包み込むようにして、リズミカルに刺激してくる。指が一本、ゆっくりと中に入ってきた。熱い肉壁を掻き回され、私は枕に顔を埋めて喘いだ。
「悠貴……そこ……んっ、深い……指、熱い……」
「気持ちいい? お姉ちゃんの中、すごく熱くて、絡みついてくる」
指が二本になり、クリトリスを親指で刺激しながら、中をゆっくりと出し入れする。くちゅ、くちゅ、と水音が部屋に響く。腰が勝手に動き、彼の指を迎えに行ってしまう。耳元で「可愛い」「感じてる顔、大好き」と囁かれ、羞恥と快感が同時に込み上げた。
悠貴のものが、再び硬くなっているのが太腿に当たる。彼が体を重ねてきて、熱い先端が割れ目に触れた。滑るような感触。私の愛液で、すでにぬるぬるになっている。
「……入れたい。お姉ちゃん。お願い。少しだけでいいから」
「だめ」
「本当に少しだけ……先端だけ……」
「だめって言ってるでしょ。約束よ。守って」
私は彼の肩を押し、はっきりと拒否した。悠貴は悔しそうな顔をして、唇を噛んだ。それでも、すぐに頷いて、再び指の動きを速める。クリトリスを集中して責められ、中を深く掻き回される。快感がせり上がってくるのが自分でもわかった。
「いける……悠貴、いけるから……もっとして……!」
「出して。お姉ちゃんの顔、ちゃんと見せて」
指が奥を強く押し、クリトリスを弾かれた瞬間、視界が白く弾けた。
「んあっ……! 出る……出ちゃう……悠貴っ……!」
腰が大きく跳ね、内側が激しく痙攣する。愛液が溢れ、悠貴の手をべっとりと濡らす。長い絶頂の間、彼は優しく指を動かし続け、もう片方の腕で私を抱きしめていた。私は彼の胸に顔を埋め、小さく震え続けた。
しばらくして、荒い息が落ち着いた頃、私は天井を見つめたまま、ぼそりと言った。
「……お互い様、ね」
「うん。でも、入れたかった。本当に」
「まだ早いわ。焦らないの。私だって……準備ができてない」
悠貴が私の横に並んで寝転び、濡れた手を気にせずに私の手を握ってきた。その手が、さっきまで私の中を掻き回していた指だと思うと、また小さく熱が残る。
「お姉ちゃん、気持ちよかった?」
「……まあ、悪くなかったわ。」
「また、してあげる。今度はもっと気持ちよくしてあげるから」
「調子に乗らない。……でも、ありがとう」
そう言いながらも、私は彼の手を握り返していた。挿入はしなかった。それでも、今夜でまた一つ、大きな線を越えてしまった気がする。悠貴の体温が、すぐそばで穏やかに脈打っている。その熱が、私の体の芯まで染み込んでくるようだった。
「お姉ちゃん」
「なに?」
「大好きだよ」
「……知ってる」
私は目を閉じた。指の感触も、舌の感触も、彼の熱も、全部がまだ生々しく残っている。次に彼が「入れたい」と言ってきたとき、私は本当に拒めるのだろうか。
その答えは、まだ出せなかった。