※この作品はR-18です。

姉弟でもいいよね?   作:デイジーEW

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5話 初めてを越える夜

 

あれは、一週間前のことだった。

 

夕食のとき、父が箸を置きながら切り出した。

 

「来週の土曜日、会社の同僚の結婚式でな。一日中出てるから、遅くなりそうだ」

 

母も頷いて、「たぶん十一時過ぎになるわね。鍵は閉めておきなさいよ」と言う。

 

「わかった」

 

私は普通に返事をした。隣で悠貴が「いってらっしゃい」と明るく言っている。その声が、少しだけ上ずっているように聞こえた。視線をそっと横に向けると、悠貴も同じタイミングでこちらを見ていた。目が合った瞬間、互いにすぐに逸らす。

 

その日から、私たちは「来週の土曜日」を意識しない日はなかった。ここ数日、挿入前までの行為を何度も繰り返していた。お互いに「次は入れるかもしれない」という予感を、言葉にはしないまま共有していた。夜、悠貴の部屋で彼を手で抜いてあげたあと、または彼の指で私が果てたあと、いつもより長い沈黙が落ちるようになっていた。

 

そして、いよいよその土曜日が来た。

 

両親が支度を整えて玄関に立つ。母が鏡の前で髪を確認しながら、「お弁当は冷蔵庫に入れておいたから。あんまり遅くまで起きてないのよ」と念を押す。父が時計を見て「そろそろ出るぞ」と言う。

 

「いってらっしゃい」

 

二人で見送り、玄関のドアが閉まった音がしたとき、家の中の空気が明らかに変わった。いつもの「二人きり」とは、密度が違う。一週間、待ち続けた夜が、ようやく形を持った。

 

リビングに戻ると、悠貴がテレビの電源を消した。静かな部屋に、二人の呼吸だけが残る。

 

「お姉ちゃん」

 

「……何」

 

「今日こそ、入れたい」

 

予想していた言葉だったのに、胸の奥がきゅっと締め付けられる。私はソファに座ったまま、彼を見た。悠貴の目は真剣だった。逃げない、熱を帯びた目。

 

「また、その話」

 

「うん。一週間、我慢した。何度も我慢した。でも、もう限界なんだ。お姉ちゃんの中に、入りたい」

 

「だめ。今まで通りでいいでしょ」

 

「嫌だ。触れ合うだけじゃ、足りない。お姉ちゃんも、本当は欲しいんでしょ」

 

その言葉に、反論ができなかった。事実、ここ数日の行為のたびに、指や舌で満たされるだけでは物足りなさを感じていた。それでも、最後の一線を越えることへの躊躇は消えていなかった。

 

「……悠貴は、初めてでしょ」

 

「うん。お姉ちゃんが初めてでいい。むしろ、お姉ちゃんでよかった」

 

「私は……初めてじゃないの。前に、付き合ってた人がいて」

 

言いながら、自分でも驚くほど落ち着いた声が出た。悠貴は少し目を見開いたが、すぐに柔らかく頷いた。

 

「知ってる。でも、いい。お姉ちゃんの全部がいい」

 

「……コンドーム、あるの?」

 

「ある。前から、もしものときのために用意してた」

 

その言葉に、私は小さく溜息をついた。押しに負けた自分が、すでに承諾の方向に傾いているのを自覚していた。

 

「……わかった。ただし、絶対に中には出さないで。ちゃんとつけて」

 

「うん。約束する」

 

悠貴が近づいてきて、私の手を握った。その手が、少し汗ばんで熱い。

 

「先に、シャワー、浴びよう」

 

「……ええ」

 

浴室に入ると、狭い空間に二人の体温がすぐに満ちた。お湯を出し、先に私が髪を濡らす。後ろから悠貴が体を寄せてきて、シャンプーを手に取った。

 

「洗ってあげる」

 

「自分でできるわよ」

 

「いいから」

 

指が髪に入り、丁寧に泡立てられる。頭皮をマッサージされるように洗われて、思わず目を細める。すすぎが終わると、次は体だった。スポンジにボディソープを含ませ、首筋から肩、背中をゆっくりと洗ってくる。手が腰に回ったとき、私は小さく息を詰めた。

 

「……故意に触ってるでしょ」

 

「洗ってるだけ」

 

嘘だった。胸の下を掠める指が、明らかに執拗だった。私が振り返ると、悠貴の下半身もすでに反応していた。お湯に濡れた肌が密着して、熱いものが太腿に当たる。

 

「お姉ちゃんも、洗って」

 

私は黙ってスポンジを受け取り、彼の胸を洗った。鎖骨から腹筋、そして下腹部へ。硬くなったものを避けながら洗うつもりが、結局は手で包んでしまう。お湯の中で、ぬるぬると滑る感触。悠貴が低い声を漏らした。

 

「ん……それ以上すると、ここで出ちゃう」

 

「……我慢しなさい」

 

私たちは体を洗い合い、最後に丁寧にすすぎを済ませた。タオルで体を拭く手が一刻も早く部屋に行きたいと焦っているのが、互いにわかっていた。

 

私の部屋に入り、ドアに鍵をかける。電気を少し暗くする。これまでの「処理」や愛撫のときとは、明らかに違う緊張がそこにある。湯上がりの肌が、まだほのかに赤い。

 

悠貴が私を抱き寄せ、深くキスをした。舌が絡み、息が混じる。その間にタオルを一枚ずつ剥がしていく。お互いに全裸になったとき、悠貴のものがすでに硬く熱を持って反っていた。先走りが先端に光っている。

 

「先に、気持ちよくしてあげる」

 

私はそう言って、彼をベッドに座らせ、膝をついた。慣れた手つきで根本を握り、舌で先端を転がす。すぐに口に含み、深く咥え込む。熱い肉が喉の奥に当たる。悠貴が甘い声を漏らす。ここ数日で覚えた彼の弱いところを、丁寧に責める。舌を絡ませ、頬を凹ませて吸うと、腰がびくんと跳ねた。唾液が糸を引き、くぽ、くぽ、と卑猥な音が響く。

 

「んっ……お姉ちゃん……今日は、入れたいから……あんまりすると、出ちゃうよ……」

 

「わかってる。でも、少しは我慢して」

 

私は一度口を離し、彼をベッドに寝かせた。自分もその横に並び、彼の手が私の体を這うのを受け入れる。湯上がりの敏感な肌に、唇が落ちる。耳の裏を舐められ、首筋を吸われる。鎖骨にキスを連ねられ、胸に顔を埋められる。

 

「ん……悠貴……」

 

乳首を舌で転がされ、強く吸われる。甘い刺激が下腹部に直結する。反対の胸も同様に責められ、両手で揉まれながら唇で扱われると、腰がくすぐったように疼いた。お腹を舌でなぞられ、へそに軽く歯を立てられる。太ももを内側から舐め上げられ、私は思わず膝を開きかけてしまった。

 

悠貴の指が割れ目を割り開き、クリトリスをゆっくりと撫でる。くちゅ、という音が立つ。すでに充分に濡れていて、指が沈む。一本、二本と増え、ゆっくりと深く掻き回される。中を抉るように動かされ、クリトリスを親指で圧迫されると、背中が大きく反った。

 

「あっ……そこ……んっ、深い……」

 

「お姉ちゃんの中、もうこんなに柔らかい。熱いよ」

 

指の動きが速くなる。水音が激しくなる。私は枕に顔を埋め、腰を彼の手に押し付けた。このまま指でイってしまいそうなところを、あえて我慢する。

 

「もう、いい。入れて」

 

「本当に?」

 

「うん。……優しくしてね。初めてのあなたに、合わせるから」

 

悠貴が枕元からコンドームの包みを取り出す。手が一瞬だけ震えているのが見えた。童貞の彼が、初めてそれを付ける。私は起き上がって彼の手を支え、一緒に丁寧に装着した。ゴムの感触が、熱い肉を覆う。少しきつく見える。

 

彼が私の上に覆い被さる。膝で太ももを大きく開き、熱い先端が割れ目に当たる。愛液でぬるぬるに滑る。悠貴が腰を沈め、ゆっくりと押し入れてきた。

 

「んっ……はぁ……」

 

異物感がある。痛いというほどではないが、指とは違う熱と硬さ、そして長さが、中を押し広げていく。ゴム越しでも、青筋の凹凸がわかるみたいだった。悠貴は途中で動きを止め、私の顔を覗き込んだ。額に汗が浮かんでいる。

 

「……大丈夫? 痛くない? ゆっくり、してる?」

 

「大丈夫。少し、大きいだけ。……あなたこそ、初めてでしょ。無理しないで」

 

「うん。お姉ちゃんの中、すごく熱い……すごい……絡みついてくる……」

 

彼がさらに腰を押し、根元まで沈めた。埋め尽くされる感覚。子宮の奥に当たるような圧迫感。私は小さく喘ぎ、彼の背中に腕を回した。悠貴はしばらく動かず、私の中で脈打つ感触を味わっているみたいだった。息が熱い。

 

「動いても、いい?」

 

「……うん。ゆっくりで。痛かったら、言うから」

 

彼が慎重に腰を引き、また沈める。ゆっくりとしたピストン。ゴム越しでも、熱が深く伝わってくる。最初は違和感が強かったが、徐々にそれが甘い摩擦に変わっていく。中を擦られるたびに、電流のような快感が走る。私の声が、自然と甘くなっていった。

 

「あっ……そこ……んっ、角度、いい……」

 

「ここ、気持ちいい? お姉ちゃんの顔、すごくいいよ……とろんとしてる」

 

悠貴の動きが、少しずつ確実になっていく。童貞とは思えないほど、私の反応を見て角度を変えてくる。以前の彼氏とは違う。血の繋がった弟が、私の中で脈打ち、動いているという事実が、背徳的な興奮を強く煽る。快楽が、罪悪感と混ざって倍増していく。

 

「悠貴……初めてなのに、上手……んあっ……」

 

「お姉ちゃんが、感じてくれるから……もっと、したくなる……中が、吸ってくる……」

 

腰の動きが速くなる。水音がくちゅくちゅと激しく響く。私は彼の腰に脚を絡め、深く受け入れた。悠貴が私の乳首を口に含み、吸いながら突いてくる。下から突き上げるような角度に変えられ、クリトリスに彼の恥骨が当たるたびに、視界が白く弾けそうになる。

 

「もう……いっちゃうかも……お姉ちゃん……気持ちいいよ……」

 

「いいわ。出して。でも、中には出さないで……ゴムのまま……ちゃんと……」

 

「うん……っ!」

 

悠貴が大きく腰を押し当て、体を硬直させた。コンドームの中で、熱いものが勢いよく脈打つのがわかる。量が多い。私は彼を抱きしめ、その間も小さく腰を動かして、自分の快感を追い求めた。クリトリスに圧がかかる角度で、一気に頂点へ駆け上がる。

 

「んあっ……いく……いっちゃう……悠貴っ……中で、感じる……!」

 

内側が激しく痙攣し、彼のものを強く締め付ける。悠貴が苦しそうに、しかし嬉しそうにうめいた。長い絶頂の余韻の中で、私たちは汗ばんだ体を密着させたまま、激しく息をしていた。心臓の音が、互いの胸に伝わってくる。

 

しばらくして、悠貴がゆっくりと腰を引いた。抜けるときに、くちゅ、という音がする。コンドームの先端が、白い精液で大きく膨らんでいる。彼はそれを慎重に外し、ティッシュに包んで捨てた。まだ少し硬さが残っている。

 

二人とも、しばらく天井を見つめたまま動けなかった。私の中に、まだ彼の形が残っているみたいだった。奥が、熱く脈打っている。

 

「……本当に、してしまったね」

 

「うん」

 

悠貴が横を向いて、私の顔を見る。目が少し赤い。汗で額の髪が張り付いている。

 

「お姉ちゃんが初めてで、よかった。他の誰かじゃ嫌だった。本当に」

 

「……私は初めてじゃないのに。前の人とは、こんなに……深くは感じなかった」

 

「いいんだ。お姉ちゃんの全部が、初めての僕には特別だから。中、ずっと覚えてる」

 

その言葉が、胸に染みた。私は彼の髪を優しく撫でる。指に汗が絡む。

 

「痛くなかった? 急いだりして。初めてなのに、長く頑張ったわね」

 

「最初は少し、変な感じだった。けど凄く気持ちよくて。お姉ちゃんの中が、熱くて、柔らかくて……動くたびに絡みついてきて……」

 

「また、したい。今度はもっと、長く……ゴム、何個かある」

 

「……調子に乗らない。とりあえず、片付けなさい。お母さんたち、十一時過ぎには帰ってくるんだから。痕跡、残したら大変よ」

 

そう言いながらも、声に棘はなかった。悠貴が身を起こし、私の体をタオルで優しく拭いてくれる。太腿の内側に残った愛液まで、丁寧に。その仕草が、妙に優しくて、また胸が熱くなった。

 

私たちは服を着て、部屋の痕跡を消した。シーツのしわを伸ばし、ゴミ箱の中身を確認し、窓を少し開けて匂いを飛ばす。リビングに戻ったとき、時計はまだ九時半を指していた。

 

ソファに並んで座る。肩が触れる距離。先ほどまで繋がっていた体が、今は普通の姉弟の距離に戻っている。なのに、空気は明らかに違う。体の芯が、まだ彼の熱を覚えている。

 

「お姉ちゃん」

 

「何」

 

「これからも、こうしていい? 入れてもいい?」

 

「……考えとく。とりあえず、今日はもう休みなさい。明日、普通に接しないと」

 

「うん。……大好きだよ。お姉ちゃん」

 

「知ってる。私も……まあ、嫌いじゃないわ」

 

私はテレビをつけた。画面の光が、二人の横顔を淡く照らす。体の芯に残る熱と、心に残る背徳感。越えてしまった線は、もう二度と元には戻らない。一週間前に両親が「遅くなる」と言ったときから、私たちはここに向かっていたのかもしれない。

 

それでも、嫌だとは思えなかった。

 

悠貴の手が、そっと私の手に重なった。拒まずに、私も指を絡める。両親が帰るまでの短い時間を、私たちは静かに、しかし確かに繋がったまま過ごした。彼の親指が、私の手の甲を優しく撫でている。その感触が、さっきまで私の中を掻き回していた熱と重なって、また小さく下腹部が疼いた。




読んでいただきありがとうございます。

こちらもよろしくお願いします。
[二次創作の館]
https://h.syosetu.org/novel/431207/
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