放課後のチャイムが鳴り響いたとき、私は教室の窓からグラウンドの方をちらりと見た。
秋の陽射しが傾きかけて、サッカー部の練習が始まっているのが遠くに見える。悠貴の姿も、その中にいるはずだ。陸上部の練習まであと三十分ほどあった。いつもならすぐに着替えてグラウンドへ向かうところを、今日は少しだけ足を止めた。
「……ちょっとだけ、見ていこうかな」
呟くようにそう言って、私は教室を出た。関係を楽しむと決めてから、日常の中で悠貴を意識してしまう自分が、前よりはっきりしている。学校でも「普通の姉弟」を演じているつもりなのに、心のどこかで彼の気配を探してしまう。矛盾した自分だと思いつつ、足は自然とサッカー部のグラウンドへ向かっていた。
グラウンドのフェンス越しに、練習の様子が見える。悠貴はサイドでパスを受けて、すぐに切り込んでいた。汗で髪が額に張り付き、ジャージの胸元が少し開いている。息を弾ませながら走る姿が、いつもより色っぽく見えてしまうのは、私のせいだ。
「……集中しなさいよ、悠貴」
誰にともなく呟いて、私は少し離れた木陰に立った。陸上部のユニフォームに着替えたばかりで、シャツは体にぴったりと張り、ショートパンツは太腿を大きく出している。さっきのランニングで軽く汗をかいていて、肌がほのかに光っていた。
練習の合間に、悠貴が水を飲もうとベンチに戻ったとき、目が合った。
彼は一瞬だけ目を見開き、それからゆっくりとこちらへ歩いてくる。近くまで来ると、視線が私の体を上から下へ、露骨に這った。ユニフォームの胸の膨らみ、汗で少し透けたシャツの感触、ショートパンツから覗く脚の線。悠貴の喉が小さく動いたのがわかった。
「お姉ちゃん……その格好」
「部活の前に、少し見に来ただけよ。邪魔?」
「邪魔っていうか……集中できない。そんなの着て来られたら」
悠貴が声を低くして、近くに寄ってくる。汗の匂いがほんのりした。私はわざと涼しい顔で彼を見上げた。
「自分の練習に集中しなさい。私はただの見物よ」
「嘘だ。お姉ちゃんも、俺のこと見てたでしょ」
「……少しだけね。フォームが乱れてたから、注意しようかと思って」
「ひどい。心配してくれたわけじゃないんだ」
「ふふ、どっちでもいいでしょう。そろそろ戻らないと、先生に怒られるわよ」
悠貴は不満そうに唇を尖らせたが、すぐに練習に戻っていった。その後ろ姿を見送りながら、私は自分の胸が少し騒いでいるのを自覚した。彼の視線が残って、ユニフォームの下がくすぐったい。
練習が区切りを迎えたとき、悠貴が再びこちらへ走ってくる。息を弾ませ、汗で顔を輝かせたまま、私の腕をそっと掴んだ。
「お姉ちゃん、ちょっと来て。話がある」
「今から? 私、陸上部の練習が……」
「五分だけでいい。お願い」
その目が熱を帯びているのを見て、私は小さく息を吐いた。拒めない。というより、拒む気になれなかった。
「……わかったわ。ただし、すぐに戻るから」
二人で校舎の裏手へ回る。部活の声が遠くに聞こえ、人通りのない影の部分。壁に寄りかかるようにして、悠貴が私を囲い込んだ。
「お姉ちゃんのその格好……ダメだ。ずっと気になってた」
「練習中にそんなこと考えてたの? 不真面目ね」
「お姉ちゃんが悪いんだよ。汗かいて、肌が光って……シャツ、張り付いてるし」
言いながら、悠貴が顔を近づけてくる。私は彼の首に手を回し、自分から唇を重ねた。汗の塩気が舌に混じる。深くキスを交わすと、悠貴の手がすぐに私の腰に回った。ユニフォームのシャツの裾から、直接肌に触れてくる。
「ん……悠貴、汗ばんでる」
「お姉ちゃんも。匂い、好き」
耳元で囁かれ、背筋がくすぐったく震える。悠貴の手がシャツの中を這い、ブラの上から胸を包み込んだ。汗で湿った生地越しに、指が乳首を探る。優しく揉まれ、摘まれるたびに、甘い刺激が下腹部に落ちた。
「あっ……んっ……学校で、こんなこと……」
「声、出ちゃうよ。誰か来たら大変だ」
そう言いながらも、悠貴はブラをずらして直接肌に触れてきた。親指で乳首を転がし、軽く摘まむ。反対の手でショートパンツの中に滑り込ませ、太腿の内側を撫でる。私は壁に背中を預けて、彼の肩に顔を埋めた。
「悠貴……触りすぎ……」
「だって、お姉ちゃんのここ、もう熱い。濡れてる」
指がパンツの上から割れ目を優しく擦る。くちゅ、と小さな音がして、私は息を詰めた。悠貴はパンツの端をずらすと、直接指を滑り込ませてきた。クリトリスをゆっくりと撫で、割れ目に沿って上下させる。すでに充分に濡れていて、指がぬるぬると沈む。
「んっ……あっ……そこ……優しく……」
「うん。お姉ちゃんの感じるところ、覚えてる」
一本の指がゆっくりと中に入ってくる。深くは入れず、入り口を丁寧に掻き回すように動かされる。親指でクリトリスを圧迫されながら、中を優しく抉られると、腰がくすぐったように疼いた。私は声を殺して、彼のジャージの中に手を入れた。
すでに硬く熱を持ったものが、手のひらに収まる。汗ばんだ肌を直接触ると、悠貴が低く喘いだ。
「お姉ちゃんの手……気持ちいい……」
「静かに。……私も、我慢してるんだから」
互いに触れ合いながら、キスを重ねる。悠貴の指が二本に増え、ゆっくりとピストンを始める。水音が小さく立つたび、私は彼の肩に顔を押し付けて声を抑えた。校舎の向こうから、部活の掛け声が聞こえる。いつ誰が来てもおかしくない場所で、実の弟に指を入れられているという事実が、背徳的な興奮を強く煽った。
「悠貴……もう、いきそう……」
「一緒に。お姉ちゃんの手、もっと動かして」
私は彼のものを上下に扱く速度を上げた。先走りでぬるぬるになった先端を、親指で円を描くように刺激する。悠貴の指も深くなり、クリトリスを執拗に責められる。腰が震え、視界が白く霞む。
「んっ……いく……悠貴っ……」
内側が激しく痙攣し、彼の指を強く締め付けた。同時に、悠貴のものが手の中でびくびくと脈打つ。白い精液が勢いよく飛び出し、私の指とユニフォームの裾にかかった。量が多い。熱い感触が、手首まで伝わる。
二人とも、しばらく壁に寄りかかったまま、激しく息をしていた。汗と精液の匂いが、狭い空間に満ちる。
「……出ちゃった」
「ええ。……多いわね、今日」
悠貴が少し慌てたように周囲を見渡す。ハンカチもティッシュも、持ち合わせていなかった。ジャージのポケットを探っても、何もない。
「どうしよう。これ、拭くものない」
「……仕方ないわね」
私は短く溜息をついて、ショートパンツの中に手を入れた。パンツの端を掴み、ゆっくりと下ろす。悠貴の視線が、そこに釘付けになる。私はパンツを完全に脱ぎ、彼の手に渡した。
「これで拭いて。後で捨てるから」
「……お姉ちゃんの、これで?」
「他にないでしょ。早くして」
悠貴は一瞬躊躇したが、すぐにパンツを受け取ると、丁寧に自分のものと私の手についた精液を拭い始めた。白い染みが、黒い生地に広がっていく。拭き終わり、彼は少し名残惜しそうにパンツを握っていた。
「……ありがとう。お姉ちゃん」
「もう。調子に乗らないの。履き直すから」
私はショートパンツだけを履き直した。パンツがない。生地が直接肌に触れ、風が少しでも入ると、割れ目に冷たい感触が走る。愛液で濡れた部分が、ショートパンツにじんわりと張り付くのがわかった。ノーパンで立つ感触が、予想以上に生々しくて、また小さく腰が疼いた。
「お姉ちゃん、それ……ずっとそのままでいるの?」
「仕方ないでしょ。ポケットに入れるわけにもいかないし。後で捨てるわ」
「……エロい。お姉ちゃんがノーパンで部活するなんて」
「言わないの。ばれたら終わりよ」
悠貴が嬉しそうに目を細める。私は彼の胸を軽く押して、距離を取った。
「そろそろ戻らないと。私、陸上部の練習があるんだから」
「うん。……また、後で」
目配せするようにそう言って、悠貴は先にグラウンドへ戻っていった。私は一人、壁に背中を預けて息を整える。ショートパンツの中が、無防備に開いている感覚。歩くたびに生地が擦れて、さっきの余韻が蘇る。
陸上部の練習中も、その感触は消えなかった。走るたびに、風が直接肌を撫でる。普通なら気にならない動きが、今日は過剰に意識された。監督の指示を聞きながらも、心のどこかで「悠貴に見られているかも」と思ってしまう自分が、少しだけ恥ずかしかった。
夕方、部活が終わって帰宅する。玄関で靴を揃えると、母が「おかえり」と顔を出した。いつもの日常。私はできるだけ平常心で返事をして、二階へ上がった。部屋でユニフォームを着替えながら、ノーパンだった数時間を思い出す。ショートパンツを脱いだ瞬間、濡れた跡が残っているのがわかって、顔が熱くなった。
夜、両親がリビングでテレビを見ている頃、悠貴がこそっと私の部屋に入ってきた。
「お姉ちゃん」
「何? もう寝る時間よ」
「今日のこと……聞きたい」
彼はベッドの端に腰を下ろして、私の顔を覗き込む。目が少し悪戯っぽい。
「ノーパンで、ずっと過ごしてたでしょ。どんな感じだった?」
「……変な感じだったわ。風が直接当たるし、動くたびに擦れて」
「感じてた? 部活中も」
「少しはね。……あなたのせいよ」
悠貴がにやっと笑って、私の手に自分の手を重ねる。
「また、したい。学校でも。お姉ちゃんのああいう姿、見ると我慢できない」
「ばれたら本当に終わりなんだから。気をつけること」
「うん。でも、お姉ちゃんも嫌じゃなかったでしょ」
否定できなかった。私は彼の髪を優しく撫でて、小さく息を吐いた。
「……嫌じゃなかったわ。でも、次はちゃんと準備しなさい。ティッシュくらい持ち歩きなさいよ」
「はい。お姉ちゃんのパンツ、また使ってもいい?」
「だめに決まってるでしょう。調子に乗らないの」
言いながらも、声は優しかった。悠貴が嬉しそうに私の肩に頭を預けてくる。その重みが、温かくて愛おしい。
学校という場にまで、この関係が広がり始めている。背徳感は残る。でも、それ以上に、甘い余韻が体の芯に残っていた。
私は彼の手に指を絡めながら、静かに目を閉じた。
「そろそろ寝なさい。明日も早いんでしょう」
「うん。……お姉ちゃん、今夜もそばにいて」
「……少しだけよ」
悠貴の体温が、肩を通して伝わってくる。窓の外で、虫の声が細く鳴いていた。