優等生ドM姫騎士と根暗爆乳魔族少女の戦いがヌルいので、300年生きた魔王の俺が両方快楽堕ちさせて支配する 作:オオテン
「……ん。あれ、私は」
目が覚めると、私は夜空を見上げていた。
公園のベンチに寝かされているらしい。
手を目の前に掲げると、銀色の小手は消えていた。
変身が解けているのだ。
辺りを見渡す。公園での激闘の痕跡も、綺麗に消えていた。それは、結界も消滅したことを意味していた。
「結界……そうだ、ネライダ! 彼女はどこへ行ったの? それに、あの男の人は無事なの!?」
身体を起こす。少しフラついたが、問題なかった。
そのとき、私に声をかけてくる人がいた。
「気がついた?」
私と同じ制服を着た女子生徒が、遠慮がちに近づいてきた。
くせ毛の目立つ、やや茶色のロングヘアに、私は見覚えがあった。
「あなたは、黒樹さん? どうしてここに」
「塾からの帰りに買い物をしていて、柊木さんが倒れているのを見たから」
そう言って、買い物袋を見せてくる。
私はほっと息を吐いた。
黒樹さんは近くの水飲み場でハンカチを濡らし、私の顔を拭いてくれた。
その際に、買い物袋の中身が見えてしまう。0.01㎜の文字が印字された箱。
実際に使ったことはなくても、何に使うのかは知っていた。
赤面して視線を逸らす私に首を傾げた黒樹さんは、買い物袋の中身に気がついたらしく、慌てた。
「こ、これは違くて」
「ひ、避妊の意識が高いのはいいことだよね」
分かった風な返答をしてしまう。これでは、『そういうこと』をよく知っていると思われても仕方ない。
それにしても、びっくりした。
黒樹さんはクラスでも大人しくて目立たない子だから、そういうことに縁遠いと思っていた。
(けど、身体付きは、確かに……)
黒樹さんは長身だ。私の顔を拭くとき、自然と前屈みになり、ぱつんぱつんに張った胸部が目の前で揺れる。
柔らかそう。こんなに大きな胸をしていれば、お互いに気持ちよさそうだな。きっと感度もいいんだろうな。
(って、何を考えているの。私は!)
下半身がうずいた。膝をこすり合わせながら、ぶんぶんと頭を振って、煩悩を振り払う。
「柊木さん……」
「な、何かしら」
「その。あんまり胸を見られると、恥ずかしい」
ぎゅっとハンカチを握りしめ、それを顎先に当てる黒樹さん。その拍子に、細い腕が胸の谷間に食い込み、沈んだ。
あれが、男の人のアレだったら、完全に埋まってるかも……すごい……。
「ごめんなさい。黒樹さんが羨ましくて、つい」
私は理性を総動員して、いつもの優等生スマイルを浮かべた。
言えない。
実家が厳しい反動で、そういうエッチなことに興味津々だなんて、言えるわけがない。
私は話題を変えた。
「ところで、黒樹さん。ここに来るまでに、何か変わったことはなかった?」
「変わったこと? 柊木さんが公園で倒れてたのはびっくりしたけど、それ以外は別に」
「何かあったの?」と尋ねてくる黒樹さんに、私は「何でもない、気にしないで」と答えた。
(ネライダとの戦いや変身した私を見られたわけじゃないんだ。あの男の人も無事に逃げられたのかな)
そうだといい、と私は思った。
私がふがいないせいで、一般人を犠牲にするのは耐えられない。
それは――とても、正しくない。
私は立ち上がった。
「いろいろありがとう、黒樹さん。夜道は危ないから、家まで送るわ」
「ううん。大丈夫」
黒樹さんは断った。
私ははっとした。そうだよね。コンドームを買った帰りだものね。きっと、恋人が待っているんだ。
それで、家に帰ったら……。
たくましい男の人と、きっとあんなことやこんなことを……。
あんなに大きくて柔らかそうな胸で奉仕されたら、男の人も喜ぶだろうな。
羨ましい……。
「柊木さん?」
「あっ、ごめんなさい。それじゃあ、気をつけて帰ってね」
「待って。ひとつだけ、お願い、いいかな」
黒樹さんが食い下がるなんて、珍しい。
私は事情を察した。
「大丈夫だよ、黒樹さん。今日のことは秘密にするから」
「そうじゃなくて……よかったら、また話しかけてもいい? 柊木さんに」
「黒樹さん……」
意外だった。
けれど、クラスをまとめる立場として、黒樹さんの変化は喜ぶべきことだと思った。
「もちろん! クラスメイトだし、お友達になりましょう」
「ありがとう。……うれしい」
黒樹さんは小さく笑った。
その表情がどこか艶っぽくて、私はどきりとしてしまった。
それから、私は黒樹さんと別れ、家路についた。
「やっぱり制服姿は目立つかな。今度戦うときは、私服に着替えたほうがいいかも」
戦う――。
そう、私は戦っている。
聖光騎士アウローラとして。
自ら望んで手に入れた力ではない。
ある日突然、異空間から現れた不思議な光によって、私は聖光騎士となった。
同じく異空間から現れる異形の化け物や魔族から、人々を陰ながら守るために。
一方的で、理不尽な状況と言えた。苦労もあった。
けれど、私は聖光騎士アウローラとして戦うことに、やりがいを感じていた。
騎士として人々を守る。
これならば、家族にも胸が張れる、と。
アウローラの力はとても強く、化け物相手に苦戦することはなかった。
『彼女』が現れるまでは。
魔族ネライダ。彼女の力は、私とほぼ同等だった。
苛烈な正確で人々を見下す彼女を放っておけば、やがて結界を破って多くの人々を傷つけ、弄ぶだろう。
それだけは防がなければ。
「あんな、破廉恥な格好で。きっと男の人を誘惑しているんだわ」
ふと、妄想する。
あの男の人に、ネライダが性的に迫るイメージを。
男の人なら誰でも釘付けになるであろう、あの柔らかそうな胸を押しつけて、細い指先で男の人のあれを……あれを……。
「また! もうっ! いい加減にしなさい、アサナ!」
自分自身を叱りつけ、私は家路を急いだ。