ホテルの一室、ベッドの上で激しい嵐のあとのような気だるさと温もりに包まれながら、二人はゆっくりとまぶたを開けた。昨夜の狂乱の記憶が鮮明に蘇り、顔を真っ赤に染め上げたレフィーヤは、シーツを引っ張り上げて全身を隠そうとする。
「な、なんてこと……私、昨夜はあんなに……っ!」
「れ、レフィーヤさん、落ち着いてください……っ! その、昨日のことは、僕がちゃんと責任を――」
「うっさいわねバカ白兎! そんな大声を出さないでちょうだいっ!」
恥ずかしさと胸を突くような甘い焦燥感に耐えかねて頭を抱えるレフィーヤだったが、ふと自分の腕や太ももに目をやった瞬間、言葉を失った。
昨夜の濃厚な営みの証として、肌のあちこちに汗と、お互いの体液が乾いた痕がしっかりと残っている。それは自分たちが確かに一線を越え、幾度も求め合った紛れもない事実だった。
「はぁ……はぁ……、もう、どうしてこうなっちゃうのよ……」
頭をぐしゃぐしゃとかきむしり、うなだれるレフィーヤの横で、ベルもまた気まずそうに自分の頭をポリポリと掻きながら布団からそっと上半身を起こした。
「あの、レフィーヤさん……その、身体が……すごくベトベトしますし、その、なんだか色んな痕も……」
ベルの言葉にハッとして自分の身体を見下ろしたレフィーヤは、再び顔を真っ赤に染め上げた。
確かに、お互いの汗や、ベルから注がれ続けた大量の白濁液が乾きかけて、素肌はひどくベタついている。昨夜の熱狂の凄まじさを改めて突きつけられ、レフィーヤは気まずそうに顔をそむけた。
「……そ、そうね。これじゃあ、すごく気持ち悪いわ……」
「あ、じゃあ……僕、先にシャワールームに行って……って、レフィーヤさん?」
ベッドから抜け出してシャワールームへ向かおうとしたベルの腕を、レフィーヤが慌ててスッと掴んだ。
恥ずかしさに潤んだ黄金色の瞳でベルを見上げ、彼女はわずかに頬を赤らめながら、しかしどこか甘えたような声でこう呟いた。
「なに言ってるのよ……一人で行くわけないでしょう。……二人で、入るわよ」
「え……っ? ふ、二人で……ですか!?」
「なによ、嫌なの……っ? 昨日あんなにあんなことまでしておいて、今更恥ずかしがるなんて言わせないんだから……っ!」
強がりながらも、その手はしっかりとベルの袖を掴んで離さない。
拒絶する余裕などベルにあるはずもなく、真っ赤に顔を染めたまま、彼はレフィーヤに手を引かれるようにして湯気の立ち込める浴室へと足を踏み入れるのだった。
シャワールームのドアが閉まり、ひんやりとしたタイル張りの床に温かい湯気がふんわりと満ちていく。
浴室の明るい照明の下で、昨夜は暗がりと熱狂のなかで見えにくかった互いの姿が、はっきりと露わになった。
ベルは、湯気の向こうに立つレフィーヤの姿を目の当たりにして、思わず息を呑んだ。
そこにいたのは、服を纏わない完全な素肌の――紛れもなく、昨夜自分が何度も抱きしめ、愛し、貪り尽くした女性だった。
山吹色の美しい髪は汗と湿気でしっとりと肌に張り付き、華奢で気品のある首筋から滑らかな鎖骨、そして幾度もの愛撫でほんのりと桜色に染まった柔らかそうな肌には、昨日ベルが残したキスマークや赤みが痛々しくも甘い軌跡として刻まれている。
(僕……昨夜、本当にこのレフィーヤさんと……っ)
夢ではなく現実なのだという事実が脳裏に叩き込まれ、ベルの心臓が激しく脈打つ。
彼女の身体を思い出すだけで、昨日からの熱が再び下腹部へと急速に集まっていくのを感じた。
一方のレフィーヤも、昨夜は恥ずかしさで目を伏せるか、快楽に溺れて頭が真っ白になっていたため、こうして明るい場所で裸のままベルに向き合うのは初めてだった。
(うそ……こんなにはっきり……)
ふと、視線を下へと落としたレフィーヤの瞳が、驚愕で見開かれた。
目の前で立ち尽くすベルの股間には――昨夜の営みの終わりを知らないかのように、彼の華奢で少年の面影を残す体格には似つかわしくないほど立派に、そしてゴンと硬く反り返った『男の証』が、ふたたびむき出しのまま凄まじい存在感を放ってそそり立っていたのだ。
「っ……!?」
レフィーヤは息を呑み、思わず両手で自分の口元を覆った。
あんなに何度も――それこそ二桁を超えるほど射精を重ね、お互いが気を失う寸前まで交わり続けたというのに。男の体とはこれほどまでに底知れぬものなのかと、彼女は気恥ずかしさと畏怖のような感情で胸を突かれる。
「あ……その、これ……勝手に……っ」
ベルは自分の股間を見られていることに気づき、真っ赤になって両手で必死にそれを隠そうとしたが、すでに限界まで熱く硬く膨れ上がった怒張は、少年の手からこぼれ落ちそうなくらいにびくりと脈打っている。
レフィーヤはその熱を孕んだ巨大なモノから目を離せぬまま、トロンと潤んだ黄金色の瞳をベルへと向けた。
さっきまでの強気なエルフの面影はどこへやら、彼女の頬はトマトのように真っ赤に染まり、吐息はみるみるうちに熱を帯びていく。
「……ばか……っ。なに、また元気になってるのよ……昨日あんなにしたのに……っ」
「す、すみません……っ! でも、レフィーヤさんが目の前にいて……その、昨日のこと思い出したら、勝手に体が……っ!」
言い訳をするベルの声は、恥ずかしさでうわずっていた。
しかし、その焦るような、それでいて自分を欲していることが隠しきれないベルの姿を見た瞬間、レフィーヤの中で別の感情がパチンと弾けた。
怖い、恥ずかしい――けれど、それ以上に。
私をこんなにも求めてくれているという事実が、甘く、愛おしくて堪らない。
レフィーヤは潤んだ瞳でベルを見据えたまま、恥じらいに震える声でぽつりと呟いた。
「……もう。そんなに見せつけないでよ……っ」
「レフィーヤさん……?」
「……だから、その……。昨日は私から誘ったんだから……今度は、ちゃんと責任持って……私の体、洗ってよね……っ」
「洗う……ですか……っ!?」
「な、なによ文句があるの……!? 昨日あんなに私を激しく弄び倒したくせに……! 身体中、貴方の跡と……変な匂いが残ったままで気持ち悪いんだから、責任取って綺麗にしなさいよ……っ!」
赤面しながらもツンと鼻を鳴らし、レフィーヤはベルに背中を向けた。山吹色の髪を前にさっと払い、華奢で滑らかな背中を露わにする。背骨のラインに沿って刻まれた薄い桜色のキスマークが、昨夜の情熱をまざまざと物語っていた。
「……は、はいっ! わかりました……っ!」
ベルは動転しながらも、棚からボディーソープのボトルを手に取った。
掌にたっぷりと透明なソープを取ると、手早く泡立て、細かくきめ細やかな白い泡を両手いっぱいに作る。意を決して、ベルはその泡気立つ両手を、レフィーヤの無防備な背中へとそっと滑らせた。
「んっ……ふぁ……♡」
手のひらが触れた瞬間、レフィーヤの肩が小さく跳ね上がり、甘い吐息が口から漏れ出た。
「レ、レフィーヤさん……大丈夫ですか……っ?」
「だい、じょうぶよ……っ。……手、あたたかいわね……」
「……はい」
ベルは呼吸を整え、背中から肩、そして華奢な腕へと、泡のクッションを挟んで丁寧に洗い進めていく。
エルフ特有の吸い付くような肌の滑らかさと、その下に確かな温もりを持つ少女の肉体。その柔らかい感触を、ベルは噛み締めるようにくっきりと脳裏に焼き付けていく。昨夜は夢中で貪った彼女の体が、今は自分の手の中でいとおしく委ねられている。
手が背中から前に回り込み、豊かな膨らみの側面を撫で上げる。
「あ……っ、そこっ……♡」
「すみません、胸のところも……洗いますね……っ」
「ん……いいですよ……綺麗にして……」
ベルの大きな手が、泡でヌルりと滑りながらレフィーヤの胸を包み込んだ。ペールピンクの下着をはだけさせて吸い付いた昨夜の光景が頭をよぎる。指先が先端の突起を包み込むように撫で、キュッと優しく指先でつまみ洗うたび、レフィーヤは背筋を弓なりにし、艶っぽい声を洩らした。
「ひゃぁんっ……♡ つ、つまんじゃ……ダメぇっ……! 声、出ちゃう……っ♡」
「あ、すみませんっ……! でも、綺麗にしないと……っ」
「っっ……あん……っ♡」
洗う手がさらにお腹へと滑り落ち、下腹部の滑らかな凹凸を撫でていく。そして、ベルの指先が、昨夜何度も熱く貫き、注ぎ込み続けた彼女の秘所――まんこの割れ目へとそっと触れた。
「あぅっ♡」
指先が秘唇を優しく撫で開くと、昨夜ベルが注ぎ込んだ白濁した精液が、今朝方新たに溢れ出た滑らかな愛液と混ざり合い、とろりと泡とともに滑り落ちていく。
「はぁ……あぁっ♡ す……凄く、出てる……っ。ベルの……白いの……っ♡」
「あ……ごめんなさい、僕、こんなにたくさん……っ」
「わざわざ、言わなくていいです!……バカっ♡ 貴方が……出しすぎたんでしょう……あぁんっ♡」
恥ずかしさに顔を真っ赤に染めながらも、レフィーヤは足をわずかに開き、ベルの指が秘部を洗う感触に身を委ねた。泡と体液が混ざり合い、くちゅ、くちゅと淫らな音を立てる。
さらにベルの手は、お尻の柔らかい肉を鷲掴みにするように揉み洗いしながら、その中心――キュッと引き締まった菊門へと指先を潜り込ませた。
「ひぁっ……!? そ、そこまで……っ!?」
「お尻も……綺麗にします……」
指先がお尻の穴の周りを優しく丸を描くように擦り洗い、汚れと体液を落としていく。直に触れられる背徳的な刺激と、ベルの無骨な手の熱さに、レフィーヤは腰を砕かれそうになりながらも、その手つきにどこか恍惚とした快感を覚えていた。
全身を余すことなくベルの手で愛でるように洗われ、すっかりと身体が熱と快楽で痺れきったレフィーヤは、たまらず後ろを振り返った。
「ベル……っ♡」
「レフィーヤさんっ!?」
洗われ終えた全身泡まみれの身体のまま、レフィーヤは正面からベルの胸へとすがりつくようにして、力強く抱きついたのだった。
正面から強く抱きつかれた衝撃で、湯気の立ち込める浴室内に水滴と白い泡が微かに弾け飛んだ。
「レフィーヤさん……っ!?」
ベルが驚いて声を漏らした瞬間、二人の素肌が泡を介して密着する。
洗われたばかりの滑らかなレフィーヤの胸が、むにゅりと形を変えてベルの引き締まった胸板へと押し付けられた。エルフ特有のしなやかな柔らかさと、高鳴る鼓動がダイレクトに伝わってくる。
そして、それ以上に互いを意識させたのは、レフィーヤの下腹部に真っ直ぐ押し当てられたベルの存在だった。
先ほどから熱く硬く滾っていた怒張が、正面からの抱擁によって彼女の滑らかな下腹部と股間の隙間にガツンと突き当たり、脈打つような硬度をまざまざと主張している。
「あ……っ♡ ベルの……またこんなに当たってる……っ」
「す、すみません……! 僕、どうしても身体が反応しちゃって……っ!」
離れようと慌てるベルだったが、レフィーヤは彼の手繰り寄せるように首元へ両腕を回し、さらに深くその身を預けてきた。顔を胸元とうつむき加減の顔の間に滑り込ませ、真っ赤に火照った頬をベルの胸に擦り付ける。
湯気の中で、二人の乱れた吐息が甘く重なり合っていく。
しばらく静かな水音だけが浴室に響いていたが、レフィーヤがふっと息を吐き出し、意を決したように小さく口を開いた。
「ベル・クラネル……さっき部屋で、私に『責任を取る』と言ってくれた時……私、すごく嬉しかったです」
「えっと……嬉しかった、んですか……?」
予想外の素直な言葉に、ベルは目を見開いてレフィーヤの山吹色の髪を見つめた。
いつもなら突っかかってきたり、そっぽを向いてツンツンとした態度を取る彼女が、今はこんなにも無防備に自分の胸の中で本音を漏らしている。
レフィーヤはベルの胸板に顔を埋めたまま、どこか遠い目をするように、ぽつりぽつりと言葉を紡いだ。
「私ね……ロキ・ファミリアに入る前……冒険者を志す前の、本当に幼い頃の夢はね……」
彼女はそこで一度言葉を切り、恥ずかしそうに鼻をすするような音を立ててから、囁くように言った。
「……お嫁さん、だったんですよ」
「お嫁さん……」
その可愛らしくも純粋な昔の夢。そして今、自分に対してそれを打ち明けてくれた意味を悟った瞬間、ベルの胸の奥から熱い感情が爆発するように湧き上がった。
昨夜の酔い任せの過ちではない。自分の情動と、彼女の素直な気持ちが完全に重なり合ったのだと理解したベルは、抱きすくめるようにレフィーヤの華奢な背中に強く腕を回した。
「……必ずします!」
「え……っ?」
レフィーヤが驚いて顔を上げると、そこには赤面しながらも、真っ直ぐで力強い瞳で自分を見つめ返すベルの姿があった。
「僕、必ず……レフィーヤさんを僕のお嫁さんにします!!」
「んあぁっ……♡ ベル……っ、だめ……手だけで……おかしくなりそう……っ♡」
どちらからもなく二人は唇を重ね。
重ねては離してを繰り返し、いつしか舌を絡ませながらる。
何度も舌を絡め合わせるうち、レフィーヤの愛穴からは際限なく愛液が溢れ出し、ベルの怒張もまた今すぐにでも彼女の最奥を貫きたがるように大きく脈打っていた。
泡と体液が混ざり合ったぬるりと滑らかな快楽の渦の中で、二人はどちらからともなく互いを強く抱きしめ直す。
「レフィーヤさん……僕、もう我慢できません……っ。……抱いても、いいですか?」
「訊かないで♡ 貴方のお嫁さんになるって約束したんだから……私の全部、貴方が責任取って……愛し尽くしてください♡」
湯気の立ち込める浴室の壁に背を預け、レフィーヤは自ら片足を大きく持ち上げてベルの腰に絡めつかせた。無防備に開かれた秘所へ、ベルは溢れる愛液を滑り止めにするようにして、太く熱い肉塊をじわじわと根元まで押し込んでいく。
「んあぁぁぁぁッ……♡ 入ってきたぁ……っ♡ ベルの……熱いの……っ♡」
「レフィーヤさんっ……! 好きです……大好きですっ……!」
「私も……っ♡ 私も…………ベルのことが……大好きなんだからぁ♡♡!」
朝の柔らかい光と温かい湯気に包まれた密室で、二人は誰に憚ることなく愛を叫び合い、互いの身体を限界まで貪り合った。
かつてはライバルとして意地を張り合い、素直になれなかった二人が交わした、二人だけの秘密の誓い。
泡まみれの全裸で幾度も絶頂を重ね合い、互いの体温と種子を注ぎ込み合ったその朝――レフィーヤ・ヴィリディスは心も体もベルのものになったのだった。