【R-18G】命散るとき、花は咲く――ファイアーエムブレム無惨 作:無為庵閑人
[chapter:婚儀]
ミネルバがリュッケ達反乱軍の虜となって3か月ほど経った。その間に、戴冠式と婚儀の準備が粛々と進められていた。そして、とうとうその日が来た。
誰もいない玉座。そこに向かって仰々しく盛装したリュッケがゆったりと歩を進める。
玉座の前に立ったリュッケが、そこに腰を下ろす。脇に控え、美しく純白のウェディングドレスを着ているミネルバが王冠を持つ。その後ろには侍従長がアイオテの盾を持ってついていた。
リュッケの前に立ったミネルバは、諦めと躊躇いと無念の籠った声で宣誓する。
「ここに、マケドニア王家第一王女ミネルバは、リュッケ将軍の妻となると共に、王位継承権をリュッケ将軍に譲るものとする」
ミネルバがリュッケに戴冠する。そして、王冠と並ぶレガリアであるアイオテの盾をリュッケに渡す。リュッケが新たなマケドニア王となった瞬間だった。
居並ぶ門閥貴族に、かつての暗黒戦争では喜々としてドルーア帝国に付いた奸臣たちから歓声が上がる。
その後に大宴会が始まった。
宴もたけなわになったところで。
「さぁて。披露宴のメインじゃ」
給仕が3つの大きな銀皿を恭しく持ってきた。それらをテーブルの上に上品に乗せる。
銀の蓋をあけて出てきたのはパオラ、カチュア、エストの白騎士団三姉妹の生首だった。アリティアにいたはずのエストも哀れな姿になっていた。パオラ・カチュアが殺されたのはもちろん、わかっていた。だが、エストまで犠牲になるとは。
「パオラとカチュアは、縛り首の後、この日までブリザーで凍らせておったのだ。中々大変だったぞ。エストは、この日のためにわざわざ皇帝陛下へお願いして、生かしておいたのよ。首を刎ねたのはついさっきじゃ。なかなか活きのよい首であるぞ」
エストが斬首されるまでの様子を魔道士が再生する。粗末な罪人の服に着替えさせられ、泣き叫びながら地下室に連行されるエスト。彼女の首が断頭台に乗せられるとき、彼女の眼前に恋人だったアベルの首が据えられた。そして、泣きわめくエストを数人の刑吏が強引に押さえつけ、刃が振り下ろされて首が落ちた。
その一部始終にミネルバは涙をこらえるしかなかった。マケドニアから離れ、退役していたおかげで難を逃れたはずのエストまでが、こうして無残な姿をさらす羽目になってしまった。
一体、私はなんのために戦ったのか……。いや、まだマリアが残っている。マリアだけは、幸せで暮らしてほしい……。