【R-18G】命散るとき、花は咲く――ファイアーエムブレム無惨 作:無為庵閑人
ミネルバがリュッケの妻になってから5か月後。
ミネルバは自分の体に起こった変化に戸惑っていた。
妊娠。
ほぼ毎日のように子作りをしていれば、当然にも予想された結果だ。
リュッケに犯されているときはもちろん、こうして体の中に宿るもう一つの命の鼓動を感じるとき、自分が女であったことを改めて実感していた。
(妊娠してしまった……。あんな男の子を……)
自ら腹を圧迫し、子を流してしまおうと思ったことも一度や二度ではない。しかし、腹に力を加えようとする度に。
(でも、この子には罪はない……。ちゃんと産んであげないと)
と、思い直して、圧迫するために置いた手で自らの腹を、その奥にいる我が子を優しく撫でるのだった。
そして、月が満ちた。
ミネルバの部屋から産声が響く。
「国王陛下! おめでとうございます!」
「で、生まれたのはどっちだ」
「姫様でございます!」
リュッケが鼻で笑った。
「なんだ。女子か。これでは王位継承権が不安定ではないか……まぁ、よい。」
報告を受けてもリュッケはミネルバの部屋に足を向けることなく、執務室で指揮を執っていた。
産後、全く興味が無くなったのか、彼がミネルバのもとを訪れることはなかった。一方、ミネルバは不器用ながらも、娘をとても慈しんだ。名前も自分でつけた。育児経験は当然なかったが、中年のメイドたちに教えられながら懸命に世話をした。貴人にもかかわらず乳母も付けられなかったので、自らの母乳を娘に与えた。幸いにも乳の出はよかった。がんばって乳を飲み、満腹になるとまたすやすやと眠る娘を見ると、彼女は自然に頬が緩んだ。マリアや自分と同じ赤毛のこともあって、なんだか、赤子のころのマリアを思い出す。
産む前こそ憎い敵の子を孕んだことに苦悩したが、今では全く後悔しておらず、むしろ愛しい子に出会えたことへ感謝すらしていた。ここいるミネルバは赤い竜騎士の異名を持つ雄々しい武人ではなく、どこにでもいる優しい母だった。あの父親が顔を見せなかったのも、かえって良かった。娘も間違いなくミネルバ似であり、リュッケの面影がなかったことも幸いした。この毎日は、ミネルバにとって、今までの人生の中で最も穏やかで満ち足りた日々だった。
しかし。
出産から半年後。突然、そんな毎日に終止符が打たれた。
ミネルバたちの寝室に数人の兵士がなだれ込んできた。
ただならぬ雰囲気を察したのか、ミネルバの腕の中にいた赤子は火がついたように泣き叫ぶ。
「貴様ら! 無礼であろう! 今更何事だ!」
「ミネルバ様、国王陛下がお呼びです」
その割には、普通のメイドや召使、侍従ではなく完全に武装した兵士と指揮を執る騎士しかいない。
ミネルバは問答無用で、再び荒縄で罪人の如く拘束される。
娘の泣き声を背に、何度も後ろを振り返りながら、ミネルバはリュッケのいる謁見の間に連行されていった。
「妻よ。久しぶりだな」
「貴様こそ、無駄に元気そうだな」
「娘は元気か」
「ああ。貴様の手を借りずに私が育てているからな」
リュッケがふん、と鼻で笑う。そして「そうか」と一言。冷ややかな笑みが口元に浮かんでいた。
「貴様のような、女しか生まぬ年増はもういらん。なにせ、新たな妻が加わったからな」
リュッケ将軍が手を叩く。すると。
「ミネルバ姉様……ごめんなさいぃぃぃ。マリアは、リュッケ様のお子を孕んじゃいましたぁ」
妊娠して腹の大きくなったマリアが、そこにはいた。娼婦もかくやというエロティックな下着だけの花嫁姿だった。紐に僅かな布がついただけのブラジャーは普通の乳輪がギリギリ隠れる程度の大きさしかなかったため、妊娠して大きくなった乳輪を隠しきれていない。純白のパンティも紐に小さな三角の布がついただけで、薄い陰毛もちらちらと見え、少し動くだけでも花弁がはみ出しそうだ。
自分は何のためにリュッケに身を捧げたのか……。
ミネルバはそのまま、崩れ落ち、意識を失った。薄れゆく意識の中で。
「スリープ……古代の杖……これで、ふ、う、さ、し、い」
といった声がとぎれとぎれに聞こえたような気がした。