「あたしのような用心棒が、こうも歓迎されるとは」
「いやいやそんな! しかし流石はグレイラット様が雇われた剣の達人。凄まじい……そのぅ、凄まじい気迫を感じさせる出で立ちでいらっしゃいますなぁ」
「そうか?」
「そう、そうですとも。私は武術のド素人ですが、ギレーヌ様のただならぬ……威厳?は察せられます」
フィットア領、城塞都市ロアにある富裕層が暮らす地区。そこに建つ1軒の屋敷の応接間に招かれた猫系獣族の女は、自分を見ようとしつつ、それでいて目を逸らそうとする不思議な挙動の中年男を見て眉根を寄せた。
猫のような獣耳と尻尾。獅子のたてがみの如く外に跳ねた灰色の髪に金色の左目。いっそ全裸の方が慎ましさがあるかもしれない細い革製の服で辛うじて局部を隠した、古傷で覆われたムキムキかつムチムチな褐色の肢体。まさしく猛々しき女戦士といった姿のギレーヌは、ティーカップを置いた後口を開く。
「あたしに読み書きと算術を教えてくれるのは、おま……いや、あなたの息子だと聞いたが」
「はい。ルドルフと申します。物心ついた時から古書を読み漁り、歴史学者を目指しております」
「学者を志す頭のいい奴が、あたしなどに時間を費やしても構わないのか?」
「そんなご謙遜を。それに人間、一番熱心に勉強するのは他の人に教える時とも言いますから、どうかお付き合いいただければと……ああ、ルドルフ!」
「初めまして、ギレーヌさん! 僕はルドルフと申します」
応接室に入った男がギレーヌに向かって右手を胸に当て、頭を垂れる。十代後半と思しきその青少年はギレーヌの乳房の下程までの背丈しかなく、黒髪のおかっぱ頭に柔らかな笑みを浮かべていた。いかにも柔弱そうな、戦いとは無縁の姿にギレーヌは眉を片方上げるも、学者志望の本の虫であればさもあらんと納得し、軽く頷き返した。中年男はルドルフを見て安堵の息を吐いた後、ギレーヌに愛想笑いを浮かべる。
「それでは私はこれで。ルドルフ、お前が申し出たことだ。しっかり務めなさい」
「はい、お父さん……それでは此方へ」
「ああ」
席を立ったギレーヌは、ルドルフの頭頂部を見下ろしながら彼の後を付いていく。階段を2度ほど上り下りして細い廊下を進み、両開きの重い扉を押し開けると、壁に並んだ本棚と、書き物机やテーブルなどの家具がある部屋がギレーヌの視界に入った。
「学者の部屋にしては随分物々しいな」
「古代の本やそれについて書かれた文献はとても貴重なんです。万一無くなったり盗まれたりしたら取り返しがつかないので……」
「なるほど……ん?」
不意に本棚から流れてきた生温かな風に、ギレーヌは左目を細くする。だが、しばらくしてかぶりを振った。この時眼帯に隠された右目の力を使いこなせていれば、彼女はただちに去ったろう。
「ギレーヌさん、どうかしましたか?」
「何でもない。ところで、ギレーヌでいいぞ。お前が気に障らなければ、こっちもルドルフと呼ぶつもりだが……」
「勿論です、ギレーヌ」
「分かった。それで、ルドルフ。あたしは此処で、お前に教えて貰えるのか?」
「はい。まず読み書きの基本である文字と発音から……」
そう言いながら、ルドルフは本棚にあった辞典を取り出して書き物机に置き、その前に座るようギレーヌに促す。言うとおりに着席した彼女は、ずらりと並んだ文字に気圧されつつルドルフを見遣った。
「まず僕がそれぞれの文字の読み方を教えます。その後で字を指差すので、ギレーヌは僕が発音した通りに繰り返して下さい」
「……分かった、と思う」
「じゃあ行きますね。これはアード、こっちはベルで……」
「待て、その2つは何が違うんだ?」
「ヒゲが右下に伸びているかいないかですね。続けますよ?」
「う、うん」
若干自信なさげなギレーヌの傍に立つルドルフが、順番に字を指差しつつ発音する。そして読み方一覧を3周した後、額の汗を拭ったギレーヌは頷いた。
「よし。やれそうだ」
「流石です。じゃあ、僕が指差した順に読んでください」
「ああ……」
ルドルフの指先を追いながら、ギレーヌはたどたどしく読み上げる。
「い……イヴァス・ルイマール」
直後、彼女の金色の目に紫の霞がかかる。ほんの僅かな間放心状態だったギレーヌは数度瞬きし、笑みを浮かべたルドルフを見返した。
「合ってたよな?」
「はい。これは古代で使われていた呪文です。私はあなたの奴隷になる、という誓いの言葉なんですよ」
とんでもないことを口にするデブガキだったが、ギレーヌは動揺することも怒ることもなく、困ったように眉根を寄せて口角を下げた。
「それは……困ったな。あたしには雇い主がいたんだが」
「ああ、いや! この呪文はギレーヌを転職させるわけじゃないんですよ。ただ、お仕事の邪魔にならない程度に僕の言うことを聞いてもらうってだけで。そもそも、奴隷の売り買いは禁止されてるじゃないですか」
笑いながら言うルドルフに、ギレーヌは無表情で頷いた。
「そうか。良かった。ところでお前の奴隷になったということは、言葉遣いとか礼儀作法を改めなければいけないのか?」
「僕に従わないといけないって分かっていれば、今のままでいいですよ」
「なら、このままでいかせて貰おう」
「勿論です。じゃあギレーヌ、裸になってくれますか?」
「良いぞ」
席を立ったギレーヌはルドルフへ向き直り、何の躊躇いもなく乳房の先を覆い隠していた革帯を外し、食い込みの激しいショーツも脱いで下半身の灰色の茂みを曝け出す。全裸になった彼女の周りをぐるりと回り、野性的かつ肉感的な古傷だらけの褐色ボディを眺め回したルドルフが深呼吸した。
「……触ってもいいですか?」
「良いぞ。そして、いちいち確認する必要はない。お前はあたしの主人だからな」
「そうでした。じゃあ」
「……ふうっ」
ギレーヌの巨乳に手を伸ばしたルドルフが、自身の指に合わせて柔らかく形を変える褐色乳を見て笑みを浮かべる。やわやわと揉みながら乳首に指の腹を押し付けると、長身の雌獣は息を詰め、肩を跳ねさせた。
「ぅ、あっ」
「痛かったですか?」
「大丈夫だ」
「じゃあ……気持ちよかったですか?」
巨乳を揉み乳首を転がしながら質問されたギレーヌは、時折鼻に抜ける声を上げつつ答える。
「そう、かもしれない。ふぅっ……こういうことは久々だからな」
「経験済みなんですね。ギレーヌさんみたいな人だったら当然か……相手は誰?」
「パウロ・グレイラット」
「へえ、グレイラット! 領主様の?」
「その辺りは少し込み入っているが……はっ……剣の腕はともかく、人間としては救い難い。奴と男女の仲になったのは失敗だったと思っている」
吐き捨てるように言ったギレーヌのしかめ面を見上げ、ルドルフは笑みを深くした。
「じゃあ、失敗だったと思われないように頑張りますね」
「お前相手に失敗はない。主人に求められれば、奴隷は従うだけだ……はんっ♡」
勃起した乳首を摘ままれ、転がされ続けたギレーヌ。しつこい愛撫に甘い声が漏れると、デブガキはギレーヌのがっしりした太股に下半身を押し付ける。
「んうっ♡……何だ、勃起しているじゃないか。あたしを抱きたいなら、どうして命令しない?」
「もっと準備した方が良いかと思って」
「そういうものか。なら……ぁっ♡ 好きにしろ」
ギレーヌの後ろに手を回し、たくましい太股の筋肉で持ち上げられた巨尻を撫で回すと、雌獣は無表情ながら再び小さく声を上げる。
「パウロとはどんな風にしたんですか? 思い出したくないかもしれないけど、主人として知っておかないといけないんです」
「はぁっ♡それは……抱き合ってしたり、四つん這いの姿勢で後ろからしたり……ふうぅっ♡」
「それだけですか?」
「他に……ぁっ♡ 何か、あるのか?」
ルドルフの手が這う中、ギレーヌが快楽の声を上げる間隔が次第に短くなっていく。古傷だらけの褐色肌が汗ばみ始め、部屋に雌の香りが立ち込め始めた。
「ふーん。そうか。ごく普通のことだけですね」
「んっ♡ んうぅっ♡」
「マンコ触るぞ」
「う、あっ!♡」
がらりと口調を変えたデブガキの手が股間の茂みの下に潜り込むと、ぬちっ♡という湿った音と共にギレーヌの声が跳ねた。
「もう濡れてる。感じやすいんだな」
「んんっ♡ そう、か? 久々だからな……よく分からな……はあぁっ♡」
肉厚の割れ目に中指が押し入る。ぬめった襞を掻き分ける侵入者を、ギレーヌの膣内はきつく締め上げた。
「僕に触られて嬉しいのか?」
「んふっ♡ し、主人の求めに、ぃっ♡ 応えるのが奴隷、だからなっ♡ ぁくっ♡ そ、そんなに掻き回したらっ♡」
「掻き回したら?」
「んんんっ!♡ ……ん゛っ♡」
ぬめった膣内で中指が這い回る。初めて表情を動かしたギレーヌが、焦った様子で左目を見開く。そしてルドルフの指に動かされたかのように爪先立ちになって仰け反り、虎の尾がピンと跳ね上がった。大粒の汗が褐色の裸身を滑り落ち、その感覚に雌獣の鍛えられた長身がびくりと震える。
「っくうぅ♡ふーっ♡……ふうっ♡」
「イった?」
上目遣いにギレーヌを見るルドルフに、呼吸を整え表情を消した雌獣が小さく頷く。
「今度からはイくって言えよ、ギレーヌ」
「っ♡ 分かっ……た♡」
イったばかりの膣内に中指を出し入れされながら、ギレーヌはもう一度首を縦に振った。それを見たルドルフが指を抜き去り、こびりついた愛液を見下ろす。
「次はいつ会える?」
「ふうっ♡……今回、くらいの時間なら、明日……お前の都合が良ければ、今夜でも」
「なら今夜。ギレーヌの、使用済みの奴隷マンコで楽しむからな」
「ああ……っ♡ また、夜にな」
「くくっ! さあ、服を着なよ」
ルドルフから掛けられた求めの言葉に陰唇から新たな蜜を滴らせたギレーヌは、言われるままにショーツと革のベルトを身に着け直し、主人に尻を揉まれながら部屋を出て行った。