紅月カレン巨乳バニー堕ち~中年ブリタニア伯爵に快楽で調教されて~ 作:O・クロダ
【幕間一 番号と立ち方】
捕らえて八日目の朝、ロデリックはカレンの胸元に、小さな真鍮の札を留めた。
刻まれているのは、数字が一つだけだった。
七。
「今日から、それがお前の名だ」
カレンは札を見下ろし、それからロデリックを睨み上げた。
「……私には、名前がある」
「兎に名前は要らん。七番」
その呼び方を、ロデリックはわざとゆっくり発音した。カレンの耳たぶが、みるみる赤くなっていく。怒りでも、羞恥でも、この女はまず耳から赤くなる。この一週間で覚えたことの一つだった。
グレアムが、白い箱を盆に載せて差し出した。
中に入っていたのは、丸い毛玉のような白い尻尾だった。毛玉の付け根から、親指ほどの太さの黒いプラグが伸びている。
カレンはそれが何に使うものか、すぐには分からなかったらしい。分かった瞬間、顔から血の気が引いた。
「……冗談、だろ」
「兎には尻尾がいる」
逃げようとした腰を捕まえ、寝台にうつ伏せに押し付ける。赤い股布の後ろをずらすと、小さく窄まった後孔が鏡に映った。ロデリックは香油を垂らした指で、その皺を一本ずつなぞった。
「ひ……っ、やめ、そこは、違……っ!」
指先を押し当てると、括約筋の輪がきつく閉じて抵抗した。押し返してくる感触が、指の腹からロデリックの背骨を伝って、腰の奥に落ちる。赤い布の下で、白い尻の肉が強張り、両脇にくぼみを刻んだまま、小刻みに波打っていた。
息が、浅くなる。
指の代わりにプラグの先端をあてがい、ゆっくりと押し込んだ。一番太いところで、押さえつけた掌を押し返して、カレンの腰が一度だけ大きく持ち上がる。そこを越えると、窄まりはあっけなく異物を呑み込み、白い毛玉だけが赤いスーツの上に残った。
「う……ぁ……っ」
カレンはシーツを握りしめたまま、動けなくなっていた。
躾は、その日から始まった。
赤いハイヒールで、背筋を伸ばして立つ。両手を腹の前で重ね、腰から深く頭を下げる。そして言う。
「……いらっしゃい、ませ」
「声が小さい。最初からだ」
姿勢が崩れたら、最初から。尻尾に手をやろうとしたら、最初から。
その間、ロデリックは彼女の背後に立ち、ただ触れ続けた。網タイツの上から太腿の内側を撫で上げ、股布の縁をなぞり、うなじに唇を這わせる。決して、その先へは進まない。
触れる場所は、日ごとに変えた。
ある日は、腋の下だった。両手を頭の後ろで組ませて直立させ、むき出しになった薄い皮膚に、舌の腹をべったりと押し当てて舐め上げる。カレンの全身に鳥肌が立ち、組んだ指に力がこもった。舌に残る汗は薄い塩の味で、鼻に抜ける匂いは、温めた牛乳の湯気に似ていた。
別の日は、膝の裏だった。お辞儀の姿勢のまま動くなと命じ、後ろに膝をついて、網タイツの編み目越しに膝裏の窪みを舌先でなぞる。そこから内腿を、付け根の寸前まで、時間をかけて舌で辿っていく。
そして、止める。
股布まであと指一本というところで、必ず止めた。カレンの太腿が、閉じるか開くか決めかねたように、内側の筋だけをぴくぴくと引きつらせていた。
胸だけは、別だった。
肩紐のない赤い胸元に、後ろから指を掛けて引き下げる。押し込められていた双丘が、ふるりと弾んで鏡の前にこぼれ出た。カレンは反射的に腕で隠そうとして、姿勢が崩れると気付いたのか、腕を腹の前に戻した。
ロデリックは片方の膨らみを、下から掌で掬い上げた。指の間から柔肉が溢れる。持ち上げ、揺らし、掌を下げたときにずしりと乗ってくる重さを確かめる。それから指の腹で、淡い桃色の乳暈の縁に、くるくると円を描いた。触れるか触れないかの距離で、何周も。
中心には、触れない。
「……っ」
カレンの息が詰まった。円を描くたびに、乳暈がきゅっと縮み、真ん中の蕾が少しずつ持ち上がってくる。
「見ろ」
ロデリックは顎で、正面の鏡を示した。
「勃っている」
鏡の中で、赤い兎が自分の胸を見下ろしていた。誰にも摘ままれていないのに、桜色の頂は硬く尖ってロデリックの指の円の真ん中で上を向き、カレンが浅く息を継ぐたびに、その先がかすかに上下していた。
カレンは目を逸らそうとした。だが、どこを向いても鏡だった。右にも、左にも、後ろにも、胸をさらけ出してお辞儀をする赤い兎が映っている。
ロデリックは尖りきった先端を、親指と人差し指でそっと摘まんだ。
「ひ……っ」
膝が折れかけた。
「姿勢が崩れた。最初からだ」
カレンは唇を噛み、ヒールの上でかくつく膝を突っ張らせて、背筋を伸ばした。むき出しの胸を鏡に向けたまま、深く頭を下げる。
「……いらっしゃい、ませ」
お辞儀をするたび、乳房が前に垂れ、先を下に向けたまま振り子のように揺れた。ロデリックはそれを後ろから受け止め、また摘まむ。また、最初から。
一時間もしないうちに、カレンのふくらはぎの筋が、網タイツの下で固く盛り上がっては緩むのを繰り返し始めた。お辞儀をするたび、尻の奥の異物が向きを変えるのか、白い毛玉が赤い布の上でぴくりと持ち上がり、カレンの腰が一拍止まる。ふらつけば、最初から。
「いらっしゃい……ませ……っ」
三日目、彼女の膝は、立っているだけで笑っていた。
躾を始めてから、ロデリックもまた、彼女を一度も抱かなかった。
指の腹の下で編み目ごと細かくわななく太腿をなぞりながら、その奥へ指を進めたい衝動を、毎回、歯を食いしばって押し殺した。夜、一人で寝室に戻ると、張り詰めたものがスラックスの中で痛むほどだった。ロデリックは暗い部屋で、長く息を吐いた。
我慢しているのが自分のほうだと思うと、なぜか、喉が鳴った。
十四日目。
カレンは赤いハイヒールの上で、背筋を伸ばして立っていた。両手を重ね、腰から深く頭を下げる。赤い兎耳が、きれいな角度で前に傾いた。
「いらっしゃいませ」
声は、語尾まで途切れなかった。脚も、ふらつかなかった。
ロデリックは彼女の前に歩み寄った。顔を上げたカレンの目に、ほんの一瞬だけ、何かを待つような色が浮かんだ。
褒美を。
あるいは、名前を。
「よくできた、七番」
ロデリックは、赤い兎耳の間に、そっと手を置いた。
「……いい子だ」
カレンの目に浮かんでいた色は、すぐに消えた。名前ではなかった。番号のまま、褒められただけだ。
それなのに、頭に置かれた手の重みに、カレンの肩が束の間すとんと落ちたのを、ロデリックは見逃さなかった。カレン自身も気付いたのだろう。彼女は唇をきつく引き結び、耳たぶを赤くしたまま、鏡のどこでもない場所を見つめた。
◇
【第二章 身体が先に覚える】
三週目の夜、ロデリックはカレンを地下から浴室へ連れて上がった。
白い大理石の床に、金の蛇口。壁は一面の鏡で、広い湯船からは湯気が立ちのぼっている。
脱衣所で、ロデリックは小さな布の塊を彼女の手に落とした。
「浴室では、それに着替えろ」
カレンは手の中のものを広げ、言葉を失った。
赤い紐だった。紐の途中に、申し訳程度の三角の布が二つ。下は、さらに小さな三角が一枚と、後ろに小さな穴の開いた細い紐。白いカフスと赤い蝶ネクタイ、それに兎耳だけは、いつもと同じものが添えてある。
「……なに、これ」
「浴室用だ」
ロデリックは、彼女の胸元の番号札を指で弾いた。
「その札のほうが、まだ布の面積がある」
カレンの耳が、真っ赤に染まった。
着替えを終えて浴室に出てきた彼女を、鏡の壁が四方から映した。赤い三角は乳首と割れ目をかろうじて隠すだけで、紐は胸の柔肉にも、腰骨の上にも食い込んでいる。後ろの穴からは、白い尻尾が、尻の谷間に挟まれるようにして覗いていた。
ロデリックの目は、胸に留まった。
小さな三角の布から、乳肉が上にも横にもはみ出している。三週間前に初めて掌に載せたときより、膨らみは明らかに前へ迫り出し、彼女が一歩踏み出すたびに、一拍遅れて紐の上で弾んだ。張り詰めた白い肌の下には、青い血の筋がうっすら透けている。毎日のように揉まれ、摘ままれ続けた身体が、勝手に実りを増している。布の縁からは、乳暈の淡い色までが覗いていた。
「こんなの……ほとんど、裸じゃない……っ」
「兎は、どこにいても兎だ」
カレンは腕で胸を隠し、ロデリックを睨んだ。
「……伯爵」
あんた、ではなくなっていた。彼女自身は、気付いていないようだった。
「今夜も、私は何も言わない。何をされたって」
「そうか」
ロデリックは服を脱ぎ、最後に手袋を外して、石鹸を泡立てた。
泡まみれの掌で、首筋から肩、背中へと洗っていく。紐の下に指を潜り込ませ、脇腹から下乳へ。カレンは壁に向かって立ったまま、奥歯を噛みしめていた。
ロデリックは彼女の片腕を持ち上げ、壁に押し付けた。泡を流したばかりの腋の下に、舌を這わせる。躾の二週間で見つけた場所だった。腋の薄い皮膚が、舌の下でざっと粟立った。カレンの肩甲骨が寄り、壁についた指が鏡の上を滑った。
だが、泡に濡れた赤い紐が肌に貼り付き、ずらすたびに白い跡を残していくのを見ていると、ロデリックの喉は勝手に鳴った。
三角の布の脇から指を差し入れると、そこはもう、泡の軽いぬめりとは違う、指に絡みつくもので濡れていた。
「……何も言わない、んだったな」
指を引き抜き、糸を引くそれを彼女の目の前にかざす。
「三週間で、こんなに濡らすようになったか」
「っ……うるさい……!」
カレンの両手を鏡張りの壁につかせ、腰を後ろに引かせる。ボトムの紐を指に引っかけて横にずらすと、とろりと濡れた花弁が湯気の中に晒された。反り返った竿を押し当て、一息に沈めた。
「あ……っ!」
声が、湯気にこもって反響した。
ぬるつく泡のせいで、腰を打ち付けるたびに肌が滑る。彼女の腰骨を掴み直し、深く、浅く、また深く抽送した。浴室中に、繋がったところで泡の潰れるくぷくぷという音と、肌のぶつかる音が跳ね返る。
突き入れるたびに、薄い壁一枚を隔てた尻の中のプラグが、ロデリックの剛直を押し返してきた。
前と後ろから、同時に押し広げられている。それがカレンにも分かっているのだろう。奥を穿つたびに、背中が反り、壁についた指が鏡を引っ掻いた。
「んっ……ふ、ぁ……っ、だめ、これ……っ」
ロデリックは背中に覆いかぶさり、腋の下から手を回して彼女の身体を抱き込んだ。濡れた赤い髪に鼻を埋め、顎を掴んでこちらを向かせる。
唇を重ねると、カレンは一瞬だけ抗い、それから舌を絡め返してきた。
「んむ……っ、ちゅ……は、ぁ……っ」
「三週間で、ずいぶん素直な身体になった」
「ちが……っ、ちがう、私は……あ、あっ、ああっ……!」
膣内が、きゅうっと締まった。
カレンの腰ががくがくと震え、膝から崩れ落ちそうになる。ロデリックはそれを抱き留めたまま、絶頂した肉が根元から先端へ順に、三度、四度と食い締めてくる感触を味わった。
「くっ……締めるな……」
自分の声が、ひどく掠れていた。
ロデリックは一度、自分のものを引き抜いた。崩れたカレンを、浴室の床に膝をつかせる。四つん這いにさせ、尻を高く掲げさせる。濡れた赤い紐が食い込んだ谷間で、白い尻尾が、左右の肉が引きつるたびに小さく上下していた。
後ろから、もう一度貫いた。立っていたときより角度が下がり、切っ先が、さっきは届かなかった奥の壁を叩いた。
腰を使いながら、尻尾の毛玉を指でつまみ、軽く揺らした。
「ひぅっ……! だ、め……それ、揺らさないで……っ」
揺らすたびに、尻の中の異物が内側から膣壁を押し、そこへ彼の肉茎が擦れる。カレンの声に、喉の奥で濁った音が混じり始めた。
「あっ、あ゛……っ、そこ、ごりごりって……っ、あつ、い……かた、い……っ、変に、なる……っ」
ロデリックの腰も、もう速さを抑えられなかった。プラグ越しに、自分の動きがそのまま彼女の奥に伝わっていく。そのたびに、食いしばった歯の間から、自分の息が短く漏れた。
「あ、あ、あぁっ……! 出ちゃ、なにか、出ちゃう……っ!」
結合部から、透明な飛沫がびしゃりと弾けた。冷たい大理石の床に、湯よりぬるい、肌と同じ温かさの潮が広がり、膝をついたロデリックの脛まで濡らしていく。カレンは肘からかくりと折れ、床に頬をつけたまま、持ち上がった腰だけを、彼の下腹にぶつけるように何度もしゃくり上げた。
ロデリックは繋がったまま、彼女を後ろから抱き起こした。膝立ちにさせ、自分の胸に背中を預けさせる。自分の重みで、カレンは彼の屹立に沈み込み、喉の奥で短く呻いた。ロデリックは赤い三角の布を指で押しのける。布からこぼれた乳房が、湯気の中でふるりと揺れ、すぐに丸い形へ戻る。
それを両手で掬い上げ、揉みしだきながら、下から突き上げた。
カレンの頭が、ロデリックの肩にがくりと倒れた。振り向かせて口づけると、彼女はもう抗わなかった。舌先で彼の舌を探し、唾液を吸い、また吸った。
「はへ……っ、あ……き、もひ……」
瞼が半分落ちた青い目が、睫毛を濡らしたまま、ロデリックを見上げていた。
「きもひいい……伯爵……♡」
その一言で、ロデリックの腹の底で堪えていたものが、付け根までせり上がった。
彼女の腰を掴み、最奥に叩き込んで、そのまま、根元が脈打つたびに精を注ぎ込んだ。彼の腕の中で、カレンの下腹がもう一度波打ち、か細い声が長く尾を引いた。
湯船の中で、ロデリックは彼女を膝の上に抱いていた。
湯に浸かった赤い紐が、ゆらゆらと揺れている。カレンは頭の重さをそのまま彼の胸に預け、焦点の合わない目で水面を見つめていた。
「名乗れ」
しばらく、返事はなかった。
「……日本、人……」
声が、揺れていた。
ロデリックは何も言わず、湯船から上がった。ガウンを羽織り、浴室を出る。扉を閉める直前、振り返ると、カレンはまだ湯の中で、自分の膝を抱えていた。
◇
湯が、ぬるくなっていた。
カレンは膝を抱えたまま、湯船の縁に額を押し付けていた。
何も言わない、と決めていた。何をされても、声一つ出さないと。それなのに、自分は何を言った。何を、ねだるような声で。
思い出すだけで、耳たぶがじんと脈打ちはじめる。長湯でのぼせたときと同じ脈が、頬へ、首筋へと下りていく。息を吸っても胸の奥で何かがつかえて半分しか入らないのに、湯の中の下腹だけは、まだ彼の形を覚えたまま、間をおいて奥がきゅうっと縮むように疼いていた。こんな身体は、自分のものじゃない。そう思えば思うほど、腋の下を這った舌の腹のざらつきと、窪みの奥まで押し入ってきた舌先の固さまでが、生々しくよみがえった。
――カレン。お前は、紅月だ。
兄の声が、湯気の向こうから聞こえた気がした。
ゲットーの崩れかけた屋上で、夕焼けを見ながら、兄はそう言った。まだ兄が生きていた頃のことだ。誰に何と呼ばれても、お前の名前はお前が決めろ。お前は日本人で、紅月カレンだ。
だから、名乗ってきた。どれだけ殴られても、どれだけ撃たれても。
日本人だ、と。
「……日本、人」
声に出してみた。さっきと同じように、揺れていた。
ふと、自分の指が何かに触れているのに気付いた。
赤い兎耳だった。
いつから触っていたのか、分からなかった。カレンは指を離し、それから、湯の中で自分の手を、長いあいだ見つめていた。
次回、カレンは「耳」の意味を、身体で覚えさせられます。そして、地下サロン「ラビットホール」へ。