人間社会の闇に魔物が潜み、それを一部の者たちが人知れず狩っている世界。
良家のお嬢様であり、戦士として魔物と戦う者でもある少女──桔梗は、ある廃ビルに魔物の気配を感じ、乗り込んだ。
一体一体は決して強くない敵を着実に倒していくも、僅かな油断から敵の吐き出した粘液を浴びてしまい。
強い催淫効果を受けた彼女は、次第に追い込まれていく。

桔梗のように戦う力──豊富な魔力を持つ者は、同時に魔物にとって良質な獲物でもある。

少女は異形の魔物に犯され、ついには産卵さえも経験させられて……。

※Skebにてリクエストいただいたものの転載です。
※Pixivにも投稿しています。

1 / 1
第1話

 先生の頼みを引き受けたらすっかり遅くなってしまった。

 

 月明りに照らされた静寂な路地に規則正しい靴音が響く。

 腰まである黒髪と黒のブレザーのお陰で少女──桔梗の姿は夜の闇に溶け込んでいた。

 閑散とした薄暗い道。

 家人に話せば「車を出したのに」とやんわり苦言を呈されるだろう。

 

 整った顔立ちに、染み一つない肌。

 日中なら、すれ違う者の多くが彼女を振り返る。

 人目を惹く容姿であることは自覚があった。

 

 迎えを拒否したのは、忙しい使用人への申し訳なさが少し。

 束縛への緩い抵抗が少し。

 静謐な夜の空気を好んでいることと、

 

「──魔物の、気配」

 

 靴音を止め、桔梗はある方向を振り返った。

 視線の先にあるのは五階建てのビル。

 使われなくなって久しいのか人気はなく閑散としている。

 

 敵の数は、多くとも十は超えない。

 

「早めに見つけられて良かった。……なにかあってからでは遅いもの」

 

 古来より、人は魔物に脅かされてきた。

 人の持つ魔力が彼らの好物であるからだ。

 

 このことは一般人にはほとんど知られていない。

 

 混乱を避けるため、魔物による被害は行方不明や傷害事件として扱われる。

 魔物の処理は、高い魔力を持つ一部の者の役目。

 そして、桔梗もまた魔と戦い人々を守る戦士の一人だ。

 

 パトロール、とまでは言わないが。

 

 意識的にいろいろな道を通ることで魔物を発見できることは、意外と多い。

 特にこういう人気の少ない場所は格好の棲み処だ。

 

 通学鞄はビルの前、目立たない位置に。

 すう、と、息を吸い込んで。

 

 気持ちを整えた桔梗はゆっくりと、魔のテリトリーへ踏み込んだ。

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

「変身」

 

 桔梗の全身を光が包み込み、着衣、それから桔梗自身の身体が戦闘仕様に変換。

 ビル内に元の暗さが戻った時には、少女の姿はすっかり様変わりしていた。

 

 艶やかな黒髪は長さをそのままに、落ち着いた色合いのピンク色に。

 胴体に沿うように白を基調とした軽いプロテクターを装着。

 指抜きのロンググローブと足を保護する防護スーツは光沢のある漆黒仕様。

 腰の左右には花弁を模した装飾が施され、そこからは可憐なリボンが二条ずつ垂れている。

 

 変身時の姿は本人にとって戦いやすい形を取るため、一つ一つに意味がある。

 この状態の桔梗はあらゆる能力が圧倒的に向上しており──。

 

 例えば、照明のない夜のビル内も難なく見渡すことができた。

 

 前方を見据えると、半ば跳ぶようにして疾駆。

 左右の部屋から飛び出してきた数匹の魔物を視認する。

 

 敵は、映画に出てくる宇宙生物のような不気味な姿をしていた。

 強いて例えるならサソリだろうか。

 蛇のような下半身とヒトデのような上半身を持ち、細い腕を何本も生やしている。

 上半身には大きな口。

 おそらくは、人に取り付いて魔力を啜るタイプだろう。

 

「許さない……っ!」

 

 魔物が向こうから襲ってきたのは、桔梗を敵と認識したからだけではない。

 高い魔力を持つ者は彼らにとって格好の『餌』だからだ。

 つまり、桔梗のような人間は魔物の天敵であると同時に標的でもある。

 

 倒しても倒してもいなくならない、人類の敵。

 今までたくさん見てきた被害者の悲惨な姿。

 

 胸の奥の炎を燃え上がらせながら、魔力を武器の形に固定化する。

 刀。

 鞘走らせた勢いのままに一体を両断、二体目の身体を鞘で粉砕。

 脆い。

 予想通り、一体一体は大した相手じゃない。

 

 思ったところで、後続が戦い方を変えてきた。

 下半身で立ち上がると口から、白濁した粘液を吐き出してきたのだ。

 えてして、魔物の体液には邪な効果がある。

 受けず、回避し、一体ずつ確実に葬っていく。

 

 敵は次々と数を減らし──やがて最後の一体が刀に断ち切られる。

 

 命を散らした魔物は塵となって消滅し、後にはなにも残らない。

 桔梗はほっと息を吐くと、刀を消して。

 

「っ!?」

 

 直後、『ほぼ真下』にかすかな敵の気配を感じた。

 振り返れば、足元にあの魔物が一体。

 

 さっきのが最後じゃなかったのか。

 

 気配を殺し、背後からゆっくりと近づいて、獲物が油断するのを待っていた。

 大した知能は持たないはずだが、彼らは思った以上に狡猾で悪辣。

 吐き出された粘液が、桔梗の胸の中央に降りかかった。

 

 べたつく不快感。

 

「っ!」

 

 武器を消してしまったことを後悔しながら靴の踵を振り下ろして。

 しかし、敵は素早く回避行動を取った。

 不利を察しているのか、そのまま距離を取り始めるそれを一瞬追おうとして──桔梗はすぐに足を止めた。

 早めに「これ」を処理しなければ猶更不利になってしまう。

 

 粘液は、まるで男性の精液のようで。

 よく見るとその中には卵のようなものまで含まれている。

 桔梗の衣装には中央に小さな穴が開いている。

 通気性や可動性のためのデザインが、今回は仇になった。

 

 羞恥心と戦術的判断、その両方から、少女は態勢の立て直しを選択して──。

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 二階フロア、女子トイレ内。

 移動しながら気配を探ってみたものの、あの『最後の一匹』以外の敵は見つからなかった。

 一番奥の個室に飛び込むと、放置されたままになっていたトイレットペーパーを手に取る。

 かさかさになった紙のざらつきと、必要以上に浪費する申し訳なさに身を強張らせながら、なんとか精──粘液をふき取って。

 液体まみれの紙を捨てた桔梗は、安堵と共に身体の『熱』を感じ取った。

 

「……これ、は」

 

 熱い。

 気温の下がる夜、加えて衣装には体感温度の調整機能がある。

 今感じているこの熱は浴びせられた粘液のせいだ。

 

 ──魔物は人の魔力を好む。

 

 魔力は男よりも女、特に若い女性が多く保有している。

 そのせいか、魔物の多くは女を発情させる催淫効果を有している。

 今回の粘液もまた、その例に漏れないらしい。

 元を断っても、既に吸収されてしまった成分までは除去できない。

 

 精神力で抑えられるほど、効果は弱くなさそうだ。

 

 両親が厳しく、使用人の目もあるため、桔梗にはまだ恋人がいない。

 自慰行為の類も必要最低限しかしないようにしているのだけれど。

 

 年頃の少女として、切羽詰まる感覚、はしたなく快楽を求めてしまう感覚には覚えがあった。

 

 媚薬粘液の効果は、自然に生じるその感覚を何倍、あるいは何十倍にも強めた『疼き』を生じさせて。

 吸収した成分量は多くない。

 耐えればそのうち効果は切れると頭では理解しながらも、熱が思考を鈍化させていく。

 

 気持ちよくなりたい。

 

 身体をぎゅっと抱きしめ、息を深く吐き出す。

 必死に気持ちを落ち着けようとしてもなお、興奮によって敏感になった身体がさらなる刺激を求める。

 腰かけているその感触でさえも緩い快感に変換されて。

 普段は気にならない衣擦れが、肌を通して桔梗の心をかき乱す。

 

 このまま、収まるまで耐えるなんて。

 

 まだ、魔物の脅威は去ったわけではない。

 一体だけ、大した敵ではないとはいえ、再び襲われないとも限らない。

 なら、今のうちにこの衝動を「治めて」しまうしかないのではないか。

 

 熱に浮かされた思考が、今の桔梗にとって楽なほうを選択して。

 

 少女はゆっくりと、しかし、最後の歯止めを失ったまま──自身の身体へと手を伸ばした。

 

「……あっ♡♡」

 

 制服を着ている時はわかりづらいが、桔梗の胸はかなりの大きさがある。

 ふとした瞬間に男性からの視線を感じることも多い。

 変身し、身体に沿った衣装を纏った今、そのサイズは桔梗自身にも丸わかりで。

 胸に触れた左手が、豊かな感触をはっきりと感じる。

 身体を守るプロテクターは十分な防御力を備えながらも、何も着ていないように薄手、かつ柔軟で。

 四本の指で胸を揉みしだきながら、ぴんと勃った乳首に触れると……電撃が走ったような強烈な快感が全身を駆け巡った。

 

 ほう、と、熱のこもった息が漏れる。

 

 少しだけ気持ちが楽になるのを感じながら、右手を股間に触れさせる。

 秘所にあたる部分だけ衣装を限定解除すると、すっかり愛液に濡れたそこに羞恥を覚える。

 しかし、指は止まらず。

 小さな水音を立てながら秘めやかな割れ目に侵入すると、敏感な膣壁を指の腹でなぞった。

 

「ふああっ!?♡♡」

 

 気持ちいい。

 自慰で感じるそれの何倍も、何十倍も。

 ただ触れただけなのに軽い絶頂さえ感じてしまったかもしれない。

 これなら、本格的にイったらどれだけの快感が──ではなく、きっとこの催淫効果も収まるに違いない。

 

 もう、気持ちよくなることしか考えられなくなっているのを、最後の理性で認識しながら。

 

 桔梗は指を強く胸に食い込ませ、乳首をくりくりと刺激。

 同時に膣内を激しくかきまわし、つんと勃起したクリトリスを擦った。

 

「あっ、ああああああぁぁぁっっ!!」

 

 頭が、真っ白になる。

 甘い嬌声が女子トイレに響き渡り、そのあまりの反響に羞恥心がかき乱される。

 圧倒的な波は一分以上もの間、心と身体を揺さぶって。

 乱れた呼吸をなんとか整えながら、僅かに思考を取り戻すと。

 

「……あ、だめ、まだ……っ」

 

 まだ、熱い。

 絶頂を味わうために一度は止めた指が再び動き出してしまう。

 

 二本の指で乳首をつまみ上げ、くりくりと刺激しながら引っ張り。

 クリトリスの刺激を止めないままに二本の指で秘所を出し入れする。

 

 絶頂の余韻と催淫によって敏感になった身体はあっという間に先ほどの昂りを取り戻して。

 

「~~~~っ!?♡♡」

 

 桔梗は再び、甘く、熱く、とろけるような絶頂に達した。

 普段の自慰では経験できない気持ちよさ。

 

 とろり、垂れた愛液が床に小さな水たまりを作って。

 

「……まだ、足りないの……?」

 

 疼きが、十分に収まってくれない。

 個室のドアに背中を預けたままに、桔梗は「っ」と唇を噛み。

 あまり時間をかけたくないのに。

 

 早く、イってしまわないと。

 

「ぃっ!?♡♡」

 

 クリトリスをぎゅっとつねると、鋭く激しい快感。

 崩れ落ちそうになる身体を支えながら、もう片方の手で乳房を揉み、乳首に爪を立てながらつまんで。

 強すぎる快感に手を離してしまいそうになるのを理性でつなぎ留める。

 目の前がちかちかするのを感じながらまた、絶頂。

 

「ぁっ♡♡ はぁっ、はぁっ……♡♡」

 

 短時間で何度もイったせいか、身体が気怠い。

 ぴくんっ、ぴくんっ♡ と痙攣する身体を抱きしめながら「だめ」と呟いた。

 収まらない。

 絶頂のたびに多少はマシになっているが、このままじゃまだ何度もイかないといけない。

 

 ──なにも考えず、このまま自慰に耽れたらきっと気持ちいい。

 

 流されそうになる思考を、戻ってきた理性で押しとどめる。

 今ならなんとか動ける。

 あと一体倒せば終わるのなら、先に終わらせてしまえばいい。

 

 ふらつく足でなんとか立って、深呼吸を繰り返す。

 

 戦う意思を取り戻せたのはひとえに桔梗の真面目さ、使命感の高さ故と言っていい。

 彼女は知る由もないが、あの魔物の体液はかなり強力な媚薬だった。

 耐性のない一般人なら軽く浴びただけで発狂してもおかしくなく、桔梗たちのような存在でさえ前後不覚に陥らせるもの。

 だから、決して彼女が悪かったわけではない。

 

 狭い個室で秘所を露出し、愛液を垂らしながら何度も何度も絶頂して。

 全身から発した甘い雌の匂いを充満させていたこと。

 個室どころかトイレ全体、さらには通路にまで届くほどの嬌声を何度も上げてしまったこと。

 

 それが、唯一残ったあの敵を引き寄せる結果となり。

 

 何本もの腕を使って這うように「それ」が天井から忍び寄るのに気づかなくとも、それは仕方のないことだった。

 きちきちと、小さな音を立てながら飛来する魔物。

 

「えっ……!?」

 

 はっと顔を上げた時にはもう、それは間近に迫っていて。

 桔梗が武器を作る、あるいは拳を繰り出すよりも早く、魔物は少女の顔に取り付いていた。

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 魔物の身体は想像よりも柔らかく、昆虫よりも爬虫類に近い質感だった。

 視界があの異質な存在で覆われるのは生理的な嫌悪感を覚えるもので。

 桔梗は咄嗟に口を噤みながら顔に向けて腕を伸ばした。

 が、

 

「あっ……!?」

 

 敵は捕まる前にまた跳躍した。

 身体にしがみつき、小さな爪をプロテクターに突き立ててくる。

 もちろん、その程度の攻撃なら『通常は』びくともしない。

 桔梗の魔力と精神的安定によって形成された衣装は見た目よりもずっと頑丈で──。

 

 なのに爪はあっさりと装甲に穴を穿った。

 

「くっ……!」

 

 魔物は身体的接触によって人間から魔力を奪う。

 さっき顔に取り付かれた時に既にいくらかの魔力を吸われてしまった。

 さらに、体液の催淫効果によって疲労し、集中も乱れている。

 

 ──今の桔梗では、この魔物に対して非常に無防備。

 

 本能的恐怖を覚えながら両手を向けるも、なおも敵は移動して。

 腰辺りに到達したかと思うと尻尾を曲げ、それを桔梗の股間へと向けてきた。

 未だとろりと愛液をたたえた秘所。

 外装は修正してあるものの、まるで男性器を模したような尾の先端が叩きつけられると、まるで張り詰めた布が破れるように穴を開けてしまう。

 

「い、嫌ぁっ!?」

 

 先端が穴の入り口に触れた瞬間、ぞくりと全身に震えが走った。

 生物としての本能が結合を望んでいるかのような感覚に顔が歪み、思わず悲鳴を上げてしまう。

 

 かくん、と、足に力が入らなくなって。

 

 ぺたんと床に座り込みながら、桔梗は必死に手を伸ばした。

 しかし、思った以上に力を消耗しているのか、そこにいる魔物を捕まえることさえできないまま。

 ずぶり、と、尾が慎ましい割れ目へと侵入していく。

 

「ぁ、ああぁっ、あああっ!?♡♡」

 

 最悪の展開。

 魔力接種の効率は性的な接触によってより向上する。

 最も効果が高まるのは対象──つまり桔梗が絶頂を迎えた時だ。

 だから、魔物と相対する時は決して快楽に溺れてはならない。

 気を強く持ち、できることなら興奮することさえせずに敵を打倒すべき。

 

 わかっていたはずなのに。

 油断し、隙を作り、奇襲を許して身体を弄ばれてしまった。

 目に涙がにじみ、嗚咽が止まらなくなる。

 

 だというのに身体は、待ちに待った挿入に歓喜していた。

 声にも勝手に艶が混じり、まるで桔梗自身が望んでいるかのよう。

 尾は──魔物ペニスは深く入り込み、膣を押し広げながら膣壁を擦っていく。

 ようやく敵に届こうとした手がだらんと落ちて、桔梗は目を見開いた。

 

「魔力、がっ……♡♡」

 

 甘い痺れと共に訪れる喪失感。

 女の子の一番大事な部分を貫かれながら戦う力を奪い取られていく。

 だというのにどうして、こんなに気持ちいいのか。

 なおも分泌される愛液が魔物ペニスの侵入を助け、快感に弛緩した身体には押し出す力もない。

 刻一刻と悪化していく状況。

 爪によってコスチュームはさらに裂かれ、白く滑らかな素肌が露出。

 誰もいない場所、さっきまで自慰を披露していたとはいえ、こうして肌を晒されるのは……。

 

 なんとかしなくては。

 

 意を決した桔梗は一つの策を立てた。

 強度の低下したコスチュームを自ら解除して、残る魔力で武器を作り敵に突き立てる。

 思考も快感で歪み始めている今、早くしなければその気力さえなくなって、

 

「きゃっ……!?♡♡」

 

 策を実行しようとした矢先、がばっと開いた魔物の口から粘液が飛び出した。

 白濁し、どろどろの、小さな卵を複数含んだ体液がもろに顔に降りかかる。

 咄嗟に目を閉じ、唇を結び、体内に侵入しないように努めたものの、前髪も汚れ、さらには首、そして胸元へと粘液が垂れていく。

 まるで顔射を受けたような有様。

 仮にこれが将来を誓い合った男性相手ならばまだ許せたかもしれないが。

 

 羞恥、屈辱、恐怖に身体がわなわなと震える。

 

 本来ならさっさと拭ってしまいたいところだが、付着と同時に吸収され始めた催淫成分──媚薬がそれを許さなかった。

 とっくに自由が利かないというのに、さらに身体が熱く、蕩けていく。

 これではもう、武器を手にするどころか、舌を噛んで自決することさえ。

 

「……ごめんなさい、みなさん」

 

 戦う仲間、守りたい人たち、それぞれの顔を思い浮かべて呟く。

 

「ですが、最後まで決して、屈したりはしません……っ!」

 

 抵抗する術を失ったとしても、心までは決して折れない。

 どれだけ凌辱されようとも魔物に媚び、さらなる快楽を求めるようなことだけは、

 

「あっ!?♡♡」

 

 挿入されたままの尾がいきなり膨れた。

 胴体からなにかが流れてくるような感覚。

 熱く、どろりとしたそれは、まさか。

 

「うそ」

 

 口からだけでなく、尾からも放つことができるのか。

 ペニスを模しているのだから当然と言えば当然だが、それでは。

 避妊具もなく突き立てられた『そこ』から今、大量にあれが。

 

「いや、嫌、いやああああああぁぁぁぁぁっっ!!♡♡」

 

 少女の絶叫が、誰もいないビルに響き渡った。

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 身体の奥──子宮がきゅんきゅんと歓声を上げる。

 狂わされた感覚は魔物の卵をつがいによる正当なものと判断してしまったらしい。

 本能が生み出す大量の幸福ホルモンが雌の至福を送り込んでくるも、その事実がさらに桔梗の心をかき乱していく。

 

「いやっ、だめっ、助けてっ、助けてください、誰かっ!?♡♡」

 

 卵である以上、通常の妊娠プロセスを経る必要はない。

 受精が行われるのではなく、単に桔梗の胎を借りて温めるというだけの話だろうが、そんなことは大した慰めにならない。

 異形の子を産ませられるという事実に変わりはないのだ。

 生まれてくるのはきっと「これ」と同じものだろう。

 倒すつもりでやってきたのに、自分の身体で敵を増やしてしまう。

 増やさせられる。

 

 戦うことを決意した者にとって、これほどの屈辱があるだろうか。

 

 悲鳴が空しく響き渡る中、魔物は尾の先端にあるペニスをいったん入り口近くまで引き抜いた。

 終わらせてくれるのか。

 それなら、体力の回復を待ってなんとか身体を洗えれば。

 あるいは誰かが助けに来てくれるまで時間を稼げるかも、

 

「んああっ!?♡♡ やっ、またっ……!?♡♡」

 

 抜かれかけたペニスがまた、ずぶりと奥に侵入。

 何の意味が、という疑問の答えは、再び膨れ上がった尾を見てわかった。

 

「だっ……」

 

 だめ、と言い終わるよりも早く、二度目の射精、あるいは排卵が来る。

 

「~~~ぅぅぅっ!♡♡」

 

 お腹の奥が満たされていく疑似感覚、広がるように押し寄せる圧倒的快感。

 ドアにかろうじてもたれかかったまま、言葉にならない艶声を上げ、甘い息を吐きだす。

 尾がまた引き抜かれ、さらに突き立てられて。

 

「もう、だめっ、入らない……っ!♡♡ んっ、あああああぁぁぁっっ!?♡♡」

 

 魔物は、思ったよりもずっと強欲で執拗だった。

 桔梗の胎が本当の意味でいっぱいになるまで精と卵を吐き出し続けた。

 減った個体数を元に戻そうとでも言うのか。

 子宮の悦楽は収まらず、注がれれば注がれるほど身体は快楽に弱くなっていく。

 甘い絶頂がこれでもかと押し寄せて、体内の魔力がごっそりと吸収されていく。

 

 奪われた魔力が卵の生産に使われるなんて。

 

 何度かの射精を繰り返すとようやく、本当に尾が引き抜かれた。

 やっと。

 解放の安堵を覚えた桔梗だったが、その瞳に、尾の先端、ペニスが今度は身体の表面に向けられるのが映った。

 

 発射。

 

 動く気力も失った少女の身体に何度も、大量の体液が降り注いでいく。

 手足の黒いスーツ素材に、長く美しい暗めのピンク色の髪に、無残に裂かれて残骸のようになったプロテクターと白い腹に。

 卵を含んだどろどろの粘液が付着し、穢し、わかりやすく凌辱の痕を残していく。

 防護効果を減じたスーツからも媚薬が浸透、桔梗の身体は全身が性感帯と言っていいレベルにまで敏感になり、衣擦れや空気が肌に触れる感触だけで何度も何度も、ほとんど絶え間なく絶頂させられる。

 涙が止まらない。

 

「……誰か、助けて♡♡」

 

 子宮の疼きは収まるどころか強くなる一方。

 魔力が、魔物からだけでなく卵からも吸収されているのだ。

 生まれてくる子供もまた魔物であるなによりの証。

 自分の子供には違いないから愛しい……などと、思えるわけがない。

 

 荷物を外に置いてきたのは失敗だったか。

 

 もしスマホが手元にあったとしても助けを呼ぶタイミングなどなかったかもしれないが。

 後悔と恐怖を感じながら、相反する快感に身を浸して、

 

「ぇ……っ♡♡」

 

 胎内に、異変。

 お腹がだんだんと苦しくなっていく感覚に桔梗は震えた。

 まさか。

 見れば、体表に吐き出された『卵』もまた少しずつ大きくなり始めていて。

 

「あ、ああ……そんな、そんな、ことって……っ♡♡」

 

 恐ろしいのはその苦しささえ快感に塗りつぶされてしまうことで。

 やがて桔梗の身体はまるで本当に妊娠しているかのようにぽっこりと膨らんだ。

 

「ぐ、う、うううっ!!♡♡」

 

 異常事態に心を慣らす間もなく襲ってきたのは陣痛。

 幸いと言っていいのか──媚薬によって苦痛はほとんどなく、代わりに絶頂するような快感が押し寄せてきたが。

 子宮が解放されていく感覚と共に卵が次々と排出されていく様はまさに悪夢と言って良かった。

 魔力を吸収し、急速に大きくなった卵は一つが野球のボール大。

 それが一つずつ、膣肉を押し広げながら飛び出して、個室の床に転がっていく。

 

 そうして最後の卵が吐き出されると、卵たちは僅かな時間差を伴って次々に孵り始めた。

 

「……あぁ♡♡」

 

 絶望、とはまさにこういうことを言うのだろう。

 孵った魔物はやはり、あの魔物を小さくしたような姿をしていた。

 

 こうして増えるせいで魔物はいっこうにいなくならない。

 

 身をもって証明を受けた桔梗は、視界すらも霞み始めるのを感じた。

 出産による疲労で体力が限界に達しているのだ。

 まがりなりにも維持できていた変身もとうとう解け、変換されていた身体とコスチュームが元に戻っていく。

 

 ピンク色の髪は艶やかな黒に。

 戦うための衣装は学校の制服──黒のブレザーとチェックのスカートに。

 

 しかし、それで付着した体液が洗い流されるわけではなく。

 使用人にも手伝ってもらいながら自分でも丁寧に手入れしている自慢の黒髪は、まるで輪姦でも受けたように乱れ、白濁によって無残に穢され。

 生徒の間でも評判のいい、可愛らしくも落ち着いた制服にもべっとりと魔物の雄体液が付着、媚薬と性臭を消しきれないほどに染み込まされてしまう。

 

 戦士としての姿ではなくなった少女はもはや「魔物の被害者」そのもので。

 枯れ果てた涙の最後の一筋が頬を伝って床に落ちる。

 

 『親』は獲物の無力化と出産の終了を確認すると尾を高々と上げた。

 

 勝ち鬨──かと思いきや、それは号令だったようで。

 生まれたばかりの子供たちがそれに呼応するように桔梗の身体へと群がってくる。

 抵抗する気力を失った少女に好き放題縋りつくと、制服を噛み、破り、ただの布へと変えていく。

 食べているのか、と思えばそうではない。

 彼ら(?)はブレザーの上着を剥ぎ取るとリボンをぼろぼろにし、さらにはブラウスを剥ぎに来る。

 その要領でブラも残骸に変えると、柔らかな胸へと嚙みついてきたのだ。

 

「ぃっ!?♡♡」

 

 痛い、はずなのにそれさえも快感に。

 異形の口は歯からなにかの薬効を染み込ませながら乳首を吸い上げる。

 どくん。

 体内に残った魔力、僅かに回復し始めた魔力が全身から集められ、物質化して吐き出される。

 白くさらさらのそれはまるで母乳のようで。

 

「……いや、吸わないでっ♡♡」

 

 一体が満足すればまた次の一体が。

 一巡すればまた最初の一体が吸い付いてきて、魔力は回復するどころか端から吸い取られ、回復をむしろ待ち望まれてしまう。

 大量に摂取した媚薬が効果を失うまでにはいったいどれだけかかるかわからず。

 終わらない凌辱の中では体力の回復もままならない。

 

 一体きりの『親』はしばらくどこかに姿を消したかと思うと、運んできた食料を桔梗に差し出した。

 

 菓子パンやおにぎり。

 近くのコンビニか何かから盗み出してきたのか。

 無理やり口に押し込まれ、咀嚼させられ、少し回復すると今度は尾の魔物ペニスを突き立てられる。

 再び体液を流し込まれ、子宮を満たされ──また、新しい子供を産まされる。

 

「お願い、誰か、早く気づいて……っ♡♡」

 

 静かな廃ビルの片隅で、苗床と化した少女は甘い悲鳴を上げて。

 魔物たちは無力となった戦士を糧に数を増し、力をつけ、新しい獲物を探す準備を蓄えていく。

 加速していく絶望は、まだ、終わる気配すら見えず──。

 

 

    ◇    ◇    ◇

 

 

 同型の魔物が急増している。

 異変が表面化したことによってようやく、廃ビルが発見され。

 

「……ひどい、こんな……」

 

 桔梗は、いち早く桔梗捜索を始めていた同じ高校の仲間──華夜によって助け出された。

 少女の身体は全身が埃と粘液にまみれ、発見された時も魔物の子供に群がられていた。

 何度も出産を繰り返したのだろう、膨らんだお腹からは程なく複数の卵が排出された。

 乳首からは物質化した魔力が絶えず分泌され、虚ろな瞳は華夜の姿を映しているかさえ怪しい状態。

 

 それでも、少女の手は華夜のコスチュームを掴んで、

 

「お願い、魔物を……っ」

「っ」

 

 最後まで心までは屈しなかった気丈な少女を、華夜は汚れるのも構わず強く抱きしめた。

 

 魔物と少女たちの戦いはこれからも続く。

 最後の一体がこの世から消え去り、平穏を取り戻すまで。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。