ルカが手鏡を示す。
映っているのは、ボクだ。
涙と涎でグチョグチョ。
でも、笑っていた。
「本当に、酷い顔……でも、カワイイわ」
熱に浮かされた目をしていた。
焦点も合わず、ただ見つめるだけ。
ルカに虐められるのは、凄く気持ちいいんだけど。
本当に酷い顔していたな、ボク。
※この作品はpixivにも掲載しています。
見てしまった。
セカイの片隅で、瑞希とルカが絡み合っていた。
二人とも、裸だ。
何をしているの?
答えは分かる。
セックスだ。
瑞希が、聞いたこともない声で喘いでいる。
仰向けにされ、股を開かされ、ペニスを立てている。
しかもそのペニス、根本がリボンでデコレーションされている。
瑞希がカワイイと気に入っているリボンだ。
尊厳を蹂躙される格好だ。
それなのに、全く嫌がるそぶりがない。
あれは、気持ちいいのだろうか?
恥という考え方を捨てているのだろうか?
瑞希の考えが、分からない。
ルカは、微笑んでいた。
いつもの薄ら笑いとは違う、怖い笑みだ。
瑞希をよがらせることは、楽しいのか?
思うがままにすることは、楽しいのだろう。
――認めない。
頭の中をよぎった単語。
私は、何を認めたくないんだろう。
恥をかなぐり捨てた瑞希?
瑞希を独り占めしているルカ?
このセカイは、私の心から生まれている。
そこをセックスの場所にされることは、認められない。
それはそうなのだけれど。
でも、そこは、いい。
なぜだか、そう思えた。
好きにすればいい、と呟いてしまう。
でも、認められない。
何を認めたくないの、私?
瑞希から、目が離せない。
恥ずかしくないのか。
その向こう側にある感情なのか。
恥は、恥だ。
避けなくてはいけないものだ。
それをあえて、受け止める?
独り占め、と言う言葉が浮かんだ。
ルカが、瑞希を独り占めにしている。
だから、認めたくない?
でもルカを見ていても、何も感じない。
瑞希を見ていると、認めたくない。
私は、何を認めたくないんだろう?
分からない。
私が、分からない。
私は、認めたくない。
私は――
――――――――
「んぅ、ん、んん……――!!」
誰もいないセカイの、片隅。
円柱や三角錐、鉄骨と言った無機質なオブジェが乱立する陰で、くぐもった声が響く。
声の主は、瑞希だ。
呼吸を封じられる呻き声を響かせていた。
「……っ、ふは、はぁ、はぁ……!」
両腕に力を込め、目の前の相手を引き剥がす。
空間を確保して、足りなくなった酸素を強引に確保した。
その瑞希をじっと見つめる少女がいた。
朝比奈まふゆ。
喘ぐ瑞希を、ただじぃっと見つめるばかりだった。
「ねえ、どうしたの、まふゆ!?」
瑞希が狼狽を露わにする。
放課後にセカイに呼び出された。
セカイにやってくれば、制服姿のまふゆがいた。
そして、いきなり抱きつかれ、唇を重ねられたのだ。
深い口づけで、呼吸を阻害するほどだ。
まふゆの考えが分からない。
知りたいという欲求の表れなのか。
親愛の情を示す方法としては、あまりにも強引だ。
「瑞希は、どう思った?」
「――へ?」
一転して間の抜けた声が零れた。
まふゆは、試そうとしている?
何を?
今の行為を試して、何を得ようとしている?
何かの感情の発露の、手助けになる?
全てが、いきなりに過ぎた。
朝比奈まふゆは、特殊な人間だ。
幼少より親から抑圧され続け、全ての感情を失った。
瑞希や奏、絵名、このセカイとの関わりの中で、少しずつ感情が芽生えている。
その助けとなるならば、構わない。
けれど、今のこれは、全く理解できない。
瑞希の混乱は勢いを増すばかりだ。
「今のを、どう思ったの?」
まふゆは、淡々と問いかける。
そこには何の感情も見られない。
純粋に、質問しているのだ。
分からないから、尋ねている。
たった、それだけの、無機質さがあった。
「どうも思っていないよ!?だって、まふゆが――んぅぅぅぅぅ!?!?」
もう一度、瑞希が唇を奪われた。
まふゆの力加減には容赦がない。
きつくしがみつき、唇も、呼吸も奪う。
豊かな胸を瑞希の胸板に押しつけ、強く身体を密着させる。
機先を制され、瑞希は引き剥がせなかった。
「むぅぅぅ!んぅぅ、むぅぅぅぅ!?!?」
今度の口づけは長かった。
マウス・トゥ・マウスのように、まふゆが呼気を送り込んでくる。
瑞希の肺が、まふゆの吐息で満たされる。
酸素不足に陥り、危機を察知した脳が筋肉のリミッターを外した。
「――ぷはぁっ、はぁ、はぁ……はぁ……!!」
力任せに引き剥がした。
まふゆの細い腕に爪を食い込ませていた。
それくらいに、必死だった。
「――ごめん、まふゆ、大丈夫!?」
「……気にしないで」
爪の痕に気づいて狼狽する瑞希。
その爪の痕を、まふゆはじぃっと見つめている。
「……まふゆ?」
まふゆは痛がる素振りを見せない。
ただ、見つめるばかりだ。
瑞希は違和感を覚える。
何かが、うまく噛み合わない。
まふゆは、「分からない」とたびたび口にする。
普通なら自覚する感情の揺らぎも、まふゆには捉えにくいらしい。
どう言葉にすればいいのか、見つからないのだろう。
だから「分からない」と言うしかない。
爪痕を、観察している。
何が起こったのか分からない、そんな様子だった。
肌にくっきりと残ったのだから、痛いはずだ。
まふゆには、何が分からない?
「ルカと、何をしていたの?」
「――!?」
青天の霹靂だ。
まふゆから飛び出した言葉に、瑞希が戦慄する。
「あれは、その……」
「言えないこと?」
「――っ!?」
直球で返され、瑞希は言葉に詰まる。
表情を窺うが、何も読めない。
無表情ではない。
無機質なのだ。
「言えないこと、していたの?」
怒るのでもない。
詰るのでもない。
ただ、問いかけるだけだ。
戦慄を覚えた瑞希が後ずさる。
その分だけ、まふゆが迫る。
瑞希の背にオブジェが当たる。
それでも、まふゆは迫った。
「言えないこと、していたんだ?」
「――ひぃっ!?」
衣擦れの音がした。
まふゆが瑞希の股間をスカート越しに撫でたのだ。
「ルカとこんなこと、していたんだ」
「うわぁ……あぁ……」
声に怯えが浮かぶ。
しかし、スカートを下から持ち上げる屹立があった。
ただ撫でられただけなのに、心地よかったのだ。
触れる程度の手つきだ。
たった、それだけのことなのに。
身体の芯は冷えているのに、肌は煩わしいほどに熱い。
全身の熱が循環できずに、表面に浮かび上がったようだ。
(何なの、これ?)
異様だ。
身体が、受け入れてしまうのだ。
ルカに触れられた時と、同じ熱を持っている。
ルカがそこにいるみたいだ。
これは、ルカの手みたいで――
――まふゆと、ルカは……!
ここのセカイは、まふゆの心を反映している。
ルカは、まふゆの心の一部が具現化した存在とも言える。
ルカとまふゆの存在感が、繋がり合っているのか。
だからまふゆの肌を、ルカと錯覚している。
そうでもないと、説明が付かない。
「気持ちいいんだ?」
「――っ!?そこはぁ……!!」
「これが、気持ちいいんだ」
まふゆの言葉は、素っ気ない。
快楽を引き出す意図は、一切感じられない。
ただ、瑞希を観察しているだけだ。
しかし瑞希は、快楽に翻弄されていた。
スカートの下から入った手が、下着の上から優しく撫でた。
瑞希のもっとも悦ぶポイントに、無造作に触れていた。
ルカならば目を瞑っていても分かる話だが、初めて触れたまふゆが、造作もなく探り当てていた。
(ボク、どうなっちゃうの!?)
喜色を露わに責めるルカに対し、無機質に見つめるまふゆ。
この落差が、性癖に響いているのか。
確かにルカの手で、おかしな方向に導かれているけれど。
性への意思が欠落している責めの形もあると、身体に擦り込まれているのか。
混乱の最中に、快楽は容赦なく染み入ってくる。
「もっと触ったら、もっと感じるの?」
まふゆの吐息がかかる。
瑞希の体は小さく震えるばかりだ。
ボタンに手が掛かり、ブラウスをはだけられても、反応できない。
スカートのホックを外され、すとんと落ちれば、屹立を覆う下着が露わに。
それにも手が掛かり、瑞希の秘する場所の全てがさらされる。
白い肌は上気し、汗が浮かんでいる。
まふゆの行為に対することが、これだった。
ルカに脱がされるときも、こうだ。
ただしルカの場合は、もっと言葉で辱め、盛り上げる。
今のまふゆは、ただ機械的に脱がせただけだ。
そうであっても、瑞希の身体は等しく反応してしまった。
「これが、瑞希の……ふぅん……そう……」
首を傾げ、じぃっと見つめるばかり。
ただ観察しているだけだ。
一方の瑞希は、羞恥に涙が浮かんできた。
静寂の中、愉悦を求めて震えるペニスが惨めにすら映る。
それに反応する身体が、今はただ恨めしかった。
まふゆは、ただ眺めるだけ。
細い指先が伸び、触感を確かめようと――
「んぃぃぃぃぃ!?!?」
「――!?!?」
指が触れた、それだけで射精してしまった。
歯を食いしばり、それでも声を抑えられない瑞希。
白目を剥き掛かるほどの快楽が襲いかかっていた。
放たれた精液がまふゆに掛かり、髪にねっとりと絡みつく。
「わっ、ごめん、まふゆ……っ?」
まふゆは、じぃっと、見つめてくる。
瑞希の瞳の奥まで覗き込んでいるようだ。
芯まで擽られるような感触に、身震いした。
「まふゆ……?」
違和感がある。
やっぱり、何かが噛み合わない。
まふゆの瞳の奥、深淵の縁には、何かがあるような気がするけれど。
今の瑞希にはそこまで見通せなかった。
そんな瑞希を他所に、まふゆは跪いていた。
性の交わりとは思えない、異様な静謐が二人を包み込んでいた。
――――――――
「うっ、ああぁぁ……!!」
セカイの静寂に、瑞希の声が響く。
愉悦の中に切迫感があった。
押し寄せる快楽に、抗えなくなっていたのだ。
「……ルカも、こうしていたよね?」
「まふゆ、やめ、誰か来ちゃう……!」
「きっと、来ないから。気にしないで」
「そういう問題じゃ……ああぁっ!?」
まふゆは、上着を脱いで乳房を露わにしていた。
瑞希のペニスを挟み込み、左右から圧を加える。
着痩せするタイプなのでボリュームはルカに引けを取らない。
とても艶めかしい光景なのだが、見上げるまふゆの無機質な目線が歪な雰囲気を醸し出していた。
「声、抑えなくても良いよ」
素っ気ない言葉が響く。
ここにも性の駆け引きは、ない。
まふゆは事実を告げただけだ。
このセカイはまふゆの心から生まれた。
強く念じれば、瑞希達を現実世界に追い出すことも出来た。
今は「こっちに来ないで」と強く念を飛ばしている。
ミク達も含め、簡単な人払いにはなっていた。
「――あがぁっ!?ああぁ……!!」
「こうすると、良いんだ?」
オブジェに背を預けて立ったままの瑞希に、まふゆが更に躙り寄る。
乳房の触れる質感が強まり、瑞希の口から呻きが零れた。
「ねえ瑞希、これで良いの?」
見上げる目線は、やはり無機質だ。
ただ単に、反応を探るばかりだ。
「かはぁっ、うん、それで……ああぁっ……♪」
「そう、これで良いんだ……」
ただ、左右から力を加えるだけ。
先程より強めになっただけ。
それでも瑞希のペニスが反応を示す。
乳房の谷間で、更に力強さを増していた。
(やっぱり、ルカとリンクしているんだ……)
肌が受け入れている。
ルカにされている錯覚がある。
だから、容易に反応してしまっている。
「んっ、んんっ、んぅ、あっ、あぁ……はぁ、ああぁっ♪」
たぷん、たぷん、と音が響く。
乳房を打ち合わせる音だ。
リズミカルな圧が加わり、瑞希の声がそれに続く。
まふゆの乳房は、とても柔らかかった。
ルカの方が張りがあった気がする。
そんな贅沢なことを考えつつも、快楽に翻弄される。
膣とは違うつるんとした質感が、独自の快楽となって響いていた。
「……これが、良いんだ」
見上げるまふゆの目線が、擽ったい。
全身に目線を感じていた。
どうあっても、全てを目に焼き付けられる。
その感触が、瑞希の性感を煽り立てていた。
「これが……良いんだ……」
まふゆの肌が上気している。
汗が浮かび、少女の甘い香りを醸し出す。
胸の谷間では、瑞希の雄と混ざり合ってフェロモンを強くしている。
それが瑞希の鼻腔を擽り、性感を高めていた。
瑞希が、まふゆの頭に手を伸ばした。
そっと頭を撫でた。
それでも、まふゆの表情は揺らがない。
「んっ、くぅ、んぁ、あっ、っ、あっ、っ、っ……♪」
瑞希の反応を子細まで観察している。
どんな風に力を加えれば喘ぐか、それを見ては再現している。
辿々しくはあるが、まふゆなりのやり方に瑞希は翻弄されていた。
(やっぱり、違う)
ルカならば、喜色を露わに、ペニスに集中していた。
まふゆは、それでもこちらを見つめている。
だから、じぃっと見つめ返した。
まふゆの瞳の奥に、何かが見えた気がした。
「ルカ、こんな事もしていたよね?」
「――はうぅぅぅっ!?!?」
更なる快楽の波が襲いかかった。
まふゆは、左右の手で円を描いた。
互い違いになるように、手の平を回す。
豊かな乳房が、更に形を歪めてペニスを翻弄した。
しっとりと柔らかな肌が、ペニスを優しく包む。
色気とは無縁のまふゆだけに、普段とのギャップは圧巻だ。
瑞希は声を抑えられなかった。
「はっ、はっ、っ、はっ……ヤバ、また、来る……!!」
まふゆは、じぃっと見つめたまま。
視線に晒されながら、痴態を露わにしているのが心地良い。
その上で乳房の質感が更に煽り立ててくる。
夢中にさせられ、瞳は焦点を結ばなくなる。
そこにまふゆが畳み掛けた。
テンポを上げ、乳房の圧を強める。
たったそれだけなのに、瑞希の身体は強く反応した。
仰け反り、おとがいを跳ね上げ、あえぎ声を響かせる。
甲高く裏返った嬌声は、女の子のそれだ。
それでいて、股間にある物は雄の凶悪さを備えている。
瑞希らしい痴態で、追い詰められる様を示していた。
「イクッ、イクッ、あっ、あっ、ああああぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
乳房の間から生えたペニスが、一際強く震えた。
濃厚な性の固まりを発射して、それがまふゆの顔に掛かる。
まふゆはそれを掬い取り、口に持って行く。
苦くて雄臭い固まりを、躊躇いなく飲み込んでいた。
「ま……ふゆ……それ……ダメだよ……」
瑞希が止めるも、まふゆは意に介さない。
精液の味と匂いを確かめている様子だ。
そして、またも瑞希を上目に見つめた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
パイズリからやって来た絶頂の余韻は、強烈だった。
身体中の熱を一度に引き抜かれるような脱力。
そうして冷えた頭で、もう一度まふゆを見つめた。
――やっぱり、違う!
違和感が、形になりつつあった。
ルカとまふゆは、根本が違っている。
まふゆは、違う――
「――わぁっ!?」
考えに耽った時、視界が回る。
まふゆが押し倒したのだ。
そして、瑞希の服に手を掛けた。
「ルカは、こうしていたよね……」
またしても、無機質な声。
教わった手順通りにやっている、そんな雰囲気だ。
指が這いまわる感触に瑞希は悶えた。
肌の感触がリンクしているのは、その通りで。
逆らえぬままに、一糸纏わぬ身体にされてしまった。
――――――――
「確か、ルカはこうしていたよね?」
「うぅ……」
仰向けにされ、足を開かされ、足首をまふゆが掴んでいる。
まふゆが上から覆い被されば、瑞希の身体が丸め込まれる。
ちんぐり返し、と言われる体位だ。
お尻の穴が上を向くまで丸め込まれ、陰嚢から裏筋まで晒される。
その上で元気よく突っ立っているペニスは、屈辱の演出となる。
しかし、瑞希はそれで萎えることはない。
むしろ更に元気を増してしまう。
被虐性癖を露わにされたようで、羞恥を経由した快楽が更に刺激されていた。
「こんなのが、良いの?」
煽るわけでもなく、ただ淡々と、覗き込むまふゆ。
まふゆもまた、一緒纏わぬ姿だ。
ルカにも引けを取らない恵体だ。
ただし、仕草の一つ一つが無造作で、色香とは無縁。
全てにおいて、無味乾燥。
その空気もまた、瑞希の性癖を刺激していた。
「ルカに、こんな事をして貰っていたんだ」
ただ、見つめるばかり。
瑞希のことを観察していた。
(……何これ?)
セックスの最中に他の名前を出すのは、タブーとされる。
しかし今は、ルカの名前が頻繁に出てくる。
他ならぬ、まふゆの口からだ。
瑞希を通してルカを見ているのではなく、まふゆがルカの役を演じている。
珍妙、の言葉に相応しい雰囲気だ。
奇妙なほど静かな時間が流れていた。
「こんなのが、良いんだ……っ!」
「まふゆ!?無理しちゃダメだよ!?」
「……大丈夫……っ!」
腰を落として挿入を試みるまふゆ。
瑞希はともかく、まふゆはまだ前戯もしていない。
濡らしていないのだから入らない、が――
「んっ……ううぅぅぅ……!!」
(入った……?)
ゆっくりと、少しずつ受け入れるまふゆ。
僅かながらに濡れており、それが挿入の手助けとなった。
「ゆっくり、だよ、ゆっくり……っ、うぅ、あっ、あっ……!」
強烈な締め付けが襲いかかり、瑞希の声が上擦る。
ペニスは勢いを増し、まふゆの奥を狙ってそそり立つ。
まふゆが腰を折り、受け入れていく様は壮観だった。
瑞希の腰に跨がる大胆な体勢は、普段からは想像もつかない。
そのギャップが、瑞希の本能を鷲掴みにしていた。
(……でも、なんで濡れていたんだろう……?)
パイズリの際に、精を間近に浴びたからか?
たったそれだけで濡れるのか?
そもそも、まふゆの動機はなんなのか。
この様子ならばルカに対する嫉妬という線は、薄そうだ。
このセックスは、分からないことだらけだった。
「動くね……確か……」
「――おぅっ!?おっ、おおぉっ……♪」
まふゆが腰をくねらせた。
ルカのそれとは違い、動きをなぞるだけだ。
恵体が故に形になっているが、色香は感じられない。
それでも、締め付けの上でくねりが加わるので、ペニスは翻弄される。
断続的に突き上がる快楽の大波に、瑞希の声は抑えられない。
「おっ、おおぉっ、おっ……おっ、ほぉっ♪」
だらしなく開いた口から、みっともない声が零れる。
白い肌を上気させ、淫らに踊るまふゆはとても魅力的だ。
辿々しさもルカとは違う方向性で惹き付ける。
「……っ……!」
まふゆの口からは、喘ぎは聞こえていないが、何か感じる物はある様子だ。
時折表情が歪み、腰の動きが乱れる。
全身を上気させ、汗を滴らせている様子から、快楽は響いているようだった。
「瑞希、これが、気持ちいいの……?」
「……うん……もっと……っ、おぉ、あっ、あん♪」
「そう……っ、っ……!」
瑞希の声が裏返る。
まふゆとルカの肌質は違うのに、快楽は等しく入り込んでくる。
開発されてしまった身体は、容易にまふゆを受け入れてしまっていた。
腰の揺さぶりに昂ぶってしまい、興奮が抑えられなくなっていた。
「……そう、こんなのが……」
まふゆも昂り始めている。
小さく身体が震え、声に熱が籠もってきた。
瑞希の興奮に共鳴するように、快楽が響いているのか。
覗き込む目つきは相も変わらずだが、結合部が水音を奏で始めている。
ねちゃねちゃと、淫らな粘り気を響かせていた。
「まっ、まふゆ……まふゆ……!」
「――っ!?くぅ……!!」
堪えられず、瑞希は動く範囲で腰を突き上げた。
それに呼応して、まふゆの口からも声が零れる。
腰の動きが乱れ、まふゆの身体が跳ねた。
癖のある髪が汗で肌に張り付き、艶めかしく乱れた。
乳房が跳ね、尻が揺れる。
ようやくセックスらしくなってきた。
瑞希の僅かながらの動きが、まふゆの快楽を抉り出しているようだ。
「ルカと……こう言うの……良いんだ……」
(なんでまた、ルカなの!?)
熱が浮かぶほどに、瑞希を見つめる視線が強くなる。
セックスに翻弄される様を見届けようというのか。
なぜここでも、ルカが出てくるのか?
交わるとは、こういうことだったのか?
刻み込まれる快楽は本物なのに、瑞希の頭の奥は冷えたままだ。
「……瑞希……」
「――……!」
見つめるまふゆの瞳の奥。
そこに瑞希は見いだした。
無感情の漆黒に紛れた、黒によく似た色を。
快楽に翻弄されつつも、まふゆを見つめ返す。
その色は、見たことがある。
間違いなく、瑞希の記憶にあった。
「まっ、まふゆ、まふゆ……!」
「ふぁっ……ああぁ、っ、あっ……!!」
動く範囲で腰を動かす。
跨がっているはずのまふゆが乱され、悶える。
仰け反り、圧巻の乳房を揺らす。
おとがいを跳ね上げ、美声を響かせる。
股が更に開き、より深くまで受け入れる。
性に翻弄される一人の少女の姿だった。
――分かったぞ、あれは……!
「ふぁっ……あっ、っ、あっ……っ、あっ、ああぁぁん♪」
「――瑞希……ぃ……あっ、っ、っ!!」
瑞希が感じて、まふゆが喘ぐ。
この順序は変わらない。
感じ方の手本を、瑞希が示している。
不思議な構図になっていたが、瑞希は確信の笑みを浮かべていた。
(分からない……何?)
まふゆは奇妙な感覚に翻弄されていた。
瑞希と目を合わせた瞬間だ。
吸い込まれ、捕らえられるような錯覚を覚えた。
それなのに、瑞希の瞳に宿る光は、どこまでも優しかった。
その光から、目を逸らせなかった。
「まふゆ、ボクをもっと感じて……ほら……」
「んおぉっ!?おっ、っ、はぁ、っ、お、おおぉ……!!」
瑞希が手を伸ばし、まふゆの腰に触れた。
抱き寄せる余裕は無い。
それでも、反射的にまふゆが腰を前に迫り出した。
それが子宮を強く刺激し、あられも無い声が零れた。
快楽に抗えなくなり、口がまともに閉じなくなっている。
これがまふゆとは信じられない声が零れていた。
(そっか……まふゆは……)
逆転していた。
辱めとも言える格好の瑞希が、主導権を握っている。
覆い被さるまふゆが、翻弄されていた。
僅かに触れただけでも、まふゆの快楽をコントロールしていた。
「二人で、イクよ?ねえ、まふゆ……!」
「っ、くぅ……瑞希……瑞希……!!」
まふゆの身体を、快楽が駆け巡っていた。
箍が外れ、一気に溢れ出してしまっていた。
まふゆはその事象が全く掴めていない。
それが故に、ただ翻弄され続けるばかりだ。
「――羨ましかったんだよね、まふゆ?」
その問いかけに、まふゆは目を見開く。
そこで、瑞希が僅かながらに腰を突き上げる。
子宮を揺さぶった瞬間、まふゆの視界が白く染まった。
「っ、っ、あっ、っ……あああぁぁぁぁぁぁ……!!」
叫ぶような声を上げ、まふゆ一人が達した。
瑞希は、優しげに微笑むばかりだ。
脱力して覆い被さるまふゆの身体を受け止める。
発射には至らず、滾りを残したままのペニスを引き抜いた。
「こんな事なら、最初から相談してくれれば良かったのにね……」
余韻に揺蕩うまふゆに、瑞希の呟きは聞こえていなかった。
――――――――
「んん……んん……」
意識が少しずつ覚醒する。
感じたことがない心地良さに包まれ、気を失っていたようだ。
頬が冷たい。
手も、足も、冷たい。
全身がひんやりとする。
確か、さっきは裸だったような――
「おはよう、まふゆ。お目覚めはどうかな?」
「瑞希……何、これ……?」
動けない。
頬を床に押しつけられ、手と足が拘束されている。
俯せにされている。
とても窮屈で、呼吸を確保するのが精々だ。
「まふゆさぁ、こういうことだったんだよね?」
「――ひぃっ!?」
ぱちん、と肌を打ち鳴らす音が響いた。
まふゆの尻に、平手が叩き付けられた。
それでも逃れることは出来ない。
まふゆは、床に転がされていた。
胡座の格好から、両手を足首が交わるポイントでベルトで一括りにされ、そのまま前に突き倒された状態だ。
座禅転がし、といわれるセックスの体位だ。
両手と両足が一つに纏まっているので、まふゆは身動ぎすらもままならない。
「まふゆは、こうされたかったんだ?」
「――やっ、あぅ、ああぁ……!」
胡座から俯せで固定されているので、尻を突き上げる格好となる。
両手も一括りにされているので、足を動かすこともままならない。
膝を大きく開き、股座は全て晒されていた。
剥き出しの秘裂に、瑞希が指を突っ込んでいたのだ。
「ボクが羨ましかったんだよね、まふゆ?」
「はっ、はぁ、ああぁ……やっ、あぅ、お、おおぉっ!」
「ルカに虐められる、ボクが、羨ましかったんだよね?」
「くはぁ、んぉっ、おっ、ああぁっ……」
狭い膣内、襞を一枚ずつ掻き分け、解す指先。
まふゆの喘ぎが響く。
快楽の奔流に捕らえられ、声を抑えられなくなっていた。
「虐め倒されて、アンアン言っているボクみたく、なりたかったんだよね?」
「はぁ……はぁ……」
まふゆの瞳の奥に見いだした色。
それは、いつかルカに見せつけられた、自分自身の色だった。
被虐願望――瑞希と同じ、黒によく似た色。
本人にも名づけられない欲求を、瑞希だけは知っていた。
自分も、同じ色を宿していたからだ。
「だから、教えてあげる。とっても気持ちいいんだよ♪」
「やぁっ、瑞希……!」
「遠慮しなくても良いよ。違う世界が見えるから」
瑞希は、まふゆに向かっていない。
目の前に突き上げられた尻、秘裂と肛門に向かって話している。
尻たぶに指を掛け、豊かな肉を割り開き、性器を見つめていた。
「ちゃんと鍛えているんだ。本当、良い体しているよね♪」
筋肉と脂肪が程よく乗った、理想的なお尻。
触れれば柔らかく、その奥には確かな張りがある。
撫で、揉み続け、時間を忘れたくなる。
品行方正のまふゆとは思えない艶めかしさ。
触れた手の平を離せなくなっていた。
「まふゆはね。今から、こんな格好で犯されちゃうんだ」
「やだ……解いて、瑞希……」
「だぁめ。ちゃんと教えたら、解いてあげるから」
「この格好は……痛いから……」
「少しくらい痛くても、気持ち良くなるから、我慢、我慢♪」
豊かな乳房が床との間に潰され、ボリュームを示す。
魅惑の臀部は突き上げられ、隠す物がない。
まふゆの尊厳を砕き、瑞希の征服感を強く刺激する格好だ。
先程発射できなかった滾りを乗せ、瑞希のペニスが宛がわれた。
「行くよ、まふゆ。力を抜いてね」
「待って、瑞希……、――くぅ、おおぉぉぉぉぉ……!!」
まふゆの視界が白く染まる。
さっき入れた時とは、比べものにならない快感が襲いかかった。
今の瑞希は、欲望だけで一切の加減がない。
窮屈な格好に固定され、力を逃がせない。
全てが、快楽として跳ね返ってきていた。
「まふゆはね、虐め倒されたかったんだ」
「っ、くぅ、んっ……ああぁっ……」
「鏡、見てみる?凄い気持ち良さそうだ、よっ!」
「――おっ、ほぉぉぉ……!!」
平手を、尻に打ち下ろす。
まふゆの声が更に高まる。
痛みすらも、快楽として受け取れていた。
瑞希自身は、強烈な被虐願望があった。
しかしまふゆの性癖を知れば、別のスイッチも入る。
自分がされて嬉しいことを、まふゆにもしてあげれば良い。
そうすれば、お互いに気持ち良くなれる。
虐め倒す側に回ることにも躊躇はなかった。
「酷い格好だよね、皆に見せてあげたいな♪」
「ダメ……止めて……」
瑞希の目に、狂熱が浮いていた。
後先考えず、欲望のままに突き動かす熱だ。
その勢いのまま、まふゆの腰に叩き付ける。
まふゆも、辿々しいながらも、喘いでいた。
全ては瑞希の指摘に通りだった。
まふゆと瑞希と、性癖がリンクしていたのだ。
被虐に耽溺する瑞希を見て、まふゆも共鳴していた。
故に瑞希の喘ぐ様が、まふゆの性感を刺激していた。
「うっ、くぅ、っ、っ、っ……!!」
感じたことの無い快楽に翻弄される。
この窮屈な格好ですらも、愛おしくなる。
ただ犯されるだけの、哀れな雌を演じているはずなのに。
羞恥の皮を捲れば、芳醇な快楽が潜んでいた。
それに溺れさせられていた。
「アフター扱っている薬局、知っているから」
「……えっ?」
「だから、ゴム無しでごめんね♪」
「――待って……ふああぁぁぁぁぁっ……!!」
まふゆのお腹が熱で満たされた。
無許可の中出しを喰らっていた。
まふゆの意思は考慮されず、ただ欲望のまま。
しかしそれこそが、最大限の快楽をもたらした。
またもや絶頂を味わっていた。
「はぁ……はぁ……」
瑞希が離れた後も、拘束は解いて貰えない。
そのままの格好で放り出され、荒い呼吸をするばかり。
(まふゆ、カワイイ♪)
改めて、まふゆの肉感が強調される格好だ。
潰れた胸はボリュームを見せつけ、形の良い尻は眺め放題。
全身に浮かんだ汗が甘い香りを醸し出し、股座は性の匂いを纏わせて。
たった今犯した秘裂からは、精液と愛液のカクテルが滴り落ちる。
こんな惨めな格好だからこそ、まふゆのスタイルの良さが分かる。
征服感を存分に味わえば、ペニスが再び勢いを取り戻す。
そう、入れていない場所が、あった。
「……ふぅ♪」
「――きゃっ!?」
不意の刺激に、まふゆが小さな悲鳴を上げた。
熱い吐息の塊が当たったのは、尻の穴だ。
「ここってさ、医学書では肛門、って言われるんだよね?」
「……そう、だけど……っ!?」
「ちゃんと力を抜くんだよ、まふゆ」
秘列を穿り、愛液を掻き出す。
それを尻の穴の皺に擦り込む。
反射的に尻を揺するも、まともには動けない。
瑞希の手に掛かり、尻の穴も淫らに濡らされていた。
「まふゆのここは、今日からケツ穴になるんだよ」
「……何を言っているの?」
「そのまんまだよ。肛門じゃなくて、ケツ穴になるの」
「――瑞希!?」
ペニスの先端が、尻の穴に当たる。
まふゆの全身に鳥肌が立つ。
そこはセックスに使う場所ではない。
「まふゆ、力を抜いて……ほらっ♪」
「――んおおぉっ、おっ、おおおおぉぉぉぉぉぉ……」
アナルセックスの快楽が襲いかかる。
これすらも痛みとして捉えない身体だった。
瑞希の指摘の通りだった。
まふゆも強烈な被虐願望が眠っていた。
それを余すところなく、叩き起こされたのだ。
「くぉ、おっ……、っ、っ、おおっ、っ、っ……!!」
窮屈な格好もあり、呼吸にも難儀する。
お腹の奥から突き上げられる感触で、まともに息を吸えない。
それでも快楽が上回ってしまう。
淫らな願望が満たされる歓喜が全身を包み込んでいた。
(うわ、きっつ……!)
性に疎いまふゆは、力加減を知らない。
その上、アナルセックスだ。
腰を動かすのも容易ではないほどの締め付けが加わる。
それはペニスを包む極上の快楽ともなっていた。
まふゆが悶える中、瑞希はお尻を優しく撫でる。
壊れ物を扱う手つきだ。
勢い任せに犯している現状とは真逆の雰囲気だ。
まふゆを見下ろす目も、優しかった。
満たしてあげたいからこそ、犯している。
自分と同じ願望があるならば、どうすれば良いのかは分かる。
瑞希の中で、ルカとまふゆは決定的に違う存在になっていた。
「まふゆ……イキそう。ケツ穴に、出しちゃうよ♪」
「そこは……汚い……」
「まあ、カタいことは言いっこなし♪」
医学の知識があるまふゆならば、アナルセックスの危うさも分かる。
それを軽く聞き流し、腰を叩き付ける瑞希。
まふゆの尻が小気味よく弾かれ、乾いた音を響かせる。
突っ伏した格好のまふゆには、拒否権はなかった。
ただ受け止めるしかなかった。
「出る、出ちゃう♪イクよ、イク……あああぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
「――くぅっ!?おほぉぉぉぉ……」
直腸にも、熱い精が迸った。
その熱に踊らされ、またもや絶頂を迎えたまふゆ。
被虐願望を露わに、雌の声を上げていた。
「お疲れさま……まふゆ♪」
ゆっくりと、ペニスを引き抜く。
こぽん、と尻の穴が音を立ててしまう。
その羞恥すらも、今のまふゆにはご馳走だった。
絶頂の余韻の心地良さに、意識が揺蕩っていた。
――――――――
「……まふゆ♪」
まふゆの意識は、まだ揺蕩っていた。
拘束は解かれていない。
視線の高さを合わせるように、瑞希も床に横たわった。
その眼差しは、とても優しかった。
「最初は、凄く驚いたよ」
返事がないことを承知で、語りかけた。
親しい友人に話しかけるような、柔らかな表情だ。
「ボク達、
お互いに、酷い性癖だ。
こんなの、誰にも理解して貰えないかもしれない。
でも、まふゆのことが理解できたのは、嬉しかった。
まふゆの色は、真っ黒じゃない。
もっと深く、ずっと濃い、紫色。
淀みきって、限りなく黒に近づいた、紫色。
「救えないよね……ボク達」
まふゆは、微笑んだ。
ただ自然に、微笑んだんだ――
――