※この作品はR-18です。

暁山瑞希の秘められた日常   作:三条ゴート

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「ふふふ。だらしない顔。これ、誰かしら?」

 ルカが手鏡を示す。
 映っているのは、ボクだ。

 涙と涎でグチョグチョ。
 でも、笑っていた。

「本当に、酷い顔……でも、カワイイわ」

 熱に浮かされた目をしていた。
 焦点も合わず、ただ見つめるだけ。

 ルカに虐められるのは、凄く気持ちいいんだけど。
 本当に酷い顔していたな、ボク。

※この作品はpixivにも掲載しています。


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 見てしまった。

 セカイの片隅で、瑞希とルカが絡み合っていた。

 二人とも、裸だ。

 

 何をしているの?

 答えは分かる。

 セックスだ。

 

 瑞希が、聞いたこともない声で喘いでいる。

 仰向けにされ、股を開かされ、ペニスを立てている。

 しかもそのペニス、根本がリボンでデコレーションされている。

 瑞希がカワイイと気に入っているリボンだ。

 

 尊厳を蹂躙される格好だ。

 それなのに、全く嫌がるそぶりがない。

 

 あれは、気持ちいいのだろうか?

 恥という考え方を捨てているのだろうか? 

 瑞希の考えが、分からない。

 

 ルカは、微笑んでいた。

 いつもの薄ら笑いとは違う、怖い笑みだ。

 

 瑞希をよがらせることは、楽しいのか?

 思うがままにすることは、楽しいのだろう。

 

 ――認めない。

 頭の中をよぎった単語。

 

 私は、何を認めたくないんだろう。

 恥をかなぐり捨てた瑞希?

 瑞希を独り占めしているルカ?

 

 このセカイは、私の心から生まれている。

 そこをセックスの場所にされることは、認められない。

 それはそうなのだけれど。

 

 でも、そこは、いい。

 なぜだか、そう思えた。

 好きにすればいい、と呟いてしまう。

 

 でも、認められない。

 何を認めたくないの、私?

 

 瑞希から、目が離せない。

 恥ずかしくないのか。

 その向こう側にある感情なのか。

 恥は、恥だ。

 避けなくてはいけないものだ。

 それをあえて、受け止める?

 

 独り占め、と言う言葉が浮かんだ。

 ルカが、瑞希を独り占めにしている。

 だから、認めたくない?

  

 でもルカを見ていても、何も感じない。

 瑞希を見ていると、認めたくない。

 私は、何を認めたくないんだろう?

 

 分からない。

 私が、分からない。

 私は、認めたくない。

 

 私は――

 

 

 ――――――――

 

 

「んぅ、ん、んん……――!!」

 

 誰もいないセカイの、片隅。

 円柱や三角錐、鉄骨と言った無機質なオブジェが乱立する陰で、くぐもった声が響く。

 声の主は、瑞希だ。

 呼吸を封じられる呻き声を響かせていた。

 

「……っ、ふは、はぁ、はぁ……!」

 

 両腕に力を込め、目の前の相手を引き剥がす。

 空間を確保して、足りなくなった酸素を強引に確保した。

 

 その瑞希をじっと見つめる少女がいた。

 朝比奈まふゆ。

 喘ぐ瑞希を、ただじぃっと見つめるばかりだった。

 

「ねえ、どうしたの、まふゆ!?」 

 

 瑞希が狼狽を露わにする。

 放課後にセカイに呼び出された。

 セカイにやってくれば、制服姿のまふゆがいた。

 そして、いきなり抱きつかれ、唇を重ねられたのだ。

 深い口づけで、呼吸を阻害するほどだ。

 

 まふゆの考えが分からない。

 知りたいという欲求の表れなのか。

 親愛の情を示す方法としては、あまりにも強引だ。

 

「瑞希は、どう思った?」

「――へ?」

 

 一転して間の抜けた声が零れた。

 まふゆは、試そうとしている?

 何を?

 今の行為を試して、何を得ようとしている?

 何かの感情の発露の、手助けになる?

 全てが、いきなりに過ぎた。 

 

 朝比奈まふゆは、特殊な人間だ。

 幼少より親から抑圧され続け、全ての感情を失った。

 瑞希や奏、絵名、このセカイとの関わりの中で、少しずつ感情が芽生えている。

 その助けとなるならば、構わない。

 けれど、今のこれは、全く理解できない。

 瑞希の混乱は勢いを増すばかりだ。

 

「今のを、どう思ったの?」

 

 まふゆは、淡々と問いかける。

 そこには何の感情も見られない。

 純粋に、質問しているのだ。

 分からないから、尋ねている。

 たった、それだけの、無機質さがあった。 

 

「どうも思っていないよ!?だって、まふゆが――んぅぅぅぅぅ!?!?」

 

 もう一度、瑞希が唇を奪われた。

 まふゆの力加減には容赦がない。

 きつくしがみつき、唇も、呼吸も奪う。

 豊かな胸を瑞希の胸板に押しつけ、強く身体を密着させる。

 機先を制され、瑞希は引き剥がせなかった。

 

「むぅぅぅ!んぅぅ、むぅぅぅぅ!?!?」

 

 今度の口づけは長かった。

 マウス・トゥ・マウスのように、まふゆが呼気を送り込んでくる。

 瑞希の肺が、まふゆの吐息で満たされる。

 酸素不足に陥り、危機を察知した脳が筋肉のリミッターを外した。

 

「――ぷはぁっ、はぁ、はぁ……はぁ……!!」

 

 力任せに引き剥がした。

 まふゆの細い腕に爪を食い込ませていた。

 それくらいに、必死だった。

 

「――ごめん、まふゆ、大丈夫!?」

「……気にしないで」

 

 爪の痕に気づいて狼狽する瑞希。

 その爪の痕を、まふゆはじぃっと見つめている。

 

「……まふゆ?」

 

 まふゆは痛がる素振りを見せない。

 ただ、見つめるばかりだ。

 瑞希は違和感を覚える。

 何かが、うまく噛み合わない。

 

 まふゆは、「分からない」とたびたび口にする。

 普通なら自覚する感情の揺らぎも、まふゆには捉えにくいらしい。

 どう言葉にすればいいのか、見つからないのだろう。

 だから「分からない」と言うしかない。

 

 爪痕を、観察している。

 何が起こったのか分からない、そんな様子だった。

 肌にくっきりと残ったのだから、痛いはずだ。

 まふゆには、何が分からない?

 

「ルカと、何をしていたの?」

「――!?」

 

 青天の霹靂だ。

 まふゆから飛び出した言葉に、瑞希が戦慄する。

 

「あれは、その……」

「言えないこと?」

「――っ!?」

 

 直球で返され、瑞希は言葉に詰まる。

 表情を窺うが、何も読めない。

 無表情ではない。

 無機質なのだ。

 

「言えないこと、していたの?」

 

 怒るのでもない。

 詰るのでもない。

 ただ、問いかけるだけだ。

 

 戦慄を覚えた瑞希が後ずさる。

 その分だけ、まふゆが迫る。

 瑞希の背にオブジェが当たる。

 それでも、まふゆは迫った。

 

「言えないこと、していたんだ?」

「――ひぃっ!?」

 

 衣擦れの音がした。

 まふゆが瑞希の股間をスカート越しに撫でたのだ。

 

「ルカとこんなこと、していたんだ」

「うわぁ……あぁ……」

 

 声に怯えが浮かぶ。

 しかし、スカートを下から持ち上げる屹立があった。

 ただ撫でられただけなのに、心地よかったのだ。

 触れる程度の手つきだ。

 たった、それだけのことなのに。

 

 身体の芯は冷えているのに、肌は煩わしいほどに熱い。

 全身の熱が循環できずに、表面に浮かび上がったようだ。

 

(何なの、これ?)

 

 異様だ。

 身体が、受け入れてしまうのだ。

 ルカに触れられた時と、同じ熱を持っている。

 ルカがそこにいるみたいだ。

 これは、ルカの手みたいで――

 

――まふゆと、ルカは……!

 

 ここのセカイは、まふゆの心を反映している。

 ルカは、まふゆの心の一部が具現化した存在とも言える。

 ルカとまふゆの存在感が、繋がり合っているのか。

 だからまふゆの肌を、ルカと錯覚している。

 そうでもないと、説明が付かない。

 

「気持ちいいんだ?」

「――っ!?そこはぁ……!!」

「これが、気持ちいいんだ」

 

 まふゆの言葉は、素っ気ない。

 快楽を引き出す意図は、一切感じられない。

 ただ、瑞希を観察しているだけだ。

 

 しかし瑞希は、快楽に翻弄されていた。

 スカートの下から入った手が、下着の上から優しく撫でた。

 瑞希のもっとも悦ぶポイントに、無造作に触れていた。

 ルカならば目を瞑っていても分かる話だが、初めて触れたまふゆが、造作もなく探り当てていた。

 

(ボク、どうなっちゃうの!?)

 

 喜色を露わに責めるルカに対し、無機質に見つめるまふゆ。

 この落差が、性癖に響いているのか。

 確かにルカの手で、おかしな方向に導かれているけれど。

性への意思が欠落している責めの形もあると、身体に擦り込まれているのか。

 混乱の最中に、快楽は容赦なく染み入ってくる。

 

「もっと触ったら、もっと感じるの?」

 

 まふゆの吐息がかかる。

 瑞希の体は小さく震えるばかりだ。

 ボタンに手が掛かり、ブラウスをはだけられても、反応できない。

 スカートのホックを外され、すとんと落ちれば、屹立を覆う下着が露わに。

 それにも手が掛かり、瑞希の秘する場所の全てがさらされる。

 白い肌は上気し、汗が浮かんでいる。

 まふゆの行為に対することが、これだった。

 

 ルカに脱がされるときも、こうだ。

 ただしルカの場合は、もっと言葉で辱め、盛り上げる。

 今のまふゆは、ただ機械的に脱がせただけだ。

 そうであっても、瑞希の身体は等しく反応してしまった。

 

「これが、瑞希の……ふぅん……そう……」

 

 首を傾げ、じぃっと見つめるばかり。

 ただ観察しているだけだ。

 一方の瑞希は、羞恥に涙が浮かんできた。

 静寂の中、愉悦を求めて震えるペニスが惨めにすら映る。

 それに反応する身体が、今はただ恨めしかった。

 

 まふゆは、ただ眺めるだけ。

 細い指先が伸び、触感を確かめようと――

 

「んぃぃぃぃぃ!?!?」

「――!?!?」

 

 指が触れた、それだけで射精してしまった。

 歯を食いしばり、それでも声を抑えられない瑞希。

 白目を剥き掛かるほどの快楽が襲いかかっていた。

 放たれた精液がまふゆに掛かり、髪にねっとりと絡みつく。

 

「わっ、ごめん、まふゆ……っ?」

 

 まふゆは、じぃっと、見つめてくる。

 瑞希の瞳の奥まで覗き込んでいるようだ。

 芯まで擽られるような感触に、身震いした。

 

「まふゆ……?」

 

 違和感がある。

 やっぱり、何かが噛み合わない。

 まふゆの瞳の奥、深淵の縁には、何かがあるような気がするけれど。

 今の瑞希にはそこまで見通せなかった。

 

 そんな瑞希を他所に、まふゆは跪いていた。

 性の交わりとは思えない、異様な静謐が二人を包み込んでいた。

 

 

 ――――――――

 

 

「うっ、ああぁぁ……!!」

 

 セカイの静寂に、瑞希の声が響く。

 愉悦の中に切迫感があった。

 押し寄せる快楽に、抗えなくなっていたのだ。

 

「……ルカも、こうしていたよね?」

「まふゆ、やめ、誰か来ちゃう……!」

「きっと、来ないから。気にしないで」

「そういう問題じゃ……ああぁっ!?」

 

 まふゆは、上着を脱いで乳房を露わにしていた。

 瑞希のペニスを挟み込み、左右から圧を加える。

 着痩せするタイプなのでボリュームはルカに引けを取らない。

 とても艶めかしい光景なのだが、見上げるまふゆの無機質な目線が歪な雰囲気を醸し出していた。

 

「声、抑えなくても良いよ」

 

 素っ気ない言葉が響く。

 ここにも性の駆け引きは、ない。

 まふゆは事実を告げただけだ。

 

 このセカイはまふゆの心から生まれた。

 強く念じれば、瑞希達を現実世界に追い出すことも出来た。

 今は「こっちに来ないで」と強く念を飛ばしている。

 ミク達も含め、簡単な人払いにはなっていた。

 

「――あがぁっ!?ああぁ……!!」

「こうすると、良いんだ?」

 

 オブジェに背を預けて立ったままの瑞希に、まふゆが更に躙り寄る。

 乳房の触れる質感が強まり、瑞希の口から呻きが零れた。

 

「ねえ瑞希、これで良いの?」

 

 見上げる目線は、やはり無機質だ。

 ただ単に、反応を探るばかりだ。

 

「かはぁっ、うん、それで……ああぁっ……♪」

「そう、これで良いんだ……」

 

 ただ、左右から力を加えるだけ。

 先程より強めになっただけ。

 それでも瑞希のペニスが反応を示す。

 乳房の谷間で、更に力強さを増していた。

 

(やっぱり、ルカとリンクしているんだ……)

 

 肌が受け入れている。

 ルカにされている錯覚がある。

 だから、容易に反応してしまっている。

 

「んっ、んんっ、んぅ、あっ、あぁ……はぁ、ああぁっ♪」

 

 たぷん、たぷん、と音が響く。

 乳房を打ち合わせる音だ。

 リズミカルな圧が加わり、瑞希の声がそれに続く。

 

 まふゆの乳房は、とても柔らかかった。

 ルカの方が張りがあった気がする。

 そんな贅沢なことを考えつつも、快楽に翻弄される。

 膣とは違うつるんとした質感が、独自の快楽となって響いていた。

 

「……これが、良いんだ」

 

 見上げるまふゆの目線が、擽ったい。

 全身に目線を感じていた。

 どうあっても、全てを目に焼き付けられる。

 その感触が、瑞希の性感を煽り立てていた。

 

「これが……良いんだ……」

 

 まふゆの肌が上気している。

 汗が浮かび、少女の甘い香りを醸し出す。

 胸の谷間では、瑞希の雄と混ざり合ってフェロモンを強くしている。

 それが瑞希の鼻腔を擽り、性感を高めていた。

 

 瑞希が、まふゆの頭に手を伸ばした。

 そっと頭を撫でた。

 それでも、まふゆの表情は揺らがない。

 

「んっ、くぅ、んぁ、あっ、っ、あっ、っ、っ……♪」

 

 瑞希の反応を子細まで観察している。

 どんな風に力を加えれば喘ぐか、それを見ては再現している。

 辿々しくはあるが、まふゆなりのやり方に瑞希は翻弄されていた。

 

(やっぱり、違う)

 

 ルカならば、喜色を露わに、ペニスに集中していた。

 まふゆは、それでもこちらを見つめている。

 だから、じぃっと見つめ返した。

 まふゆの瞳の奥に、何かが見えた気がした。

 

「ルカ、こんな事もしていたよね?」

「――はうぅぅぅっ!?!?」

 

 更なる快楽の波が襲いかかった。

 まふゆは、左右の手で円を描いた。

 互い違いになるように、手の平を回す。

 豊かな乳房が、更に形を歪めてペニスを翻弄した。

 

 しっとりと柔らかな肌が、ペニスを優しく包む。

 色気とは無縁のまふゆだけに、普段とのギャップは圧巻だ。

 瑞希は声を抑えられなかった。

 

「はっ、はっ、っ、はっ……ヤバ、また、来る……!!」

 

 まふゆは、じぃっと見つめたまま。

 視線に晒されながら、痴態を露わにしているのが心地良い。

 その上で乳房の質感が更に煽り立ててくる。

 夢中にさせられ、瞳は焦点を結ばなくなる。

 

 そこにまふゆが畳み掛けた。

 テンポを上げ、乳房の圧を強める。

 たったそれだけなのに、瑞希の身体は強く反応した。

 

 仰け反り、おとがいを跳ね上げ、あえぎ声を響かせる。

 甲高く裏返った嬌声は、女の子のそれだ。

 それでいて、股間にある物は雄の凶悪さを備えている。

 瑞希らしい痴態で、追い詰められる様を示していた。

 

「イクッ、イクッ、あっ、あっ、ああああぁぁぁぁぁぁぁっ♪」

 

 乳房の間から生えたペニスが、一際強く震えた。

 濃厚な性の固まりを発射して、それがまふゆの顔に掛かる。

 まふゆはそれを掬い取り、口に持って行く。

 苦くて雄臭い固まりを、躊躇いなく飲み込んでいた。

 

「ま……ふゆ……それ……ダメだよ……」

 

 瑞希が止めるも、まふゆは意に介さない。

 精液の味と匂いを確かめている様子だ。

 そして、またも瑞希を上目に見つめた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 パイズリからやって来た絶頂の余韻は、強烈だった。

 身体中の熱を一度に引き抜かれるような脱力。

 そうして冷えた頭で、もう一度まふゆを見つめた。

 

――やっぱり、違う!

 

 違和感が、形になりつつあった。

 ルカとまふゆは、根本が違っている。

 まふゆは、違う――

 

「――わぁっ!?」

 

 考えに耽った時、視界が回る。

 まふゆが押し倒したのだ。

 そして、瑞希の服に手を掛けた。

 

「ルカは、こうしていたよね……」

 

 またしても、無機質な声。

 教わった手順通りにやっている、そんな雰囲気だ。

 指が這いまわる感触に瑞希は悶えた。

 肌の感触がリンクしているのは、その通りで。

 逆らえぬままに、一糸纏わぬ身体にされてしまった。 

 

 

 ――――――――

 

 

「確か、ルカはこうしていたよね?」

「うぅ……」

 

 仰向けにされ、足を開かされ、足首をまふゆが掴んでいる。

 まふゆが上から覆い被されば、瑞希の身体が丸め込まれる。

 ちんぐり返し、と言われる体位だ。

 

 お尻の穴が上を向くまで丸め込まれ、陰嚢から裏筋まで晒される。

 その上で元気よく突っ立っているペニスは、屈辱の演出となる。

 しかし、瑞希はそれで萎えることはない。

 むしろ更に元気を増してしまう。

 被虐性癖を露わにされたようで、羞恥を経由した快楽が更に刺激されていた。

 

「こんなのが、良いの?」

 

 煽るわけでもなく、ただ淡々と、覗き込むまふゆ。

 まふゆもまた、一緒纏わぬ姿だ。

 ルカにも引けを取らない恵体だ。

 ただし、仕草の一つ一つが無造作で、色香とは無縁。

 全てにおいて、無味乾燥。

 その空気もまた、瑞希の性癖を刺激していた。

 

「ルカに、こんな事をして貰っていたんだ」

 

 ただ、見つめるばかり。

 瑞希のことを観察していた。

 

(……何これ?)

 

 セックスの最中に他の名前を出すのは、タブーとされる。

 しかし今は、ルカの名前が頻繁に出てくる。

 他ならぬ、まふゆの口からだ。

 瑞希を通してルカを見ているのではなく、まふゆがルカの役を演じている。

 珍妙、の言葉に相応しい雰囲気だ。

 奇妙なほど静かな時間が流れていた。

 

「こんなのが、良いんだ……っ!」

「まふゆ!?無理しちゃダメだよ!?」

「……大丈夫……っ!」

 

 腰を落として挿入を試みるまふゆ。

 瑞希はともかく、まふゆはまだ前戯もしていない。

 濡らしていないのだから入らない、が――

 

「んっ……ううぅぅぅ……!!」

 

(入った……?)

 

 ゆっくりと、少しずつ受け入れるまふゆ。

 僅かながらに濡れており、それが挿入の手助けとなった。

 

「ゆっくり、だよ、ゆっくり……っ、うぅ、あっ、あっ……!」

 

 強烈な締め付けが襲いかかり、瑞希の声が上擦る。

 ペニスは勢いを増し、まふゆの奥を狙ってそそり立つ。

 まふゆが腰を折り、受け入れていく様は壮観だった。

 瑞希の腰に跨がる大胆な体勢は、普段からは想像もつかない。

 そのギャップが、瑞希の本能を鷲掴みにしていた。

 

(……でも、なんで濡れていたんだろう……?)

 

 パイズリの際に、精を間近に浴びたからか?

 たったそれだけで濡れるのか?

 

 そもそも、まふゆの動機はなんなのか。

この様子ならばルカに対する嫉妬という線は、薄そうだ。

 このセックスは、分からないことだらけだった。

 

「動くね……確か……」

「――おぅっ!?おっ、おおぉっ……♪」

 

 まふゆが腰をくねらせた。

 ルカのそれとは違い、動きをなぞるだけだ。

 恵体が故に形になっているが、色香は感じられない。

 

 それでも、締め付けの上でくねりが加わるので、ペニスは翻弄される。

 断続的に突き上がる快楽の大波に、瑞希の声は抑えられない。

 

「おっ、おおぉっ、おっ……おっ、ほぉっ♪」

 

 だらしなく開いた口から、みっともない声が零れる。

 白い肌を上気させ、淫らに踊るまふゆはとても魅力的だ。

 辿々しさもルカとは違う方向性で惹き付ける。

 

「……っ……!」

 

 まふゆの口からは、喘ぎは聞こえていないが、何か感じる物はある様子だ。

 時折表情が歪み、腰の動きが乱れる。

 全身を上気させ、汗を滴らせている様子から、快楽は響いているようだった。

 

「瑞希、これが、気持ちいいの……?」

「……うん……もっと……っ、おぉ、あっ、あん♪」

「そう……っ、っ……!」

 

 瑞希の声が裏返る。

 まふゆとルカの肌質は違うのに、快楽は等しく入り込んでくる。

 開発されてしまった身体は、容易にまふゆを受け入れてしまっていた。

 腰の揺さぶりに昂ぶってしまい、興奮が抑えられなくなっていた。

 

「……そう、こんなのが……」

 

 まふゆも昂り始めている。

 小さく身体が震え、声に熱が籠もってきた。

 瑞希の興奮に共鳴するように、快楽が響いているのか。

 覗き込む目つきは相も変わらずだが、結合部が水音を奏で始めている。

 ねちゃねちゃと、淫らな粘り気を響かせていた。

 

「まっ、まふゆ……まふゆ……!」

「――っ!?くぅ……!!」

 

 堪えられず、瑞希は動く範囲で腰を突き上げた。

 それに呼応して、まふゆの口からも声が零れる。

 

 腰の動きが乱れ、まふゆの身体が跳ねた。

 癖のある髪が汗で肌に張り付き、艶めかしく乱れた。

 乳房が跳ね、尻が揺れる。

 ようやくセックスらしくなってきた。

 瑞希の僅かながらの動きが、まふゆの快楽を抉り出しているようだ。

 

「ルカと……こう言うの……良いんだ……」

 

(なんでまた、ルカなの!?)

 

 熱が浮かぶほどに、瑞希を見つめる視線が強くなる。

 セックスに翻弄される様を見届けようというのか。

 なぜここでも、ルカが出てくるのか?

 交わるとは、こういうことだったのか?

 刻み込まれる快楽は本物なのに、瑞希の頭の奥は冷えたままだ。

 

「……瑞希……」

「――……!」

 

 見つめるまふゆの瞳の奥。

 そこに瑞希は見いだした。

 無感情の漆黒に紛れた、黒によく似た色を。

 

 快楽に翻弄されつつも、まふゆを見つめ返す。

 その色は、見たことがある。

 間違いなく、瑞希の記憶にあった。

 

「まっ、まふゆ、まふゆ……!」

「ふぁっ……ああぁ、っ、あっ……!!」

 

 動く範囲で腰を動かす。

 跨がっているはずのまふゆが乱され、悶える。 

 仰け反り、圧巻の乳房を揺らす。

 おとがいを跳ね上げ、美声を響かせる。

 股が更に開き、より深くまで受け入れる。

 性に翻弄される一人の少女の姿だった。

 

――分かったぞ、あれは……!

 

「ふぁっ……あっ、っ、あっ……っ、あっ、ああぁぁん♪」

「――瑞希……ぃ……あっ、っ、っ!!」

 

 瑞希が感じて、まふゆが喘ぐ。

 この順序は変わらない。

 感じ方の手本を、瑞希が示している。

 不思議な構図になっていたが、瑞希は確信の笑みを浮かべていた。

 

(分からない……何?)

 

 まふゆは奇妙な感覚に翻弄されていた。

 瑞希と目を合わせた瞬間だ。

 吸い込まれ、捕らえられるような錯覚を覚えた。

 それなのに、瑞希の瞳に宿る光は、どこまでも優しかった。

 その光から、目を逸らせなかった。

 

「まふゆ、ボクをもっと感じて……ほら……」

「んおぉっ!?おっ、っ、はぁ、っ、お、おおぉ……!!」

 

 瑞希が手を伸ばし、まふゆの腰に触れた。

 抱き寄せる余裕は無い。

 それでも、反射的にまふゆが腰を前に迫り出した。

 それが子宮を強く刺激し、あられも無い声が零れた。

 快楽に抗えなくなり、口がまともに閉じなくなっている。

 これがまふゆとは信じられない声が零れていた。

 

(そっか……まふゆは……)

 

 逆転していた。

 辱めとも言える格好の瑞希が、主導権を握っている。

 覆い被さるまふゆが、翻弄されていた。

 僅かに触れただけでも、まふゆの快楽をコントロールしていた。

 

「二人で、イクよ?ねえ、まふゆ……!」

「っ、くぅ……瑞希……瑞希……!!」

 

 まふゆの身体を、快楽が駆け巡っていた。

 箍が外れ、一気に溢れ出してしまっていた。

 まふゆはその事象が全く掴めていない。

 それが故に、ただ翻弄され続けるばかりだ。

 

「――羨ましかったんだよね、まふゆ?」

 

 その問いかけに、まふゆは目を見開く。

 そこで、瑞希が僅かながらに腰を突き上げる。

 子宮を揺さぶった瞬間、まふゆの視界が白く染まった。

 

「っ、っ、あっ、っ……あああぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

 叫ぶような声を上げ、まふゆ一人が達した。

 瑞希は、優しげに微笑むばかりだ。

 脱力して覆い被さるまふゆの身体を受け止める。

 発射には至らず、滾りを残したままのペニスを引き抜いた。

 

「こんな事なら、最初から相談してくれれば良かったのにね……」

 

 余韻に揺蕩うまふゆに、瑞希の呟きは聞こえていなかった。

 

 

 ――――――――

 

 

「んん……んん……」

 

 意識が少しずつ覚醒する。

 感じたことがない心地良さに包まれ、気を失っていたようだ。

 頬が冷たい。

 手も、足も、冷たい。

 全身がひんやりとする。

 確か、さっきは裸だったような――

 

「おはよう、まふゆ。お目覚めはどうかな?」

「瑞希……何、これ……?」

 

 動けない。

 頬を床に押しつけられ、手と足が拘束されている。

 俯せにされている。

 とても窮屈で、呼吸を確保するのが精々だ。

 

「まふゆさぁ、こういうことだったんだよね?」

「――ひぃっ!?」

 

 ぱちん、と肌を打ち鳴らす音が響いた。

 まふゆの尻に、平手が叩き付けられた。

 それでも逃れることは出来ない。

 

 まふゆは、床に転がされていた。

 胡座の格好から、両手を足首が交わるポイントでベルトで一括りにされ、そのまま前に突き倒された状態だ。

 座禅転がし、といわれるセックスの体位だ。

 両手と両足が一つに纏まっているので、まふゆは身動ぎすらもままならない。

 

「まふゆは、こうされたかったんだ?」

「――やっ、あぅ、ああぁ……!」

 

 胡座から俯せで固定されているので、尻を突き上げる格好となる。

 両手も一括りにされているので、足を動かすこともままならない。

 膝を大きく開き、股座は全て晒されていた。

 剥き出しの秘裂に、瑞希が指を突っ込んでいたのだ。

 

「ボクが羨ましかったんだよね、まふゆ?」

「はっ、はぁ、ああぁ……やっ、あぅ、お、おおぉっ!」

「ルカに虐められる、ボクが、羨ましかったんだよね?」

「くはぁ、んぉっ、おっ、ああぁっ……」

 

 狭い膣内、襞を一枚ずつ掻き分け、解す指先。

 まふゆの喘ぎが響く。

 快楽の奔流に捕らえられ、声を抑えられなくなっていた。

 

「虐め倒されて、アンアン言っているボクみたく、なりたかったんだよね?」

「はぁ……はぁ……」

 

 まふゆの瞳の奥に見いだした色。

 それは、いつかルカに見せつけられた、自分自身の色だった。

 被虐願望――瑞希と同じ、黒によく似た色。

 

 本人にも名づけられない欲求を、瑞希だけは知っていた。

 自分も、同じ色を宿していたからだ。

 

「だから、教えてあげる。とっても気持ちいいんだよ♪」

「やぁっ、瑞希……!」

「遠慮しなくても良いよ。違う世界が見えるから」

 

 瑞希は、まふゆに向かっていない。

 目の前に突き上げられた尻、秘裂と肛門に向かって話している。

 尻たぶに指を掛け、豊かな肉を割り開き、性器を見つめていた。

 

「ちゃんと鍛えているんだ。本当、良い体しているよね♪」

 

 筋肉と脂肪が程よく乗った、理想的なお尻。

 触れれば柔らかく、その奥には確かな張りがある。

 撫で、揉み続け、時間を忘れたくなる。

 品行方正のまふゆとは思えない艶めかしさ。

 触れた手の平を離せなくなっていた。

 

「まふゆはね。今から、こんな格好で犯されちゃうんだ」

「やだ……解いて、瑞希……」

「だぁめ。ちゃんと教えたら、解いてあげるから」

「この格好は……痛いから……」

「少しくらい痛くても、気持ち良くなるから、我慢、我慢♪」

 

 豊かな乳房が床との間に潰され、ボリュームを示す。

 魅惑の臀部は突き上げられ、隠す物がない。

 まふゆの尊厳を砕き、瑞希の征服感を強く刺激する格好だ。

 先程発射できなかった滾りを乗せ、瑞希のペニスが宛がわれた。

 

「行くよ、まふゆ。力を抜いてね」

「待って、瑞希……、――くぅ、おおぉぉぉぉぉ……!!」

 

 まふゆの視界が白く染まる。

 さっき入れた時とは、比べものにならない快感が襲いかかった。

 今の瑞希は、欲望だけで一切の加減がない。

 窮屈な格好に固定され、力を逃がせない。

 全てが、快楽として跳ね返ってきていた。

 

「まふゆはね、虐め倒されたかったんだ」

「っ、くぅ、んっ……ああぁっ……」

「鏡、見てみる?凄い気持ち良さそうだ、よっ!」

「――おっ、ほぉぉぉ……!!」

 

 平手を、尻に打ち下ろす。

 まふゆの声が更に高まる。

 痛みすらも、快楽として受け取れていた。

 

 瑞希自身は、強烈な被虐願望があった。

 しかしまふゆの性癖を知れば、別のスイッチも入る。

 自分がされて嬉しいことを、まふゆにもしてあげれば良い。

 そうすれば、お互いに気持ち良くなれる。

 虐め倒す側に回ることにも躊躇はなかった。

 

「酷い格好だよね、皆に見せてあげたいな♪」

「ダメ……止めて……」

 

 瑞希の目に、狂熱が浮いていた。

 後先考えず、欲望のままに突き動かす熱だ。

 その勢いのまま、まふゆの腰に叩き付ける。

 

 まふゆも、辿々しいながらも、喘いでいた。

 全ては瑞希の指摘に通りだった。

 まふゆと瑞希と、性癖がリンクしていたのだ。

 被虐に耽溺する瑞希を見て、まふゆも共鳴していた。

 故に瑞希の喘ぐ様が、まふゆの性感を刺激していた。

 

「うっ、くぅ、っ、っ、っ……!!」

 

 感じたことの無い快楽に翻弄される。

 この窮屈な格好ですらも、愛おしくなる。

 ただ犯されるだけの、哀れな雌を演じているはずなのに。

 羞恥の皮を捲れば、芳醇な快楽が潜んでいた。

 それに溺れさせられていた。

 

「アフター扱っている薬局、知っているから」

「……えっ?」

「だから、ゴム無しでごめんね♪」

「――待って……ふああぁぁぁぁぁっ……!!」

 

 まふゆのお腹が熱で満たされた。

 無許可の中出しを喰らっていた。

 まふゆの意思は考慮されず、ただ欲望のまま。

 しかしそれこそが、最大限の快楽をもたらした。

 またもや絶頂を味わっていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 瑞希が離れた後も、拘束は解いて貰えない。

 そのままの格好で放り出され、荒い呼吸をするばかり。

 

(まふゆ、カワイイ♪)

 

 改めて、まふゆの肉感が強調される格好だ。

 潰れた胸はボリュームを見せつけ、形の良い尻は眺め放題。

 全身に浮かんだ汗が甘い香りを醸し出し、股座は性の匂いを纏わせて。

 たった今犯した秘裂からは、精液と愛液のカクテルが滴り落ちる。

 

 こんな惨めな格好だからこそ、まふゆのスタイルの良さが分かる。

 征服感を存分に味わえば、ペニスが再び勢いを取り戻す。

 そう、入れていない場所が、あった。

 

「……ふぅ♪」

「――きゃっ!?」

 

 不意の刺激に、まふゆが小さな悲鳴を上げた。

 熱い吐息の塊が当たったのは、尻の穴だ。

 

「ここってさ、医学書では肛門、って言われるんだよね?」

「……そう、だけど……っ!?」

「ちゃんと力を抜くんだよ、まふゆ」

 

 秘列を穿り、愛液を掻き出す。

 それを尻の穴の皺に擦り込む。

 反射的に尻を揺するも、まともには動けない。

 瑞希の手に掛かり、尻の穴も淫らに濡らされていた。

 

「まふゆのここは、今日からケツ穴になるんだよ」

「……何を言っているの?」

「そのまんまだよ。肛門じゃなくて、ケツ穴になるの」

「――瑞希!?」

 

 ペニスの先端が、尻の穴に当たる。

 まふゆの全身に鳥肌が立つ。

 そこはセックスに使う場所ではない。

 

「まふゆ、力を抜いて……ほらっ♪」

「――んおおぉっ、おっ、おおおおぉぉぉぉぉぉ……」

 

 アナルセックスの快楽が襲いかかる。

 これすらも痛みとして捉えない身体だった。

 瑞希の指摘の通りだった。

 まふゆも強烈な被虐願望が眠っていた。

 それを余すところなく、叩き起こされたのだ。

 

「くぉ、おっ……、っ、っ、おおっ、っ、っ……!!」

 

 窮屈な格好もあり、呼吸にも難儀する。

 お腹の奥から突き上げられる感触で、まともに息を吸えない。

 それでも快楽が上回ってしまう。

 淫らな願望が満たされる歓喜が全身を包み込んでいた。

 

(うわ、きっつ……!)

 

 性に疎いまふゆは、力加減を知らない。

 その上、アナルセックスだ。

 腰を動かすのも容易ではないほどの締め付けが加わる。

 それはペニスを包む極上の快楽ともなっていた。

 

 まふゆが悶える中、瑞希はお尻を優しく撫でる。

 壊れ物を扱う手つきだ。

 勢い任せに犯している現状とは真逆の雰囲気だ。

 

 まふゆを見下ろす目も、優しかった。

 満たしてあげたいからこそ、犯している。

 自分と同じ願望があるならば、どうすれば良いのかは分かる。

 瑞希の中で、ルカとまふゆは決定的に違う存在になっていた。

 

「まふゆ……イキそう。ケツ穴に、出しちゃうよ♪」

「そこは……汚い……」

「まあ、カタいことは言いっこなし♪」

 

 医学の知識があるまふゆならば、アナルセックスの危うさも分かる。

 それを軽く聞き流し、腰を叩き付ける瑞希。

 まふゆの尻が小気味よく弾かれ、乾いた音を響かせる。

 突っ伏した格好のまふゆには、拒否権はなかった。

 ただ受け止めるしかなかった。

 

「出る、出ちゃう♪イクよ、イク……あああぁぁぁぁぁぁぁっ♪」

「――くぅっ!?おほぉぉぉぉ……」

 

 直腸にも、熱い精が迸った。

 その熱に踊らされ、またもや絶頂を迎えたまふゆ。

 被虐願望を露わに、雌の声を上げていた。

 

「お疲れさま……まふゆ♪」

 

 ゆっくりと、ペニスを引き抜く。

 こぽん、と尻の穴が音を立ててしまう。

 その羞恥すらも、今のまふゆにはご馳走だった。

 絶頂の余韻の心地良さに、意識が揺蕩っていた。

 

 

 ――――――――

 

 

「……まふゆ♪」

 

 まふゆの意識は、まだ揺蕩っていた。

 拘束は解かれていない。

 視線の高さを合わせるように、瑞希も床に横たわった。

 その眼差しは、とても優しかった。

 

「最初は、凄く驚いたよ」

 

 返事がないことを承知で、語りかけた。

 親しい友人に話しかけるような、柔らかな表情だ。

 

「ボク達、同じ穴の狢だった(リンクしていた)んだ」

 

 お互いに、酷い性癖だ。

 こんなの、誰にも理解して貰えないかもしれない。

 でも、まふゆのことが理解できたのは、嬉しかった。

 

 まふゆの色は、真っ黒じゃない。

 もっと深く、ずっと濃い、紫色。

 淀みきって、限りなく黒に近づいた、紫色。

 

「救えないよね……ボク達」

 

 まふゆは、微笑んだ。

 ただ自然に、微笑んだんだ――

 

 ――二人で沈もう(一緒に行こう)よ、まふゆ。

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