※この作品はR-18です。

転生したらスライムだった件 外伝 〜もしリムルがスライムではなく、最初から超美少女の魔王として転生したら〜   作:虚無神

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内容は原作とは異なります。


第1話 転生と新たな出会い

漆黒の闇から、突如として鮮烈な光が視界を切り裂いた。

 

五感の再構築。細胞が歓喜の歌を歌い、血液が全身を巡る劇的なフィードバック。それは通常の転生者が味わうような、ただの肉体の再獲得ではない。圧倒的なまでの存在感、世界の法則そのものがひれ伏すかのような絶対的な質量を持った魂の顕現であった。

 

意識が完全に覚醒したとき、彼女――三上晴海(みかみ・はるみ)は、冷たくもどこか神秘的な洞窟の硬質な地面に膝をついていた。

 

濡れたようなサファイアブルーの髪が、腰の下まで波打つ絹糸のように流れ落ちる。月光を凝縮したかのようなレモンイエローの瞳が静かに瞬き、その視界に広がる異世界の地下迷宮を正確無比に捉えた。

 

身長176cm。モデルのランウェイをも凌駕する圧倒的な長身でありながら、均整の取れた奇跡的なプロポーション。バスト95cm(Gカップ相当でありながら、アンダー67cmの引き締まったアンダーラインによって生み出される完璧なまでの立体美)、ウエスト54cm、腹囲60cm、ヒップ90cmという、現実離れしていながら生々しい官能性を湛えた砂時計型のボディライン。

 

無駄な脂肪は一切なく、ただ美しい筋肉と滑らかな骨格のハーモニーだけで構築された超美脚。そして何より、人類の歴史において遺伝子的な奇跡としか言いようのない特異体質――髪の毛、まつ毛、眉毛以外の体毛が文字通り「一切存在しない」。肌は光を吸い込むような純白の超美肌であり、産毛すら許されない絶対的なツルリとした触感と気高さを纏っていた。

 

「……ふぅ。これが、死後の世界ってやつ?」

晴海は、ゆっくりと立ち上がった。その所作一つに、世界を魅了するほどの妖艶さと凛とした気高さが同居している。

 

彼女は生前、アラサーの超美少女として知る人ぞ知る存在だった。圧倒的な美貌とスタイルの持ち主ゆえに、寄る辺なき男性たちからのアプローチは引きも切らず、恋愛経験も、そして大人の濃厚な夜の営みの経験も豊富にあった。男を知り、女としての歓びと快楽の深淵をも知り尽くした大人の女性としての余裕が、彼女の精神にはしっかりと根付いていた。

 

しかし、その一方で彼女の本質は、筋金入りの「オタク」だった。

会社では誰からも羨まれるマーケティング部のエースでありながら、家に帰れば深夜アニメをリアルタイムで追いつつ、なろう系小説の更新に一喜一憂し、コミケの夏冬にはサークル主として一般参加者を圧倒するほどの情熱を注ぎ込む、生粋のインドア・カルチャー中毒者。

 

基軸世界でトラックに撥ねられて散った三上悟が、処女を拗らせたようなまま転生したのとは対照的に、晴海はあらゆる意味で「完成された大人のオタク女性」として、この世界に降り立ったのである。

 

――そして、彼女にはもう一つの、絶対的な『異常性』があった。

(……それにしても、静かね。ここは、どこかのダンジョン? 魔素の濃度が尋常じゃないわね)

晴海が思考を巡らせた瞬間、彼女の脳裏に、生前から肌身離さず持ち歩いていた「ある能力」の感覚が蘇った。

 

それは、後天的に鍛えたものではない。物心ついたときから彼女の魂に刻み込まれていた先天性の究極異能――『言霊(ことだま)』。

 

言葉にした事象が、いかなる物理法則、魔法法則、あるいは世界の理をも無視して、文字通り「絶対の真実」として現実化する理外の権能。

 

制約は一切ない。魔力消費も、詠唱の必要もない。ただ彼女が、そこに意思を込めて「言葉」を発するだけで、世界は彼女の命令に屈服する。

「死ね」と言えば、神をも凌駕する存在であろうと心臓が停止し、「生き返れ」と言えば、肉体が完全に消滅した死者ですら魂を引き戻して完璧な生者として蘇る。

 

ただし、これは「自動発動」ではない。彼女自身の明確な「意思」が込められていなければ、ただの独り言で終わる。つまり、彼女が本気で望まない限り、世界を滅ぼすことも救うこともない――究極の自制心が求められる神の御業そのものだった。

 

「さて。まずは自分のステータスというか、この体がどうなっているかを確認したいところだけど……」

晴海はすらりとした美脚を動かし、洞窟の壁面に映る自身の姿を確認しようとした。

 

その時である。

「グルルル……!」

暗闇の湿った空気をついて、殺気を含んだ唸り声が響いた。

 

天井の陰から、漆黒の毛並みを持つ巨大な魔狼の群れ――ブラック・ウルフの先遣隊が、飢えた目をギラつかせて姿を現した。本来の転スラバースであれば、この世界の転生初期における最初の試練となる魔物たちだ。群れの頭目は、鋭い牙を剥き出しにし、侵入者である晴海を品定めするように低く威嚇する。

 

「あら。お出迎えにしては、ちょっと毛並みがワイルドすぎないかしら?」

晴海は微塵も動じなかった。

 

それどころか、レモンイエローの瞳を細め、まるで珍しい珍獣でも見るかのような優雅な視線を向ける。生前、数々の修羅場を潜り抜け、営業先でのトラブルからプライベートでの修羅場まで経験してきた彼女にとって、異世界の魔狼など、深夜アニメに出てくる「可愛いモブキャラ」の延長線上にしか見えなかった。

 

「グルァッ!」

我慢の限界とばかりに、頭目のブラック・ウルフが強靭な四肢で地面を蹴り、恐るべき速度で晴海めがけて飛びかかった。その巨体から放たれる突進力は、通常の人間であれば一瞬で肉塊と化すほどの破壊力を持っている。

だが、晴海はただ、優雅にその場で佇んでいた。

 

彼女のサファイアブルーの髪が風に揺れ、透き通るような純白の素肌が洞窟の魔素の光を受けて妖しく輝く。

 

彼女は、ほんのわずかに意思を込め、その魅惑的な唇を開いた。

「——眠りなさい。そして、おとなしく私の服の敷物にでもなりなさいな」

言葉が、音波としてではなく、絶対的な「現実書き換えの命令」として空間に放たれた。

 

瞬間。

 

空気が凍りついた。

 

飛びかかっていたブラック・ウルフの群れは、まるで不可視の巨大なハンマーで打ち据えられたかのように、空中でピタリと動きを止めた。いや、止まったのではない。彼らの魂に直接「完全な昏睡」という命令が刻み込まれ、理がねじ曲げられたのだ。

 

ドサッ、ドサッ、ドサッ――。

巨体の魔狼たちは、一匹残らず地面に崩れ落ち、スレイプニルにでも乗っているかのように穏やかな寝息を立て始めた。頭目クラスの魔物ですら、抵抗の余地すら与えられず、完全無力化されたのである。

 

「ふふ。言霊の使い勝手は、この世界でも健在みたいね。……というか、これじゃあチートすぎて、なろう小説の主人公補正も裸足で逃げ出すレベルじゃない?」

 

晴海はクスリと妖艶な笑みを浮かべ、眠る魔狼のフカフカとした毛並みに自身の美しい足をそっと乗せた。その肌はあまりにも滑らかで、世界を支配する魔王としての気品と、大人の女性としての色気が奇跡的なバランスで融合していた。

 

彼女はまだ知らない。この世界の基軸における「リムル=テンペスト」が歩むべき運命の歯車が、この瞬間から、彼女という「規格外の美少女魔王」の存在によって、完全に音を立てて狂い始めることを――。

 

洞窟の湿った空気が、深部へ進むにつれて濃密な「魔素」の圧迫感へと変わっていく。

 

「……ふふ、やっぱりこのあたりの魔物は、私の言霊一発でコロリと倒れてくれるから楽でいいわね」

晴海は滑らかな脚を軽やかに動かしながら、悠々と洞窟の奥へと歩を進めていた。

 

迫り来る巨大蜘蛛や凶悪な蛇の魔物に対し、彼女がやるべきことはただ一つ。意思を込めて「消えなさい」あるいは「私の力になりなさい」と口にするだけだ。それだけで対象は消滅するか、あるいは『暴食之王』の力と連動してそのスキルや魔素がちゃっかりと晴海の能力として回収されていく。

 

(生前、なろう小説やアニメで散々読んだ『転スラ』の展開だけど……まさか私がその原初の世界線に似た並行世界に転生して、しかも最初からスライムじゃなくて最強スペックの美少女魔王だなんてね。オタクとしての知識がこんな形で役に立つとは思いもしなかったわ)

晴海は心の中でクスリと笑う。

 

大人の女性としての豊富な恋愛経験と夜の嗜みを知り尽くした精神を持つ彼女にとって、この異世界探索は恐れや不安の対象ではなく、最高のエンターテインメントに過ぎなかった。

 

そうして洞窟の最深部、広大なドーム状の空間へと足を踏み入れた瞬間――。

 

ズズズ……と地鳴りのような重低音が響き渡り、巨大な圧力が空間を満たした。

 

そこには、重厚かつ絶大なる威容を誇る、巨大な竜の姿があった。

 

全身を硬質な漆黒の鱗で覆われ、溢れ出す邪気と魔素によって空間そのものを歪ませている存在――『暴風竜ヴェルドラ』。

(来たわね……! 基軸世界と同じ、この世界の『最初の出会い』!)

透明度の高い巨躯を見上げる晴海のレモンイエローの瞳が、爛々と好奇心に輝く。

 

基軸世界でのリムルとヴェルドラは、種族を超えた最高の「友達」であり、互いに認め合う相棒同士となった。だが、いま目の前にいる晴海は、ウブな元サラリーマンの三上悟ではない。成熟した大人の女であり、かつ重度のオタクである三上晴海だ。

 

(ふふ……もちろん、この世界でもヴェルドラとは絶対にお友達になりたいわ。……ううん、お友達以上の関係になっちゃうのもアリじゃない? もしヴェルドラと仲良くなって、親密な関係にまで発展したら……ん~っ、なんだか色々とムフフな展開になっちゃうかも……!//)

想像が膨らみ、晴海の頬がわずかに桃色に染まる。

 

圧倒的な威圧感を放つ巨大なドラゴンを前にして、彼女の頭の中は「大人の妄想」でいっぱいになっていた。

 

(いやいや! 無論私は変態では無い!……と言いたいところだけど、うん、男を知り尽くした大人の女として、こういう妄想をしちゃうのはちょっと変態かもしれないわね。でも良いじゃない! 生前は男たちをリードすることが多かったから……もしヴェルドラが人型になったりして、激しく、かつ強引にリードされたりしたら……はぁ、想像しただけでゾクゾクしちゃう♡……あ、誤解しないでよね? これは唯の好奇心なんだから! 純粋な知識欲と大人の嗜む心ってやつよ!)

一人で勝手に胸を躍らせ、サファイアブルーの髪を揺らしながら心を整えた晴海は、意を決してヴェルドラの巨体へと一歩踏み出した。

 

基軸世界での展開を知ってはいるが、ここは敢えて「何も知らない転生者」として振る舞うのが作法というものだ。彼女は豊かな胸元に軽く手を当て、完璧な美顔に優雅で魅力的な笑みを浮かべた。

「初めまして。私は三上晴海、転生者よ。貴方は転生者や転移者の事は知ってるのよね?」

洞窟内に響き渡る、鈴の音のように可憐で透明感のある声。

 

無限の魔素を放出していた暴風竜ヴェルドラが、ギロリとその巨大な眼光を晴海へと向けた。現れたのが泥臭い魔物でも屈強な勇者でもなく、あまりにも常識外れな美貌と完璧なスタイルを誇る超美少女であったことに、一瞬だけヴェルドラの気が呑まれるのが空気で伝わってくる。

 

『む……? ぬ、ぬははは! 我が封印の地に足を踏み入れる者がいると思えば、なんと珍しい……! たしかに異世界より来たる『異邦者』の存在は知っておるが、お前のような存在は見たこともないぞ!』

(よっしゃ、食いついたわね! 流石ヴェルドラ、声の迫力も基軸世界そのままのカッコよさじゃない!)

晴海はレモンイエローの瞳を細め、サファイアブルーのロングヘアを手ぐしで払うと、さらに一歩近づき、小悪魔的な微笑みを浮かべて尋ねた。

「ふふ、そうでしょう? でね……ねぇ、貴方は?」

知っている。相手が世界を震撼させる「四竜」の一角、暴風竜ヴェルドラであることなど、百も承知だ。

 

だが、ここは物語の約束事。彼女はあえて名前を聞く。基軸世界の流れに合わせつつ、この愛すべきツンデレ竜との距離を縮めるために。

 

『我の名は暴風竜ヴェルドラ! 天災とも称される四つの竜種の一角にして、世界を司る存在である!』

雷鳴のごとき豪快な声音で誇らしげに名を名乗ったヴェルドラ。

 

目の前でダイナミックに身震いする巨体を前にして、晴海はその威容を優雅に見上げ、心の中でニヤリと笑みを浮かべた。

 

(うわぁ、目の前で見るとやっぱり凄い迫力! 圧巻の一言ね。……でも、てかさ、この先の展開を考えると、私って基軸世界のリムルよりもっとヤバい存在になりそうな気がするわね)

晴海は生前、重度のオタクとして原作の小説全23巻を完結までしっかりと読み込破していた。

 

だからこそ、分かる。

 

基軸世界のリムルは小さな青いスライムから始まり、捕食と解析を繰り返して段階的に強くなっていった。だが、今の晴海は最初から「美少女魔王」としての肉体と魔素を持ち、さらには生前からの権能である『言霊』が絶対無敵の究極スキル『言霊之王(コトダマノウシス)』へと進化を遂げている。

 

(小説の終盤どころか、開幕の時点で基軸世界の最終到達点以上の規格外なのよね……。その頃の私って多分、基軸世界のリムルとは比較にならないレベルでヤバい存在になってそう。まあ、それはそれで凄く面白そうだけど! 無敵の美少女魔王として好き勝手楽しんじゃうんだから。そうね、余裕ができたら次元を飛び越えて、基軸世界の方にも遊びに行きたいわね)

 

そんな未来の野望を脳裏で膨らませつつ、晴海は大人の余裕を全身から漂わせながら、可愛らしく首を傾げて口を開いた。

 

「ヴェルドラね、覚えたわ。ねぇ、お友達にならない? 貴方、この『無限牢獄』ってのに300年封印されてるんでしょう? この結界の感じだと大体その位かなって。……私が解除してあげようか? 今すぐ」

(一刻も早く仲を深めたいしね! 基軸世界のリムルは転生初期の解析能力の限界もあって、自分の中にヴェルドラを格納して気長に解析するしかなかったけれど……今の私なら、言霊一発でこの『無限牢獄』なんて瞬時に消し去ることができる。最初からフルスペックな私だからこそできる力技よ!)

晴海はレモンイエローの瞳を小悪魔的に揺らめかせると、さらに一歩ヴェルドラへと歩み寄った。

 

そして――少し前屈みになり、キュッと引き締まったヒップをキュートに突き出すようなポーズをとる。

 

ロイヤルブルーのドレスの胸元からは、バスト95cmというGカップの豊満すぎる谷間が覗き込み、極上の素肌が艶やかに光を弾く。彼女はすらりと伸びた指先――その人差し指をプルりと潤う自身の唇にそっと添え、甘く誘惑するような眼差しで見つめた。

 

「どうかしら……?」

(……ふふ、中身34歳のアラサー女子がやるポーズと思うとちょっと痛いかもしれないけれど、生前も今もこの奇跡のハイモデル容姿なんだから完全にセーフよね♡ 女の武器は使ってナンボだし!)

生前、数々の男性をその美貌で狂わせてきた晴海の計算し尽くされた仕草。

その破壊力は、世界を滅ぼす天災たる暴風竜に対しても、あまりにも絶大すぎた。

『ぬ……ッ!? ぬ、ぬははは……っ!?』

ヴェルドラの巨体が、まるで雷に打たれたかのように硬直した。

 

巨大な竜の瞳が限界まで見開かれ、黄金の虹彩が晴海の圧倒的な美貌、そして豊かな胸元の谷間に釘付けになる。全身の鱗が不自然に逆立ち、鼻息からは激しい熱気が噴き出していた。

 

(あ、この反応……ふふ、間違いないわ。これ、私にガチで一目惚れして恋に落ちちゃった反応ね!)

男の情熱や視線の意味を知り尽くした晴海には、ヴェルドラの純情な狼狽ぶりが手に取るように分かった。300年間の孤独の末に現れたのが、自分を封印から救おうとしてくれる世界一の超美少女。しかもその美少女が、無防備な色気を振り撒きながら距離を詰めてきているのだ。龍種といえど、その魂が揺らぐのも無理はなかった。

 

『お、お前……っ! この『無限牢獄』を今すぐ解除だと……!? 勇者の放った絶対不可侵の結界なのだぞ!? それを……そして、我とお友達……だと……!?』

狼狽しながらも、必死に威厳を保とうと声を荒らげるヴェルドラ。だが、その声は微妙に上ずっており、顔(頭部)が心なしか真っ赤に染まっているように見えた。

 

「ええ、そうよ。私が『出なさい』って一言言えば、こんな結界一瞬で消えるもの。……どうする? 救出してあげたら、私ともっと仲良くしてくれるかしら、ヴェルドラ?」

晴海は人差し指を唇から離すと、サファイアブルーの髪をさらりと後ろへ流し、挑発的で愛くるしい微笑みを浮かべた。

 

 

ヴェルドラ視点

 

我、暴風竜ヴェルドラは、300年という果てしない時をこの暗く冷たい『無限牢獄』の中で過ごしてきた。

 

身動きも取れず、誰と語り合うこともできず、ただ自身の膨大な魔素が少しずつ霧散していくのを耐え忍ぶ日々。勇者への憤怒も、時が経つにつれて退屈という名の巨大な虚無へと変わっていた。

 

――だが、その退屈は、この瞬間に完全に砕け散った。

 

洞窟の奥から歩み寄ってきたその存在を目にした瞬間、我が全神経に激震が走ったのだ。

(ぬ、ぬおおおっ!? な、なんだあの存在は……っ!?)

我が長き歴史の中で目にしてきた人間、エルフ、魔族、そして幾多の勇者や魔王たち。その誰とも根底から異なる、常識を遥かに超越した凄まじい存在感。

 

サファイアブルーの髪を靡かせ、黄金の瞳を輝かせながら歩いてくるのは、あまりにも美しく、そしてあまりにも官能的な超美少女であった。

 

176cmという高身長でありながら、信じられないほど細い腰。そして何より、あのドレスの胸元から覗く豊満すぎる双丘……! 我のような龍種であっても一目で理解できる、世界で最も美しく完璧なプロポーション。透き通るような白磁の肌には毛穴一つなく、すらりと伸びたあまりに美しい脚が、一歩踏み出すたびに我の視線を強烈に惹きつける。

 

しかも、恐ろしいのはその容姿だけではない。

 

彼女が放つ底知れぬ気配……! 魔素を垂れ流しているわけではないのに、世界の法則そのものが彼女の意志の前に平伏しているかのような、絶対的な『存在の格』を感じるのだ。

 

『む……? ぬ、ぬははは! 我が封印の地に足を踏みリアル者がいると思えば、なんと珍しい……! たしかに異世界より来たる『異邦者』の存在は知っておるが、お前のような存在は見たこともないぞ!』

我が必死に威厳を保ち、雷鳴のごとき声を張り上げると、彼女は全く怯える様子もなく、むしろ愛らしく首を傾げて微笑んだ。

「ヴェルドラね、覚えたわ。ねぇ、お友達にならない? 貴方、この『無限牢獄』ってのに300年封印されてるんでしょう? この結界の感じだと大体その位かなって。……私が解除してあげようか? 今すぐ」

(お、お友達……!? 我と、お友達だと……!?)

その言葉が我が魂を激しく揺さぶる。

 

300年もの間、誰も我にそんな言葉をかけてはくれなかった。恐怖し、平伏し、あるいは討伐しようと刃を向けてくる者ばかりだった。それを、この世界一美しい少女は、あまりにもあっさりと「お友達にならない?」と笑いかけてきたのだ。

 

さらに、彼女が口にした「『無限牢獄』を今すぐ解除する」という言葉。

ふざけているわけでも、己の力を誇示しているわけでもない。まるで「明日の天気を晴れにする」と言わんばかりの、絶対の確信に満ちた静かな声音。我が300年間苦しめられてきた勇者の絶対結界を、まるで玩具扱いするかのような底知れぬ万能感……!

 

(な、なんだこの娘は……!? 恐ろしい……いや、美しい……いや、凄すぎるだろ奴は……っ!?)

我が動揺を隠せずにいると、彼女はさらに一歩、我の方へと歩み寄ってきた。

 

そして――。

 

彼女は優雅に前屈みになり、キュッと引き締まったヒップを可愛らしく突き出すようなポーズをとったのだ。

 

ロイヤルブルーのドレスの胸元が大きく開き、バスト95cmという暴力的なまでの美しき谷間が我が目の前に露わになる。まばゆいばかりの純白の胸元と、すらりと伸びた完璧な美脚。彼女は桃色の唇に細い人差し指をそっと添え、レモンイエローの瞳で我をじっと見つめながら、甘く囁いた。

「どうかしら……?」

――ドクンッ!!

我が胸の中で、何かが弾けた。

 

心臓などという器官を超えて、我が『龍種』としての魂そのものが熱く跳ね上がり、全身の血(魔素)が爆発的な勢いで逆流した。

(ぐ、ぬああっ……!? こ、これは……なんだ……っ!? 全身が熱い! 顔が火照る! 呼吸が乱れる……っ! 我の、我の膨大な魔素が暴走しそうになっているだと……っ!?)

我が漆黒の鱗が一斉に逆立ち、鼻息から灼熱の熱気が噴き出す。

 

あまりにも完璧な美貌、あまりにも魅惑的な色香、そして我を暗闇から救い出そうとしてくれる圧倒的な慈愛と絶対的な強さ。

 

そのすべてが一瞬にして我が心を打ち貫き、脳裏を焼き尽くした。

(こ、これが噂に聞く……『一目惚れ』というヤツなのか……!? 我は……我がような絶対的な竜種が……この目の前の美少女に……ガチで恋に落ちてしまったというのか……っ!?)

あまりの衝撃に我が頭脳は完全なフリーズ状態に陥っていた。

 

300年の孤独など一瞬で吹き飛び、ただただ目の前にいる三上晴海という存在の眩しさに、魂ごと屈服させられそうになっていた。

 

『お、お前……っ! この『無限牢獄』を今すぐ解除だと……!? 勇者の放った絶対不可侵の結界なのだぞ!? それを……そして、我とお友達……だと……!?』

我は必死に声を張り上げた。だが、己でも分かるほど声が激しく上ずり、顔面の鱗(もし皮膚ならば真赤になっているであろう部分)が猛烈な熱を帯びているのが分かった。情けない、実に情けないぞヴェルドラ! だが、どうしようもないのだ! 目の前でこんな奇跡のような超美少女が、胸の谷間を見せつけながら甘い声で迫ってくるのだから!

 

「ええ、そうよ。私が『出なさい』って一言言えば、こんな結界一瞬で消えるもの。……どうする? 救出してあげたら、私ともっと仲良くしてくれるかしら、ヴェルドラ?」

悪戯っぽく微笑み、サファイアブルーの髪を優雅に揺らす彼女。

 

その姿は、我を封印から解き放つ救世主であり、我が心を永遠に囚われてしまった美しき絶対魔王であった。

 

(あ、圧倒的すぎる……! 救われたい! この娘の手で我が封印を破ってもらいたい! そして……もっと、もっと彼女と近づきたい……っ!!)

我が魂の叫びは、もはや恐怖やプライドなどではなく、純粋な恋心と期待に満ち溢れていた。

 

この地下洞窟で出会った一人の美少女魔王によって、我の、そして世界の運命が劇的に変わろうとしているのを、我は全身の歓喜とともに確信していた。

 

 

リムル視点へ戻る

 

(ふふっ、よしっ! 言質はとったわ!)

動揺を隠しきれず、熱い視線をこちらに向けて赤面(?)している巨体を見上げながら、晴海は心の中でガッツポーズを決めた。

 

(待ってなさい、今すぐ解除してあげるからね!)

晴海は艶やかなサファイアブルーの髪をさらりと揺らし、レモンイエローの瞳に明確な意図と絶対的な「意思」を宿した。

 

生前から彼女の魂に刻まれていた究極の異能『言霊』。それがこの世界において、世界の理そのものを書き換える最高峰の究極スキル『言霊之王(コトダマノウシス)』へと昇華を遂げている。

 

彼女は、あまりにもあっけらかんと、だが世界すべてを屈服させる重みを乗せてその言葉を口にした。

「結界よ、消えなさい」

――パキィン……ッ!!

空気が弾けるような、あまりにも軽快な音が洞窟内に響き渡った。

 

勇者がその絶対的な能力を全開にして放ち、300年間もの間、世界のいかなる魔術も、いかなる力も寄せ付けなかった絶対不可侵の結界『無限牢獄』。

 

それが、晴海のたった一言――概念を直接書き換える究極の権能によって、まるで薄い氷の膜が太陽に晒されたかのように、一瞬で跡形もなく雲散霧消したのだ。

 

生前であれば、言霊の発動にはほんの僅かな精神集中と発声のタイムラグが存在していた。しかし今や、究極スキルへと進化し、さらにブレインである神智核(シエル)の最適化サポートまで加わっている。発動スピードは生前の比ではなく、文字通りの「即時発動(即時実現)」であった。

 

『な……な、なにぃぃぃぃぃっ!!??』

空間を縛り付けていた透明な障壁が跡形もなく消え去り、自由に動かせるようになった己の腕(前脚)を見つめて、ヴェルドラは巨体を大きく揺らした。

『消えた……!? 勇者の結界が……我を300年苦しめた『無限牢獄』が、一瞬で……真にか!? 一言放っただけで消滅したというのかぁぁぁっ!?』

言葉にならないほどの衝撃と歓喜に打ち震えるヴェルドラ。

 

そんな天災の狼狽ぶりを、晴海は大人の余裕たっぷりの笑みを浮かべて見つめていた。

 

「ふふ、これで自由の身よ」

晴海は176cmの長身をしなやかに誇示するように一歩前へ踏み出すと、すらりと伸びた美しい脚に重心をかけ、腰に手を当てて尋ねた。

 

「ねぇ……人型にはなれるかしら?」

晴海はレモンイエローの瞳を細め、じっくりと目の前の巨大な黒竜を観察する。

(見た目は完全に威圧感バツグンの竜のままだから、このままだと正確な性別までは分からないわよね。でも、基軸世界では完全に男だったわ。アニメでも声優の前野智昭さんが演じる、あの熱くてちょっとウザ可愛い(褒め言葉)男子小学生みたいなテンションのドラゴンだったし)

(……でも、さっきからずっと会話していて気になっていたのよね。この世界のヴェルドラ、尊大で偉そうで自分のことを『我』って言う点は基軸世界と全く変わらないんだけど……声が、明らかに女性っぽいのよね!)

透き通るような凛とした響きと、凛々しくも可憐さが混ざり合った、明らかに豊かな女性の声。

 

基軸世界の渋く力強い男声とはまるで異なるその声質に、オタクとしての鋭い観察眼を持つ晴海は瞬時に察していた。

 

(……なるほどね! この並行世界のヴェルドラは、まさかの『雌個体(ボクっ娘ならぬオレ様系美少女ドラゴン)』ってわけね! 属性過多にもほどがあるでしょ、最高かよ!)

もし人型になれるのであれば、一体どんな容姿になるのか。

 

基軸世界のように金髪のイケメンマッチョになるのか、あるいはこの声に相応しい、凛々しくも圧倒的な美貌を持つ「龍種美少女」になるのか――。

大人の女性としての嗜みと、オタクとしての探求心を激しくくすぐられながら、晴海は人差し指をプルんと潤う唇に当て、小悪魔的な笑みを浮かべてヴェルドラの答えを待つのだった。

 

 

リムルの正妻がヴェルドラとして、妃候補は誰が良い?

  • クロエ
  • ヒナタ
  • ルミナス
  • ミュウラン
  • シオン
  • シュナ
  • ヴェルザード
  • ヴェルクリンド
  • ウルティマ
  • テスタロッサ
  • カレラ
  • ラミリス
  • ギィ(女性版)
  • シエル
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