ひとりの少女がいる。
呆けた表情で地べたに座り込んでいる。僅かに開いた口から唾液が滴り、衣服を濡らしているが、少女がそれに気づくことはない。
少女は今、自分の頭の中の音を聞いていた。
ぼこぼこ。ぼこぼこ。
胎児の頃に子宮で聞いた、命の中にいる音だろうか。
まるで水の中。無数の泡が掻き混ぜられ、どこか心が安らぐような気がした。
自由な呼吸さえ許されるのなら、一生をこの中で過ごしてもいい。
温かく、すべてを包み込んでくれる。
そんな音だった。
"──バチッ"
突然、痛みのない電流が少女の脳漿を駆け抜ける。
その衝撃で、夢の中に沈んでいた少女の意識は現実に浮上した。
「はぇ?」
そこに光源はない。
にも関わらず、周囲の景色を鮮明に目視することができた。
できてしまった。
桜の色。桃の色。薄紅色。
そう表現すれば聞こえが良いが……少しだけ、違う。
それは、肉の色だった。
少女は今、肉の壁に囲まれていた。
「な、なに、なにこれ……!」
状況の変化に脳の処理が追いつかない。
それは混乱という形を成す。
恐怖という形を成す。
怯え、震える少女に対して言葉を返すものはない。
しかしその静けさが、逆に少女に状況を自力で理解させる圧力になった。
「そもそも、ここどこ……? わたし、なんでこんなところに……」
周囲を見て、状況を把握しようとした過程で、少女は自然と自分の直前の行動を思い出そうとした。
思い出そうとしたが、思い出せなかった。
そもそも、直前のことどころか……
「……あ、れ?」
自分のことすら、ロクに思い出すことができなかった。
知識はあるが、思い出が何もない。
自分の名前が思い出せない。過去が思い出せない。何者か思い出せない。思い出せない。思い出せない。思い出せない。。。
「ひ、ひぅ……」
無性に悲しくなって、少女は目尻に涙を溜めた。
しかしこのままでいいはずがない。そんな当然の認識だけを頼りに少女は、がむしゃらに動いた。
結果だけ述べると、今の状況を理解するための手掛かりは何もなかった。強いていうなら、メイド服に書かれていた名前が、おそらく自分の名前だろうという程度。
「ティアナ。たぶん、それがわたしの名前。……メイド服を着てるから、メイドさんだったのかな……?」
違うが、それを知る術はない。
「何もわからなかった。……でも、ひとまずここから離れないと」
震える体に鞭を打ち、心を奮い立たせる。
「よ、よし! がんばる!」
何と健気なことだろうか。
しかし、そんな健気な少女に対して、状況は無情なまでに悪辣だった。
少女──ティアナが一歩を踏み出した、その瞬間。
「ふぎゃっ」
ティアナはナニカに躓き、盛大に転んだ。
床が硬くなかったため怪我はなかったが、か弱くなった今のティアナの心には、少しだけ傷がついた。
目尻に溜めていた涙が零れそうになるのを必死に堪え、やや自虐しながらティアナは自分が躓いた原因を見る。
それは肉の色をしていた。
それはまるで紐のように細く長い、舌のようなナニカだった。
それは動いていた。蠢いていた。
つまり、それは生きていた。
自然界には存在しない不自然さ、哺乳類の雄の陰茎を想起させる卑猥さがある
「あ……あぅ……」
絶叫しそうになる心を律し、咄嗟に口を手で塞いだ。
ぱっと見で目がない生き物だと判断して、大きな音を立てると危ないかもしれないとティアナは瞬時に判断した。
その判断自体は正しかったかもしれないが、硬直していたティアナに触手は容赦なく襲いかかる。
無数の触手がティアナの四肢を縛り上げた。
「あっ! や、やめて、はなしてっ!」
逃げるにしても抵抗するにしても判断が遅かった。
襲われる。酷いことされる。痛いことをされる。
皮膚が裂かれ、肉を抉られ、骨を貪られる。
食べられる。
そんな自然界の常識に囚われた暴力が、自分の身に降りかかるのだろうと察し、がむしゃらに抵抗した。
しかしティアナの四肢を拘束する触手の力は強く、どれだけティアナが暴れても、その拘束を解く様子がない。
ティアナの体力が消耗するばかりであり、数十秒もすれば、ティアナは力尽きて動けなくなっていた。
震えながら、ティアナはこれから起きる暴力を妄想する。
蛭のように血を吸うのだろうか。
爪や牙が剥き出しになり、噛まれるのだろうか。
そう思っていた。
しかし。
ティアナの肉体に細く柔らかな触手が絡みつく。
そして一枚ずつ丁寧に、ティアナが気づいた時から身に纏っていたメイド服を脱がし始めた。
「……ふぇ……?」
例えるならば、人間の指先のような。
そんな器用さで、ティアナの秘められた部分を明かすように、ティアナの肌に一切の傷をつけず、しゅるしゅると音を立ててメイド服が脱がされていく。
「へぁ!? ちょ、やだっ、やめて、脱がさないでぇっ!」
事ここに至って、触手がそんなティアナの言葉に耳を傾けるはずもなく(そもそも耳があるのかどうか)、丁寧に脱がされたメイド服は、そのまま無造作に投げ捨てられた。
ティアナ以外には人影がひとつもない場所とはいえ、野外で一糸まとわぬ裸体をさらけ出すことなどティアナにとって恥以外の何でもなく、ティアナの心は恐怖や混乱の他に、途方もない羞恥心で満たされた。
「やだっ、やだぁ! だれかいませんかっ、だれかぁっ!」
必死に抵抗するも無意味。
誰かに助けを求めようとも、無意味。
そもそも恐怖と混乱で不安定になった精神に引きずられ、四肢にうまく力が入らない。口もうまく回らない。
そんなティアナに、触手はさらなる追い打ちをかける。
肉体を縛り、衣服を脱がせたものとは異なる形状──ティアナの手首ほどの太さの触手が数本新たに姿を現した。
しかし、ティアナはまだその触手には気づいていない。
いまだにメイド服を脱がせた細い触手から逃げようと藻掻き続けている。
とにかく抵抗しようと必死になって、他のことが目に入らない。
それが、気に食わなかったのか。
触手は鞭のようにしなり──
"ヒュンッ"
"パァンッ"
──ティアナの白く柔らかな桃尻を、音を立てて打つ。
「いたっ……へ、へぁ?」
今更ながら新たな触手の存在に気づく。
顔が青ざめ、表情が歪む。しかし問答無用とばかりに触手は何度も何度もティアナの桃尻を打った。
"パァン、パァン、パァン"
「いたっ、やめ、やめてぇ! いたい、いたいよぉ!」
その悲鳴に触手は気分を良くしたのか。
それとも悪くしたのか。
"ブンッ"
"──パァンッッッ"
ティアナの頬が、叩かれた。
尻を打つものの数倍の力強さをもって、尋常ではない衝撃がティアナの脳天にまで届く。
その衝撃は、ティアナに暴力の悍ましさを実感させた。
「っ、ぇぁ?」
衝撃で羞恥心は消えた。
代わりに、恐怖と混乱がいっそう深まった。
あまりの衝撃に言葉を失うが、そんなティアナを嘲笑うように、触手は繰り返してティアナの両頬を繰り返し叩く。
"パァンッ、パァンッ、パァンッ"
両目から涙が溢れ、か弱い抵抗すらできなくなる。
泣きじゃくりながら、ティアナは目の前の触手に懇願し続けた。
「ひ、ひぐっ、ご、ごべんな、ごべんなざいぃぃ」
何度も。何度も。何度も。
この時点で
しかし、ティアナが大人しくなったのをいいことに、触手はそのままティアナの蹂躙を続ける。
太い触手の先端が口を開くように十字に裂け、ゴツゴツとした棒状のナニカが露出した。
毒々しいまでに甘い匂いを放つそれは、見るだけでティアナの下腹部に嫌な
ゴツゴツの突起一つ一つが、まるで甘美な果実のように食欲に近い欲求を刺激する。少なくともその欲求は、
ティアナは直感した。
そのゴツゴツとした棒状のナニカが生殖器であると。
記憶こそ失っているが、そういった知識はまだティアナの中にあり、ゆえにティアナは気づいた。気づいてしまった。
これは単なる蹂躙ではない。
──これから、この触手に犯されるのだ。
「ひぃっ、やだ、やだぁっ!!」
再び、必死の抵抗を始めるティアナ。
しかし。
"──ドゴォッ"
「う゛っ゛」
ティアナの下腹部を、容赦なく触手が殴りつける。
皮膚が裂けることこそなかったが、傷一つなかったはずのティアナの美しい白い肌に、痛々しい痣が膨れあがる。
「ひぅ、ひぅう……」
押し殺すように、静かに泣きじゃくる。
この時点で、ティアナは触手への抵抗を完全に諦めた。
そんなティアナの口に、膣穴に、尻の穴に、ゴツゴツとした棒状のモノが押し当てられる。
無意識に逃れようとするが、ティアナを縛る細い触手も決して非力ではなく、抵抗はできない。
そして。
"──ドピュッ"
触手はそのまま先端にある小さな穴から、甘い匂いの粘液を吐き出した。ティアナの穴の中に入り込むことはせず、その肉体……口や股間、尻のまわりを粘液で濡らす程度に留まった。
口に向けて吐き出された粘液だけは、そのまま少しだけ呑み込んでしまい、咳き込んで吐き出したものがたらたれと垂れ、ティアナの胸元を通り腹部にまで広がったが……それだけだった。
(こ、これでおわり……?)
小さな希望に縋る。伸ばした手に掴めるものはなく、それがただの都合の良い幻でしかないにも関わらず、それでもティアナは希望を欲した。
それが絶望のはじまりであるとも知らずに。
「……???」
ティアナの意識が混濁する。
「ふ わ ぁ ?」
恐怖が和らぎ、混乱はもはや飽和した。正気を保つことはできず、つまりこれは狂気に満ち満ちたがゆえの偽りの安息。
ちろちろ。ちろちろ。
ティアナの舌先が、無意識に何かを求める。
「あへぇ……?」
陰唇から唾液のように蜜が滴る。
「んぁ……????」
甘い。甘い。甘い。空気が甘い。口の中がおいしい。
熱い。熱い。熱い。身体が熱い。口の中がさみしい。
だから。
「んあぁ……あむ……っ」
ティアナは、差し出された
口をいっぱいに拡げてようやく咥えられた
「ん、んぁう、んんっ、あむ、じゅるっ、んんん……っ」
砂糖菓子のように甘くて。
でも、しつこさはなくて。
おいしい。おいしい。おいしい。
夢見心地になって、ティアナは
ちろちろ、小さな舌先で一生懸命に。めいいっぱい。
甘噛み、口づけ、吸い尽くすように。音を立てて。
「じゅぶ、じゅぶぶ、ちゅっ、じゅるるぅ、んっ、あっ♡」
それがついさっきまで、自分が心底恐れていたモノであると気づかずに。そもそもさっきまで、そして今自分の状況がどういう状態にあるのか、それすらも忘却して。
「ちゅっ♡ ちゅっ♡ ……えへへ♡」
無我夢中で、ティアナは触手に奉仕を始めた。そこから溢れ出るお菓子のように甘く蕩ける夢を欲して。
もっとほしい。ほしいの。ちょうだい。ちょうだい。
そんなティアナの心境を知ってか知らずか。
優しく、しかし強引に。
舌を入れるように、深く、深く口づけをするように。
"──ズブッ"
ティアナの陰唇に、生殖器がねじ込まれた。
「~~~~っっ♡♡」
痛みはなかった。粘液が潤滑油となり、なめらかな挿入となった。そもそも惚けている今、ティアナは自分を客観視できない。正しく現実を認識できない。
ただ気持ち良いという感覚だけが、ティアナの脳漿を浸す。
「んぁっ♡ んっ、ひぅ、ひぅう♡」
涙で濡れた頬は乾き、恐怖で歪んだ顔は悦楽に染まった。
"ずりゅ、ずりゅ、ずりゅ、ずりゅ"
ティアナの蜜と触手の粘液が、ティアナの蜜壺の中で掻き混ぜられる。ゴツゴツの突起がティアナの肉襞を磨くように、何度も何度も摩擦して、ティアナの
"ずぶ、ずぶぶ"
"ずりゅ、ずりゅ"
「……っ♡ っ♡」
痺れるような快楽の波に、嬌声すら出せなくなった。
小さな口で咥えていたモノも離し、ティアナは意識を手放さないように必死に堪える。
それは、陰唇から告げられる快楽の味を余すことなく受け止めようとする雌の本能。無意識によるものだった。
ティアナは、快楽の虜になっていた。
もう数分前の自分のことすら思い出せないだろう。
そして。
"──ぬぷぅ"
「ひぃんっ♡」
ティアナの尻穴に、押し当てる程度に留まっていたはずの生殖器が、ほんの少しだけ挿入された。
常識的に考えれば、尻の穴とは不浄の穴だ。
生殖活動とは無縁であり、記憶を失ったティアナにも当然その知識は残っている。
ソドムの味。ありえざる悦楽。
感じること自体が罪深く、言葉にできない罪悪感がティアナの心を蝕む。
しかし、だからこそ。
ティアナにとって、その感触は膣穴にモノを挿入されるよりも埒外のことだった。
蜜壺が弄ばれ、その快楽の色だけで染まっていたはずのティアナの心に、別の色が染み込む。
数センチだけ尻の穴に挿入された生殖器は、そのまま深く入り込むことはせず、ティアナの尻の穴付近を舐め回すように、ぐねぐねと粘液を塗り込んでいく。
「あ゛ぁ゛♡ お゛っ♡ ん゛ん゛っっ♡♡」
ティアナの口から溢れ出た音は、今までティアナが紡いだどんな音よりも小汚く、快楽で汚れていた。
「ぃ゛い゛っ゛♡ ────あ゛♡」
"──ぶしゅぅぅっっ"
陰唇を貪られ、その奥を掻き混ぜられる快楽に必死に耐えていたはずのティアナの肉体は──
あろうことか尻穴を少し掻き回された程度で──
──絶頂を迎えた。
「ぁぁ~~♡ ……へへ、ふへへぇ……♡♡」
幼くも孕む程度には熟れた果実が、甘く、爛れた匂いを撒き散らしている。
幸福の悪夢に包まれ、ティアナは完全に意識を手放した。
ちゃんちゃん。
エロ小説を書く練習を兼ねた作品の後編です。エロ小説書くの難し過ぎて、他のエロ小説書く人みんなすごいなとしみじみしました。
今後の参考にしたいので、感想・評価をもらえると嬉しいです。