抜きゲーみたいな島に住んでいる○○はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
それは、一振りのバイブであった。中に仕込まれたLEDの光を伴って弧を描く。
「そんなお前のモノよりも短小なモノで私を満足させられるのか?」
それは、二振りの1m程あるバイブであった。LEDに照らされてキラリと輝く金色のバイブはヤツの権威と恐怖の象徴であり、ヤツがまだ本気を出していない証拠でもある。
「モノが2つたぁ生意気な!!」
「手数が多ければそれだけで優位に立てる……この双棍棒・
自慰器具として快楽を与えるべくして生まれたはずのそれは、雌雄を決する大一番を制するための兵器になっていた。兜合わせの鍔迫り合いになるも、ヤツが金色の瞳をカッと開くと同時に体ごと飛ばされてしまう。
「気をつけて淳之介くん! いくら武器に"d10o"の結合があるからって、君自身が壊れたら意味がないよ!」
隣に立つ青髪の戦乙女・
「助かった、秋野!」
「お礼は終わってからにして!」
「彼女の言う通りだ。私はまだ倒れていない」
ヤツはそれを宙返りしながら叩き落とす。しかし、その裏で隠れて放った左腕のパワードスーツからの自動追尾弾がヤツの胸を捉え────夜の闇でもキラリと輝くヤツのマントを盾にされて銃弾が防がれた。
「このマントは実用性も兼ね備えているのだ……私がただの"狂犬"ではなく、"金色の狂犬"と呼ばれている理由はそこにある」
ヤツはドスンと重く着地し、その金色のスパイキーショートヘアを見せつけるように右手で撫で上げた。
「……この私の髪を乱す程の実力に成長しているとはな。素質を見抜いて育て上げた甲斐があるというものだ」
ヤツは心底楽しそうに笑みを浮かべている。2体1で数の有利はなく、飛び道具という武器の不利も背負っているのに。
「だからこそ総仕上げだ。お前たちの実力も、青藍島の未来も、私の栄枯盛衰も、ここで決めるとしよう……この"
ヤツは二振りのバイブの持ち手からカチャリと金属音を喘がせ、一本の長い棍棒になった。
「
棍棒がヒュンヒュンと空を切って回り始める。ここからが本番だ。改めて歯を食いしばって気合いを入れる。
「生憎お前の夜遊びに付き合っている暇はない……!」
「だから早く眠ってもらうよ……!」
隣に立つ彼女と息を合わせて俺たちの意志を叫ぶ。
「俺たちが!」
「ワタシたちが!」
「「ドスケベ条例をぶっ潰す!」
それを聞いてヤツは牙と皮を剥き、内なる本性を轟かせた。
「そうはさせない……私が青藍島を変えるからだッ!」
ほんの少し違うだけで、敵対するほど相容れない存在になってしまう。俺たちはまるで水と油、いや水と金のように何をしても混じりあわないのだ。