チート召喚勇者男性妊娠現代転生もの 作:さくらんぼ
結婚します。本日、私は結婚します!!!
お相手は、もちろんアーク様である。
白髪碧眼の超絶美青年。頭脳明晰、魔法の才能も素晴らしく、現在は天空島に新しい国を作ろうと奮闘している未来の国王様。
そして、私の大好きな人!
そんなアーク様と、本日、晴れて夫婦になるのである。
推しキャラと結婚やったー!!!
ちなみに、今日は私の二十歳の誕生日でもある。
人生最高の日!
「トール、起きているかな?」
「はい!」
扉の向こうから、アーク様の声がした。
私は慌てて寝台から飛び起き、扉を開けた。
「アーク様! おはようございます!」
「おはよう、トール。誕生日おめでとう」
「ありがとうございます!」
アーク様が微笑んだ。そして、私の頬に口づけた。
ピャッ 朝から幸せ!
「……今日はいよいよ結婚式だね」
「はい!」
「緊張している?」
「めちゃくちゃしています!」
アーク様が笑った。
「……私もだよ」
「えっ!?」
「君と結婚できると思うと、嬉しくてね。昨夜はあまり眠れなかった」
アーク様も! えっ 本当に玉の輿狙いじゃなくて両思いとか!?
私は嬉しくなって、アーク様の手を握った。
「私もです! 楽しみすぎて、なかなか眠れませんでした!」
「……お揃いだね」
「はい!」
アーク様が、私の指にある婚約指輪に口付けた。
「……今日から、夫婦だ」
「はい!」
私は、アーク様に抱きついた。
◇
結婚式の準備は、想像以上に大変だった。
いや、私自身はそれほど大変ではなかった。
大変だったのは、アーク様と武さん、そして各種族の代表者達である。
何しろ、魔王の結婚式なのだ。
しかも、相手は新しい国の王様になる予定のアーク様。
当然ながら、各種族の代表者達も張り切ってしまった。
「婚礼の衣装には、我らエルフの刺繍を!」
「指輪はドワーフの技術を見せるべきだ!」
「祝宴の料理には、我らの伝統料理を!」
「竜族からは、祝福の宝玉を贈ろう!」
大騒ぎである。ありがたい。
でも、ちょっと待って。
結婚式って、こんなに大変なものだったっけ?
「……トール」
「はい!」
「皆、君達の結婚を喜んでいるんだよ」
アーク様が、嬉しそうに笑った。
うん。そうですね。
私は、皆さんの好意をありがたく受け取ることにした。
◇
結婚式の会場は、プレイヤーハウスの大広間だった。
白い大理石の床。高い天井。美しいステンドグラス。
そして、天井からはギミックで花びらが降ってくる。
綺麗! 掃除の大変さには眼を瞑る!
私は、思わず感動した。
「……トール様、こちらへ」
エルフの女性達が、私を控室へ案内してくれた。
今日は、特別な礼服を着るのである。
白を基調とした、美しい衣装。
銀糸の刺繍。青い宝石。そして、繊細な装飾。
アーク様とお揃いのデザインだ。
私は赤毛に赤い眼なので、アーク様と並んでもよく映えるんじゃない? 最高!
私は、鏡の前に立った。
なかなか似合っているのでは?
「とてもお似合いです!」
「ありがとうございます!」
エルフの女性達が、嬉しそうに笑った。
そして、髪を整え、衣装の細部を直してくれる。
うーん。
結婚式って、こんなに至れり尽くせりなのか。
ありがたい。
私は、鏡の中の自分を見た。
二十歳。
今日から大人。
そして、今日からアーク様の伴侶。
……本当に、結婚するんだなあ。
少しだけ、胸が熱くなった。
◇
アークは、控室で黒い面布を整えていた。
今日の衣装は、白を基調とした礼服だった。
銀糸の刺繍。青い宝石。そして、黒い目隠し。
かつては、安価だからという理由だけで選んだ色。
だが、今では大切な色になっていた。
トールが、格好いいと言ってくれた色。
強く、誇り高く、誰にも屈しない英雄の色。
アークは、鏡の中の自分を見つめた。
……今日、自分は結婚する。
相手は、トール。
自分を救い、自由を与え、未来を示してくれた人。
そして、何より、自分が愛している人。
「……アーク」
背後から、声がした。
振り返ると、母が立っていた。
「母様」
「……準備はできたの?」
「うん。もうすぐだよ」
母は、しばらくアークを見つめていた。
そして、小さく息を吐いた。
「……綺麗ね」
「ありがとう」
「……本当に、結婚するのね」
「うん」
アークは頷いた。
「……トールが好きなんだ」
母は、目を伏せた。
「……あの人は、魔王でしょう」
「そうだね」
「……あなたは、王家に命じられて、あの人に近づいたのでしょう」
「……うん」
「……それなのに」
母の声が、少し震えた。
「……本当に、あなた自身の意思なの?」
アークは、母を見た。そして息をついた。
「あのさ。母様。権力、財力、武力、魔力、娯楽作品を生み出す絵心と知力、見識の広さ、会話の面白さ、バカっぽくて可愛い只管こちらを立てるような会話、整った見た目、僕へ寄せてくれる愛情と信頼、若さ、ついでに勇者の時を含めてこれが初婚。僕はいらないけど、トールは僕に側室を持つ許可だってくれた。逆にいうけど、どんな人と結婚すればこれに勝てるの? 僕は、結婚が嫌どころか、ライバルが現れても全力で蹴落としてトールの伴侶であり続けるよ。トールは魔王だから実質女性でもあるし、トールの外見が男な事なんて有り余って海になるほどのメリットに比べたらどうでもいいよ。それがライバル避けになったならありがたいまである」
「そんな……そんな……そうね????」
「わかってもらえた? トールってあの調子だから良さに気づかれにくいし、僕も気づかれにくいように動いてるけど、これ以上ないくらい優良物件だからね? そもそも、僕の身を捧げるんじゃなくて、トールをお嫁にもらうんだし。憐れまれる筋合いないよ。僕はトールに出会う前から、慰み者にされそうになる所を、魔王を籠絡するからって、トールを盾にして身を守っていた。トールには心からの感謝と尊敬、あとは色々な欲しかないよ」
「色々な欲」
「流石にトールの財産目当てじゃないなんて白々しい事は言えないよ。これだけ貰ってるんだし。母様、僕は世界一幸せになるよ。トールは伴侶を大事にする人だし、絶対に世界一幸せになるよ。不幸になるのが無理だよ。もちろん、僕もトールを愛す。トールを好きだし、トールに返せるのは愛情だけだしね」
母は、しばらくぽかんとしていた。
「……ようやく言えた。結婚前に気づかれたら絶対トールが狙われるから言えなかったんだよね」
アークは、微笑んだ。
「……私は、トールと結婚する。母様が欲しいって言っても、あげないよ」
「取らないわよ」
母は、アークを見つめた。そして、ゆっくりと頷いた。
「……そう。そうなのね……これが……末長く爆発しろ案件……!」
「……母様もトールの書いた本読んでたんじゃないか」
「面白かったわよ。悔しいけどね。わかったわ。幸せになりなさい」
アークは、微笑み頷いた。
「有象無象を蹴落とす準備はできてるよ」
母は思わず吹き出した。
◇
そして、結婚式が始まった。
私は、大広間の入口に立っていた。
目の前には、長い通路。その先には、アーク様がいる。
白い礼服。黒い面布。美しい白髪。そして、優しい微笑み。
私、推しキャラと結婚する……!!
ウッソだろ。推しキャラと結婚……!?
ヒエエアークに失礼ってわかってるけど、どうしよう、推しキャラと結婚する!!!
私は、ゆっくりと歩き始めた。周囲には、沢山の人がいる。
武さん。エルフの長老達。ドワーフの職人達。獣人の代表者達。竜族。ドリアッド。そして、魔族の皆さん。
皆が、私達を祝福してくれている。
こんな夢みたいな事があっていいのか……!?
私は、アーク様の前に立った。
「……トール」
「はい!」
「……綺麗だよ」
「アーク様も、最高に格好いいです!」
アーク様が笑った。そして、私の手を取った。
◇
結婚式の司式は、武さんが務めてくれた。
元魔王であり、現在は魔族の代表者。
そして、私の大切な友人である。
「……それでは、これより婚姻の儀を執り行う」
武さんが、少し緊張した顔で言った。
おお。武さんも緊張するんだ。
ちょっと面白い。
「アーク。お前は、トールを生涯の伴侶とし、喜びも苦しみも分かち合い、互いを尊重し、共に生きることを誓うか」
「誓います」
アーク様が、迷いなく答えた。
はぅっ 凛々しい、格好いい……。
「トール。お前は、アークを生涯の伴侶とし、喜びも苦しみも分かち合い、互いを尊重し、共に生きることを誓うか」
「誓います!」
私は、元気よく答えた。
武さんが、嬉しそうに笑った。
「……それでは、指輪の交換を」
アーク様が、小さな箱を取り出した。
中には、美しい指輪が二つ入っていた。
白銀の台座。青い宝石。そして、繊細な彫刻。
婚約指輪とは別に、ドワーフの職人達が作ってくれた結婚指輪である。
アーク様が、私の指に指輪をはめた。
私は、アーク様の指に指輪をはめた。
結婚した!
「……それでは、誓いの口づけを」
武さんが言った。
アーク様が、私を見た。
「……トール」
「はい!」
「……愛しているよ」
「私も愛しています!」
アーク様が、私の頬に手を添えた。
そして、優しく口づけた。
どちらからともなくきつく抱き合う。
周囲から、拍手が起こった。
祝福の声が響いた。
私は、幸せだった。
推しキャラと結婚した!
◇
披露宴は、大盛況だった。
エルフの皆さんが美しい音楽を奏で、ドワーフの皆さんが豪快に酒を飲み、獣人の皆さんが楽しそうに踊っている。
竜族からは、美しい宝玉が贈られた。
ドリアッドの皆さんは、特別な花を咲かせてくれた。
武さんは、私達のために日本風の料理を用意してくれた。
うわ、すっごく懐かしい!
私は、感激しながら食事を楽しんだ。
アーク様も、嬉しそうだった。
「……トール」
「はい!」
「……楽しいね」
「はい!」
「……君と結婚できて、本当に良かった」
「私もです!」
私は、アーク様の手を握った。
アーク様が、優しく握り返してくれる。
幸せ。本当に、幸せ。幸せの海に溺れちゃう!
◇
夜。
披露宴が終わり、絵師に私達の肖像画も描いてもらい、お風呂にも入った。
初夜である。
私は寝室でスタンバイしていた。
もちろん、私は武さんの助けを借り、準備をしていた。
ちゃんと拡張しておいたし、洗浄した。
新たに作った蜘蛛の眷属に生産スキルを与え、急ピッチで作ってもらったスケスケえっちな服も着た。
この辺は現代知識無双である。
初夜でやっぱり無理ですなんて言われたら悲しいから、もうすんごい破廉恥でえっちなスケスケドレスを作った。
でも男だからな……。気持ち悪いって言われたらどうしよう……。
アーク様が入ってきた。
「トール、緊張して、る……!?」
アーク様はガン見した。そして鼻血を出した。
「アーク様、大丈夫ですか!?」
腕を掴まれる。
「いやって言ってもやめないからね」
唇を合わせ、スケスケドレスの上から肌を撫でつつ、スカートを捲り、パンツを下ろそうとする。
「この下着エロすぎないか!? 脱がすのが惜しい……!」
そういったアーク様は、下着を裂いて隙間から挿入してくる。
あっ いきなり♡ アーク様ちゃんと勃ってくれてる♡
魔王としての性質か、アークに入れられると内部がかっと熱くなったように感じる。
パンっ パンっ パンっ
「アーク様♡ アーク様、なか、あついよぉ!」
「可愛い、トール、すっごくえっち、こんなの反則だよ」
アーク様は腰を押し付け、中に熱いものが溢れた。
すぐにスケスケドレスの上から胸を舐めながら、腰の動きを再開するアーク様。
一晩、アーク様は私を好きにした。
◇
翌朝。
眼を覚ました私は、うわぁと引いた。
鼻血と精液でお布団はご臨終である。
あと、ドレスもところどころ破かれてご臨終。
あまりにも短い命だった。
「トール……♡」
眼を覚ましたアークは私の体を弄ってくる。
「アーク様、お風呂行こう。鼻血なんとかしたい」
「お風呂でもしよう」
「もう、アーク様。掃除が先だよ」
でもアーク様はちゃんと私に欲情してくれて嬉しい。
一週間後に、プレイヤーハウスを大掃除してアーク様の国、天華国に移るのだ。
なので結構忙しい。
貴重なイチャイチャできる時間、目一杯集中してイチャイチャしたいからこそ、掃除をしてしまいたい。ベタベタや血を気にしながらイチャイチャできないよ。
「えっちの時間一週間しかとってないんだから、掃除で潰すのは勿体無いよ」
「お風呂から上がったら可愛い服でシュチュエーションえっちしたいから、掃除は大事」
「シュチュエーションえっち? 可愛い服どれ?」
「ご主人様のアークにメイドの私がご奉仕するんだよ。でも血が気になったらえっちできないから、ちゃんと掃除してからね」
「じゃあすぐ掃除しよう」
アーク様は私を抱き上げてお風呂場に向かう。
私はくすくすと笑った。
この後、子供が乱入して血にびっくりして騒ぎ、すわリョナ趣味かと緊張が走るが、アークが私のえっちな姿に鼻血を出したと告白して生暖かい目で見られた。
でも、無理矢理婚ではと心配していた人もいたらしく、安心された。
朝食の際、アーク様がこんなえっちなの普通は鼻血を出しても仕方ないと言い訳するので、私は顔が真っ赤になってしまった。
今更私が優良物件だと再評価され、アーク様は改めてやっかみまじりの祝福を受けたのだった。