「許してあげるわ。魔力供給を」
私の言葉に、マスターはすぐには動かなかった。
薄暗い拠点の寝室には、重苦しい沈黙と、私たち2人の浅い呼吸音だけが満ちている。
カーテンの隙間から差し込むわずかな月明かりが、マスターの迷うような瞳を照らしていた。
「.....いいの?」
「同じことを何度も言わせないでくださる?」
わざと冷ややかな声を作って急かすと、マスターは小さく息を吐き、ようやくその手を伸ばしてきた。
私の指先に触れたマスターの掌は、驚くほど熱かった。
いいえ、違うわね。
連戦に次ぐ連戦で疲れ果てていた私の身体が、氷のように冷え切っていただけ。
このまま朝を迎えれば、次の戦いを待たずして私は消えていたかもしれない。
それほどまでに追い詰められていながら、このマスターは最後の最後まで私の意思を尋ね、拒絶する権利を私に委ねた。
令呪という絶対の鎖を持ちながら、決してそれを使おうとしない愚かな人。
その熱く、少しだけ震える指が、私の細い指にゆっくりと絡みつく。
「......ありがとう、ステンノ。なるべく負担をかけないようにするよ」
「ふふ。女神を相手に、ずいぶんと頼もしいことね」
皮肉めいて微笑んでみせたけれど、マスターが私をベッドへ押し倒す動きには、奇妙なほど迷いがなかった。
乱暴ではない。
むしろ、壊れやすい硝子細工を扱うように慎重で、それでいてひどく滑らかな手つき。
背中に柔らかなシーツの感触が伝わり、視界の上からマスターの影が落ちてくる。
マスターとの距離が吐息の触れ合うほどに詰まり、そのまま唇が重なった。
「......んっ」
最初は、触れ合うだけの淡く優しい口づけ。
私の唇に、マスターの柔らかい熱がじんわりと移ってくる。
離れたと思った唇はすぐに角度を変えてもう一度重なり、今度は私の唇の隙間を割るようにして、熱い舌が滑り込んできた。
「ふ、ぁ......っ、ん......」
思わず漏れた吐息ごと、マスターに飲み込まれる。
強引に蹂躙するのではなく、私の反応を確かめるように、舌先でなぞり、上顎をくすぐり、ゆっくりと私の舌を絡め取っていく。
唾液が混ざり合うかすかな水音が、静かな部屋に響いた。
呼吸の隙間さえ奪われるような深い口づけに、頭の裏側がじんわりと痺れていく。
そのあまりに自然な誘導に、私は半ば呆然としながら、ひとつの事実に気づいてしまった。
唇が離れた瞬間、繋いだままの掌をわずかに握り返して、私はマスターの瞳を見つめる。
「......あら、マスター。あなた、こういうことは初めてではないのね?」
息を切らすまいと平静を装って問いかけると、マスターは気まずそうに視線を泳がせた。
「えっと......まあ。そういう縁が、少しだけ」
「ふうん?ずいぶんと生意気なこと」
胸の奥がわずかに波立ったのは、決して嫉妬などという俗っぽい感情ではないわ。
ただ、生まれながらにして完成された女神である私が、まだ誰にも許したことのない行為をさせてあげてるのに、マスターは初めてじゃないことに、ほんの少し癪に障っただけ。
「いいわ。不慣れな人間に無様に触れられるよりは、よほどマシというものよ」
「......お手柔らかに頼むよ、女神様」
苦笑したマスターの指が、私の衣装へと伸びる。
絹の擦れるかすかな音とともに、私の身体を覆っていた布が剥ぎ取られていった。
そして晒されたのは、シミひとつない透明感のある美しい肌と、少女のまま時を止めたかのような華奢な肢体。
黄金比をもって形作られた、不老不死の女神の肉体。
人間であれば──否、男であれば、ただ目にしただけで理性を失い、獣のように飛びかかってもおかしくないはずよ。
実際、私の裸体を前にしたマスターの喉が、ごくりと大きく上下するのが見えた。
瞳の奥に暗い熱が灯り、呼吸が先ほどよりも深く、重くなる。
それでもマスターは、すぐには飛びかからなかった。
「──綺麗だね、ステンノ」
「当然でしょう?誰に向かって言っているのかしら」
「そうだね。僕が言うまでもないか」
呟きながら、マスターは私の耳元へと顔を寄せ、うなじから鎖骨へと唇を落とした。
ちり、と小さな火花が散るような熱が肌を走る。
「っ......あ......」
濡れた唇が首筋のラインを辿り、時に軽く歯を立てるように甘く食みながら、ゆっくりと下へ降りていく。
冷え切っていた私の肌に、マスターの体温が直接刻み込まれていくようだった。
大きな掌が私の華奢な肩から脇腹をなぞり、くびれた腰のラインを確かめるようにゆっくりと滑る。
その乾いた指先が肌を擦るたび、背筋にぞくりと甘い粟立ちが走った。
「ん......っ、マスター、何を......」
「いきなりしたら、ステンノが痛い思いをするから。痛くはしないから、安心して」
「わ、私は女神よ?そのような気遣いなど......っ」
強がって答えたものの、言葉の終わりは小さな吐息に溶けて消えた。マスターの温かい掌が、私の小ぶりな胸をそっと包み込んだから。
「ひゃ......っ」
思わず肩が跳ねる。
控えめな膨らみを確かめるように、5本の指がゆっくりと柔肉を撫で回し、その頂にある小さな乳首へと触れた。
「あ、んっ......そこは、やめなさい......」
「だめだよ。まだ身体に力が入ってるから、もう少しリラックスして」
耳元で囁きながら、マスターの親指が淡い桜色の乳首を優しく転がす。
最初はくすぐったいだけだった感触が、一定の調子で繰り返し撫でられるうちに、じわじわと確かな熱を持ち始める。
指の腹で軽く押し潰され、摘み上げられるたび、胸の奥がむず痒く疼いた。
さらに、空いたほうの乳首に、マスターの熱い唇が吸い付いた。
「っ!あ、ぁ......んっ......!」
濡れた舌先が、ぷくりと硬さを増した乳首をちろりとなぞり、甘く吸い上げる。
ちゅ、と小さな音を立てて吸われ、舌の裏で転がされた瞬間、胸の先から背を伝って、未知の電流のようなものが頭頂まで駆け抜けた。
私はシーツを強く握りしめ、唇を噛んで声を殺す。
何よ、これ。
ただますーに肌を撫でられ、唇で乳首を弄ばれているだけのはずなのに。
マスターの舌が転がるたび、指先がもう片方の乳首を優しく摘まむたび、私の身体の奥底に名も知らぬ熱が溜まっていく。
呼吸が勝手に浅くなり、胸が上下するたびに、マスターの唇に自分の乳首を押しつけるような形になってしまうのが恥ずかしい。
「......ステンノ、声、我慢しなくていいよ」
胸元から顔を上げたマスターが、少しだけ掠れた声で囁いた。
濡れた乳首が夜気に触れ、ひやりとした感覚に思わず身震いする。
「が、我慢なんてしていないわ......ただ、あなたが少し、しつこいだけよ......」
「そっか。でも、もう少し続けるね。まだ身体が緊張してるみたいだから」
私の小さな虚勢などお見通しだとでも言うように、マスターは微笑んで、さらに唇の位置を下げていった。
滑らかな腹部のラインに口づけを落とし、小さな臍のくぼみを舌先でなぞりながら、マスターの掌が私の腰を撫で、細い太腿の内側へと滑り込んでくる。
「っ......待って、そこは......」
無意識のうちに閉じようとした膝を、マスターの肩が優しく押し広げた。
「嫌なら止めるけど......ここをほぐしておかないと、本当に傷つけてしまうから」
「............っ」
ずるい人。
そう言われてしまえば、拒めるはずがないでしょう。
私が無言で視線を逸らし、腕で顔を隠すようにすると、マスターはそれを許可と受け取ったように、開かれた太腿の付け根へと指先を這わせた。
まだ誰の侵入も許したことのない、女神の最も秘めやかな場所。
そこにマスターの温かい指先が触れた瞬間、私は息を呑んだ。
「んっ......!」
驚くことに、そこはすでにほんのりと湿り気を帯びていた。
先ほどからの深い口づけと胸への愛撫だけで、私の肉体が勝手に反応し、雄を受け入れるための準備を始めていた。
「あ、ぁ......嘘、でしょう......」
「よかった。ちゃんと感じてくれてるみたいだね」
安堵したような声を紡ぎながら、マスターの指が薄い花びらをそっと割り開く。
外気に晒されたばかりの敏感な粘膜を、熱を持った指の腹が縦になぞり上げた。
「ひ、ぅ......っ!あ、んっ......!」
これまでの人生で1度も味わったことのない、鋭くも甘い衝撃。
普段は微笑みひとつで理性を奪い、意のままに弄んできた私が、今はたった1人の人間の指先に翻弄され、腰を浮かせて震えている。
──なんて滑稽で、なんて不条理な光景かしら。
マスターの指が秘所の入り口を優しく円を描くように撫で、上部の小さなクリトリスを的確に捉えて擦り上げると、プライドなど簡単に溶け落ちてしまいそうになる。
「や、ぁ......っ、マスター、そこ、は......変になる、わ......っ」
「変にはならないよ。力を抜いて、ステンノ」
マスターは私の乱れた髪に顔を埋め、耳を甘く噛みながら、下の指の動きを少しずつ深くしていく。
溢れ出した蜜が指先に絡みつき、くちゅり、と小さく水音が響いた。
その音が恥ずかしくてたまらないのに、マスターの指が1本、ゆっくりと私の内側へと滑り込んでくると、羞恥よりも強い感覚が私を襲った。
「あ......っ、ん、く......!」
狭く閉ざされていた内壁が、異物の侵入に驚いてきゅうっと収縮する。
「っ......すごいね。指1本でも、こんなにきついんだ」
マスターの吐息が熱く耳元を灼く。
指先が内側の柔らかな襞を押し広げ、溢れる潤いを馴染ませるようにゆっくりと抜き差しされる。
痛みはない。
マスターが私の呼吸に合わせて、丁寧な手つきで狭い通路を解きほぐしてくれているから。
やがて指が2本に増え、私の内側の最も敏感な場所を、くい、と軽く押し上げた。
「ひゃ、ぁっ......!な、に、それ......っ、あ、んっ!」
目の前が白く明滅するような快感に、私は顔を隠していた腕を退け、思わずマスターの肩にしがみついた。
指が動くたびに熱い蜜が後から後から溢れ出し、シーツを濡らしていく。
くちゅ、くちゅ、といやらしい音が部屋に響き、私の腰が指の動きに合わせて勝手に揺れてしまう。
身体の芯が切なく疼き、何かもっと確かなものを求めて、内側が何度も収縮を繰り返す。
これ以上、焦らされるのは耐え難かった。
このまま指先だけで弄ばれ続ければ、私自身が何なのかさえ分からなくなってしまいそうだったから。
「ま、マスター......っ、もう、十分でしょう......?」
涙目で睨みつけながら、私は震える声で命じた。
「早く......本命を済ませなさいな。いつまで、焦らしているのよ......っ」
「......うん。分かった」
マスターがゆっくりと指を抜き去ると、それだけで切ない喪失感に腰がわずかに浮く。
見上げれば、マスターの瞳もまた、限界まで抑え込んだ情欲と熱で暗く揺れていた。
私の細い両脚がマスターの腰を抱くように持ち上げられ、無防備に開かれた入り口に、熱く硬く滾ったマスターのちんぽが押し当てられる。
先ほどの指とは比較にならないほどの、圧倒的な熱量と硬質な存在感。
ぬめりを帯びた先端が秘裂を上下に擦り、私の入り口を押し広げようと圧をかけてくる。
さすがに本能的な緊張が走り、私の身体がこわばった。
それに気づいたマスターは、片手で私の頬を撫で、もう片方の手で私の手をしっかりと握った。
「ステンノ。僕を見て」
「......見ているわよ」
「最初は痛いと思う。でも、僕がちゃんと支えるから。......行くよ」
私が小さく頷いた、その直後だった。
マスターの腰がゆっくりと沈み込み、私の内側を押し広げて侵入してくる。
「っ、ぐ......あ、ぁっ......!」
これまで経験したことのない圧迫感。
どれほど指でほぐされていようと、初めての肉体がこれほどの質量を飲み込む苦しさは避けられない。
柔らかな粘膜が限界まで押し広げられ、その奥にある純潔の証に先端が突き当たる。
マスターが一瞬だけ動きを止め、私の唇を奪いながら、さらに深く腰を進めた。
ぷつり、と内側で何かが破れる感触とともに、鋭い痛みが走った。
「──っ!ん、んんっ......!」
唇を塞がれていた私は、声にならない悲鳴をマスターの口内へと吐き出し、空き手でマスターの背中に強く爪を立てた。
不変であり、完全無欠であったはずの女神の肉体が、人間の男のちんぽによって初めて傷つけられ、暴かれ、最奥まで貫かれた瞬間。
熱い鉄の杭を打ち込まれたかのような衝撃に、目尻から生理的な涙がひと筋、こぼれ落ちた。
マスターは根元まで深く埋め込んだまま、ぴたりと動きを止めた。
唇を離すと、私の目尻に浮かんだ涙を、唇で優しく掬い取る。
「ごめんね、ステンノ......痛かったよね。少しだけ、このまま馴染むのを待とう」
「......っ、はぁ、はぁ......別に、この程度......何ともないわ......っ」
強がりを口にしたものの、声は完全に裏返っていた。
マスターは深く繋がったまま私を強く抱きしめ、荒い呼吸を整えるように背中や髪を優しく撫でてくれていると、不思議な変化が訪れた。
ズキズキと疼いていた痛みが、マスターの体温と混ざり合うようにして、少しずつ甘い痺れへと形を変えていくのよ。
「あ......っ、ん......?」
痛みが引いた跡に広がったのは、じんわりと内壁を焦がすような、重く確かな充足感だった。
私の内側に隙間なく埋まっているマスターの熱が、ドクン、ドクンと脈打つたび、女としての肉体が雄を受け入れているという本能的な悦びが、下腹部からせり上がってくる。
お腹の奥を内側から直接温められているような、奇妙なほど安心する感覚。
「......どう?少しは落ち着いてきた?」
「え、ええ......っ。もう、平気よ......動いても、構わないわ......」
私の許可を聞き届けると、マスターは安堵したように微笑み、ゆっくりと腰を引き始めた。
「ん、ぁ......っ!」
熱く太い質量が、内壁の壁を逆撫でしながら半分ほど引き抜かれ、そして再び、奥へと深く埋め込まれる。
「あ、ぁっ......!ふ、んっ......!」
1度通り道を覚えた粘膜は、もう痛みを訴えることはなかった。
代わりに、擦れ合う箇所のすべてから火花のような快感が散り、私の思考を端から焼き切っていく。
ゆっくりとしたストロークなのに、出入りするたびに内側の敏感な場所が強く擦り上げられ、甘い吐息が勝手に唇から漏れてしまう。
「っ......ステンノの中、すごく熱くて......締め付けが、すごい......」
マスターの額から汗が滴り落ち、私の鎖骨の上で弾けた。
いつもは穏やかで自制心の強いマスターが、歯を食いしばり、余裕を失ったように息を荒げている。
その表情を見た瞬間、私の胸の奥に、ぞくりとするほど甘美な優越感が湧き上がった。
この人間をここまで乱れさせているのは、ほかの誰でもない、私なのだと。
「ふ、ふっ......ん、ぁっ......!もっと、本気で動いても、いいのよ、マスター......っ」
私はマスターの背中に回した腕に力を込め、乱れる吐息の中で挑発するように微笑んだ。
「そんな遠慮がちな動きで、私を満足させられると思って......?」
その言葉が、マスターの理性のタガをわずかに外したらしかった。
「......後悔しないでよ、ステンノ」
低く掠れた声とともに、マスターの腰の動きが明確に強さを増した。
「ひ、ぁっ!あ、んっ、んんっ......!」
ずん、と下腹部が揺れるほどの深い突き上げ。
私の小さな身体がシーツの上で上下に揺さぶられ、結合部から淫らな水音が部屋中に響き渡る。
「や、ぁっ、それ、奥、に......っ、当たって......ぁあんっ!」
マスターの先端が、私の最も深い場所を正確に捉え、小刻みに、そして力強くノックする。
そこを突かれるたび、視界の奥で白い光が弾け、喉の奥から女神らしからぬ甘い嬌声が勝手に飛び出してしまう。
熱い。
身体の奥も、思考も、全てが、マスターの熱に溶かされてしまいそう。
これまで私は、人間なんてただの退屈しのぎのお人形に過ぎないと思っていた。
けれど今、私はこの人間の腕の中で、ただの1人の女として抱かれ、快楽に身をよじり、その熱を必死に求めている。
「マスター......っ、あ、んっ、私、なんだか、おかしく......っ!」
「おかしくないよ......すごく綺麗だ、ステンノ......っ」
マスターは私の唇を再び奪い、獣のように深く舌を絡ませながら、さらに腰の律動を速めていく。
「んんっ!ぷ、ぁ......っ、はぁ、あ、ぁっ......!」
息継ぎの暇さえないほどの激しい口づけと、容赦のない快楽の波。
私の脚が自然とマスターの腰に強く絡みつき、もっと深く、もっと近くへと彼を引き寄せていた。
プライドも、駆け引きも、もうどうでもよかった。
ただ、この温かい人間とひとつに繋がっている感覚だけが、たまらなく心地よくて、手放したくなかった。
「ステンノ......っ、そろそろ、出る......っ!」
「え、ええ......っ、来なさい......っ、あなたのすべて、私が、受け止めてあげるわ......っ!」
マスターの腕が、私の華奢な身体を壊れんばかりに強く抱きしめた。
1度、2度、3度と、身体の芯を貫くような激しい動きが繰り返され、私の内側の熱が臨界点へと達する。
頭の芯が真っ白に塗り潰され、全身の筋肉が甘く引き攣るような、未知の感覚がせり上がってきた。
「あ......っ、あ、ああっ──!」
背中を大きく弓なりに反らせたその瞬間、私の最奥に押し当てられた先端から、焼けるように熱い奔流が解き放たれた。
ドクン、ドクン、と力強く脈打ちながら、マスターの熱い精液が、私の最も深い場所を何度も、何度も打ち据える。
「ん、ぁああっ......!あ、つ......い......っ、んんっ......!」
初めて迎える絶頂の波と、お腹の奥を直接満たしていく圧倒的な熱量の衝撃が重なり合い、私はマスターの肩に顔を埋めたまま、長く甘い吐息を漏らし続けた。
収縮する私の内壁がマスターのちんぽを強く締め付け、最後の1滴まで搾り取るように絡みつく。
指先から爪の先までが甘い痺れに満たされ、枯渇していた身体の奥底から、以前よりもずっと強く鮮やかな力が湧き上がってくるのがわかる。
どれくらいの時間、そうして震えていたのかしら。
やがて激しい波が少しずつ引き始め、部屋には2人の荒い呼吸音だけが残った。
マスターは私の内側を熱いもので満たしたまま、私を押し潰さないように肘で体重を支え、汗に濡れた私の前髪をそっと撫で上げた。
「...........ステンノ、大丈夫?苦しくなかった?」
こんなときまで、自分のことより私を気遣うのね。
涙で潤んだ瞳を向けると、そこには、どうしようもなく優しく、そして少しだけ困ったように笑うマスターの顔があった。
私はまだ微かに震える腕を伸ばし、その頬にそっと触れた。
「......本当に、愚かな人ね」
「......それ、また言うんだ」
「ええ。何度でも言ってあげるわ」
だって、そうでしょう?
これほどまでに深く交わり、私の純潔を奪い、これほどの快楽を与えておきながら、マスターの瞳には私を支配しようとする傲慢さが少しもなかった。
ただ、私と繋がれたことを愛おしむような熱だけがある。
私の内側にたっぷりと注ぎ込まれた、マスターの確かな熱量。
「......悪くなかったわ、マスター」
私は少しだけ目を細め、いつもの気まぐれな女神の微笑みを唇に浮かべてみせた。
「女神である私を満足させたのだから、少しは誇ってもよろしくてよ?」
「はは......それは光栄だね」
マスターが苦笑しながら顔を寄せ、私の額に優しく口づけを落とす。
その温もりを受け止めながら、私はゆっくりとまぶたを閉じた。
ステンノ様は最初は余裕が無い→経験を積みながら誘い受け→甘サドの進化がいちばん美しいと思う。