※この作品はR-18です。

男が1万人に1人の特権階級になった世界で   作:クズ吉

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第1話 男が1万人に1人の特権階級になった世界

 俺は中世ヨーロッパ風の異世界に転生した。

 

 ...わけではなく残念ながら魔法は存在しない現代日本に似た異世界へと転生したようだ。

 

 前世は大した仕事をしていたわけでもなく、親しい人を残してきたわけでもないから全く未練はなかった。

 

 まぁ言い訳か。生涯童貞で貧乏だったし風俗に行く勇気さえ持ち合わせていなかったから、何もかも諦める前の価値観で言えば人生そのものが心残りだったのかもしれない。

 

 それはさておき思えばこの世界に生まれ落ちて不思議な事ばかりであった。その原因はおそらく生まれてから今まで俺以外の男を実際に見た事がないことにあるだろう。

 

 間接的ではあるが、初めて俺が俺以外の男性を見たのは2歳の頃だった。当時俺がたまたまリモコンで点けたテレビに、この世界で初めて見る事になる男性の姿が写しだされたのだ。

 

 「次のニュースです。◇◇県で妻3人を暴行した後に内1人を殺害したとされる〇〇被告人の裁判が始まりました。XX裁判所から中継です。」

 

 「はい。XX裁判所前から△△がお伝えします。公判で検察が求刑したのは宝源特別刑法における殺人罪の最高刑、禁錮3日に一回の刑です。一方弁護側はより刑の軽い禁錮10日に一回の刑が相当であると…」

 

 なんじゃこれ...というか刑かっるっ。

 

 そう、この世界に生まれて俺はテレビをつけるまで俺以外の男性を知る機会はなかった。生まれた病院、散歩する街並み、俺が住む広い豪邸の中にさえ、男の姿は見つけられなかったのだ。

 

 最初の頃は21世紀の日本に再び生まれたと認識していたので男性を見ないのはたまたまかと思っていた。だがこのニュースを見て俺は確信した。ここは俺が過ごしていた日本ではないのだと。

 

 現在俺は12歳、今までに学んだことを総合すると、この世界で男性が生まれるのは1万人に1人くらいの確率で、女性が圧倒的に多い社会のようだ。そのため男性は外出すると好奇な目で見られることが多いので引きこもる傾向が強いらしい。

 

 エロゲーかよっ!とツッコミたいが、そんな世界に転生してしまったのだから仕方がない。開き直って今度の人生こそはモテモテになってやりたいことなんでもやろうと心に決めて生きてきた。

 

 さて、この世界では男性が王族として君臨する国、男性を奴隷として扱う国、男性を神聖な存在として敬う国など様々混在するという。

 

 男性は古くから水などの資源や領土と同じく人々が争いをする火種となってきたようだが、時には国々の男性の扱い方の違いが戦争の大義名分となる事もあり、とってもセンシティブな問題だ。

 

 なので今でも男性の扱いは前世のような国際人権規約などによって世界で統一化されてはいない。

 

 俺が生まれたこの国日本では「神の使い」や子宝の源という意味の「宝源」として男性は概ね神聖な存在として扱われてきた。

 

 その扱いは現在の日本の民の間でもあまり変わりはないようだ。

 

 というのも男女比率が大きく異なるせいか前世の歴史とは全く異なる歴史を世界は築き上げる事となった。

 

 明治維新もGHQの戦後統治もなかった日本は古来からの伝統的価値観が受け継がれているのだ。

 

 俺の教育係が言うには、女性だけが受ける義務教育では規則として朝礼の際に「宝源である男性を尊び、生きる喜びを与えてくれる男性に感謝しながら生きること」を誓わせるらしい。

 

 まぁそんだけ毎日誓わせるようなことをすれば価値観は根付くのだろうが、前世の記憶持ちの俺はドン引きである。

 

 またその他にも他国の名前や国の規模、制度の違いがありすぎるので、前世の記憶が使えず今俺は歴史を一から覚える事に必死なのだ。

 

 日本の制度は前世と比べるとはちゃめちゃなので、まず身近な今世における俺の立場を端的に表すと「保護された絶滅危惧種」のような待遇、扱いである。

 

 すなわち国の保護のもとに国家予算から生活費、養育費、世話係、教育係の給与などが捻出されており、血を次代に継ぐだけでありがたい存在として扱われている。

 

 もちろん国も男性から何も価値提供を受けないまま保護するわけではない。

 

 憲法には「日本民族の子孫繁栄のため男性は精子を国家に提供する役目を負う」といったような条文が明記されており、精子保護法では1週間に一回の精子提供を男性の実質的な義務としている。

 

 例外は医師の診断で精子提供が不可能とされた者に限るので、精通してからちんちんが立たなくなるか病気になるまで酷使される割とハードなお役目である。

 

 日本政府は憲法を基に男性から提供を受けた精子を一元管理し、希望した女性に精子を分配する権限を有しており、その権限は絶大だ。

 

 例えば新鮮な精子を女性に分配するため日本全国幅広く男性を配置することを目的に僻地に駐在する男性には謝礼金を多く渡すといったことや、犯罪歴のある女性には精子分配しないことも可能だ。 

 

 

 子供を育むことが人間の生における至上の喜びであるという価値観は日本全国に根付いていることから、政府から精子分配を受けたい女性が国民の大半を占める。そのため女性の犯罪率は人口比ではかなり低い。

 

 一方で男性の犯罪率は人口が少ないわりに非常に高い。これは宝源特別刑法と女性から過度に尊重されてしまうために自尊心が肥大化し傲慢になることが関係していると分析されているようだ。

 

 宝源特別刑法というのは精子提供者(宝源)が行った犯罪に対する特別な法である。定められた刑罰は罰金か禁錮のみで懲役や死刑といったものはない。

 

 また、禁錮といっても連続的に自由を奪われる訳ではなく、何日かに一回刑事施設に出頭し1日過ごすだけでよいという緩い刑罰だ。

 

 しかし実際は刑務官からその日でなくなるまで精液を絞り尽くされるキツイんだかハッピーなんだか分からない刑罰だというネットの噂もあるらしい。

 




現在38話くらいストックがあるので、毎日1話ずつ投稿したいと思います。
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