紫剣閃姫アーヴィオラ -煌光解放のレクイエム- 作:ホリス_if
そしてその夢は、侵略兵器になった。
数年後、逃げだした先の街で、玲奈は雨の夜に傷ついた少女、結衣と出会う。
この話は導入です、エロはまだありません。
小さい頃の話だ。
私は、変身ヒロインってモノに憧れていた。
テレビの中で可愛い少女達が変身し、正義のために、街の人のために悪いヤツらと戦う。
そんな姿に、幼い頃の私は心を奪われていた。
でも、その夢は……数年前に打ち砕かれた。
「……ふぅ」
夢のキラキラとは程遠いタバコの煙が、七階建てマンションの三階角部屋、深夜のベランダに吐き出される。
ウルフカットの黒髪に絡む副流煙を手で払いながら、静かにまわる室外機の上に置いた缶コーヒーを、ゆっくりと喉に流し込む。
「……この銘柄はハズレ、と」
……私、白凪玲奈は数年前まで、とある組織で研究者として働いていた。
メインの研究テーマは、〝非能力者への戦闘能力付与〟。
スペル、と呼ばれる特殊能力を使えない普通の人間に、超常的な身体能力を付与するための研究だ。
その題材を聞いた時、私は喜んでその研究を引き受けた。
……当然だろう。なんせ昔からの夢、変身ヒロインの誕生に携われると思ったのだから。
しかも潤沢な施設、資金、人員まで使い放題ときた。
これが上手く行けば、超能力を持たない普通の女性も変身することで、治安維持や災害救助で活躍できるようになる。
悪の組織と戦う……とまではいかなくても、それくらいは。
当時は本当に大変だった、けど、それ以上に夢が叶うまでの道のりを辿れて、本当に楽しかった。
極めつけは上から技術提供された、目に見えない〝想い〟の力を原動力に使用する理論。
自分でもびっくりするほどトントン拍子に開発は進んで……僅か一年で、私の研究、変身システムは日の目を見る事になった。
稀代の天才、世界の救世主、なんて散々持て囃されたっけ。
けど……そこまでだった。
私の見通しが甘かったと言われれば、返す言葉もない。
なんせ私の開発した変身システムは……全て別の次元の世界への侵攻、そのための兵器として使われたのだから。
その初陣を見た瞬間……私の心が、急速に冷めていくのを感じた。
所詮現実なんてこんなもん。
そう思ったのは、既にあらかた荷物をまとめ、適当な次元の世界へと飛び出した後だった。
その後、紆余曲折あって……私は今、都会でなければ田舎でもない、この中途半端な都市の一室に住んでいる。
「……そんな事もあったな」
……なんて思い出がふと蘇るのは、秋の心地いい夜風のせいだろうか。
……自分らしくもないな、我ながら。
「……ふっ」
水を張った空の缶に吸殻を捨て、缶コーヒーの残りを一気に飲み干す。
そして缶を拾い上げ、サンダルを脱いで部屋へと戻る。
理想の女の一人暮らしからは程遠い、質素な部屋。
そのど真ん中にあるテーブルの上に、飲み干した缶のゴミを置く。
そのままテーブル前のソファーに掛けてある白衣を羽織る。
「……よし」
無論、ファッションで着ている訳ではない。
これを着ると、気持ちがパッと切り替わる……ような気がするからだ。
「さて、今日も始めようか」
一呼吸置いて、隣の部屋へと続く扉を開く。
電気を付けていない部屋の中に、機械的な青緑の光が煌々と輝いていた。
その光の主は、前の組織から逃げ出した時に頂いてきた数種類の小型の機械。
そして、その前に二つ並んで置いてあるのが、私が作った変身システムの起動アイテムである、ハート型のペンダント。
一つは試作型のピンク色、純粋に万が一の為の護身用として保管していたもの。
そしてもう片方は……私の夢を詰め込んだ、水色の仕様。
こっちを持ってきた理由は至極簡単、見られたくないからだ。
何を隠そう、こっちを使って変身したら、いかにも正義のヒロイン! って感じの姿に変身するのだ。
普段は理知的な完璧人間を装っていた私が、こんなフリフリの変身ヒロインに憧れていたと知られたら……端的に言って、恥ずかしすぎて死にたくなる、だから持ってきた。
無論、誰にも使わせるつもりは無い。
それと機械の方は……趣味と嫌がらせ、半々だ。
「よっ……と」
そんな機械の前の座椅子に座り、試作型のペンダントを一つの機械に埋め込み、キーボードを叩き始める。
最近の課題は、新たな機能、つまり武装の追加だ。
なんせコイツは機能実証の為に作られたもの、つまり、本来の仕様では、武器の一つも持っていないのだから。
「……何がいいかな」
刀を収める鞘や、ロケランやガトリング等の重火器を持たせられる段階は流石に過ぎている。
しかし……なんせ武器というのは、変身ヒロインの特徴、もうひとつの顔とも言えるほど重大な要素だ。
本当は魔法のスティックとか、そんな方向性がいいのだろうけど、それは実用性が無さすぎる。
それに何より……似合わない、私には、絶対に。
なんて、先週から何度繰り返したか分からない脳内会議。
仮に設定したナイフのまま、一文字入れては消し、また一文字入れては消す。
そんな無駄な時間を、コーヒー片手に何度も何度も繰り返す。
今日何本目かのコーヒーを飲み干し、空になったペットボトルを右に投げ捨て、次を取ろうと、左側に置いてあるダンボールに手を伸ばす。
「……ん?」
突っ込んだその中で……手が宙を切る。
途端、とある可能性が頭をよぎる。
「……やったか」
慌てて携帯のライトを付け、ダンボールの中を確認してみる、と……
「……やったな、うん」
研究のお供に買いだめしておいた、この世界で一番マシなペットボトルのコーヒー。
それが山のように入っているはずのダンボール、その中身の一切が……無くなっていたのだ。
「ふむ……どうするか」
おおよそ、ロクに部屋の電気もつけないせいで、在庫の確認が疎かになっていたのだろう。
しかし……コーヒーが無いのは困る。
あれは人間の潤滑油、もうひとつの力の源と言ってもいい。
かといって、今から通販で頼んだとして、届くのはいつになるか。
缶コーヒーはさっきので最後。
紅茶のティーパックはあるが、研究のお供に紅茶は論外。
淹れるにしても、マシな豆はここには無いし……
「……仕方ない」
買いに行くしかない、か。
コンビニくらいなら空いているだろ。
面倒だが……コーヒーがない状態での研究は、コーヒーを買いに行く時間を考えても、大変、非効率極まりない。
「さて、と」
そうなれば、善は急げ、だ。
たとえ時間が売るほどあると言っても、それを無駄にするのは好きじゃない。
早速立ち上がると、部屋を出て白衣を脱ぎ、ソファーに放り投げる。
そのまま携帯と財布をズボンの、タバコのセットを胸ポケットの中へと放り込む。
こういう時、ワイシャツとスラックスってのは便利だ。
最初は科学者らしく見せるために着ていたのだが、今ではすっかりこれしか着ないようになってしまった。
……っと、また余計な事を考えているな、良くない。
「……行くとしましょうか」
身一つで玄関まで向かい、そのまま扉を開けて……
「……マジか」
瞬間、部屋に入ってくる雨の臭いと音。
さっきまで降ってなかったのに……なんでまた、タイミングの悪い……
「……ちっ」
……だが、今更ここでやめる、なんて選択肢はない。
幸い、通り雨程度の弱さだ。
この程度なら、服もびしょ濡れにはならずに帰ってこれるだろう。
そう腹を括り、私は靴箱の上の折りたたみ傘を手に取り、部屋を出て雨の降る夜の街……つまりコンビニへと、歩き始めるのだった。
……
……
……夜の雨の中、なんとか私はコンビニへとたどり着いた、それはいい。
だが……
「……」
……そのコンビニの軒下に、一人の少女が座っていた。
ロクに傘も差してなかったのだろう。
びしょ濡れの制服のまま、俯いて体育座りをしている。
少しだけボサっとしている黒のロングヘアーも同様、濡れて肌と服に張り付いている。
おおかた家出か、誰かから逃げてきたか……こんな時間帯に少女が外にいるのは大問題だが、ま、私には関係の無い話だ。
その少女の横を通り過ぎ、私はコンビニの中へと入る。
「確か……こっちだな」
カゴを取り、向かう先は冷蔵飲料コーナー。
透明な扉を開け、即座に目当てのペットボトルを十本ほどカゴに放り投げる。
これだけあれば、二日は持つだろう。
後は糖分補給用のスイーツをいくつかカゴに入れて、そのままレジへ直行。
ついでにタバコをカートンで仕入れ、一緒くたに袋に入れ、店を出る。
「……」
……まだいる。
雨は当分上がりそうにない、雨宿りをする気がないのなら、諦めて傘でも買った方が賢い。
けど、そうしないということは……そういうことなんだろう。
だとしても、私には関係ない。
少女の隣を素通りし、傘を差して自宅へと向かう。
一歩、二歩、三歩と、ゆっくり、ゆっくりと歩みを進める。
……時折踏む水溜まりの音が、やけに大きく感じる。
あの少女は他人だ。今のご時世、余計なお節介は向こうだって望んでないはずだ。
だから関係ない、問題ない、これ以上考えるのは非効率極まりない……
「……ちっ」
……ええいっ、やっぱ無理だ!!
自身の思考への反逆に観念した私は、雨の中で踵を返した。
相変わらず座り込んでいる少女の隣を通り、再びコンビニに入店。
レジで売っているホットのコーヒーとレモンティーを購入し……
「……飲むかい?」
なるべく不審者に見られないような精一杯の笑顔で、彼女へとレモンティーの入った中間サイズの紙コップを差し出した。
「……私、ですか?」
「あぁ、他に誰がいる?」
「でも……」
「間違って買ってしまったんだ。飲んでくれなきゃ、コイツは捨てるしかなくなる」
そう言って強引に彼女の手元へと押し付け、私は並ぶようにコンビニの壁にもたれかかった。
……当然、雨に濡れた壁のせいで、私の背中はビッショビショに濡れる。
我慢だ、ここは何としても堪えろ、私。
「……ありがとう、ございます」
そんな私の痴態を知ってか知らずか、彼女はゆっくりと、手に持ったレモンティーに口をつける。
「……美味しい、です。ありがとうございます、お姉さん」
「いいさ、言ったろ? 間違って買ったって」
軽く笑う彼女の顔を見て、私も薄いプラスチックの蓋越しに、コーヒーに口をつける。
……うん、及第点。
だが、今はコイツの味への評論は後回しだ。
ペットボトル十本+αの荷物が入ったビニール袋を床に置き、続けて口を開く。
「さて……こう見えても私は結構暇でね。良ければ君の話、聞かせてもらってもいいかい? どうしてこんな場所にいるのか、とかさ」
「……どうして、ですか?」
「こんな時間に君のような娘がこんな場所にいるんだ。心配するだろう、誰だって」
「良いです、けど……面白い話じゃないですよ」
「構わないさ。もし少しでも気が晴れるのなら、話してみないか?」
そんなセリフと共に、私は胸ポケットからタバコを取り出し、ライターを点ける。
少しだけ俯いて黙っていた彼女だが……そんな私の、聞くまで動かないぞアピールが伝わったのか、ゆっくりと口を開き始めた。
「……私、星野結衣っていいます」
そうして、結衣、と名乗る少女は、自分の現状について話し始めた。
幼い頃に両親を亡くしたこと。
それから親族の家を転々とするも、どこも居心地が悪かったこと。
今の家の人達は、まるで自分をいないものとして扱っていること。
堪らず家を飛び出して二日経つのに、携帯に連絡すら来ないのがその証拠、ということ。
「……こんなところ、です。ごめんなさいお姉さん、突然つまらない話しちゃって」
「……あ、あぁ……いや、全然構わないさ。聞かせてくれと言ったのは私だからな」
しかし……いかん、予想以上に重いぞ、これは。
てっきりテストの点が悪くて親に怒られたとか、友達と喧嘩したとか、その程度だと思ってたのに……
かと言って、可哀想に……なんて言った日にゃ、どんな顔されるか分かったもんじゃない。
説教なんてするのも柄じゃないし……くそっ、今日に限ってコーヒーがやけに苦く感じるじゃないか。
「……お姉さん?」
……マズい、結衣が申し訳なさそうに私の顔を覗き込んでくる。
折角頼れる大人を気取って話しかけたってのに……タバコとコーヒー持ってウンウン唸っているようじゃ、むしろ不審者以下じゃないか。
「ん、あ、あぁ、すまない、なんでもないよ」
結衣の方も、最初の警戒心マシマシの顔とは打って変わって……今の私のマヌケな顔を見て、何だか拍子抜けしたような、苦笑いに近い表情になってきている。
ま、笑われるのは百歩譲ってまだいい。
でも、このまま帰れ、気をつけてな、なんて突っぱねて帰れるほど、今の私は割り切れそうもない……仕方ない、か。
「……結衣ちゃん、だっけ?」
「呼び捨てでいいですよ」
「あ、あぁ……じゃあ、結衣君……」
私は本日何度目かの覚悟を決め、言葉を繋げた。
「その、なんだ……とりあえず、雨も当分止みそうにない。もし良ければ、私の家に来るかい? 暖かい飲み物と寝床、後はお風呂くらいなら用意してあげられるが」
その言葉に、驚いたのか目を丸くする結衣。
「いえ、でも……申し訳ないです、そこまでしてもらう訳には……私、お姉さんの名前も知りませんし……」
「玲奈、白凪玲奈だ。玲奈でいい。と言っても……ま、急に深夜にコンビニに来ている女に誘われて困る気持ちは、正直よく分かるさ」
私は苦笑いしながら、雨で冷えきった自らの背中を擦った。
……ヤバいな、風邪ひくぞ、これ。
「言っておくが、これは宗教勧誘でも、新手の人さらいでもない。むしろここに留まり続けられる方が、私にとっては迷惑、それだけの自己満足さ。それに、私の家はすぐ近く。もし居心地が悪かったら、いつでも出て行ってもらっても構わないよ……どうだい、この条件で」
言い終えてから、自分が随分と一方的に捲し立てていた事に気がつく。
結衣は数秒間、手の中の温かいレモンティーと、私の折りたたみ傘……それと、私の背中を順々に見つめている。
が……やがて肩の力を抜くように、そっと小さな息を漏らした。
「……ふふっ、分かりました、玲奈さん。こんな親切なお姉さんに、背中が濡れたからって風邪をひかせる訳にもいきませんからね」
「そうか、じゃあ……」
「……えぇ、お言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」
「……ああ、喜んで。歓迎するよ、結衣君」
タバコを灰皿で揉み消し、紙コップの底に残ったコーヒーを一気に飲み干し、ゴミ箱へと放り込む。
そして代わりに折りたたみ傘を開くと……
「さ、善は急げ、だ」
入れ、とばかりに、結衣に向けて傘を傾けた。
「……はい、ありがとうございます」
多少は警戒心が薄れたのか、素直に私の傘へと入ってくれる。
……と、ここで些細な疑問が浮かんできた。
「……そういえば結衣君、荷物とかは他にあったりしないのかい?」
「大丈夫ですよ、友達の家に置かせてもらってるんです」
その返答に、心の中でそっと胸を撫で下ろす。
こういう事を思うのもなんだが……良かった。
ここから、家に帰って荷物を取ってくる、なんて言われた日には……どんな顔して送り届ければいいのか分からないからな。
「そうか……よし、なら心配はいらないな。行こうか」
「えぇ、よろしくお願いします」
そうして、私が歩き出すと同時に、結衣も足を踏み出した。
なるべく彼女の方へと傘を傾け、濡らさないように気をつけながら……私たちは二人一緒に、私の部屋への帰路につくのだった。
……
……
そこから軽い雑談を交わしながらゆっくりと歩いていると……気がつけば、無事に私の家へとたどり着いていた。
「……お邪魔、します」
「あぁ、遠慮なく入ってくれたまえ」
鍵を開けて電気を付け、なるべくフレンドリーさを心がけながら、彼女を部屋へと招き入れる。
結衣は興味深そうに部屋の中をキョロキョロと見回して……急に申し訳なさそうに俯いた。
「あ、ごめんなさい……あんまり見てたら無礼ですよね」
「ん? あぁ、構わんさ。大して面白いモノもないからな。こんな部屋でよければ、好きなだけ見てくれたまえ……そうだ、飲みかけのレモンティーは、そこのキッチンの上にでも置いといてくれたらいい」
軽く言葉を返しながら、まずは洗面所に直行。
手洗いうがいを済ませ、給湯器のスイッチを入れる。
その流れのまま隣のドラム式洗濯機を開け、洗濯済みのまま放置された中身を、とりあえず床へとぶちまける。
「え、ちょっ、玲奈、さん……っ!?」
その瞬間、私の後ろから素っ頓狂な声が聞こえる。
そして声の主である結衣は……私のことを、まるで信じられないものを見るような目で見つめていた。
「……どうしたんだい、急に?」
「どうした、じゃないですって……なんでいきなり、洗濯物を床に……!?」
「いや、だって……入ってたら君の制服も、私の服も、洗濯できないだろう?」
「いや、そうなんですけどっ……でも、いや、ですけどっ……!!」
……結衣は何をそんなに取り乱しているのだろうか。
全く……分からないな、最近の娘の感性は。
「結衣君、とりあえずその服を脱いで、まずはシャワーでも浴びるといい。着替えは新しいモノを用意しておく。バスタオルは白い方を使ってくれ。服も洗濯機に入れておいてくれれば、後で一緒に回しておくよ」
「え、えぇ、ありがとうございます……ではお言葉に甘えさせてもらいます、ね……」
……やっぱり、少し引かれてる?
どうしてだ、一体何が……いや、分からないものは仕方がない、一度切り替えよう。
結衣が服を脱ぎ始めたのを確認してから、私はそっと浴室から離れ、リビングへと向かう。
そしてクローゼットの中にある、新品の下着と適当なサイズの寝間着一式を取り出し、浴室の前へと放り投げた。
「っ、くしゅっ……!」
……いかんな、このままじゃ本当に風邪を引く。
とりあえず濡れた服をすべて脱ぎ、下着姿のまま、手近なタオルで身体を拭く。
後はエアコンで部屋の中を少しだけ暖かくなるように気温を調整して……
「ま、これでとりあえずは……かな」
一人ならばこのまま過ごすが……なにぶん、今は人がいる。
多少マシになるだろうとソファーの上に掛けられていた白衣を手に取り、そのまま袖を通す。
「っと、忘れるとこだった」
そして入り口に置きっぱなしだったビニール袋の存在を思い出し、回収して再びリビングに戻ってくる。
冷蔵庫にスイーツを入れ、その隣にコーヒーのペットボトルをとりあえず並べる。
コイツをダンボールの中に移すのは……ま、明日でもいいか。
リビングに戻り、ソファーに腰を掛け、ほっと一息つく。
……その瞬間だった。
「……っ!?」
腕時計から、軽いバイブレーションを感じ取る。
普段は……少なくとも、この世界に来てからは一度も起動したことがない、このバイブレーション。
嫌な予感がして、慌てて隣の研究室へと駆け込む。
すると……
「……参ったな」
目の前のモニターに映し出された表示を前に、思わず舌打ちと文句が飛び出る。
部屋の中の機械群、その一つが見たくもない反応をキャッチしていたのだ。
この世界には、絶対に存在しないはずの、いや、あってはならないはずの反応。
それは……私が元いた世界で使われていた人造偵察兵器、その接近反応だった。
お読みいただきありがとうございます。
この話は夢を現実で失った玲奈が、結衣との出会いを経て変わっていく話です。
玲奈と結衣の関係を、楽しんでいただけたら幸いです。
この後すぐ、第2話、第3話を投稿します。
続けてお読みいただけると嬉しいです。