※この作品はR-18です。

Endless memory   作:絶対運命黙示録

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前作『ピエタ』の続編。幼いキンスケが主人公。


閉ざされた庭の恋人

キンスケが初めて彼を見たのはクロックハンズに勧誘されて間もない頃だった。

当時4時だった5時に抱かれて帰ってきたそれは、血まみれで死にかけだった。

ガキはさっさと寝てろと追い払われたが、キンスケは二人が部屋の奥に消えるまでずっと見ていた。

治療を受け命は取り留めたが、痛ましい包帯だらけの姿のその時から、彼は天蓋付きのベッドに鎖で繋がれていた。

 

長い療養を経て、全ての包帯が取れた頃には、

髪は腰まで長く伸び、雪のように白く染まり切っていた。

 

雪のように白い長い髪にヴェールのリボンで目隠しされた容貌。無性を思わせるしなやかな肢体。御伽話の登場人物のような風貌に多感なキンスケは興味津々だった。

 

大人達がいなくなったのを見計らって部屋に入りベッドにこっそり近づくいてみると、彼は目隠しで見えないのにキンスケの気配を察知した。ベッドの掛け布団の中に潜り込んだキンスケに気付き、気配で探し当てた。

彼はキンスケに触れてその柔らかさから子供だとわかると、表情が柔らかくなりキンスケの頭を撫でた。クロックハンズを入ってからろくに大人に相手にされなくて、この時初めてキンスケは自分を相手にしてくれる人間に出会えた。

 

それからキンスケは、任務から帰った後、彼の元に来るようになった。彼はしゃべることができないのか語ることはなかったが、キンスケの話を聞いてくれた。弟のギンが殺される夢を見た夜は彼のベッドに潜り込んで添い寝してもらった。

でも一緒にいられる時間は限りがある。5時が帰ってきたのを足音で察知した彼は、キンスケに部屋を出るよう身振りをした。キンスケは仕方なく部屋を出ると、任務から帰ってきた5時とすれ違った。

5時はじろりと無言で睨み、キンスケも負けじと睨み返した。

 

キンスケは5時と彼が過ごす時間が嫌いだ。キンスケが彼と長く一緒にいられないのもそうだし、何より5時は彼を独り占めして、彼に酷いことをする。

いつも彼の身体は5時の噛み跡でいっぱいで、この前だって彼の頬を引っ叩いて赤い顔にした。

 

自分がもっと大人になれば、もっと強くなれば、彼を独り占めできるだろうか。

 

それから年月が過ぎ、キンスケは15歳になった。黒い髪は自然と金髪に染まった。もう流石に5時が彼にしてきたことはわかっている。

 

もう子供じゃない。本懐を遂げる時が来たのだ。

 

大人達がいないのを確認して、キンスケは彼の部屋に入る。彼は昨夜の5時の相手に疲れたのか、泥のように眠っている。

 

(眠り姫みたい…)

 

キスしたら、目覚めるのだろうか。

 

なんて考えながら、彼の唇に唇を重ねる。

唇の感触に目覚めた彼は起きあがろうとするが、キンスケが彼に乗っかってきて、身動きができない。

『やっと二人っきりになったな。』

鎖に繋がれた彼の手に手を重ねる。

『もう5時の相手をしなくていいんだ。俺があんたを守る。だから…』

 

俺を受け入れて

 

『なにが守るだ、クソガキ』

グイッと背後から首根っこを掴まれ、壁へ吹っ飛ばされる。

『廊下にエンドレスがかかってると思ったら、やはりこいつを寝とるつもりだったか。クソガキ。』

キンスケを壁へ吹っ飛ばしたのは、赤毛の壮年の男、5時だ。

 

『がっ…』

『お前の能力の弱点は種さえわかればいつでも解除できる。まだまだ詰めが甘いな。』

 

状況に混乱している彼に、5時は彼を安心させるように彼の顎に触れる。

 

『こいつは俺のだ。お前のじゃない』

5時は彼に口付けて、押し倒した。

 

そこからは、夢であって欲しかった。

肌と肌がぶつかり合う音。

淫らな水音。

艶やかな嬌声。

 

5時は激しく彼を求めて腰を振る。

それに彼は受け止めて肢体をしならせ、嬌声を上げた。

激しく求められ、それでも彼は5時の背中に爪を立てる。

熱に侵された5時は彼のヴェールの目隠しを歯で噛みとり、露わになった左目に唇を重ねる。

 

『え…』

 

ヴェールの目隠しが取れて、露わになった素顔は、あの仇のクロノだった。

 

眠り姫の正体は、クロノだった。

悪夢を見て添い寝してくれた事、

一緒にいてくれて話を聞いてくれた事も、

全部、クロノの優しさだった。

 

そのクロノが、5時に抱かれている。

5時は、前の4時のキンスケだから。

5時(前の4時)のキンスケのクロノだから。

今の4時のキンスケのモノではない。

 

クロノは鎖に繋がれた両手を伸ばして、5時の顔に触れ、額の傷にキスをする。

 

キンスケは二人の交わりを見ていることしかできなかった。クロノに全てを奪われたのに、そのクロノを支配することすらできない今の自分が虚しかった。

 

全てを奪われたのも、こんなに虚しい気持ちなったのも、全部クロノのせいだ。

 

そうだ、クロノに全てを捧げてもらおう。

自分だけのクロノを手に入れて、四六時中キンスケのことを思いやる恋人にしよう。

ベッドという生ぬるいものではなくエンドレスで誰も出会えず、出られない閉じられた庭に閉じ込めてしまおう。

 

それから約5年後のCASE88。

クロノへの復讐を果たした後、6時は自殺した。

6時の死を見届けた後、4時は血まみれのクロノの遺体を確認する。

『何をしている。』

『せーぞんかくにん。』

クロノの腕をぷらぷら持ち上げて、クロノの生存を確認する4時。

 

ゴホッゴホッゲホッ

 

『お、生きてんじゃん。ラッキー』

もし死んでたら20年後待つのかと思ってたという4時はクロノの身体を担ぐ。

 

『そいつをどうするつもりだ』

『わかってるくせに。昔のアンタと同じだよ。』

 

いいこと思いついたから俺が引き取るわ。

 

こうして、キンスケの業は繰り返していく…

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