嘘みたいかもしれないが、くの一(?)なんです。 作:ローウェン
好意の視線など流すに限る。
そんな浅草の中心地に覗く暖簾へ赴き、戸を開いて立ち入った少女の鼻腔を燻る香ばしい風味。
「へい、らっしゃい!!」
店主がラーメンの湯切りにスナップを加え、ダシの詰まったスープへ投入する光景に空腹から息を呑む。
完成されたラーメンを受け取った人物は街の外観に似合わぬ程に、はだけた制服に青いミニスカートで腰掛けていたのだから眼も当てられない。
リボンを結んだ金髪に"静寂"には縁遠いまでに発する声で隣に座る緑髪の少女に寄り添う彼女の触手の如き卑猥な動作をする掌は軽く払われた。
セクハラなど店に持ち込むな。
そう物語る"蛇"の様な鋭い眼差しを以て注いだ視線に罰が悪そうに元の席へ戻っていく。
とりあえず、客として来たからには何か注文しましょうか。
「店主、醤油ラーメン…チャーシュー大盛りで御願いします」
「へい、醤油…チャーシュー大盛りね!」
大盛りと見栄を張った上での意地だろう。
可愛い客と侮った店主が数分後に見る光景になったのはスープの一滴も残さず完食する少女の像。
長い時間を費やして煮込んだチャーシューは柔らかく、摘まめば肉が解れてしまう程に優しい食感を生み出す。
麺もあっさりとした喉越しをスープとの相乗効果を促すまでに箸が進む。
「620円になります」
「御馳走様でした」
勘定を済ませ、革のバッグを持ち上げて早々に店を後にするのは"二人"の視線を察したのだろう。
"忍"は互いの気配を簡単に気取られてはならない。
静かに忍び、且つ迅速に闇から人混みへ紛れてこそなのだから。
(ワシの気のせいかなぁ?)
雷門の付近に戻る際、片手を差し出して気を強く念じる少女の意に応じてなのか。
瞳孔を開いた少女の意思に応じてドーム状の結界に近い空間が雷門を覆う。
――――忍結界。
本来、忍同士が隠密に事を起こす為に必要とされる特殊な結界なのだが、彼女の場合はただ単に入口へ入る瞬間にのみ発動する。
発動時間が短い分、他の忍達に発見される問題は無い。
少女自身、戦いを得意としないが一般人が巻き込まれない点を利用して門の柵の内側に仕込まれた隠し蓋の中へ帰っていく。
その蓋こそが雷門の"柱"から通じるアジトの入口なのだ。
「無事にお金も回収……やっぱり名を偽って高い株に乗り換えていくのは正解ですね」
テーブルに下ろしたバッグから札束を手に指先で鳴らすように価格を確認。
下落と睨んだ株からは早々に去り、ハッキングで"金の成る木"と睨んだ株価を偽の名義で買収を繰り返す。
上機嫌に鼻歌を口ずさむ少女の指先が札束を叩き、勝利を噛み締めた額は合計にして"一千万"はくだらない。
これで暫くは遊んで過ごせそうです。
けれど、油断は出来ません。
いつ"何が"起きるのか。
誰にも予測出来ない事が、忍にも等しく起こりうるのですから。
そんな推測が運命の悪戯にも的中したのか。
少女のアジトを構える"浅草"から遠く離れ、樹海の奥深くに聳える巨大な"城"。
忍学生が厳しい鍛練に身を焦がす光景を遥か頂きから見下ろす最上階に立つ白髪の女性は一枚の"封書"に眼を通す。
女子ならぬ中性的な顔立ちは事に勤しむ同性の足を停めてしまう。
"雅緋"と人は呼び、また新蛇女のリーダー故に厳しい視線を以て下忍へ喝を入れるつもりが、逆に更なる好意を抱かせてしまうのが悩み所であった。
気を取り直して"忍務"への内容に眼を通す彼女も自らへの依頼に頷けば"女"から"忍"へと自覚を備え、傍らに立つツインテールの眼鏡の女性に後を頼む。
一人で大丈夫だろうか?
実力を疑っている訳ではないが、万が一という事も予想する忌夢が危惧しているのは新蛇女へ資金援助を流すスポンサーが外部からハッキングを受けたという事だ。
依頼人は其の企業に忍の知識を備える重役で、ハッキングの根源を叩く事が主な内容となるが彼女自身は"単独"で挑もうと決意する。
これ以上疑っては彼女との信頼が拗れ兼ねない。
幼馴染みの背中に武運を祈る彼女の願いが、淫らな結末になると誰が予想し得ただろうか。
行動する時間帯に夜を選んだ彼女は事前に依頼主へ忍務開始を告げようと連絡を入れるが応答が無いのは何故だ。
コール音が鳴り響く社内にだらりと連なる得物から床に滴る生暖かな血飛沫が、護衛とするくノ一の頬を潤しているのだから。
儚く散る結界の音色こそ決着の合図を示す。
視線の先に立つ少女を怨めしく想う彼女達自身、依頼主が死んだとあっては仕返しも無意味と悟って得物を収める。
無言で去り行く忍達を見送るまま、帰宅しようかと歩を進めた少女の鼻腔を焼けた臭いが刺激するのも間も無く、黒々と燃え盛る炎が身体を傾けた自身の頬を掠めていた。
一瞬である。
小さく後方へ間合いを詰めようものなら七支刀を覆う黒炎が猛りと共に伸びゆく鎖鎌に弾かれ、鎖は"蛇"の様に片腕へと喰らい付く。
好機と窺った少女が振り絞った引力にふわりと舞った身体が引き寄せられていくのなら問題は無かった。
「――――秘伝忍法」
それが逆に"少女"を慢心の道に引き摺り込んだのか、空いた彼女の片腕から逆巻く黒炎の渦が発生していると眼を凝らせば警戒出来た筈だ。
「善悪の…purgatorio……!!」
本人の意識を強く集中する事に依り、力を以て具現化する渦は結界内の引き寄せようと少女の華奢な身体毎飲み込む。
社内の設備は宙を舞い続けた上で火花を散らし、大破する残骸から鋒で釣るように横たわる少女の身体を担いだが人の身にしては些か"軽く"感じられた。
つまらない小細工だ。
暗闇で顔こそ知れないが度胸すら持たない雅緋の嫌いなタイプに他ならないのだから苛つきもする。
「しかも"変わり身の術"。 臆病者らしいというか――――」
―――一瞬である。
腰抜けと罵る雅緋の足元の床から水面の如く波紋を拡げ、触手の様に伸びゆく鎖が油断を招いて絡み付く。
先程の秘伝忍法を浴びる際、変わり身の分身体を陰に彼女の後方の闇に乗じて様子を窺っていた。
単純に力で敵わない事は承知している。
故に搦め手で通すのは常識だと鎖に藻掻く彼女の前に少女は姿を現す。
その"敵"は幼かった。
かつて催した"学炎祭"にも体型が幼い者は居たが、目の前の存在は他の忍学生よりも若かく且つ貧弱。
スリットから覗かせる白い脚線美が彼女の身体に絡まり、且つ眼前に揺れる乳房へとしゃぶり付いたのだから戦いの緊張が一瞬で解けるのは無理もない。
「き、貴様……何を……!?」
求められた質問に返されたのは愛撫を反芻する少女自身の雅緋を求めんとする行為であった。
二十を越えた齢の彼女の眼に映る少女の眼差しは戦いに殉じる"忍"のソレとは違う。
「や、止めろ!! こんな事しても……何も……っ!?」
「……良い匂い」
赤子が母親に見せる一種の母性本能だ。
藻掻く様は逆に自らの豊満なバストで少女の欲を煽るだけに過ぎないのだからスカートの下から生地を突き上げる"ソレ"に違和感を抱く。
何か得物でも隠しているのだろうか。
鎖を下ろされるまま着こうとした身体は海老反りに釣られ、彼女の頬を反り勃つ"ナニカ"が撫でている。
彼女は"ソレ"が何か知っていた。
「貴様……お、"男"だったと……!?」
「改めて初めまして。 善忍にも悪忍にも属さない中途半端な忍の……欅と申します」
ソレは驚いて口が塞がらない雅緋の口に進攻を開始する。
噎せる事も許さず迎えられた肉棒は慌てふためく舌に包まれる反面、歯に当たりもした。
(属さない……って、それより何故に私は男の……モノを……っ!?)
「歯は当てないように、舌を使って慰めてくださ…い……っ」
何の権利が有って敵の自身に命令するのか。
そんな思考を断ち切らんとする熱が脈打ちながら男を知らない雅緋の口腔を穢す。
(んぐ…っ、更に大きく……!?)
成長を経た欲望は手探りな牝の舌使いに吐息を洩らす陰で尿道より分泌される先走りに抱く嫌悪感は往復する半身によって思考を遮られる。
次第に増す吐息は微量の汗を額に滲ませた末に発した嬌声は雅緋の口腔を白く汚し、込み上げる白濁は唇に掛けて喉を潤すのであった。
「はぁ…はぁ……っ」
二十と過ぎた彼女が知らない"ナニカ"の正体に疑問も抱くが、先ず抱くべきは自らを凌辱に至らしめんとする忍への怒りである。
「貴様……わ、私に…こんな屈辱を強いておいて……生きて返れると思っているのか!?」
殺意に満ち足りた鋭い双眸こそ"少女"を捉えて離さないが、端から糸の様に垂らす体液が彼女自身の覇気を半減させるに至った。
恐れるに足らず。
その意気の根拠となる箇所が、まさか"染み"を気付いていようとは思わなかった。
「それを述べる資格が、貴女に有りますか?」
学炎祭に参加していない身の少女と謂えど、雅緋という実力者の存在は聞き及んでいたが怒号を上げる彼女も残酷な世界に生きる"忍"の前に一人の"牝"でしかないようだ。
指された局部の痴態に見せる顔付きは紅く染まり、戦いに技を奮った先程までの彼女とは別人ではないか。
「雅緋さん……どうして貴女のアソコが濡れていたか分かりますか? 感じていたからですよ……私に強引に辱しめを受けたとはいえ、貴女の身体は悦んで――――」
「違う!! そんな筈が……っ」
そう宣う上唇とは別の"唇"はだらしなく蜜を垂らすまま自身の現状を主張している。
醜態に狼狽える姿は見苦しく、且つ認めようとしない雅緋の現状を如何にすべきか。
方法はただ一つ。
私は彼女の陰唇への干渉を試みました。
歳上とされる女の魅力を味わってみたいと装束越しに触れてみます。
「ん…ぅ……!?」
敢えて直接触れるのではなく、生地越しに愛撫へ移った少女が織り成す技は身悶える雅緋の身体を前屈みに鎖を鳴らす。
誰にも触らせた事が"無い"と言えば嘘になる。
まだ道元が存命だった頃に忍務に赴かんとする雅緋へ彼の腕が、臀部から滑らかに伝っていくのは自身の父より上の立ち位置になったからこそ。
命を下していた道元は雅緋から死角となるデスクの下で選抜以外の忍学生に"口淫"を命じていたのではないか。
何食わぬ顔でデスクの下から姿を見せてきた後輩の姿。
その"意味"が少女との交わりを以て理解出来た。
今の自分が味わっていたように潤いに満ちた花弁は少女の肉を受け入れ、深く腰を沈める動きこそ慎重に膜を破らざるを得ない。
強い痛みを抱かせてしまうのは少女の意に反すると身を委ねる形で崩れ落ちる彼女のたおやかな"尻"を揉みしだく。
テンポを速めず、遅過ぎずに緩急を付けたピストンに一つとなった雅緋に奮った臀部は彼女の暖かさを糧に速度を上げて子宮を叩く。
雅緋さんの膣は実に心地好い。
現に雅緋さん自身の口から流れゆく"痛み"は彼女の快楽への兆しとも見て取れる。
その証として重なったのは雅緋からの"接吻"に有り、素肌より滴る汗へ吸い付いてはリズミカルなピストンが摩擦熱に依る快感の相乗効果を促す。
「雅緋さんみたいな人、抱けて幸せです」
「はぁ…ん…っ、あっ……あぁ…っ!?」
高層ビルより吹き抜ける風は交わう肉体より生じる熱を冷ませる事も叶わず、ただただ彼女の内に宿る"女としての悦び"を増加させるだけに過ぎなかった。
宿していた筈の抵抗感も、快楽に揉み消された痛覚の前には喘ぐしか術を知らないのだから。
遠くから二人の性事を覗く者が居るとしたら、次の様に語るだろう。
殺めようとした者が、いつしか敵を"抱こう"と密着した上に"自ら"腰を振っていた。
鎖など既に無く、単に抱き抱えた少女の肉棒に進んで腰を振る姿に嘗ての"面影"は微塵も感じられない。
彼女にとって、それが逆に"良い事"なのだとしたら。
初めて"女"として見てくれている"少女"を敵と見る事への動揺を掻き消さんとするばかりか、気が付けば相手を下に組み敷いた上で肉欲に溺れる事を選んで共に絶頂。
少女の下に崩れ落ちた身体より溢れる白濁から背徳を抱く間も無く、耳元より洩れる呟き。
(責任、取れ……っ)
白濁を浴びた臀部を愛でる事を根拠とする少女の身体へ三度身を委ねる互いの唇が月明かりの下に重ねられるのであった。
「はい、喜んで」
雅緋「(全く"男"とは思えなかったが…)貴様、歳は幾つなんだ?」
少女(?)「12で御座います」
雅緋(九つも歳が離れていた……まぁ悪忍だから良いか)