第1話 捜索
「ダーリンはどこにいるのかしらねえ、かなみ?」
リア・パラパラ・リーザスは玉座の前に傅く見当かなみにそう問いかけた。
「本当にすいません!」
かなみはランスの護衛、及び監視に当たっていた。それはAL教による抹殺指令が出てからもだ。AL教の影響力はさすがであり、禄に宿も取れない状況が長らく続いた。仲間は散り散りとなって、絶え間なく襲撃にあったが、それでもかなみはランス達と共に過ごしていた。しかし3ヶ月前、人類と魔軍の交戦に際してリーザス本国と連絡を取ろうとしたときにはぐれてしまったのだった。
「全く、どんな罰を与えてあげようかしら……?」
(ヒィッ!?)
かなみの主人、リアの罰は苛烈だ。すでにはぐれた直後にオシオキされていたが、それからもリアの機嫌が悪くなる度にかなみはその身に罰を受けてきた。それはもう自分に変な趣味がついてしまいそうなほどに。
リアの傍に佇むマリス・アマリリスにアイコンタクトで助けを求めるかなみ。返事は「諦めなさい」であった。
「今回は……」
ごくり、とかなみ自身が驚くほど大きな音が彼女の喉から鳴った。
「ダーリンを見つけるまで帰ってこない。いいわね?」
「……え?」
それは罰と言うより新たな任務の言いつけだ。
「魔人たちが本気で侵攻してきた以上いずれリーザスに被害が及ぶのは必然。これを何とかできるのはダーリンしかいないわ。必ず見つけ出しなさい」
「は、はいっ!」
返事と共に瞬時に駆け出し、かなみは謁見の間から消えていった。
「……ダーリン、早く帰ってきてね」
「…………」
リアのつぶやきに、マリスはかすかに表情を翳らせた。
とはいえリーザスの情報網にかからないのだ。闇雲に探してもランスは見つけられないだろう。
かなみはリーザスの城下町で旅支度を整えながら溜め息をつく。
「はあ…… またあいつのとこなんかに…… あ、世色癌、えーっと10個ください」
「はいよ。お嬢さん旅に出るのかな? まあ、今物騒だから気をつけてね。1個おまけしてあげるよ」
「わあ、ありがとうおばさん!」
店主の思わぬ優しさにかなみは感動し、今回の仕事も大変であろうが、頑張ろうと気合を入れるのだった。店を出て歩きながら今後の方針を考える。
(まず国内にはいない筈。いるなら目撃証言が必ず入るし。魔人と戦争中のゼスとヘルマンもないかな…… やっぱり自由都市地帯かJAPANよね。JAPANにはAL教の手も伸びづらいし、人類全体が戦争で浮き足立ってる今なら尚更よね)
よし、と声を漏らし目的地を定める。目指すはJAPANの香姫。そうと決まれば動くだけだ。
「えっ!? 先月ここに来た!?」
JAPANの香姫と謁見したかなみは、ランスの行方を尋ねるや大声で驚いた。
「は、はい。今、シィルさんがここにいますんで……」
「あっ……」
1年半前のあの時、ランス城は暴徒によってめちゃくちゃに荒らされてしまい、もはや住める状況ではなかった。ビスケッタ・ベルンズ始めとするメイド達でもさすがに手に負えず、放棄することとなった。
その際、氷漬けになったシィルをJAPANの織田城に移送したのだ。
「そうですか…… 今あいつがどこにいるか分かりますか?」
「その前に、かなみさんはランス兄様を探してどうするおつもりですか?」
香姫は少しだけ緊張感を漂わせながらかなみにそう聞いた。
「……私はリーザスからランスを連れ戻し魔人討伐の協力を得るよう命じられました」
「……そうですか」
香姫の心中にはランスへの心配が渦巻いている。本当にリーザスへランスを渡して大丈夫なのだろうか。またAL教徒から襲撃を受けないだろうか。そんな優しさがかなみにランスの所在を教えることを躊躇わせた。
香姫の気持ちを察したのか、かなみはもう一度口を開く。
「……現在、大陸での人類の情勢は決してよくありません。リーザスは本土こそ無事ですが、ゼスとヘルマンの両国に援軍を送っています。それでもヘルマンはあと半年持たないと思います…… どうしても、ランスが必要なんです。悔しいけど、魔人を倒す手立てはそれしかないんです……!」
「……わかっています。心配なさらないでください。きっと大丈夫ですから」
大陸の余裕がない状況を伝えると、逆にかなみが香姫に勇気付けられてしまった。この懐の深さこそがきっとJAPANの当主の器なのだと改めて実感するかなみだった。
「ランス兄様は現在死国にいると思われます」
「死国!? 何でそんな物騒なところに……!」
死国とは鬼と呼ばれるJAPANの手強い魔物が湧いて出てくる非常に危険な土地だ。そこには住むのも命がけだと聞く。
「JAPANは今戦争に関わっていないために、段々と大陸からの難民を受け入れています。そのため、都市部では少ないとはいえAL教徒もいます。彼らの目を避けるために人のほとんど住まない死国に身をおいているのです」
「…………」
(どうしよう。一人で死国に乗り込んだら最悪……)
現在のかなみはレベル35。人間としてはかなり高いが、一人で死国に乗り込むとなると心もとない数字だ。
「あっ、よければお供をお付けしましょうか?」
かなみの表情から胸中を察した香姫が助け舟を出してくれた。
「あっ、いえ、大丈夫です! 私、今レベル35だし、いざとなったら逃げられます!」
さすがにこれ以上香姫に甘えるわけにはいかないとかなみは精一杯の虚勢を張る。それに、逃げ足に自身があるのは確かだ。
「ほ、本当に大丈夫ですか?」
「はい! だ、大丈夫です! では、私は早速死国に向かいます!」
「あっ、かなみさん……」
香姫の言葉はそれ以上聞かず、かなみは一気に駆け出した。
(私だって鈴女さんに鍛えられて結構強くなってるんだから! いざとなったら逃げればいいし大丈夫よ!)
そもそも、死国は鬼がそこら中に蠢いているというわけではない。人間だって住んでいるし、そのために軍や陰陽師がちょくちょく鬼を退治しているのだ。レベル35の人間がそうそう簡単に追い詰められる状況など滅多にないだろう。
「そのはずなのに~~!!!」
現在、見当かなみは死国に複数の鬼に追いかけられていた。
最初は一匹で、しかも鬼の中でも弱い部類のそれだった。だが、とどめに手間取っているとひょっこりもう一匹の鬼が戦闘に合流した。旗色が悪くなったと見たかなみはすぐさま逃げた。鬼は追ってきた。簡単に撒けるはずだったが、逃走中に突如として現れた鬼の加勢に体制を崩して追走を許してしまった。そんなことを繰り返し現在追っ手は5匹。
かなみもさすがに疲れ始め、足が重くなって来ていた。武装した兵士のいる集落までは持つか怪しい。
(嘘っ、嘘でしょ!? こんなところで私……)
死。
そんなイメージが一瞬頭をよぎる。
「やだっ、やだっ!! 助けてよ、誰か~~!!」
その声が届いたのか。どこからともなく飛んできた手裏剣が鬼たちを襲った。
「えっ……」
「ににんにん! 呼ばれて飛び出て鈴女参上でござるよ。久しぶりでござるな、かなみ」
「す、鈴女さん……」
振り向くとそこにはJAPAN最高の忍者、鈴女の幽霊が立っていた。かなみは安堵から涙が出そうになる。
「こらぁ~~~! いきなりどこ飛んでってんだ鈴女! あ? かなみじゃねえか。いままでどこほっつき歩いてたんだ」
「ランス!」
鈴女が来たと思われる方角からランスがやってきた。その後ろにはJAPAN最強の軍神こと上杉謙信、ランスの新たな召使となったサチコ・センターズ、ランスのペットのあてな2号が着いてきている。
「あっ、お久しぶりです」
サチコはかなみを見つけて柔らかい笑顔を見せている。謙信は無言で驚いていた。
「おお、これは俺様の女のピンチって奴か。がははははは! 助けてやるから後でやらせろー!」
「ちょっ、何勝手なこと……!!」
そう言ってランスは魔剣カオスを抜き、両手で振りかぶりながら飛び上がると、鬼達の目の前に落下しながら一気にカオスを振り下ろす。
「いきなりランスアターーーック!!!」
どういう原理かはさっぱり不明だが、ズドーーーンと派手な音と共に剣を振り下ろした地面が爆発し、鬼たちは五匹一遍に弾けとんだ。
「がはははははは!! 雑魚共め、俺様の女に手を出すなんぞ1000年早いわ!」
大笑いと共に勝利をアピールすると、かなみの方に向き直ってその尖った歯を剥き出してニヤリと笑う。
「さあて、勝利のごほうびを受け取ろうか」
「えっ!? ちょっ、ここで!?」
「観念するでござるよ」
鈴女は背後から現れてかなみの服を一瞬で脱がせる。
「やめっ、きゃああああああ!」
「問答無用! アヘアヘにしてやるぞ! とーーーーーーーっ!!!」
ランスはいきり立ったハイパー兵器を剥き出してかなみに襲い掛かる。
「ご主人様、あてなも混ぜて欲しいれすー」
「あ、お邪魔しない方が……」
「がはははははははははは!」
その後、ランスは満足するまで皇帝液を4度も放出するのだった。
かなみは才能限界が1上がった!
はい以上一話でした。
以下解説。
ハイパー兵器
ランスの男性器。
皇帝液
ランスの精液。
鈴女
戦国ランスで初登場。JAPAN最強の忍であり、かなみの師匠的な存在。また、本職はくのいちであり、性技のスペシャリストである。くのいちの特性として体で男を魅了し、体に仕込んだ毒で暗殺を行うのだが、その毒のせいでくのいちは総じて短命である。鈴女も例外ではなく、ランスクエストにて19歳で死亡。その後幽霊として戦闘に参加し続ける。幽霊になった原因である未練は見当かなみがランスの護衛として未熟だったため。ランスクエスト終了後に成仏するが、反逆の鬼畜戦士では結局未練が解消されていないためにいまだ幽霊としてランスと共にいる。
サチコ・センタース
ランスクエストで初登場。シィルに代わるランスの奴隷として活躍する。ランスに危ないところを助けられた際に彼女の処女をあげると約束してしまったためにいつまでも処女を失わないまま奴隷としてこき使われる。また、ランスに渡された呪いの盾『ひろしくん』(装備解除不可、装備者を強制的にガード職にする)によってガードとして活躍する。父はAL教のテンプルナイトの騎士団長であり、その父からもらった『回復の聖刻』で自動回復も出来る意外と高性能なガードである。
あてな2号
ランスのペット。とてもアホ。
補足設定
ランスクエストでは使用キャラの才能限界を伸ばすアイテムが容易に入手できるため、才能限界の縛りがだいぶ緩かったが、反逆の鬼畜戦士ではその設定はなかったことにしています。あとまだ発表していませんが、このランスパーティー(ランス、謙信、サチコ、あてな、鈴女)の面子はランスの逃避行に付き合っていたために怠ける暇がなく、とてつもなく強くなっています。謙信、サチコは才能限界も結構上がっています。