※この作品はR-18です。

ランス 反逆の鬼畜戦士   作:てるゆき

7 / 16
ヘルマン奪還
第6話 冬の国


 二国間の国境でもある険しいバラオ山脈を越えると、そこは季節も跨いでしまったように錯覚する寒さだった。そこには魔人との戦争での絶望感もあり、リーザスのような活気はない。

 ランスが踏みしめたのはそんなヘルマンの大地だった。

「さ、寒い!! かなみ、お前のカイロもよこせ!」

「ちょ、やだ! 私それしか持ってないのに!」

「やかましい! お前のものは俺のものだ!」

「あーー!」

 かなみの抵抗も空しく彼女のカイロはランスのものとなる。

「がはははは。二個持ってると暖かいな」

「くしゅっ! うう……」

 皆寒冷地用の防寒服を着込んでいるものの、慣れない北国はそれでも寒い。かなみは忍者なので服を着込んで身のこなしが悪くなるといけないのでランスほど厚着も出来ない。

「だ、大丈夫ですかかなみさん? ほら、くっつくと暖かいですよ」

 震えるかなみを心配する香姫がかなみに寄り添う。

「うう、ありがとうございます……」

 いつものごとくかなみは涙目だ。

「ランス兄様、かなみさんはみんなより薄着ですからカイロを返してあげてもらえませんか?」

「む……まあいい。かなみ、寛大な俺様に感謝しろ」

「え……?」

 香姫が嘆願すると意外と素直にランスがカイロを返した。

「ただし、代わりにマリアをもらうぞ!」

「えっ? きゃあ!!」

 ランスは言うや否やマリアを抱き寄せる。

「がははははは。温いぞー」

「やだ、こんなとこでやめてよ」

 少しだけ抵抗するマリアにセクハラしながらランスは抱きつく。そこに一人の大柄な男が現れた。

「やれやれ、相変わらずだな、お前さんは」

「ふん、お前は前よりでかくなってないか?」

 それは現在のヘルマンの王、パットン・へルマンだった。

「はっは、よく言われる。前線基地まで俺が案内するぜ」

「ふん、迎えがむさい男だけとは気の利かん奴らめ」

 ランスの言葉にパットンの後ろから笑い声が漏れる。奇妙な顔をするランス達の前に笑い声の主が現れる。

「予想した通りだな。私がここに来たのは正解だった」

 それはJAPANの妖怪に乗っ取られた大名家の姫。あまりに戦を好む様から誰もその本名を呼ばなくなった。

「戦姫ちゃんか!」

「元気そうで何よりだ。戦の匂いがするからヘルマンに来たが、あなたに付いていったほうが面白かったかも知れないな」

 和風の服の上からヘルマン製と思われる暖かそうなコートを着ていた戦姫がランス達に挨拶した。

「あ、あの、この人は……?」

 初対面のサチコが恐る恐る尋ねる。

「徳川千だ。皆は戦姫と呼ぶがな」

「あ、ご丁寧にどうも。サチコ・センターズです」

「ミル・ヨークスだよー!」

「エレノア・ランです。よろしくお願いします」

 初対面の者達が挨拶を交わしていくと、パットンが最後に締めくくる。

「まあ、知ってるかもしれないが、俺がパットン・ヘルマンだ。じゃあそろそろ基地に向かうか」

 そう言って踵を返すとすたすた歩いていく。

「ていうかランスはいい加減離れなさい!」

 マリアはランスを突き飛ばすと小走りでパットン達に付いていく。

「あ、おい! 待て! 寒いのだ! かなみ! カイロ!」

「…………」

 かなみはランスを一瞥すると走って逃げた。

「んなっ!? あの野郎!!」

 かなみは走りながらランスがこのことを忘れてくれるのを祈っているのだった。

 

 ランス一行とそれに随行する軍はログAから前線基地のあるゴーラクへ歩いて向かう。

「リーザスで聞いてるだろうが、俺からもヘルマンの現状を説明させてもらう」

 一行にはランス達の他にもJAPANの主要な将とリック・アディスンが一緒になっている。

「有難い。詳しい戦況が知りたかったのです」

 そう答えるのは真田透琳だ。

「とりあえず一番厄介なケッセルリンクはラング・バウにいるらしい。最近は前線に出てこない。レイはちょくちょく出てくるが、どこか本気じゃないように思える。ひょっとしたら魔人に対してなにか思うところがあるのかもな。そんなわけで、さしあたって最大の障害はバボラだ」

 バボラと言うのは身長が20メートル以上ある鬼の魔人だ。

「奴が出てくるととにかくこちら側の損害がでかくなる。兵員はもちろんだが、何より町の損耗がでかい。あのデカブツは身じろぎ一つで建物をぶっ壊すからな。多分ケッセルリンクはバボラに俺らを消耗させて一気に叩くつもりなんだろう」

「なるほど。奴らには全く被害を出ずにこちらを弱らせられる。……戦術が馬鹿にされる気分ですね」

 直江愛は不愉快そうにそう言う。軍師である彼女にとって自身のアイデンティティを否定される気分だろう。

「それが魔人って奴だ。奴らは一方的に搾取できることを約束された立場だからな」

 そう返すパットンも口調に対して表情は口惜しさをにじませている。

「ま、それもここまでだ。俺様が来たんだからな」

 マリアを傍に侍らせランスがいつもの大口を叩く。

「……ふっ、全くあんたはさすがだな。魔人どもに対してそんな口を叩けるのは他にいないだろう」

 そう言ってパットンは笑うが、事実、ランスは魔人に対してそんな事を言っても誇張にならない数少ない人間だった。

「うちの将軍達はまだあんたの実力に懐疑的だ。だから戦略はあんたらに任せたい。ヘルマンは全軍とはいかないが、あんたらの指示に従って動く」

「ちっ、人がわざわざ来てやってんのに無礼な奴らめ」

「ふっ、そう言うな。あんたらの力を見りゃすぐに納得するさ」

 そんな話をしているうちに一向はゴーラクへ到着した。

「ここがヘルマンの、と言うより俺よりのヘルマン前線基地だ」

 パットンは言いながらドアを開ける。そこにはランスが知る面々もいた。

「おお、毛利の三姉妹じゃないか。そういやここに来てたんだったな」

「くく、戦があるとなれば我等が来ない訳はない」

 そう言ったのは長女のてるだ。

「久しぶり、ランスたまー☆」

「相変わらず無駄に元気そうだね」

 ちぬときくがそう言って続く。

「おう、またおまえら三人一遍に抱いてやってもいいぞ」

 がはは、と笑いながらランスがそんな事を言う。

「兄貴! あたしもいるよ!」

「アルカネーゼ? 何やってんだこんなとこで? 俺とはぐれてからヘルマンに帰ってたのか?」

 彼女は以前ヘルマンで盗賊の頭を務めていたアルカネーゼ・ライズだ。元々ランスの逃避行について来ていたが、ゼスで包囲作戦を仕掛けられた際にはぐれていた。

「まあ、一応はあたしの故郷だしね。ピンチとなればほっておけないよ」

 彼女が苦笑いをするのは盗賊のくせに祖国を守ろうとする滑稽さゆえかもしれない。

「そういやあのお化け爺はどうした。一緒に来たんじゃなかったのか?」

 ランスの指すお化け爺とは毛利家の当主、毛利元就だ。生前の妖怪による呪いのために寿命で命を落としていたが、呪いの効果で巨大化した姿で幽霊として蘇ったのだ。

「ここには元就が入る建物がないのだ。故に毛利の野営地にて待っている」

「がはははは! あんなデカブツ入らなくて当然だ!」

 ランスががははと笑うと、パットンが横から割り込んできた。

「すまんな、こっちの紹介もさせてくれ」

 パットンがそういうと着席していた大柄の老人が立ち上がった。年老いてはいたがその全身からは覇気を感じさせていた。

「私はヘルマンの将、レリューコフ・バーコフと言う」

 老人はそう言ってランスのことを品定めするような目で見る。

「なんだ、じじいか。アミトスちゃんはいないのか? あの子はいつか俺様が処女膜を破ると約束した仲なんだがな」

 そう言うとランスは辺りを見回す。レリューコフはその様子を見て眉間に皺を寄せて着席した。

「アミトスはミネバの部下だからここにはいない」

「……は? だからなんなんだ。お前王様じゃないのか」

 ランスは訝しそうな表情でパットンを見る。

「……対外的にはそうだがまだ意思の統一は出来ていない。実際には俺がトップの王室派とミネバがトップの新興派が対立している」

 パットンは沈痛な面持ちでそう答えた。自身の不甲斐なさを恥じているようだ。

「いきなり現れて王だと名乗っても誰も信用しないさ。時間をかけるしかない」

 そういったのは赤い長髪に整った容姿の色男だ。

「む……お前どっかで見たな」

「ふふ、ひょっとしてイラーピュではないか?」

「……あ、お前は」

 ランスの問いに答えたのは機械の体を持つ老人だ。

「久しぶりじゃな」

「改めて紹介する。二人はレジスタンスの時代から俺と共に戦っていたもんだ。そこの色男がヒューバート・リプトン、爺さんがフリーク・パラフィンだ」

 彼らは以前闘神都市にてランスと出会ったことがあった。

「あんたのことはパットンから色々聞いたぜ。まあ、よろしくな」

 ヒューバートは座ったままそう言ってランスに挨拶した。

「ふん、男とよろしくする趣味はない。そんなことより意思の統一が出来てないってどういうことだ。王室の継承者とか言ってただろ」

「まだあんたには言えないって事だよ。悪いけどもうちょっと信用したら話す」

 その声は女性のそれだった。ランスはすぐさまその声の方向を向くとフードを被ったものが座っていた。ランスの見ていないところでパットンは頭を抱えている。

「誰だお前は。女だな? 顔を見せろ」

 ランスの目が獲物を見るそれになった。女がフードを取ると黒い髪と額に輝く赤いクリスタルが出てきた。

「ハンティ・カラーだ。パットンの乳母をやっていた」

「……お前がか!? ゼスでチラッと見たぞ!」

 黒髪のカラーことハンティ・カラーもまた、パットンのレジスタンス時代からの仲間だ。

「ランス、頼むから変なことを……」

「今夜一緒に寝ないか?」

 言わないでくれとパットンが言おうとした矢先、ランスは変なことを言っていた。

「クリスタルが赤いって事は初めてか。安心しろ、優しくするぞ。がはははははは」

 パットンは目頭を押さえて黙り込んでしまった。

「断る。……全く、パットンもえらい男を認めたもんだ」

 ハンティは溜め息混じりにそう言う。

「……すまんな。ランス、そういう話は後にしてくれないか? 今は魔人の対策を話し合いたい」

「……ち、まあいい。後でだ」

 ランスは渋々引き下がった。

「……さて、面通しも済んだところで具体的な話だが、魔人どもは四六時中出てくるわけじゃない。目標のバボラが狙ったタイミングに来るとは限らんだろう。が、高確率で来るタイミングは分かる。それは俺達が都市のひとつを奪還した時だ。占領された町は魔人抜きの普通の魔物に守られている。俺らヘルマン軍で都市を奪還する。温存したあんた達で魔人を仕留めて欲しい。できるか?」

「誰に聞いている」

「そうだな」

 ランスの言葉にパットンは笑みを浮かべる。

「進軍先はローゼスグラードだ。三日後に進軍するから戦うことはないがあんたらも付いてきて欲しい」

 パットンの言葉はランスとJAPAN、リーザス軍に向いていた。

「了解しました」

「異論はありません」

 香とリックがそう答える。

「ドジ踏んで負けんなよ」

「心配ない。ここは俺達の庭だ」

 ランスの軽口にパットンは微笑んだ。

「以上をもってひとまず解散だ。以降はローゼスグラード開放軍とバボラ討伐軍で分かれて会議をしようと思うが構わないか?」

 それに異を唱えるものはなく、その場は解散となった。

 

 バボラ討伐軍にはJAPAN、リーザス軍に戦姫、毛利軍も加わることとなった。

 会議は香姫の進行で行われる。

「では、我々はバボラ討伐に集中したいと思います。とりあえず私達はその姿形を知らないので、それを説明していただきたいのですが……」

 香姫が話を振るとてるが答えた。

「うむ。平たく言えば身長が23メートルの鬼だ。JAPANのものなら知っているだろう。知能はかなり低く唸り声ばかりで殆ど碌な言葉を使っていなかった。また、動きも緩慢だが、その巨体ゆえに移動速度自体は早い。……まあこんなところか」

 てるが話し終えると香がうなずき、話を再開させる。

「ありがとうございます。やはりそれだけの巨体だと致命傷を与えるのも一苦労でしょう。ランス兄様のパーティーだけで討伐は困難ですね……」

 香は黙って考え込む。そこに一人の男が立ち上がり、意見を述べる。真田透琳だ。

「一つ案が浮かんだのですが……」

 

 三日後のローゼスグラード。

 パットン率いるヘルマン格闘部隊は狭い街中での戦闘で大活躍し、見事魔物将軍を討ち果たした。

「よっしゃ、当たりー!」

 ランスは魔物将軍が指揮の補助に使う腹に捕らえた女性を大喜びで犯したのだった。

「本当に大したことのない守備でしたね」

 戦闘を見ての香姫の感想だ。

「ああ。実際、バボラ討伐なんかとじゃ比べ物にならないくらいの楽な仕事だ」

 パットンも申し訳なさそうにそれを認める。

「どうだい、そっちの方はいい案があるか?」

「詳しくはバボラのことを知らないので手探りでしたが、ひとまず戦う上での標は立てました」

「そうか…… 察しているかも知れないが、このバボラ討伐はヘルマンの奴らにランスの力を見せる目的がある」

 パットンは横に立つ少女を年齢に似合わない一国の主に相応しい器量だと認めて話していた。

「ええ。どう転ぶかは分かりませんが、尽力します。私もパットンさんに王様になって欲しいですからね」

「……嬢ちゃんにはかなわないな」

 パットンは苦笑交じりにそう答えた。

 この魔人討伐には次期国王を見定める意味合いを多分に含んでいる。そして今のところ、パットンは劣勢に立たされている。外の勢力を積極的に陣営に組み込んでいるのは国内の将軍の指示が集まりずらかったせいもあるのだ。

 ランスの国内召集は一種の博打だ。宗教的な敵を招き、もし成果が上がらないなら大打撃となる。現にハンティは反対したが、パットンには勝利の確信があったためにリーザスでのランス支持表明をしたのだ。

 それはランスの功績を知るものには簡単すぎるベットだっただろう。

 ともあれランスの活躍如何によってパットンの進退が決まるのを香姫には見抜かれていた。

「まあ大丈夫だろう。一緒に戦った俺がそのことは良く知ってる」

「ええ、ランス兄様ならきっと大丈夫です」

 二人は心配はするものの、ランスの力は確信しているのだった。

 

「いやだー! 女の子がいいーーー!!」

 ローゼスグラード奪還五日後、予想通りバボラが単騎で現れた。ランスはその日、あらかじめ決められていた作戦を決行するに当たってダダをこねていた。

「しょうがないじゃろ。踏み潰されないように立ち回るにはこれしかない」

 ランスの腰でカオスが説得する。

 その作戦はひとまずランスが魔人の無敵結界を切り裂き、無敵結界が復活しないように一定範囲内を離れないように立ち回る必要があった。カオスが無敵結界切り裂いても一定範囲を離れると魔人の結界は復活してしまうのだ。

「我慢しろ。おぬしがてばさきに乗れなかったのが悪い」

 そう言って山県昌景は強引にランスを自分のてばさきに乗せた。ランスは男にしがみついててばさきに乗るのを嫌がったのだ。

「俺様は悪くないわ! ……そう、悪いのはあのくそでか魔人だ。ちくしょう、俺様に恥かかせやがって……」

 ランスはぶつぶつとつぶやいてバボラへの怒りをためる。

「んあああー……」

 ランス達の陣にもバボラの唸り声が聞こえてきた。

「では、ランス兄様。ご武運を」

「よっしゃあ!! ぶっ殺すぞ!!」

 香の激励に力強く応え、ランスを乗せた山県のてばさきは駆け出す。

「皆さん!! 兄様が行きました! 位置について用意してください!!」

 

 山県の背でランスはヘルマンの風を感じていた。

「うぅ……寒いぞ……どれもこれも全部……」

 目前に迫ったバボラの足に、ランスはすれ違い様カオスで斬りつける。

「お前のせいだーーーーーーー!!!」

 無敵結界を切り裂いた手応えと同時に後方から号令が聞こえた。

「撃てーーーーー!!!」

 一斉に放たれた弓、銃弾、砲撃はバボラの足、特に膝を重点的に狙っていた。的が大きいこともあってそれは容易に当たっていく。

「に、にん、げん…… ふみ、ふみ」

 バボラはそれを避けようともせずにくらいながら足元のランスが乗るてばさきを踏もうとする。巨体ゆえに痛みに鈍いのか脚への攻撃は気にもしていない。

「んああー…… あ、足が……」

 しかし、着実に積み重ねたダメージによってバボラの足はもつれた。膝が折れ、地面に突くと連鎖的に上半身も地面に向かって落ちていく。受身を取ろうとしたが、反射神経が巨体に追いついていないのか、ろくに反応できずに前のめり落ちていく。

 ず、ずうぅーーんと山が崩れたような音を立ててバボラは倒れた。

「武士隊、突撃!!」

 後方の号令と共に大軍が鬨の声上げてバボラに押し寄せる。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 ランスはバボラの顔面付近でてばさきから飛び降りる。兵士達はランスに道を開けた。

「死ねええええええ!! 鬼畜アタターーーーーーーーーーーーーーーーック!!!」

 裂帛の気合を込めた渾身の一撃をバボラの右目に放つランス。凄まじい爆音とともにバボラの頭部全体が雪煙に包まれた。

「や、やったか!?」

 周りの兵士がにわかに騒ぐ中、ランスには確信があった。

(間違いなく仕留めた!!)

「うおおおおおおお~ん!!!!」

 しかし、その確信はあっさりと外れ、それまでからは考えられないスピードでバボラが立ち上がった。その顔面からはプールを作れそうな程大量の血液が流れる。

「い、いだいーー……!! いだいよぉーー!!」

 地面が揺れるほどの声量で叫んだ後、これまた地面を揺らしながら走ってバボラは去っていった。

「生きていた、だと……」

 残されたランスは衝撃に打ちひしがれていた。

 

「おめでとう!! 俺達へルマンはようやく魔人達から勝ちをもぎ取った!! 破壊の限りを尽くした魔人を退けたんだ!! 勝利を祝して乾杯だ!!!」

 バボラを退け、ようやくローゼスグラードを取り返したという戦果を祝った祝勝会が行われていた。

「ちくしょーーー! あのデカ魔人め!! 今度会ったときこそ殺す!」

 ランスは祝勝会の主役にもかかわらず宴席の端でヘルマン製のキツイ酒を呷っていた。ランスは長い逃亡生活で得た凄まじい力にかなり自信を持っていたが、自身最強の一撃を急所にもろに受け、平気で走って逃げる余力を残させたのはそれなりに大きなショックだったのだ。

「まあ今は勝った事を喜ぼうぜ。悩むのは明日でも間に合うさ」

 パットンがランスにそう言って酒を注ぎ足す。

「おお、いい事言うじゃないか。がはははは! そうだ! 俺様の勝ちだー!! 酒もっとよこせーー!!」

 楽しそうに酒をがぼがぼ呷っているとランスはしばらくして意識を失った。

 

「うう、頭痛い」

 当然のごとく二日酔いになったランスをマリアが介抱していた。

「当然でしょ。あんまりお酒強くないのにヘルマンのお酒あんなに飲んで……」

「ううーシィル、お粥作れー」

 いまだ意識が虚ろなのか、ランスはシィルの名前を呼ぶ。

「……今はいないのよ。ランスが助けるんでしょ」

 マリアはその名前を聞くと少し心に罪悪感がよぎる。

 そんな時、ランスの部屋にノックが鳴る。

「あ、はーい」

 マリアが出ると、部屋の外に立っていたのはロードリング司教だった。

「え? し、司教?」

「マリア殿! ちょうどいい! ランス殿はいるか!?」

 相変わらず大きな声でそう言うロードリングは部屋の中を覗き込む。

「うー、うるさい。頭に響く……」

「す、すいません。ランス二日酔いで……」

 マリアは用に応えられそうにない部屋の主に代わって謝った。

「いや、昨日は魔人を退ける大活躍と聞いた。勝利に酔うのは当然だろう」

 ロードリングは嬉しそうに言った。

「あの、こんな所までどんな御用でしょう?」

「ああ、そうだムーララルーからの用で立ち寄ったのだ。この際マリア殿だけでも構わないから聞いてもらえないだろうか」

「……はい?」




 はい以上6話でしたー。話数つけたからこれ書きやすくなりました!

 ちょっとあっさり目です。個人的にもうちょい書きたいことがありましたが、ヘルマン勢のキャラが掴み切れずに書ききれませんでした。戦姫とか戦国では一番好きなキャラなんでもっと活躍させたいですが、力不足を悔やむばかりです。
 さてバボラと交戦開始ですね。今は全然人なんか死ななさそうじゃんって感じですが、どうしてもメディウサあたり出てくると、ね……
 今回は自分で決めた締め切り伸ばそうかなとか何回も考えました。苦手なヘルマン勢にプロット立ってないわで滅茶苦茶だしどうせ一週間伸ばしたくらい誰も気にしねえよとか……
 とはいえ一度折れると確実に復活(というか完結)できない確信があったんで歯を食いしばって頑張りました。これからも楽しんで頂けると幸いです。

 以下解説。

 鬼畜アタック
 前回説明し忘れてました。ランス最強の必殺技。ランス自身の馬鹿げた攻撃力も相俟って凄まじい破壊力を発揮する。ただし、溜めが長かったり反動であんま撃てなかったりと制限もある。反逆の鬼畜戦士では一つの戦いで一回くらいしか使えません。一日に一回でもあるかな?

 カイロ
 ランス世界にあるんですかね? 知りませんが。まあ、魔法でテレビやら何やらがあるくらいだしあってもおかしくないだろうと登場させました。

 寒冷地用の防寒服
 服というか装備を着込んだランス9仕様のランスラフ画がアリスソフト様のブログで公開されています。かなみちゃんとマリアもいますよ。

 戦姫
 ランス7で登場。徳川と戦って勝利した際、地下牢に捕まっていたところをランスに犯される。その後、行動しだいで仲間になってくれるが、戦に出さないとすぐに脱走してしまう戦狂い。最低の出会いだったが、最終的にはランスに好意を抱いてくれる。戦国ランスの後、ヘルマンへ向かったためランスクエストには登場しなかった。

 吉川きく
 ランス7に登場。毛利家次女にして料理魔王。母から戦だけの女にならないようにと料理を仕込まれ趣味になった。昔政略結婚をしたが、出戻ったため苗字が毛利ではない。ちなみに巨乳。

 小早川ちぬ
 ランス7に登場。毛利家の三女。二人の姉と同じく母に茶道を仕込まれたが、唯一戦闘時に殺人茶道という技能にまで昇華(?)させている。戦国で体内に封じられた使徒が復活した際にバラバラになって死亡したが、ランスクエスト・マグナムの追加パッチ、なむなむにてまさかの復活、ゾンビ化する。とは言っても生きているらしくあくまでゾンビっぽくなっただけ。姉は妹が生き返って大喜びである。

 アルカネーゼ・ライズ
 ランスクエストで登場。ブスばかりを集めた盗賊、ライオンマインドのボスとして登場するが、ランスの策略にかかって破れる。その後、化粧を落とせば長身なだけの美女と判明し、ランスに犯される。女扱いしてくれたランスを慕い、兄貴と呼ぶようになる。余談だが、鬼畜王に登場したソウル・レスのリメイクキャラのようだ。

 レリューコフ・バーコフ
 鬼畜王で登場。9でも登場するらしい。昔からヘルマンに仕える老将であり、国の先行きを案じる愛国者。鬼畜王では娘を人質に取られやむを得ずランスに仕えることもある。兵種のおかげもあり非常に強力なユニットである。

 ヒューバート・リプトン
 ランス4で登場。3で登場した人類最強の男こと、トーマ・リプトンの息子。普通に優秀だが、父親が凄すぎて普通に優秀くらいじゃ劣等感しか感じれない可愛そうなキャラ。実際にそこまで飛びぬけた性能を持つ訳でもないが、常人から見れば十分天才的。パットンとは幼少期からの親友である。

 フリーク・パラフィン
 ランス4で登場。表で語られない滅茶苦茶複雑な設定を持つキャラ。ここでもあまり深く語るつもりはない。とにかく、人類にとって一つの黄金期とも言える聖魔教団の創立、壊滅に深く関わった伝説の人。近年では腐りきったヘルマンの政治を憂いて反政府活動を行っている模様。

 アミトス・アミテージ
 ランス・クエストで登場。ヘルマン第三軍の副将にしてミネバ・マーガレットの部下。ランスに破れて犯されそうになるも、ヘルマン軍人としての意地(?)で処女膜を貫かせないという離れ業をやってのけた。

 ミネバ・マーガレット
 ランス3に登場。人類最強の女。謙信は女の子なのでジャンルが被りません。見た目はめちゃでかいマッシブ系女子。ガッツシリーズ好きは多分いける範囲。鍛え上げた肉体に磨かれた技術、手段を選ばない狡猾な頭脳でヘルマン第三軍の将軍まで上り詰めた女傑。最終目標はヘルマンの王座であり、鬼畜王においてはほんのわずかな間だが達成された。

 ハンティ・カラー
 ランス3で登場。本来青い髪を持つはずのカラーで唯一黒髪を持つ「黒髪のカラー」。現在のレベルがすでに127、才能限界は1000。ハンティの1000とランスの無限を除けば才能限界は魔人ホーネットの320がトップ(多分)というところからも異常性は明らか。しかも技能レベルに魔法レベル3を持つというとんでもないチート性能。日光でも装備させればザコ魔人くらい普通に一人で殺しそうな能力を持つ。彼女もフリークと共に聖魔教団時代の終焉に深く関わる人物。ヘルマンでも政治に関わっていたようで、王子のパットンの乳母を務める。現在パットンとは乳母というか保護者というか戦友というか恋人というか、複雑な関係である。

 技能レベル
 ちょくちょく設定やら解説に出るので説明。これはそれぞれのキャラが持つ才能のようなもの。0で使えないこともない、1でそれなりに使える、プロが務まる程度。2では天才級、専用の必殺技を編み出したり使用したりできるようになる。ランスアタックとか反逆の鬼畜戦士ではまだ出てきてないが、魔法使いの破壊光線系が必殺技に当たる。3は別格の伝説級、その道のスペシャリストとして歴史に残るレベルの才能を表す。ランスと謙信は剣戦闘レベル2、パットンも格闘レベル2とか。レベル2を持ってれば戦闘において大体適応、もしくは大活躍できるくらいの才能を持ってる。キャラ別の詳しい設定を知りたければググッて下さい。




 補足設定
 カオスの設定について。
 原作では結界の破壊やら中和やらでよく分からんことになってますが反逆の鬼畜戦士では両方ということにしました。そうすればどっちの設定からも矛盾しないし便利!
 ゲームでもランスが戦闘から外れると魔人にダメージが通らなかったりするのは破壊した結界がカオスから離れると中和されなくなり、復活してしまうからということです。カオスは無敵結界を切り裂いたあと復活しないように中和しているということですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。