ある日の夜。
場所は結城リトの家の浴室。
リトは、当然ながら、いつもなら一人で風呂に入る。
時折、モモが乱入してくることはあるが、それも、あくまでたまにと言うくらいの頻度だった。
しかし、ここ数日は状況が違っていた。
しかも、…言ってしまえば、この状況は『異常』の一言に尽きるものだった。
浴室を脱衣室の方からガラス越しに見ると、椅子に座っているリトと、もう一人の影が見える。
中の様子を見てみると、まだまだ幼さの残る少女が、頭にタオルを巻いて、リトの目の前に座っている。
リトの妹の、結城美柑である。
しかも、ただ一緒に入っている訳ではなかった。
ふーっ…ふっ…ふーっ…
普段から家事をしっかりとこなし、既に小学生とは思えない程の落ち着き方をしている彼女。
しかし、このときは、顔を赤らめ、息を荒げて、目の前のモノを凝視していた。
「(なんで…みかんが俺のモノの臭いを嗅いでんだー!?)」
リトは、この異常な状況に改めて疑問の叫び声を心の中で上げていた。
遡ること数日前。
「ふー、疲れたな…今日はララの発明品のせいで、まーたヤミに追い掛け回されて…大変だったな…たはは」
独り言を言いながら、リトは浴室のドアをがちゃ、と開けた。
そして、浴室の椅子に腰をかける。
「…ちょっと前、モモが3日連続で入ってきて、次の日に美柑が入ってきた時は…気が気じゃなかったな」
以前、モモが連日リトと一緒にお風呂に入って来て、その度に美柑に見付かって怒られたことがあった。
そして次の日、それを防ぐ為と言い張り、今度は美柑が一緒にお風呂に入って来たのである。
『先客がいれば!誰かが入ってこようとしてもムダだって事!!情けない兄貴を助けてあげるためなんだから感謝してよね!!』
そんなセリフを言いながら。
彼女は、普段は落ち着きがあるのだが、リトに関して、特にリトに絡むモモを見ていると、度々彼女らしからぬ行動をとっていた。
一緒に入浴、と言うのは、その行動の極致とも言えるものだった。
ちなみに、以前似たような目的で、リトのベッドに潜り込み、熟睡してしまったこともあった。
…美柑のこの目的は、どう考えてもこじつけでしかなかったのだが。
リトは気付かないのか、気付いていても優しさから敢えて言わないでいたのかは分からないが、彼からそのことについて言及することは無かった。
「…と、早く身体を洗おうっと。まさか、今日もなんてことは流石にな」
リトがそう呟いた瞬間。
がちゃ、と浴室のドアが開く音がした。
「…え…」
リトはまさかの事態に呆気にとられる。
…今度は…どっちだ…!?
リトは瞬間的に思考を巡らせた。
…何とも贅沢な話だ。
「み…美柑…」
入って来たのは、美柑だった。
「なによ、入っちゃ悪い?」
美柑はつんとした態度で答える。
兄への愛情を、隠そうとしてここまで見事に漏れ出ている女性も、そうそう居るものでは無いだろう。
「い、いや、悪いって訳じゃないけど…」
リトは戸惑いに戸惑いながら答えた。
彼女の言う通り、別に悪いことはしていない。
頭が良いような、そうでないような、何とも言えない聞き方だった。
「今日もモモさんが入ってこれないように先に入ってあげるんだから、感謝してよねっ」
何と言う、テンプレート。
前回美柑が一緒に入ったときは、『リトと美柑を一緒に風呂に入れる』と言うモモの目的が最後に分かったのだが、それでもやめようとは考えなかったようである。
…ただ、兄と一緒にお風呂に入りたいだけだろう?
そんな直接的なツッコミを入れる人は、この世界にはどこにも存在しない。
そう思って、言おうと思えば言えるのは、精々モモくらいしか居ない。
そして、彼女は煽る形でしか言わないのである。
「ほら、身体洗ってあげるから」
「な、えええっ!?」
リトは更に驚きの声を上げる。
前回はリトの背中を少し乱暴にごしごしと洗っただけであったのだが、今回は一から洗う気なのである。
「な、なんで、どうしたんだ美柑?」
「…だって…」
以下、回想。
「うふふー♬美柑さん、リトさんとの久しぶりの一緒のお風呂はいかがでしたか?♬」
「モモさん…よくもまあそんなことを…」
「あらー♬…でも…」
「?でも?」
「一緒にお風呂に入っただけですか?その前は?」
「その前?…リトの背中を洗ってやったよ。ささっとだけど」
「へえ…♬」
美柑の言葉を聞いて、モモが不敵に笑う。
「な、なによ、何が言いたいのよ?」
「美柑さん、私は…ただお背中を流しているだけじゃありませんよ?♬」
「な、ど、どう言うこと!?」
「うふふ…リトさんのお身体を洗って差し上げてるんです、す・み・ず・み・まで…♡」
「え、ええっ!?ちょ、そんな…!!」
「うふふー♬まあそう言うことです♬美柑さんがまた入らないと私が一緒に入ってしまいますけどー、一緒に入るなら、せめてもっとリトさんのことを労わってあげてほしいですねー♬」
モモが、煽りに煽ってくる。
「な、な、な…!!…っ」
『一緒に入らないわよ!』などとは口が裂けても言えないのだろうか、言葉に詰まる。
「その辺は…美柑さんの自由ですからね♡それでは~♬」
「あ、ちょっと…!」
モモは飄々と立ち去った。
「なんなのよ…」
以上、回想終了。
「…な、なんでもないわよ!」
「あ、ああ…」
顔を真っ赤にして、少し怒ったような声を上げる美柑。
こう言うとき、リトに対しては中々の理不尽ぶりを発揮する彼女であった。
「ほ、ほら、洗うわよ!」
「(うう…お、男の人の身体を洗うって…どこから洗ってあげたらいいんだろう…!?)」
緊張が相俟って、頭の中がぐるぐるとし始める美柑。
「と、取り敢えず、こっち向いて、ほら!」
「え、ええっ!?」
混乱を更に強める選択をしてしまった。
「…」
「…」
リトのモノを正面から見つめる美柑。
その美柑のリアクションを、ただただ戸惑いながら見詰めるリト。
…シュールにも、程がある状況だった。
「そ、それじゃ、洗う…よ…」
そう言って美柑がリトのモノに顔を少し近付けた瞬間、急に美柑の言葉の歯切れが悪くなった。
「…ど、どうしたんだ?」
美柑の様子の変化に、リトが心配の声を上げる。
「(な、何、この匂い…?これが、男の人の…匂いなの!?汗かいてるからかな…うわ…むわっとした匂いが…あ、頭くらくらする…)」
「な、なんでもない!それじゃ、洗うから…」
「み、美柑?ボディソープは…」
「…え」
リトの指摘で気が付くと、美柑は手に何も付けないまま、リトのモノを手で包んでいた。
「…あ…」
戸惑いながらも、その手を離そうとしない美柑。
それどころか、無意識に指をもぞもぞと動かしてしまう。
「ちょ、おい、美柑…!」
実の妹だと分かり切っていても、流石にこんなことをされてはリトのモノも反応してしまう。
「…わ…うわ…」
美柑の小さい手では、包み切れないくらいにまでみるみる大きくなった。
美柑の顔の目と鼻の先に、怒張したリトのモノがそびえ立つ。
「(わ…匂いが…もっと目の前に…あ、すご…これ…好きかも…って、何考えてんのよ私はー!?)」
「な、なんて匂いさせてんのよ…こんな匂い嗅いだら、みんなおかしくなっちゃうんだから…」
「え、今、美柑…何て…?」
「!!…ほ、ほら、洗うわよ!?」
思わず言ってしまった言葉を、慌ててかき消すようにボディソープを手に付けた。
手の中で手際良く泡立てると、それをリトのモノに当てる。
「…うお…う…」
美柑の手つきが思いの外心地良いためか、リトは息混じりの声を漏らす。
「ちょ、ちょっと、変な声出さないでよ…?」
「い、いや、そんなこと言ったって…うあっ…」
丁寧に丁寧に、玉や裏筋を洗う。
「あ、ここ…」
まだ少しだけ皮をかぶっていたリトの亀頭に目が行く。
「あ、そこは優しく剥いてもらって…」
リトもこの状況に慣れてきたのか、自然と指示を出してしまった。
「こ、こう…?」
むきっ、と、細い指で皮を剥く。
「…っ」
リトは、声にならない声を漏らした。
そして、リトの怒張し切ったモノが完全な姿となって美柑の前にそびえ立つ。
「(わー!!わー!!こ、こんなにおっきいの!?やだやだ、匂いもすごいし…私っ、おかしくなっちゃうっ…!!)」
内心、大パニックになっていた。
「じゃあ、洗うわよ…?」
そう言って、再び洗い始める。
「うあ…美柑、それは…!」
丁寧に丁寧に洗おうとした結果、美柑の手の動きは無意識のうちに、リトのモノをしごき上げる動きになっていた。
「(あ、リトのこの顔…かわいいな…。…なんかこれ、楽しいかも♬)」
美柑の中で、何かのスイッチが入った。
「ほ~れほれ~♬これが気持ち良いの~?♬」
「ちょ、おい、美柑、おまえ…楽しんでるだろ!?」
美柑の変化に気付き、彼女の耳に手をやって止めようとするリト。
しかし美柑は、一向に手を休める気配が無い。
「だーめ、やめなーい♬」
意地悪に笑ってそう言うと、左手は玉に手をやり、右手は内側にねじっては戻すのを繰り返して、リトの竿を回転しながらしごき上げる動きに変えた。
更に強くなった快感に、リトの背筋がびくん、と仰け反る。
「み、美柑…!!」
そう言って美柑を見つめるリトの顔は、何とも言えない色気を醸し出していた。
「(やばい…リトのこの顔…たまんない…匂いもどんどん強くなって…あれ、なんか汁が出てる…?)」
美柑は、度重なる刺激により滲み出てきたカウパー液の存在に気付いた。
「…うーわ、こんなエッチな汁が出ちゃうんだ、男の人って…♬」
そう言うと、美柑は右手の人差し指と親指を付けたり離したりして、カウパー液の糸を引くのを楽しむようにして笑った。
その仕草に、リトはどきんとする。
「…気持ち、良いんだね…」
そう言うと、顔を更に近付けて、ますます凝視しながら、更に激しくしごき上げ始める。
「うあああ…み、美柑、これ以上はダメだ…で、出る…!」
ここまでの美柑の行動は、別に何か性的なモノを見たことがあってしていた訳ではない。
ただ、大切な兄であるリトが、どうやったら気持ち良くなってくれるのかと言うことを、リトの反応の一挙手一投足を見ながら探っていたのである。
しかし、そんな美柑でも、男性が気持ち良くなった末にどうなるのかと言うことぐらいは知っていた。
「出るの…?出るのね…?いいよ、出して…!」
ぬちょ、ぬちょ、ぐちゅぐちゅ、ねちょ…
「うあああ…!!!」
カウパー液が潤滑油となってしごき上げる際の音が大きくなり、浴室内にいやらしい音が響く。
そして、程なくして。
「で、出る、出る、美柑、出るぞ…!!」
「…っ!!」
どびゅるっ、びゅるるっ、びゅるっ、びゅるるっ、ごぶっ、ごぶっ…
「うあ…すご…んんっ…」
幾度となく脈打ち、美柑の胸と顔に大量の精が浴びせられた。
あまりにも粘度が濃いためか、美柑は目を開けることも出来なくなっている。
…はっ…はっ…はっ…
浴室内に、リトの荒い息遣いが聞こえる。
「…ぷあっ、やっと取れた…」
リトのモノを洗おうにも、目が見えなければ流石にどうしようもない。
美柑はまず、自分にこびりついた精を洗い落とした。
「待たせてごめんね?じゃ、洗い落とすね」
謝る必要はないのだが、律儀な性格がそうさせた。
「あ、敏感になってるから、そこは優しく…」
「こう?」
「そうそう…」
ゆっくりと優しく洗い流しながら、二人はいつも通りのやりとりに戻っていた。
「…な、なんか、いつの間にか趣旨が変わってて…ごめんね?」
美柑が気まずそうに謝る。
…リトの身体を、引き続き洗いながら。
「い、いや…その、俺も、すっきりしたからいいよ…」
「(うう…めちゃくちゃ気持ち良かったなんて言えないよなぁ…)」
「ほ、ほんと?じゃ、じゃあ、さ…明日も来て、いいかな…」
美柑から、まさかの提案がされる。
「え…」
明らかに嬉しさが混じった声を漏らすリト。
「で、でも、流石に…」
戸惑ってはいるが、またこの気持ち良さを味わえると考えてしまうと…。
リトの理性は揺らいだ。
「べ、勉強して来るから!」
ぶぼばっっっ
美柑の大胆発言に、リトは思わず噴き出した。
「!?ば、ばか、そんなことしなくていいっての!」
「…だ、だめ…?」
切ない表情で、リトを見上げる美柑。
「(…う…かわいい…)…し、仕方ないな、取り敢えず、明日はいいぞ。それ以降は、その、明日の感じ次第かな…」
歯切れ悪く言うと、リトは恥ずかしそうに顔を逸らした。
「本当に?♬じゃあ、頑張るね!」
年相応のかわいらしい笑顔を浮かべて、美柑は明るく言った。
続く。
番外編のお風呂を見たときの興奮たるや。
それを起点に、書き始めてみました。
あと2~3話程続きます。
ご感想、メッセージでも何でも頂けると本当に嬉しいです。よろしくお願いします(^^)!
それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!