※この作品はR-18です。

ToLOVEる ピーチ&オレンジ【エロ】   作:高橋徹

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ヤミのお話。「Tears of Darkness~ずっとあなたを~」(2)

リトの怪我が治るまでの間、ヤミが世話をすることになった。

 

その翌朝。

 

 

ちゅん、ちゅん…

「ん…うーん…朝か…って、あれ、ヤミ…?」

リトが目を覚ますと、カーペットに座りながら、ベッドに突っ伏しているヤミが居た。

少し前までは、警戒を解かずに立ったまま寝ていた彼女。

リトは気付いていないが、これはヤミがリトに寄せる信頼の最大の証であった。

「ヤミ…大丈夫か?」

リトの声に反応して、ヤミの肩がぴくっと揺れる。

「ん…。…!おはようございます、結城リト。誰かに襲われたりしませんでしたか?」

素早く辺りを見渡す。

「大丈夫だよ。…そんなに、根詰めなくていいからさ。」

「ですが…」

ヤミが『きっちり働かないと』と言う使命感でいっぱいになっていると感じたのか、リトはヤミの頭にぽんと手を置いて、穏やかに話し始める。

「いいんだよ!…これから一週間、俺の世話をしてくれるんだろ?その間、俺はヤミが今までみたいに無理しないように、たまに注文するから。…それくらい、聞いてくれるよな?」

「む…わ、分かりました…致し方ないですね。」

少し不満げで、でも少し複雑そうな、穏やかな表情になるヤミ。

「朝食、一緒に食べようか。一人分増えるくらいなら気にしなくていいし、美柑もヤミが一緒なら喜んでくれるから♬」

「…はい。ありがとうございます。…あ、その前に」

「?」

「5分だけ、待っていてもらえますか?」

「あ、ああ、いいけど?」

リトが言い終わるや否や、ヤミが姿を消す。

「…トイレ…にあんなに急いで行かないよな…?」

何が何だか分からないリトであった。

 

5分後。

「お待たせしました。」

リトの前に現れたのは、既に制服に着替えて、通学鞄も準備したヤミだった。

「え、ええ!?もう準備したのか!?」

「はい。ここからはあなたに付きっきりで手伝いますので、先に準備を済ませました。どうぞ、なんなりと言ってください。」

「い、いや、でも…」

「いいんですよ。…ほら、行きましょう?」

そう言うと、ヤミの髪がふわりとリトの下へ伸びる。

「わわっ!?」

リトの優しく包むと、そのままベッドから下ろした。

「怪我をした足は…左足でしたね?それでは…」

今度は髪の毛がリトの左足に伸びる。

「わわ…お、おお…!?」

髪の毛は左足を包むと、足と地面との間にクッションになるようにセットされた。

「これで、いつも通り歩いても大丈夫なはずです。試しに歩いてみて下さい。」

「あ、ああ…おお、本当に歩ける!」

ヤミの言葉通り、最初は恐る恐る歩いていたリトも、すぐにいつも通り歩けるようになっていた。

「ヤミ、すごいよ!ありがとな♬…でもこれ、ずっとやってるのは大変じゃあ…?」

リトの心配そうな顔を見て、ヤミがくすっと笑う。

昨晩のやりとりをきっかけに、ヤミは随分自然に笑顔になるようになったような気がする。

リトは、何となくそう感じた。

「大丈夫ですよ。戦闘で使用するときに比べたら、負担などほとんど無いに等しいですから。それに、授業中は解いておけば十分に休息がとれます。ご心配なく。」

「そっか…分かった。ありがとな。」

「いえ」

二人がやりとりを終える頃、美柑が1階のリビングから呼び掛ける声がした。

 

 

まずは美柑、そしてララたち3人に事情を説明して、ヤミは皆と一緒にご飯を食べることになった。

「事情はどうあれ、ヤミさんとご飯を食べられるのは嬉しいな♬」

美柑は満面の笑顔で言うのを見て、ヤミが頬を赤らめる。

「私も…嬉しいです、美柑。」

二人の仲の良さは相変わらずであった。

 

ふっ、とヤミが隣に座っているリトの方を見た。

「…結城リト」

「ん?どうしたんだ?」

 

 

「…はい、あーん。」

 

 

「「「!!?」」」

ララとセリーヌ以外の3人が、あんぐりと口を開けた。

「な、なな、ヤミ、どうしたんだ!?」

「ヤミさん、どうしちゃったの!?」

驚いて即座に質問するリトと美柑に、ヤミは冷静に答える。

「私は償いとして、この一週間は結城リトに誠心誠意尽くすと決めました。…なので、これもその範囲の内です…。」

言葉の最後の方は、恥ずかしくなったのか声がすぼみがちであった。

その表情を見て美柑は『…あれ?』と言う疑念が過ぎり、モモは疑念が確信に変わり目がきゅぴーんと光る。

「あららー?ヤミさん、本当に償いの気持ちだけなんですかー?」

「!なっ!?」

モモがにやにやと笑いながら話しかける。

そして、ヤミにだけ聞こえるように、そっと耳打ちした。

「…尽くさなければいけないと言うのは建て前で、本音はリトさんの近くに居たい、むしろべたべたしていたいんじゃないですか…?♬」

「…!!」

モモの言葉を聞いて、ヤミの顔からぼんっと湯気が上がった。

「そそそ、そんなことは…!!」

以前とは比較にならない豊かな表情で、必死に否定をする。

「うふふ、良いんですよー♬…いーっぱい、べたべたしちゃってくださいね?♬」

「…!!」

モモは手をひらひらと振りながらヤミから離れ、再び定位置に付いてご飯を食べ始めた。

「ヤミ、どうしたんだ…?」

リトが心配そうにヤミを見る。

「…なんでもありません。…はい、あーん…!」

「え、ほ、本当にか…!?」

「いいですから、はい、あーん…!!」

「(こ、怖い…)わ、わかったよ…あーん…」

モモの言葉を思い出して顔を真っ赤にしながらも、やりたいことは続けるヤミであった。

「(うう…ヤミ、どうしたんだ一体…!?…こんなことされたら、どきどきするに決まってるだろ…)」

顔には出さないようにしているが、内心気が気でないリトであった。

 

 

朝食が終わり、リトが制服に着替え終わった頃、モモが駆け寄って来た。

「リトさん♬」

「ああ、モモ。どうしたんだ?」

「リトさん、今ならヤミさんにどんなえっちぃことを頼んでも受け入れてくれますよ、きっと♬」

ぶぼばっっ

リトが派手に噴き出した。

「な、なーーーー!!?ななな何言ってんだモモ!?」

半端じゃない程にテンパるリト。

「うふふ、冗談では…ないです、よ?♬ヤミさんはもう、あなたにメロメロのはず!今までは心の中で押し留めていたのでしょうが、行動に表わすようになったと言うのはとてつもなく大きな進歩です!これで、ハーレム計画はまた一歩前進しましたよー♬」

「な、え、ええっ!?」

ヤミの好意に未だに気付いていないリトは、ただただ動揺する。

「うふふ♬まだぴんと来ないかもしれませんが…いずれ分かりますよ。取り敢えず今は、それだけお伝えしておきますね。それではー♬」

モモは話したいだけ話すと、手をひらひらと振りながらその場を去った。

「…な…そうなの、か…?そんなはずは…」

「結城リト」

「おわぁっ!?」

考える暇も無く、リトの準備を待っていたヤミが現れた。

「?どうしました?もう支度は済みましたか?」

「あ、ああ。」

「では、行きましょう」

再び、リトの左足をヤミの髪の毛が包んだ。

 

 

この後はと言うと、結論から言えば、リトは一日中学校中の注目を浴び続けることになる。

 

リトの足を包む髪の毛は上手い具合に擬態させていて、傍から見る分にはリトがいつも通り歩いているようにしか見えない。

更に、リトのすぐ隣を歩くヤミが、今までは冷たい印象を受ける無表情がほとんどであったのに対し、リトと話す時やリトを見つめている時の表情が明らかに柔らかくなっており、元が美しいことも相俟って男女問わず見惚れていた。

そう言った理由で、ぱっと見では『リトとヤミが仲睦まじく歩いている』ようにしか見えず、周り、特にリトの友人の女性たちは、驚愕の表情で見つめていた。

一応、聞かれる度にヤミの方から事情説明はしたのだが、それにしても二人の距離が近い為、周りの動揺は止まらなかった。

休み時間のときも、ヤミはその度にリトの前に現れ、手伝えることは無いかと聞いて来る。

甲斐甲斐しいにも程がある面倒の見方であった。

 

 

「…ふう、やっと昼休みか…」

授業での疲れ以上に、周りの注目を浴び続けることに疲れていた。

「結城リト」

「うおえっ!?」

昼休みに入って一息ついた瞬間、再びヤミがリトの目の前に現れた。

「何か、手伝えることはありませんか…?」

「あ、だ、大丈夫だよ」

「そうですか…それなら、その…一緒に、お昼ご飯を食べませんか?」

「へ?」

初めての、ヤミからのお誘いだった。

そのため、リトは一瞬戸惑う。

「だめ…ですか?」

そう言って、ヤミは少ししゅんとした顔になると、子犬のような目でリトを見つめた。

「!!?(な、なんだこのかわいさはーーー!!!?!?やばいやばいやばい!!!)」

ハートを思い切り射抜かれて、全力で動揺するリト。

「あ、いや、別に良いけど…」

「…!」

リトの返答を聞いて、目を輝かせるヤミ。

「(…こんなに表情豊かなヤミ、初めて見るな。…めちゃくちゃかわいいじゃん…。)」

ヤミから目を逸らして、窓の外を見ながらリトは思った。

 

 

ちなみにこの時。

二人のやりとり、教室のドアからモモが覗いていた。

「や、ヤミさん、まさかここまで目覚めるなんて…!あの目は完全に『恋する乙女』ではないですかーーー!!!♡♡♡」

モモ、大興奮。

 

ちなみにこの時(その②)。

「ヤ、ヤミさんが結城君にあんなにべたべたとするなんて…!?羨まし…ちがうちがう、ハレンチ…でもないか…ああもう、この気持ちはなんなのーーー!!?」

古手川、ばりばりの嫉妬。

ただし、本人は無自覚。

 

 

そしてリトとヤミの二人は中庭に行くことにした。

「じゃあ、いつもヤミが座ってるベンチでいいか?」

「はい」

そんなやりとりをしていると。

「よし、じゃあ…あっ」

リトが、何も無いにも関わらず、右足を器用に引っかけてこけそうになる。

「!!(しまった、反応が遅れた…!)結城リト…!」

意識の一部を常にリトの左足に割いている分、ヤミの反応が遅れた。

トランスの能力も使わずに身を挺してかばおうとする。

どしん、と音を立てて、少しばかりの土煙が舞った。

「…う、うーん…おわっ!?」

「…!」

二人が気付くと、仰向けになったヤミの上にリトが覆いかぶさり、顔はヤミの目の前、左手はヤミの右胸、そして右手はヤミのパンツをしっかり掴んでいた。

「…結城…リト…」

「!!おわわわわ!!ご、ごめん、すぐ離すから…!!…って、あれ?」

リトが慌てて手を離そうとすると、何故か手が動かない。

「あ、あれ!?なんで…?…ヤミ…?」

「…はっ…はっ…。」

自分の手が、どうやらヤミによって止められていることに気付くリト。

当のヤミ自身はと言うと、悩ましげに頬を赤らめて、息を荒げている。

そして、リトの手は動かないだけでなく、今度は指がゆっくりとウェーブするかのように動かされる。

くちゅっ、くちゅっ…

ほんのわずかに、淫猥な水音が聞こえて来る。

「ヤミ!?(うわわわわ左手に柔らかい感触が!!それに右手が何か濡れて来てる…これって…!!)」

大慌てのリト。

「…結城、リト…結城…リト…」

「え…?」

ヤミの顔が徐々にとろんとして行き、その両手がリトの両頬に添えられる。

口は半開きになり、小さな舌が覗き見えた。

「もっと…近くに…」

「(わーーーわーーーわーーー!!!)」

ヤミが微笑みながら、リトの顔を徐々に近付けて行く。

リトは内心大パニックになっている。

 

「…!」

ここで、不意にヤミの目がはっきりと見開いた。

「…な、なんでもないです…」

しゅるっ、と音がしたかと思うと、リトの身体が自由になった。

「…ヤミ…?」

不思議そうにしつつも、やっとの思いで手を離すリト。

「…さあ、ご飯を食べましょう。」

そう言って、ヤミはにこりと笑う。

その頬は、まだ少しばかり赤らんでいた。

 

―…私は…何をしようとしていたの…?

まるで、ダークネスの時のようなえっちぃ感覚に襲われて…。

私…私は…-

 

リトにご飯を食べさせながら、ヤミの心は揺れていた。

 

 

時間は少し経過して、夕飯時。

「いっただっきまーす!♬」

リトの家で晩御飯の挨拶が元気良く響いた。

そこにはもう馴染んだようにヤミの姿があった。

「はい、結城リト。あーん…」

そして、やはりリトにあーんするのを止めない。

「ヤ、ヤミさん、そこまで熱心に頑張らなくてもいいんじゃないかな…?」

美柑が、なるべく自然に振る舞いながら牽制した。

ヤミのことが大好きな美柑であるが、流石にこの状況は見過ごせなかった。

…兄への愛情が、だだ漏れであった。

「いえ、これは私がやりたくてやっているのです。美柑はお気になさらず。」

「」

「…はい、あーん」

「あーん…」

美柑の絶句する表情を見て、リトは複雑極まりない感情を抱きながら、ヤミの厚意に甘えた。

 

 

食事後、リビングでテレビを見る面々。

ヤミは当然の如く、リトの隣を陣取ってソファーに座る。

少し疲れたのか、テレビを見ながら少しばかりこくりこくりとし始めた。

「一日中俺の世話を焼いてくれたんだ。そりゃ疲れるだろ。休んでも良いよ?」

リトが優しく声をかけ、ヤミの頭をぽんぽんと撫でた。

頭を撫でてきたその手に愛しそうに触れると、ヤミがにっこり微笑む。

「…ありがとうございます。わかりました。では…」

「!お、おい、ヤミ!?」

ぽてん、とヤミが寝転がった先は、リトの太ももだった。

皆が居る前で、極めて自然に膝枕をしてもらった。

「ちょ、ちょっとヤミさん!?」

…リトよりも、美柑が過剰な反応を示していた。

 

すると。

「…すぅ…すぅ…」

「「「「え」」」」

その場の全員がきょとんとした。

ヤミは、リトの太ももの上に寝そべると、ものの数秒で寝息を立て始めたのである。

「…あのヤミさんが…」

モモが心の底から驚いた顔をしている。

「私たちのことを警戒してないのも嬉しいけど、何よりリトがすごいねー!これだけ信頼してるなんて!♬」

「!…そう、なのか…。」

ララが明るく言った言葉ではっとするリト。

自分の懐で安らかに寝息を立てるヤミを見て顔が綻ぶと、ゆっくりと彼女の頭を撫でた。

 

 

「…はっ、あ、あれ、私は…」

「お、やっと目が覚めたか」

ヤミがぱっと起き上がると、既にリビングにはリトとヤミ以外は居なくなっていた。

時間は21時を過ぎていた。

「疲れてたんだな。ぐっすり寝てたよ。」

リトがにこっと笑う。

「…あ…そう、ですか…」

これには、ヤミ自身も驚いていた。

こんなに安心出来るなんて、思ってもみなかったのである。

「おかげでしっかり休むことが出来ました。ありがとうございます。」

「いいえいいえ♬…あ、この後さ、俺風呂に入りたいから…」

リトが気まずそうに頬をぽりぽりとかいた。

「そうですか。流石にそこまでは同行出来ませんね。脱衣所に行くところまでは手伝います」

「ああ、ありがとな。」

そう言うと、二人はすっと立ち上がった。

 

―こんなに人前で安心出来るなんて…。私は、結城リトのことをそんなに…?

…ああ、そうか、これが…この気持ちが…-

 

ヤミの心臓が、とくんと鳴った。

 

 

「では私はここで」

「ああ、ありがとう」

脱衣所の前で、ヤミがリトを見送る。

すると。

「ヤミさん♬」

「?…プリンセス・モモ。どうしたのですか?」

ヤミが振り返ると、そこにはモモがいた。

朝の発言のこともあり、思わず身構えてしまう。

「うふふ、そんなに構えないでくださいよー♬…お風呂、ご一緒しなくていいんですか?」

「!?な、そんなこと…」

「別に、ここまで甲斐甲斐しくリトさんのお世話をしていたら、入浴の世話をしても何もおかしくないですよー?」

「…そ、そう言うもの…なのですか?」

慎重に、ウソをつく。本当に慎重に。

「そうですよ♬リトさんは初めは恥ずかしがると思いますが、きっと喜んでくれますよ♬」

「そうですか…で、でも…」

「(むむ…やはりそうあっさりは行かないわね…)まあ、最終的に決めるのはヤミさんですから♬

私は上に上がっていますから、お好きなようにどうぞ♬」

モモは言い終わると、ぱたぱたと階段を昇って行った。

「…私は…」

リトが服を脱ぎ終え、浴室のドアをからからと開ける音を聞きながら、ヤミは立ち尽くしていた。

 

「…ふっふっふっ…これでヤミさんが浴室に入ったら、早速作戦開始よ~…!」

モモの目がきゅぴーんと光った。

 

 

 

続く。

 

 

 




最初はもっととんとん拍子に話を進めようとしていたんですが、彼女の場合中々一筋縄では行かないよなと思い、なるべく細かく書いていたら…えらい字数になったので途中で一旦区切りました。まだ微エロです。

次話に当たる部分のお風呂のシーンを書いていたら、想定の倍以上の字数になりそうです。なので、次からのがっつりエロシーンはもう2+α話に渡ります。


いつも間にかお気に入りが300を突破ですと…!!嬉しすぎてやばいです。ありがとうございます!!!

あ、リクエストでヒロインやシチュエーションを言って頂ければ、面白く書けそうとなったらどんどん採用致しますので、是非ともお願いします(^^)!
①リトがとことん良い人
②リトとヒロインの心情の変化をある程度細かく
③発明品その他でイレギュラーなトラブル!!
と言う要素が満たされるものであれば!要はラブラブに書きたいのです。


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!
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