騎士王と魔術師殺し①
地方都市・冬木市。
そこでは何十年かに一度。大きな争いが起こる。
────聖杯戦争
そこでは七人の選ばれし魔術師が、それぞれの相棒ともなるサーヴァントを召喚し血で血を洗う殺し合いが行われる。
七人の魔術師の一人に、その男、
────衛宮 切嗣は選ばれていた。
「くそッ!」
机をたたき、怒気を発散させようとする。しかし、その程度でごまかせるほど軽いものではなかった。
アインツベルン家の管理する屋敷。その一室で、切嗣はこれからどうするべきかを考えていた。
先日、キャスターを除く六体ものサーヴァントが一堂に会した。しかし、切嗣がそこで得たものは何一つなかった。
それどころか、自らのサーヴァントであるセイバーはランサーにて傷を負わされてしまった。
「何が騎士道だ……騎士王様の戯言にはうんざりだ」
最優のサーヴァントとうたわれるセイバーのクラスでありながら、ランサーごときに負けるとは。
切嗣の怒りはだんだんとセイバーへと向けられていく。
ただでさえ、セイバーは切嗣の案に賛成しないのだ。自分は騎士道に反することはしない。正々堂々と相手を迎え撃つと。
────その結果がこれだ。
「騎士道精神……昔はどうだったかは知らないが、少なくとも聖杯戦争にはそんなもの必要ない。サーヴァントとの関係が悪化するのは問題だと思って、いままでは譲歩していたが。その考えが甘かった」
切嗣は顔をしかめる。もともと切嗣は暗殺を得意としてきた。だったら今回もそれで行くべきだったのだ。たとえ令呪を使用してでも。
「今からでも遅くない。まずはその騎士道精神を……ぶち壊してやる。世界の恒久的な平和のためなら、僕はなんだってやってやる。そう、ナタリアを切り捨てたのと同じだ」
そうつぶやくと、切嗣は部屋を出る。屋敷は広く、だいぶ歩き回ったが、目的の人物を見つけた。金色に輝く髪を後ろで一つに纏め、黒と白を基調とした執事服を着ている人物。中性的な顔立ちで、見る人が見れば整った顔立ちの男性にも見える。そんな女性だった。
「セイバー、ついてこい」
切嗣がセイバーに話しかける。すると、セイバーは目を開き驚いた表情を見せた。普段の冷静沈着な彼女にしては珍しい。
「あなたが私に話しかけてくるとは、重大な話のようですね」
セイバーはすぐにまじめな普段の表情へと戻る。その声にはいささかの冷たさが宿っていた。
「切嗣ぅ。あそぼ!」
声のする方を見れば。そこにはかわいらしい女の子がいた。
白い肌に白い髪。そして、その目は血のように赤く。彼女が普通の人間はないことを如実に表していた。
切嗣の娘、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンである。
「ごめんねイリヤ。僕はこれからそこのお姉さんと大事な用事があるんだ。また今度遊ぼうね」
切嗣はそうイリヤに笑いかける。それはとてもぎこちのないものであったが、奥底にある深い愛情はしっかりと伝わっているようだった。
「うー、わかった。また今度クルミの芽を一緒に探そうね!」
そう言うと、イリヤは走ってアイリのほうへと向かっていった。アイリはこちらに心配そうな目を向けてくる。それに対して切嗣は、心配ないと口を動かすのだった。
「じゃあ行こうか」
切嗣はセイバーに声をかける。それに軽くうなずくと切嗣の後についてきた。
*
「用件とはなんでしょう。やはり先日の戦闘のことでしょうか」
セイバーが申し訳なさそうな顔をして切嗣の表情をうかがう。それに対して切嗣はあくまで無表情だった。
「ああ。そのことについて話し合いたくてね」
「……先刻は申し訳ありません。ランサーは強敵でした。しかし、次こそは『騎士道精神なんて捨てろ』────今なんと?」
「もう一度言う。騎士道精神なんて捨てろ。そのちんけなプライドのために、僕は聖杯を諦めるわけにはいかないんだ。これからは僕のやり方に従ってもらう」
切嗣の毅然とした物言いに、セイバーは表情を険しくさせる。その目には敵意が浮かんでいた。
「切嗣。いくらあなたが私のマスターだとしても。譲れないものが私にはある。だからその案は受け入れられない」
騎士王はその風格を見せつけるかのように切嗣をにらみつける。並みの者なら、その威圧に屈してしまうのも無理はないだろう。だが、切嗣は並みの者ではない。魔術師殺しと恐れられてきた生きる死神である。
「どうしても、僕の言うことは聞けないというんだね」
「はい」
セイバーは即答する。その様子に切嗣は大きなため息をついた。
────やるしかない。そう決断した。
「これも聖杯戦争を勝ち抜くためだ。
令呪を持って命ずる『切嗣本気ですか!?』セイバーよプライドがなくなるまで僕の言うことを聞け」
「うぅ……」
セイバーは頭を抑え始める。令呪はきちんと聞いているようだった。
その様子を確認すると、切嗣は命令を出す。
「セイバー服を脱げ」
「切嗣ッ、まさかここまでの下道だったか! アイリスフィールやイリヤスフィールが知ったらどうするつもりだ!」
セイバーは切嗣をののしりながらも、言われたとおりに服を脱ぎだす。
生まれたままの姿になったセイバーの体はとても美しかった。その細身の体は適度にしまっていて、体の起伏には乏しいものの、若々しい女の体をしていた。
「アイリには僕から説明する。そしてイリヤには知る必要がないことだ。
セイバーそこにしゃがめ」
切嗣が命令するとセイバーは身をかがめて膝立ちの状態になる。切嗣はそれを見ながらズボンのベルトをはずし始めた。するするとベルトが外れると、そのままズボンと下着を脱いだ。
「ッ!」
セイバーの眼には切嗣のその大きく勃起した男性器が写りこんできた。表面には血管のようなものが隆起しており、それがどくどくと鼓動していた。
「咥えろ」
ひどく冷淡な声が切嗣の口から洩れる。そこには何の感情も含まれていないようだった。ひどく無機質に、ただ機械的に。切嗣は騎士王のプライドを打ち砕こうとしていた。
「……んぐ」
セイバーは口の中に切嗣のソレが侵入してくるのを感じた。切嗣の冷たい声とは裏腹に、それは煮えたぎるように熱かった。男の味が舌を伝って己に流れ込んでくるのを感じ、セイバーは強い嫌悪感を抱く。
切嗣はセイバーの絹のような髪を乱暴につかむと、グイとセイバーの頭を自分の腰へと押しつけた。
「んぐぅ!」
喉の奥にまで侵入する肉棒に、セイバーは息が苦しくなる。涙目になりながら、切嗣の体を力なくたたいた。
「抵抗するな」
そう言われればセイバーにできることはない。ただただ切嗣の男性器を喉に突っ込まれていることしかできない。
「……」
切嗣はセイバーの頭を押さえながら、ゆっくりと腰を動かし始める。セイバーは己の喉を肉棒がえぐっていくのをただただ耐えることしかできない。
────じゅぷ……じゅぷ
淫靡な音を自分の口から発しているというのをセイバーは理解すると、怒りと恥ずかしさに胸が熱くなってくる。────このまま噛みちぎってやる、そう思った瞬間
「僕に危害を加えるな」
セイバーの目を見た切嗣はさらなる命令をする。
切嗣は二つ目の令呪を使用した。その迷いのなさは覚悟ゆえにだろう。
ピストン運動はだんだんと激しくなってくる。セイバーは口の中の異物が一段と固くなり、熱くなるのをかんじた。
切嗣は男性器をセイバーの喉奥へと押しつける。セイバーの頭をがっちりと固定した。
「……」
────どぴゅぅ……じゅぷ。
無言のままに、その精をセイバーの口の中へと放出した。しばしの沈黙、両者は動かない。
「……がはッ、げほ……げほッ」
切嗣の精液を喉で受け止めたセイバーは、胃の中へとはいってくるその気持ち悪さにむせ始める。その口元は白濁の液体で汚れており、清廉潔白な騎士王の姿としてはあまりに下品だった。
「どうだ。売女と同じことをした気分は。少しはその崇高なプライドもなくなったんじゃないか」