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「女よ。これから私はお前を犯す」
「……」
淫らな声がそう遠くないところから聞こえていた。
アイリスフィールはその声が舞弥達のものだとわかっていた。
これから同じように自分も犯されるのだ。
地面に座り込んでいるアイリスフィールに、無表情な男が近づいてくる。
男の名前は言峰綺礼。冷徹な殺し屋である切嗣が唯一、この聖杯戦争で恐れていた男だ。
調べれば調べるほど、その人間性が歪なのがわかってきたのだ。
何のために生きているのか。何のために存在しているのか。
そいつは人間としてのナニカを欠乏していた。
しかし、アイリスフィールはほくそ笑む。
結局そのナニカははっきりとは分からなかったが、言峰綺礼はそれに近いものを得たようだった。最初に襲いかかって来た時には感じることができなかった彼の悪意。それを今はひしひしと感じる。自分を見る目は獣のそれで、表情は未だに硬いが、彼は人間だった。
「痛ッ……」
綺礼がアイリスフィールの腕を乱暴に掴み、無理矢理立たされた。
そのまま腕を後ろ手に組まされ、アイリスフィールは身動きが取れなくなった。
「……ぁん」
服の下に手を突っ込まれ、いきなり胸を掴まれた。それは容赦がなく、切嗣のような自分を気遣う感情は一切感じさせない。
その動きは激しく、ふくよかな胸にその指が沈む。
体を蛇のように這いずりまわり、自分に無理やり女の快楽を与えようとしてくる。
「……んんッ」
胸の一番敏感な部分に刺激が集中してきた。乳首はその刺激に耐えられず硬くなり、より刺激を感じるようになる。
「はぁ……はぁ……」
アイリスフィールは体が熱くなってきたのを感じる。ホムンクルス特有の雪のように白い肌はほんのりと朱色に染まり、下腹部がうずき始める。既にそこは湿り気を帯び始めていて、男のモノをほしがっていた。
体をまさぐる刺激がだんだんと下に移動していく。
「うぐぅッ……」
敏感なアイリスフィールの肉壺に、綺礼の冷たい指が侵入してきた。
容易に入ったそれは、中をぐちゅぐちゅと這いずりまわり始める。
その刺激に、体がくの字に曲がりそうになるが、それを無理やり抑え込まれる。
逃げ場を失った快感が、アイリスフィールの体を蝕んでいく。
「ッああン」
体が激しく痙攣した。まるで電流を浴びているかのように体はびくびくと動き、アイリスフィールは脳が溶けるのではないかというほどの衝撃を感じた。
「イったか」
綺礼は今起きたことの事実を呟いた。それを聞いたアイリスフィールは己が夫以外の男に絶頂させられたことを知り、心の中で切嗣に謝る。
朦朧とする意識。だが、無理矢理移動させられたことにより意識が覚醒する。
綺礼はアイリスフィールの長く艶やかな絹のような髪を掴むと、近くにある木へと引きずっていった。
そのまま、木にアイリスフィールは押しつけられる。
顔が幹にこすれて、白い肌に赤い染みができる。
突然下半身を寒気が襲ってきた。綺礼がアイリスフィールのスカート、パンツ、ニーソックスを引きちぎったのだ。
だが、次の瞬間には熱いものが自分の体を貫いた。
────ズブリ
「あ……が……ぁあ」
アイリスフィールは一瞬呼吸ができなくなった。まるで尻から口までを貫かれたような衝撃。
代行者のペニスは誰も代行することができないほどの大きさだった。
綺礼は動かない。自分の最奥に性器を押しつけたまま身動き一つしない。
アイリスフィールは木と綺礼にぴったりと押しつけられたまま、何かが起こるのを待つしかなかった。
────ぱぁん
「があぁああ」
アイリスフィールの赤い瞳は白くなった。それは気を失うほどの衝撃。
二撃目がアイリスフィールを襲った時、再び目を覚ます。
アイリスフィールは驚愕する。いつこの男が腰を振ったのかがわからなかった。いや、振ってなどいなかった。
綺礼が使用したのは中国拳法八極拳の極意。
綺礼は己の腰をアイリスフィールの腰に密着したままの状態で、アイリスフィールの膣内に己のペニスを叩き込んでいたのである。
アイリスフィールは知る由もないが────八極拳の達人ほどになると、ただの腰の力のみによってピストン運動は行われるものではなくなる。大地を踏みしめる両脚の力に、腰の捻りを相乗し、まさしく全身の瞬発力を総動員して腰へと集積させるのである。この原理を極めた者ならば、最終的に腰を引きそれを前に動かす運動が果たす効果など全体に比べれば微々たるものなのだ。必要とあらば腰と腰を密着させたまま、十分な衝撃を以てピストン運動をすることも不可能ではない。
────俗に、『寸頸』と呼ばれる絶技である。
────ぱぁん、ぱぁん
両者は全く動かない。激しい肉と肉がぶつかる音だけが響き渡る。
「……ぁぁ」
アイリスフィールはその長い髪を振り乱し、その小さな口からはよだれが垂れている。
淑女としての体裁を守る余裕など全くなかった。
ただただ、次に襲いかかる衝撃に対して神経を研ぎ澄まし、それが来るのを待ちわびる。
その衝撃が来るたびに、絶頂へと飛ばされるのだ。
綺礼はひたすらに『寸頸』を叩きこむ。己の修得した技の中でも抜群の難度を誇るそれは、綺礼の卓越した戦闘技術と才能があったからゆえに習得できたものだ。
そして……綺礼はその完成された技を──さらなる境地へと昇華させた。
────ぱぱぱ、ぱぱぱ
「……」
アイリスフィールはその技、『刹那』を身に受け、完全に沈黙した。
『刹那』とは『寸頸』の上位互換に相当する技である。
その名の通り、刹那のごとくわずかな時間に、連続して寸頸を叩きこむ前人未到の荒技である。
アイリスフィールに放ったのは三連続の寸頸であるが、その威力は三倍では済まない。
相乗効果により増幅されたその威力は累乗倍となり、その威力は九倍。
寸頸を一撃受けるだけでも意識を飛ばすようなアイリスフィールにはとても耐えきれる代物ではなかった。
────ぱぱぱ、ぱぱぱ
反応のなくなったアイリスフィールに綺礼は欲望を叩きつける。己のペニスを絞り取るような膣内の動き、透けるように白い綺麗な肌、同じように白くなめらかな美しい髪。それはまるで男を欲情させるために作られたのではないかと錯覚するほどの美の化身。
魔術師殺しとして恐れられていた衛宮切嗣も、己と同じようにむさぼるようにして彼女を犯していたのが想像できる。
意識を失い、動かなくなった彼女はまさに人形。人間の欲望をその身に一心に受け入れるために作られたそれは、まさに『器』だった。
動かぬピストン運動を繰り返す。下腹部からとめどない悪意が溢れそうになってきた。
そして、ぐったりと自分にもたれかかってくる『器』に……
────どぴゅッ……ぶぴゅ
豊満な体を締め付けるようにして抱きしめる。その距離はまさにゼロ。彼女と繋がっていることを感じ、彼女に己の醜悪なものが流れ込んでいくのを感じた。
「いつまで私にくっついているつもり?」
その声は己が抱いている者から聞こえた。だが、彼女はすでに気を失っていたはず。それにその声からは先ほどまでの切迫感を全く感じない。
即座に女を突き飛ばし、後ろに飛び去る綺礼。
その手には既に黒鍵が握られており、いつでも投擲する準備はできていた。
「ひどいじゃない。乙女を突き飛ばすなんて」
ソイツは服に着いた土をはたき落とすと、ゆっくりと立ち上がった。
顔を綺礼へと向ける。
その目に映るものは綺礼をして理解のできるものではなかった。彼女は一体何なのか。少なくとも綺礼の知っているアイリスフィールではなかった。
「お前は……だれだ」
「私はアイリスフィールよ。あなたがさっきまで犯していた女じゃない」
ソイツはあくまでしらをきるつもりのようだった。
黒鍵を握る力を強くした。
「まったまった。もう、男ってこれだから嫌なのよ」
ソイツは焦ったような表情を作ると、綺礼に待ったをかける。
「確かに私はアイリスフィールじゃないわ。そうね……強いて言うなら聖杯の意思と言えば近いかもね」
「まだ聖杯戦争は始まったばかりだ、なぜそんな奴が今ここに姿を現した」
綺礼は警戒を怠らない。奴からは嫌な感じがする。これほどおぞましい気配を感じたのは初めてだった。
「あなたが私に悪意を注ぎいれたから……かしらね」
「精液のことか」
「デリカシーがない男は嫌われるわよ」
ソイツは妖艶に微笑む。
「そんなに警戒しなくても私はすぐにまた消えるわ」
そう言うとソイツは綺礼に近づいてきた。綺礼はそれをなぜか受け入れてしまった。
「あなたが聖杯を手に入れるのを待ってるから」
そういってソイツは消えてしまった。器であるアイリスフィールの体が地面へと崩れ落ちる。
『マスター。セイバーがこちらに向かってきているのが確認されました』
呆然としていた綺礼の横には、いつの間にかアサシンが控えていた。それを見て、口元を邪にゆがめた。
「聖杯戦争……私も本当の意味で参加するのも、悪くないかもしれないな」
綺礼は己のパンツとズボンを引き上げると、遠坂時臣をどう殺すかを心の中で画策し始めた。
────この世の悪は、無くならない
ごめんなさい。カオスになりすぎました