ブロントさんがギルデンスターンを倒してしまったようです 作:よしむら
ヴァーサの町の大聖堂。
今日、この場所に多くの者が集まってきていた。
その中にラルスとブロントさんの姿もある。
「ラルシ、どうした。緊張してるのあk?」
ブロントさんの声にラルスはぎこちなく頷く。
「気持ちはわかるが、落ち着くべき。今日の主役はお前なんだからよ」
そんなどうということもないやり取りをかわしている二人にエストが声をかけてきた。
「お待たせ。花嫁さんの到着よ」
エストに連れられる形でオリビアも現れる。
花嫁の衣装に身を包んだオリビアの姿にブロントさんも思わず見とれていた。
「綺麗だなさすがオルビアきれい。なぁラルシ…おいィ?ラルシ?」
ブロントさんが声をかけるがラルスは反応しない。
花嫁姿のオリビアに見とれるあまり声も出ないのだ。
「二人とも、準備はできたようだな」
そこに声をかけてきたのは賢王。
ラルスとオリビアをずっと待っていたのだ。
「それではそろそろ始めよう。ラルスとオリビアはこの場所に立ってくれ。他の者は席について静かにするように」
賢王に従い、一同は揃って席につく。
立っているのはラルスとオリビア、賢王、見知らぬ男性と女性が一人ずつの計5人。
並んで立つラルスとオリビアを見守るように、賢王と見知らぬ男性はそこから少し離れた場所に立っている。
残された見知らぬ女性は、見知らぬ男性の隣に立っていた。
大聖堂の中が静かになった所で、大きく声を上げたのは賢王だ。
「これより、ラルス・オヴェルーク、オリビア・ヴァルカーレ両名の婚姻の儀を執り行う」
そう、これからラルスとオリビアの結婚式が始まるのだ。
「神々よ!我らが名の下に祝福せよ!このマグナス・ローゼンクランツと…」
賢王の声に続いて、一緒に立っていた見知らぬ男性が声を上げる。
「祝福せよ!フランツ・ギルデンスターンの名の下に!」
賢王とギルデンスターン、二人の言葉を受けたラルスとオリビアは、お互いに向かい合った。
「ラルス…」
そして、ゆっくりと二人の顔が近づいていき…そっと口づけをかわした。
それを見て、席に座っていた者達からワァッと歓声が上がる!
「お前ら全力で幸せになっていいぞ!!」
「オリビアー!!幸せになれよー!!」
「ラルスさーん!!どうか幸せになってください!!」
ブロントさん、エルヴィン、クリスティンが、思わず大きな声で祝いの言葉を放つ。
彼らだけではない。
ハグロフス、グランマル、賢王の侍女二人、ローズニルとフレデリカ、マーシャ、ベルナドット。
バンダースナッチ、ジャブジャブ、ジャバウォック、ハーピー三姉妹。
メローナ、ストゥーナ、ナシュ、ステラ、エスト。
今回の一連の戦いに関わった全ての者が二人の幸せを祝っていた。
あまりに大きな歓声に、ラルスとオリビアは少し恥ずかしそうに顔を赤くするが、とても嬉しそうだ。
「それにしても…まさかリリスの正体が…」
「魔王の彼女だったとは本気で驚いた感」
ギルデンスターンの隣に立つ女性。
彼女こそ、元・リリス。
本名、リリー・フォルシウス。
十五年前、ギルデンスターンが救えなかった恋人なのだ。
夢魔に犯された彼女は、夢魔になってしまっていたのだが…
「どうして人間に戻れたのかしら?」
「きっとあの時の光がなんとかしてくれたんじゃないですかねぇ?見事な奇跡だと関心はするがどこもおかしくはない」
十五年の時を経て帰ってきて、今彼女はギルデンスターンと共にいる。
その表情は、夢魔だった時の好色ぶりが嘘のような清楚な笑顔だ。
「そもそもギルデンスターンまでちゃっかり復活した上、人間に戻ってるのはどうしてなのかしら?その辺ゲームでも語られてない謎よね」
「おい、やめろ馬鹿。この話題は早くも終了ですね」
こうして…
ラルスとオリビアの結婚式は大成功で幕を閉じた。
そして、その数日後。
港町「フリーベリ」。
この日をもってグルッペンを出るブロントさんを見送りに多くの者が集まっていた。
「ブロントよ。しばらくこの国で滞在しても良いのだぞ?」
「俺は修行の旅の途中だからよ、今日でこの国をカカッっと去るしお前らともお別れする」
暗にもうしばらくいてほしいと言う賢王だったが、ブロントさんはそれを断る。
「もうこの国での俺の役目は終わった感。あとはこの国に住む者が頑張るべきそうするべき」
「そうだな…今やこの国は、人間と夢魔、両方が共に暮らす国。現実と夢が手を取り合い、共に生きる国だ。まるで光と闇の属性をあわせ持つそなたのようにな」
「俺はああギルッペンもナイト派閥に飲みこまれたかとこの国の今後に大きく希望を持った」
「ふふ、本当にどんな時でもそなたは変わらないな」
そんな時、見送りに来ていた大勢の人の中からラルスが一人出てきて、ブロントさんの前に現れた。
「どうした、ラルシ?」
ラルスは少し照れくさそうな様子で、ブロントさんに話しかけてきた。
「ブロントさんっ!」
「何か用かな?」
「色々…ありがとうございました!また、いつかこの国に来てください!」
「hai!」
そうして固い握手をかわす二人。
いつかの再会を誓った瞬間であった。
いよいよ船の出発時刻。
ブロントさんは船に乗り込み、ラルス達はそれを見守る。
そしてついに船が出発し、港から船が離れていった。
「じゃ新しい冒険系の仕事が今からあるからこれで!!」
そう言って、手を振るブロントさん。
ラルス達も、それに答えるように手を振る。
それはお互いの姿が見えなくなるまで続いたのであった…
「行っちゃったね…」
「あぁ…」
「やっぱり寂しい?」
「…大丈夫だよ、きっといつか、また会える。そうだろ?オリビア」
「そうね…」
「次に会う時は…子供でも紹介できたらいいね」
「もう、ラルスったら……ところで、話は変わるんだけど…エスト知らない?さっきまでそこにいたはずなんだけど…」
「えっ」
船の上。
「今回の冒険は、何もかもがヘヴィだったぜ…」
夢魔との戦いを思い返すブロントさん。
…正直思い出すだけで、疲れる。
「だが全て終わった話であり、英語で言うとエンディング。とりあえず、次の大陸に着くまでゆっくり休むべき」
そう言って船室へ向かおうとしたその時。
「あ、ブロントさん寝るの~?だったら添い寝してあげよっか~」
「私を抱き枕にしてもいいのよ?」
「まぁ…膝枕くらいならしてやってもいいぜ?」
聞き覚えのある3人の声。
まさかと思って振り向くと…
「おいィィィィィィィィィィィ!?」
メローナ、ナシュ、ストゥーナの3人がそこに姿を現していた。
「なんでお前らここにいるんですかねぇ!?」
「なんでって、アタシ達仲間でしょ~?一緒に行くのは当然だよ~」
「…てっきりお前らはあの国に残るもんだと思ってた感…」
「オレ達別にあの国にいなきゃいけねぇ理由なんてねぇよ。だったら…友達の冒険に付き合ってやった方が退屈しなくてすみそうだろ?」
「ナイトの冒険はちょっとわずかに危険なんだが…」
「守ってくれるんでしょ?メイン盾のブロントさん♪」
「…言い返そうと必死に回転させたが言い返す言葉が出なかった」
「じゃあ決定~♪これからもよろしく~」
3人の夢魔も一緒についてくる事になり、嬉しいようなそうでないような複雑な気分になるブロントさん。
しかしそれだけでは終わらなかった。
「楽しそうね、アタシも混ぜてほしいわ」
「お姉ちゃんだけずるいよ~♪ステラもいく~♪」
そう言って姿を現したのはなんと、エストとステラだった。
「おいィィィィィィィィィィィィ!!?」
とんでもない二人まで現れた事に、さすがのブロントさんも頭が痛くなる。
「…なんでエsyトとステァまでいるのか理解不能状態」
「なんでって…ひどいわブロントさん。アタシを捨てていくの?あんなにアタシの事を愛してくれたのは嘘だったの?」
「人聞きの悪い事を言うんじゃぬぇ!!」
「まぁなんでついてきたかと言うと…見てみたいからよ。これからブロントさんが一体何をするのか…その行く末を見届けるのが今のアタシの“夢”なのよ」
「ステラはお姉ちゃんといっしょ!おにぃちゃんもいるから、すっごいたのしくなりそう♪」
ブロントさんの旅についてくる気満々のこの姉妹。
しかしこれにブロントさんが反論する。
「ちょっと待つべきそうするべき。エsyトは夢魔のリーダーのはずなんだが?その妹のステァ含めて、重要なポジションのお前らがギルッペンから出るのはまずいと思う、まぁ一般論でね?」
「必要ない」
「えっ」
「リーダーは必要ない」
ブロントさんの反論はエストにあっさり否定された。
「あー…ブロントさん、説明してやるよ。そもそも夢魔の世界に組織なんてものはねぇんだ。エストが夢魔の中でも特別にレベルが高かったから形式的にリーダーになってただけで、別にいなくても困りゃしねぇんだ」
「おいィ…お前らそれでいいのか」
ストゥーナの説明を聞いてブロントさんは呆然となった。
「そういう事だから、ブロントさん。アタシ達もついていくから、よろしくね♪」
「いっしょにあそぼうね♪おにぃちゃん♪」
「ナ夢夢夢夢夢とか聞いたことないんですがねぇ…」
この二人の性格から、もう言っても聞かないだろうなとブロントさんは諦めが鬼なる。
「それじゃさっそく…」
「え~いっ♪」
唐突にエストとステラがブロントさんの体を押し倒してきた!
「おいィ!?いきなり何してるわけ!?」
「決まってるじゃない、仲間同士の親睦を深めるためのスキンシップよ♪これからはアタシもブロントさんの仲間、だからブロントさんともっと仲良くなりたいのよ♪」
「おにぃちゃんあそぼっ♪」
「おい、やめろ馬鹿。お、お前らなんとかしてください;;」
ちょっと泣きそうな様子で、メローナ、ナシュ、ストゥーナに助けを求めるブロントさん。
しかし…
「ブロントさん、後で私達の相手もしてよね?」
「エスト~、ちゃんとアタシ達の分も残しといてね~」
「まぁ、頑張れ。ブロントさん」
あっさりと放置を決め込まれた。
そうこうしてる間に鎧を脱がされて、裸になったブロントさんにエストとステラの手が伸びてきて…
「おいィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!?」
ブロントさんの絶叫が響き渡るのはそのすぐ後だった。
その後。
ラルスは故郷であるレンシェントの村に戻り、オリビアと二人で静かに暮らしている。
ただし時折ラルスが寝言でルヴィッサの名前を出すらしく、その度にちょっと大変な事になっているとか。
エルヴィンはグルッペンの騎士団に入団、その高い実力で将来の騎士団長を噂されている。
プライベートではバンダースナッチ達と仲良くしていて、こちらも順調のようだ。
賢王は人間と夢魔の関係の調整に奔走した。
その働きがこれ以後のグルッペンの発展の礎になったと後世では語られている。
ハグロフスは今も娘のクリスティンと暮らしている。
しかし最近は娘が一緒に風呂に入ってくれなくなり、マジ凹みしている。
そして…ブロントさんは…
とある町の宿屋。
そこに一人の男がやってきた。
男の外見はやや変わっていて、服装は東の国にいる「忍者」を彷彿とさせる独特のものでこの近辺ではまず見られない。
だがそれ以上に目をひくのが男の目を隠している黒い目線だった。
そう。ブロントさんの宿敵、汚い忍者である。
「へっへっへ。ようやく居場所を掴んだぜブロント。何が修行の旅だ、かっこつけやがって。テメェをぶっ倒すためなら俺はどこまでも追いかけてやるぜ」
汚い忍者は宿屋に入り、その中にある一室の前で立ち止まった。
「ここだな、ブロントがいるのは…もう逃がさねぇぞ」
鬼哭を取り出し、臨戦態勢に入る汚い忍者。
そして思い切り扉を蹴破って、部屋の中に入ってきた!!
「ブロントぉ!!見つけたぜ!!俺と勝負しやが…れ……」
そこで汚い忍者が見たのは。
ブロントさんと、5人の女性の姿。
しかも全員美女&美少女だ。
そしてブロントさんも女性5人も、全員裸で。
まぁぶっちゃけ6Pの真っ最中だったわけで。
「お…おいィ?」
突然汚い忍者が部屋に現れ驚くブロントさん。
そしてすぐにこの現場を見られた事に気づいて無茶苦茶気まずくなった。
「に…忍者…まずは落ち着いて俺の話を聞くべきそうするべき。この話は説明すると長くなる内容で話数でいうと19話」
「テメェ…確か修行の旅に出たんだったよなぁ…」
一時呆然としていたが次第に沸々と怒りがわいてきた汚い忍者。
鬼哭を握る手に自然と力が入ったのは当然だったと言えよう。
「テメェは一体何の修行をしてやがったんだァーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
THE END
【あとがき】
いやあ…このSSは本当に誰得でしたね。
サキュバスクエストとブロントさんのクロスオーバーという、
マニアックにも程がある題材のこのSS。
はたして何人の人がついてこられたのでしょうか?
一応未プレイの方にもわかりやすいような構成にしたつもりですが…
けれど当時非常に楽しく書いた作品であり、今でも特にお気に入りの作品です。
だからこそ今回の再録に踏み切りました。
こんな自己満足のSSですが、今回の再録で初めて目にして「面白かった」と思っていただけた方がいたなら幸いです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。