ブロントさんがギルデンスターンを倒してしまったようです 作:よしむら
ほこらの探索を終え、グルッペン城に戻ってきたブロントさんの耳に思わぬ情報が飛び込んできた。
賢王マグナスがいなくなったというのだ。
「おいィ!?俺やラルシには待機しろと言っておきながらなんで拳王だけ勝手にどっか行ってるんですかねぇ!?」
「ブロント殿、落ち着いてくだされ」
グランマルがどうにかブロントさんをなだめようとしている。
が、あまり効果はない様子。
「これでは落ち着かない!落ち着きにくい!」
あぁ、こんな時某竜騎士がいてくれたら「落ち着きたまえ^^」の一言ですごく落ち着くのに。
「グランマル様!」
そこへ一人のグルッペン兵が報告に現れた。
「西の街道がなんとか人が通れるまでには復旧したとの報が入りました!」
「本当か!それはご苦労じゃった!ブロント殿、こうなったらドゥヂチに向かってみては?賢王様が戻られるまではグルッペンはこのグランマルにお任せくだされ」
と、いうわけで。
いてもたってもいられなくなったブロントさんは復旧した街道を通ってドゥヂチへと向かっていた。
「一体ヂュウヂチには何があるんですかねぇ?おもえら夢魔でしょう?何か知らにいのか?」
一見誰もいない場所で独り言を言っているように見えるブロントさん。
しかし次の瞬間、その声に答えるように一人の夢魔が姿を現した。
言わずもがな、前回仲間になったメローナである。
「ん~、わかんない、エストのやってる事にはアタシもストゥーナも特に関わってないから」
「そうか。まぁ行ってみるしかにい。それよりギルッペンではよく顔を出さなかったな、えらいぞ」
「人目のつく場所では姿を現さないって約束でしょ?わかってるよ~」
「ほうお前はなかなか解っている様だなジュースをおごってやろう」
「わぁい^^」
「なんでそんなノリいいんだよメローナ…」
そうつぶやきながら姿を現したのはメローナの相棒、ストゥーナだ。
相方のフリーダムぶりにちょっと疲れているような節が見える。
「おっ、到着した感」
そうしているうちに、ブロントさんは目的地である「ドゥヂチの塔」へと到着した。
早速中へと乗り込んだブロントさん。
しかし入るとすぐに番人らしき女戦士「セルマ」が3人の前に立ちはだかっていた。
「おいィ、そんな所に立たれたら通れない系の不具合があるんですがねぇ…」
「…何アンタ?とっとと帰りなさいよ」
「ウザイなおまえケンカ売ってるのか?」
セルマの冷たい態度にムッとするブロントさん。
そこにメローナが声をかけてきた。
「ブロントさん、この娘夢魔よ。元人間でつい最近夢魔になったっぽい」
「…ってことは、またヤらなきゃいけにいのか…」
「いやなら帰ってもいいのよ?(チラッ」
「やるます!」
夢魔相手ならもうヤる事は決まっている。
なんとかセルマをイかせてこの場をどかしてやろう…
そんな風に考えていた時期がブロントさんにもありました。
「…それでおしまい?」
「おいィ!?」
いくらキスをしても、体を触っても、セルマはまるでぴくりとも反応しなかったのだ。
「帰ったら?」
「オウフ…」
あまりにも冷たいセルマの態度に埒があかないと一旦ブロントさんは引き下がる。
「防御が固すぐる…」
「こりゃ通れないな」
「いや…待つべき。自分で言うのもなんだが3人のミニオンの中では一番知能が高いと評価されてる俺が、素晴らしいアイデアを思いついた感」
「本当かよ…」
すごい不安そうに言うストゥーナだったが、それにもかまわずブロントさんは再度セルマに挑戦を挑んだ。
「何よ?まだ何かやる気?」
「本当につよいやつは強さを口で説明したりはしないからな。口で説明するくらいならおれは牙をむくだろうなおれパンチングマシンで100とか普通に出すし」
「説明してんじゃねーか!」
「ストゥーナ、今のナイスツッコミよ♪」
「はっ!しまったつい…」
ぐっと拳を振りかざすブロントさん、どうやらパンチで攻撃するつもりの様子。
「この破壊力ばつ牛ンの雷属性の左でお前はそのまま骨になる」
「何をするかと思えば…力ずく?あなたは頭が悪いのね」
「ギガトンパンチ!」
ブロントさんの拳がセルマに襲い掛かった!
それをセルマは微動だにせず、冷たい態度で受け止める。
「夢魔にはそういう手段は通用しないと…あっ!?」
「とんずらぁ!!」
だが、ブロントさんの拳が通り抜けた次の瞬間、セルマは驚愕した。
セルマの体を素通りして、ブロントさんは塔の奥へと走り去っていったのだ。
そう、夢魔には通常の攻撃は通用せず全て「素通り」してしまう。
その性質を逆手にとってわざと物理攻撃をしてセルマの体を通り抜けていったのである。
「しまった!くっ…」
ブロントさんを取り逃がし、悔しそうに表情を歪ませるセルマ。
だが追いかける気はないようだ。
「…まぁいいか…どうせあいつらじゃ扉は開けられないだろうし…」
「すごいね~あんな方法で通り抜けちゃうなんて~」
「いいのかこんなやり方で…」
「イベントもゲームシステムもクソ喰らえだ。俺がいいといっている」
ドゥヂチの塔をさらに上っていく3人。
だが今度は大きな石扉が行く手を阻んできた。
「なんだ、こんな扉すぐに開けて……おいィ…この扉が開かない!開きにくい!」
扉を開けようとしたブロントさんだったが扉は固く閉じられていて全くびくともしない。
「どうやら魔法で閉じられてる扉みたいね~」
「アバカム!アバカーム!!」
「開くかっ!」
「ちくしょう…この扉作ったの絶対忍者だろ…汚いなさすが忍者きたない」
所変わって、港町「フリーベリ」。
結局扉を開ける事が出来ず一旦塔から退散したブロントさんは近くにあるこの町へとやってきていた。
「ちくしょう扉は馬鹿だ…」
休息をとるため宿屋へと入ったブロントさん。
その時、宿屋の二階から見知った顔が降りてきた。
「ラルシ!?」
なんと、前回尾行の途中で見失ったラルスだったのだ。
「おもえもここに来ていたのか。え?『すいません、今は急いでいるんで失礼します』っておいィ?」
だがラルスはブロントさんとの会話をさっさと切り上げ宿屋から出て行ってしまった。
「なんだ急に急いできた>>ラルシ。何かあったんですかねぇ?」
ふとブロントさんは思った。
ラルスは二階から急いで降りてきた。
まさか二階で何かあった?
「行ってみるべき、そうするべき」
宿屋の二階、そのとある一室。
その扉を開けるとそこには一人の男性が窓辺に立って憂鬱そうに外を眺めていた。
男性の方も入ってきたブロントさんに気づいてこちらに振り返る。
「おや…エルフかい?この国ではめずらしい」
「何いきなり話しかけてきてるわけ?」
「これは失礼。俺はローズニル。吟遊詩人さ。君は?」
「俺はブロント、謙虚だからさん付けでいい」
「ブロントさんか、よろしく…」
丁寧に挨拶を交わしてくるローズニル。
だがその表情からは明らかに活気が失われている。
「おいィ?何か元気がなさそうに見える系の話があるんですがねぇ?」
「いや…こっちの話さ、気にしないでくれ」
「何か困り事があるならこの至高の騎士がカカッっと解決してやるんだが?」
「けっこうだよ…そもそもこんな話自体、君が信じられるかどうか…」
「聞いてみないとわからにいんじゃないかな?まぁ一般論でね」
「…君も物好きだね…まぁいい、話すよ…俺にはね、フレデリカという恋人がいるんだが…」
「ほう?」
「そのフレデリカが…人魚になってしまったんだ…」
「…hai?」
ローズニルの話はこうだった。
この町の近くにある「人魚のすみか」と呼ばれている場所を二人で歩いていた時の事。
どこからか今まで聞いたこともないような美しい歌声が聞こえてきて気が遠くなり…
気がついた時、ローズニルが見たのは人魚たちと交わっているフレデリカの姿だった。
その時すでにフレデリカの姿もまた人魚に変わっていたらしい。
そして次にローズニルが襲われそうになり、彼は人魚たちから必死に逃げてきたのだ、フレデリカを置いて…。
「おいィ…人魚の歌で命ロストの危機とかそれ絶対魔界大冒険だろ…」
「後でもう一度「人魚のすみか」へ行ったがフレデリカは完全に人魚の仲間になっていた。もうこっちへ戻ってくることはないのだろう…俺はずいぶんフレデリカをないがしろにしてきたからな。その罰なのかもしれない」
すっかり意気消沈してしまっているローズニル。
ブロントさんが「お前…それでいいのか?」と、語りかけるが…
「もう何もする気になれないんだ。ここにいるのは恋人も歌も言葉も失った間抜けな男さ」
ローズニルは諦めてしまった様子でそこから動かない。
「こんな話に付き合ってくれた君には感謝するが…もう少し…一人にしておいてくれ…」
「メガトンパンチ!」
「ウボァー!?」
ローズニルくんふっとばされた!
「な、何をするだァ――ッ!!」
「ネガはやめておけと言っているサル!ラルシもオルビアを連れ去られて深い悲しみに包まれたがなんとか取り戻すために色々頑張ってるんですわ?お?」
「ラル…?あぁラルス君か。君は彼と知り合いだったのかい」
「おいィ?ラルシを知ってるんですかねぇ?」
「君が来るより少し前に彼もここに来たんだ。ドゥヂチにいる番人の女性を口説いてほしいと…今はこんな状態だから断ったけどね」
意外な所でラルスの手がかりが見つかった事に驚くブロントさん。
そこでさっきの急いでいるラルスの姿から一つの事実に思い当たった。
「ところでローズニリさん」
「何か用かい?」
「さっきの話ラルシにもしましたか?」
「してない」
「そうですかありがとうラルシの急ぎぶりすごいですね」
「それほどでもない」
「やはり話していた!」
「…ってあれ!?何故だか自然にこの会話が出たんだけど!?」
ちなみに姿を消してこの光景をばっちり見ていたストゥーナは「やだ…なにこれ…」というか鬼なっていたらしい。
「それでわかった感。ラルシはきっと人魚の澄香に行っている。ラルシは本能的に勇者タイプだからよ。困ってる人間をほっておけにいのは確定的に明らか」
「そんな…彼が僕とフレデリカのためにそんな危険を!?」
「助けたくて助けるんじゃない、助けてしまうのが勇者」
ラルスがフレデリカを助けに人魚のすみかへ向かった事を知り、ローズニルはかなり驚いている。
そんな彼に背を向け、部屋を出ようとするブロントさんにローズニルが声をかけてきた。
「ブロントさん…君はどうするつもりなんだい?」
「ラルシの後を追う系の仕事があるのでこれで」
「待ってくれ!俺も…俺も連れて行ってくれ!会ったばかりの彼が命を賭けているのに、フレデリカの恋人である俺が黙ってるわけにいかない…頼む!」
「いいぞ」
「やっと許しが出たか!…あれ?また自然に出たけど何この会話?」
人魚のすみか…と呼ばれる洞窟にやってきたブロントさんとローズニル。
その名の通り、この場所には人魚系の夢魔が多数はびこっていた。
そしてそれらに襲われる度にブロントさんが撃退していくわけだが…
「やるね、ブロントさん。人魚相手にも全く動じないとは」
「いや、ローズニリこそ見事な詩人だと関心はするがどこもおかしくはない。グルッペンのギルバートですね」
意外にもここでローズニルがかなり役に立っていた。
さすがは人気の吟遊詩人。
彼が竪琴を奏でる事で夢魔とのSEX中に「ムード」が上がり、結果としてブロントさんを有利にする方向で働いたのだ。
いわゆる点でノーリスクのノーリスクハイリターンジョブであった。
そうして二人は力を合わせて洞窟を進んでいくと…
「…この声は!?」
「どうすた!?」
「フレデリカの声だ…こっちだ!」
恋人の声を聞きつけたらしいローズニルが洞窟の奥へと走っていった!
そしてそこにいたのは…
「どうして…どうしてまた来たの…ローズニル…」
「フレデリカ…」
一人の美しい人魚…どうやら彼女がフレデリカのようだ。
その近くにはやはり先に来ていたラルスの姿もある。
「…帰って。私はもう、あなたの知ってる私じゃないの」
「フレデリカ、聞いてくれ。俺は…」
「私は醜い、淫靡な魔物。あなたも見たでしょ?私が犯され、変わる様。私の歌は悪夢の調べ。もう誰にも届かない。今もほら、こうやって…」
フレデリカが手をかざしたその瞬間、不思議な力でラルスの体がフレデリカに引き寄せられ、そのまま捕らえられてしまった!
「憐れな獲物を惹きよせるだけ…」
「フレデリカ!やめろっ!」
「あなたがやってきた事と同じよ、ローズニル」
「違う!フレデリカ、頼む、もう一度俺の言葉を…」
「嫌よ。あなたの言葉はもうたくさん…お願い、ここからいなくなって…」
ローズニルの言葉にフレデリカは全く耳を貸さない。
「ここは…水中…」
突然、ローズニルやラルスもいるこの一帯が海水で満たされた!
どうやら現実の海水とは違うのか呼吸は出来るが、水中ではまともに動けない。
だがフレデリカだけは人魚と化したその体で水中を自在に泳ぐ事が出来る。
「あなたに愛の浮力を…」
ラルスを捕まえたまま、フレデリカはローズニルから離れるように浮き上がっていく!
「フレ…デリカ…」
「ここには二人だけ…さぁ、肉体の重みを忘れ…溺れましょう…ともに…」
もはやローズニルは眼中にないフレデリカ。
彼女はそのまま水中でラルスを犯し始めた!
フレデリカがラルスを犯す様を見せつけられ、ローズニルはそれをどうする事もできないでいる。
「ここまで…ここまで来て…助けられないのか…?」
「何諦めが鬼なってるわけ?」
「ブロントさん!?」
「諦めたらそこで試合終了という名セリフを知らないのかよ」
「しかし…僕の言葉はもう…彼女には届かない…」
「まだ終わってないと言っているサル!とにかく何かやってみるべきそうするべき!」
「何か…言葉以外で…どうしたらフレデリカに…」
必死に考えるローズニル。
だが自分に出来る事と言ったら女性を口説くこの会話スキルと、あとはこの竪琴を奏でる事だけ…
「…いや…そうか!」
そこでローズニルが取った行動。
それは…竪琴を奏でる事だった。
「まだ…そこにいるの?」
ローズニルの演奏が聞こえたのか、フレデリカが反応する。
「…嫌…やめて…」
フレデリカは落ち着きをなくし動揺し始めた。
なんとかそれを振り払おうと、ラルスへの責めに意識を集中させる。
「どうして消えてくれないの…」
しかしローズニルの演奏はなおも続き、フレデリカの耳に届く。
いくらラルスを責めても、振り払えない。
「この曲…思い出させないで…」
どうやら思い入れのある曲なのか、人間だった頃の記憶を思い出していくフレデリカ。
そしてそれはフレデリカの心の中でどんどん大きくなっていく。
「私の歌…どこへ届くの……私の声…誰に届けば…」
フレデリカの集中が大きく乱れた。
自身のあふれ出る感情をどこに向けていいのかわからなくなっているのだ。
「私は…竪琴…どこに…私の弾き手…」
そこでフレデリカは、目の前にいるラルスに目をつけた。
今、自分のこの気持ちを受け止められるのは、彼しかいないと考えて。
「奏でて…私を…甘い歌を…」
フレデリカが、ラルスを誘ってきた。
ラルスもまた、それに答えるようにフレデリカを抱き寄せる。
「ふあぁっ!?」
ラルスがフレデリカに挿入してきた!
後背位の形で繋がった二人は感情のままに快感を貪りあう!
「そんな…だめ…はげしっ…」
後ろから激しく突かれ、フレデリカは強い快感を感じていた!
演奏で高まっていたムードが彼女の快感を増幅させていたのだ。
「気持ち、いいっ、あぁっ」
もちろんフレデリカ自身も腰を振ってラルスに快感を与える。
この水中では人魚の彼女が圧倒的に有利。
だがローズニルの演奏で最高潮になったムードはむしろラルスにこそ有利だった。
ペースはすっかりラルスに逆転され、フレデリカの快感はどんどん大きくなっていく!
「もう、だめぇ、イ、イくぅっ!!」
そうして、ついにフレデリカは絶頂に達した!
それで力が抜けたのか、浮かんでいた彼女の体が水底へとゆっくり降りてくる。
そして水底に着いた瞬間、一帯に満たされていた海水も一瞬にして消え、同時にフレデリカの姿も人魚から人間へと戻った。
「あぁっ…」
「フレデリカ!」
元に戻ったフレデリカの元へあわてて駆け寄るローズニル。
それにフレデリカは微笑みながら答えた。
「ローズニル…ひどい人…まだ私を…あなたから離れさせて…くれない…のね…」
それだけ言い残すと、フレデリカはその場で意識を失った。
その後、フリーベリの宿屋にて。
「本当にありがとう…君のおかげだ。医者の話ではフレデリカは体力を消耗しているだけでじきに目を覚ますらしい。目が覚めたら…もう一度話し合ってみることにするよ」
ラルスに礼を言うローズニルの姿があった。
その表情からははっきりと安堵している様子が感じられる。
「そういえばブロントさんはどこに行ったんだろう。いつの間にかいなくなっていたんだが…残念だ。彼にも礼を言いたかったのに。そうだ、君は彼と知り合いなのだろう?今度会ったら俺が礼を言っていた事、どうか伝えてくれ」
その言葉にラルスは力強く、黙って頷いた。
「ブロントさん、どうして途中でいなくなっちゃったの~?」
「ネローナか。一級ナイトは空気も読めるからよ、あの場ではあれ以上俺がでしゃばっちゃいけにいと思った。自慢じゃないがPT組んでる時に「ヴァナの永江衣玖ですね」と言われた事もある」
「か、かっこいいタル~」
「メローナ、お前それでいいのか…」
キャラ解説
【ローズニル】
人魚のすみか編の重要人物で、すごいイケメンの吟遊詩人。
フレデリカという恋人がいるにも関わらず女性を口説く癖がある。
自分の彼女とラルスがヤってるのを見ながら竪琴を奏でていた彼は一体どんな心境だったんだろう。