ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
れ、連休中にもう1回は更新したいです。多分。きっと。
今回は新キャラ登場……もっとも、ぱっと見るだけですが。
ヒワダタウンでの日々は、そんなに長く引き伸ばされることなく終わりを告げた。
ヤドンの井戸からはロケット団達は1人残らず撤収していて、機材なんかも残っていなかった。一応、ジュンサーさん達の間で情報共有して警戒しておくらしい。
私は例によって検査入院したけど、特に以上もなかったので翌日には退院できた。
その間に、ナオヤは商談を見事に纏めていて……メイは2つ目のバッジを手に入れていた。インセクトバッジだっけか?
この町のポケモンジムのリーダーって虫ポケモン使いなんだったっけ……やっぱ無理だったか。メイのウルガモスに対抗するのは。
そんなわけで、明日にでもこの町からは出立する、って方針で固まったんだけど……そんなヒワダタウン最後の夜、ナオヤが気になる土産話を持ってきた。
「泥棒? ウツギ博士のポケモン研究所に?」
「うん。僕も急に聞かされてね、びっくりしたよ」
ポケモンセンターの2段ベッドに親子で入り(上:ナオヤ、下:私とメイ)、後はもう電気消して寝るだけ、ってな段階になって、ふと思い出したようにナオヤが聞かせてくれたのがそんな話だった。
商談を成立させた後に、会社の人からもたらされた情報らしい。
今の言葉の通り……ワカバタウンのウツギ博士のポケモン研究所に、泥棒が入った……という知らせだった。
「ひょっとして……ロケット団とか?」
「いや、それはわかんないけど……多分違うと思う」
「? どうして?」
「手口がさ、ロケット団っぽくないんだよ。明らかに、なんていうか……プロっぽい感じがするんだ」
話を聴けば、研究所に残されていた侵入の痕跡は、かろうじて誰かが侵入したということがわかる程度のごくごく僅かなものだったそうだ。
かつてカントー地方では、ロケット団が民家なんかに侵入して泥棒をはたらくなんていう事件も多くあった。だから、ポケモン関連での空き巣事件なんかが会った場合、けっこうな頻度で捜査線上にロケット団が上がってくる。
けどそういう事件の場合、お世辞にもプロとは言えないような、犯行の露骨な痕跡が残ってたりする。土足で部屋の中に入ったり、物色した箇所がそのままになってたり。
まあ……連中、ただのポケモン関連犯罪なんでもやる子悪党集団であって、プロの窃盗集団ってわけじゃ全然ないんだから、そりゃ仕方ないのかもだけどね。
けど今回の侵入者は、そういった雰囲気がないそうだ。
さっきも言ったとおり、最低限の痕跡だけを残し、侵入の事実すらも悟らせないような完璧な隠密行動。セキュリティシステムも全部かいくぐって、気がついたときには全てが終わり、犯人は逃げてしまった後だったそうだ。
十重二十重に仕掛けたセキュリティの1つが発動して警告を発しなければ、侵入された事実そのものが発覚しなかった可能性すらあるらしい。
監視カメラなんかにも、姿は映ってなかったという。
しかも、だ。
さらに奇妙なことに、その泥棒は……
「!? 何も……盗まなかったの?」
「うん。不法侵入が発覚してすぐ、研究所内の備品やサンプル、研究素材なんかのチェックが行われたけど、なくなってたものは何もなかったんだってさ。もちろん、ウツギ博士が保管してたポケモンなんかも」
「……逆に不気味ね、それ?」
「研究所内のデータを狙ったスパイか何かかも、っていう可能性も考えたらしいんだけど、不正アクセスやデータコピーの痕跡もなかったんだって」
……つまり、ホントにその泥棒――何も盗んでないから、そう呼ぶべきなのかちと微妙ね――は、ただ研究所に忍び込んだだけ、ってこと?
「……まあ、忍び込んだはいいものの、お目当てのものがなかった、って可能性もあるけどね」
ナオヤ自身、色々と考えていたみたいだけど、結局結論には至れなかったとのこと。
まあ、泥棒の考えることなんてわかりゃしないしね……ましてや、何も盗まずに帰ったへんてこりんな泥棒さんのことなんて。
「……ま、私達に実害がなければそれは別に放っといていいでしょ」
「そうだね。博士も、今後はセキュリティにもっと気を配る気になったみたいでさ、その次の日にうちの子会社のセキュリティシステムを契約したんだって」
え、シルフってセキュリティ会社も子会社に持ってたの?
てか、商魂たくましいわね……そんなとこでも営業活動か……。
「てか、この際アイカもそこのお世話になれるようにこっちで手配しようか?」
「え? セキュリティ? いや別に、うちみたいな普通の民家にそんなもん……」
「そうじゃなくて、アイカ自身だよ……またロケット団に捕まって酷い目にあったんでしょ? いつもいつも脇が甘いというか……」
うっ……それ言われると痛いわね……。
なんかもう、何者かの作為が入ってるんじゃないかってくらいに、私って悪の組織とかそういうのに狙われて監禁されてエロい目にあったりするんだもんなあ……。
「いや、まあ大丈夫だって。もう気にしてないし、私が油断してたのも悪いんだからさ。わざわざそんなSPみたいなの付けられたら、窮屈でたまんないって」
「その割に何度も同じような目にあってるくせに……それにSPなんて、別に気にしなけりゃいいだけの話だよ? 僕にもついてるけど、なれてるからもう気にしてないし」
……え、何それ?
ナオヤに、SP? いや、そんなの見たことないけど……
「四六時中、ってわけじゃないけどね。遠くに出かけたりする時とかは、例外を除いて基本的にかくれて僕のこと警護してるんだよ。子供の頃から」
「そ、そうなの!? 知らなかった……てか、気付かなかった」
「気付かれちゃ意味ないからね、その筋のプロ集団だし、アイカじゃ気付けないでしょ」
こともなげに言うナオヤ。
マジか。SP……本格的だなあ。もしかして、今も見張ったりしてるのかな?
と聞いたら、別に四六時中監視してるとかそういうわけじゃなくて、単にナオヤとその仲間が危険な状態にならないようにだけ監視しているらしい。プライバシーとかあるから。
部屋の入り口付近とかを見張ったり、周囲に怪しい人や車、装置その他がないか見て回ったりしてるそうだ。本格的。
「ま、今後さらにアイカの被害がひどくなるようなら考えるとして……寝ようか」
「そうね……お休み」
話はそこで終わりにして、電気を消して私とナオヤは眠ることにした。
☆☆☆
翌朝。
かなり早く目が覚めちゃったので、ナオヤやメイが起きる前に軽く散歩でも……と思って明け方の町を歩き回っていた。
人なんて別にいないだろうな……なんて思っていたら、意外とこんな早い時間でも起きている……というか、働いてる人はいた。
ガンテツさんの工房からは、ボール作りをしているらしい音が聞こえてくる。
木炭作りの工房からは、もうもくもくと黒い煙が煙突から立ち上っている。
ウバメの森の方に歩いていく、虫取り網と虫かごを持った、紫色の髪の……ん? アレってここのジムリーダーじゃ……?
そんな感じで、意外と朝から活気のある町にちょっと驚きながら、ちょっといい思い出のないヤドンの井戸に行ってみた。
そこには、『KEEP OUT』の文字の書かれた黄色いテープが張ってあって、立ち入り禁止に……なっていたはずなんだけど、
そこに通りがかったちょうどその時、そのテープの向こう側……井戸の中から、1人の人が出てくる所だ。
繰り返すけど、立ち入り禁止の井戸の中から。
その人は……なんていうか、ちょっと怖い? 雰囲気のある人だった。
男の子……だと思う。多分だけど、私やナオヤと同い年くらい。
赤い髪に、黒い服……顔は美少年、って言えるかもしれないけど、目がかなり鋭くて……ぶっちゃけ、目つき悪い。
……っていうか、何でだろう?
なんかあの目つき、どっかで見たことあるような……?
すると、その人がこっちに気付いたらしく、一瞬だけこっちを睨むように見て……しかしすぐに視線をはずして歩き去った。
黄色いテープを乗り越えて、何も言わずにその場から立ち去った。
……何だろう、今の人……?
目が合ったのは一瞬だったけど……何か言いたげな目だったような……?