ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
「ようこそ挑戦者君。僕がこのエンジュジムのジムリ……」
「あ、お久~マツバ兄。元気してた?」
――ドガシャンッ! ガタン、ガタ、バタバタバタ……
「ど、どうしたんですかジムリーダー? 挑戦者の相手をするんじゃ……」
「無理無理無理無理無理無理!! 来た、奴来た!! ゴメンちょっとトラウマがアレでコレでソレして無理だから家庭関係がギクシャクして僕の青春と母さんのあの生暖かい目の記憶が姉と妹で悪魔の所業でうわあああああああああ!!?」
「し、しっかりしてください!? だ、誰かーっ!
――いっけね、トラウマ刻んじゃってた。
☆☆☆
マツバ兄、私かお姉ちゃんが視界に入ると過呼吸起こすそうなので、ジムバトルはナオヤとメイだけで実施。
見事勝利してジムバッジをゲットしてました。
もしかしたら直前の悪夢の体験のせいで本調子じゃなかったかもしれないけど、勝負は何が起こるかわからないもんだよねっ!
さて、その後やることなかったので、メイと2人で、このエンジュシティに古くからある建物の1つである『やけたとう』っていう場所に行ってみることにした。
元々は『スズの塔』と同じくらいの高さのあった、荘厳な塔だったって聞いたけど……家事で焼けちゃったらしい。今は1階と地下1階が残るのみだ。
中はすすと灰だらけで何もないんだけど、観光のついでに立ち寄ったり、歴史マニア的な人たちが時たま訪れるそうだ。
噂では、この塔にはもともと伝説のポケモンがすんでたらしいんだけど……家事の時に逃げ出していなくなっちゃったとか何とか。
残念……一度見てみたかったのに。
そんな中。
ホントに何もないなー……とか思いつつ、塔の1階部分を歩いてると……向こうから、結構な音や話し声が聞こえてきた。
まるで、ポケモンバトルをしているような音や……言い争うような声も。
もっとも……すぐにやんだけど。
「くっ……強い……!」
「ふん、その程度か……やはり――など――の敵じゃあ無いな」
視界に入ったのは、ちょうど、2人のポケモントレーナーが互いのモンスターボールにポケモンを戻している所だった。
そのうち1人は……知ってる顔だ。
赤い髪に黒い服、目つきの悪い目……ヒワダタウンでであった、あのトレーナーだ。
立ち入り禁止のはずのヤドンの井戸に、普通に入って出てきてた男。
そしてもう1人は、紫色の少し派手で大仰な感じのデザインのスーツの身を包んだ男だった。薄い茶髪で、一応整った顔をしている。
2人の表情を見るに、勝者は赤い髪の彼のようだ。負けたほうのスーツの人、まるで親の敵みたいな目で相手を見てるけど……何が原因でバトルになったのやら。
「認めないぞ……! 認めないし諦めない! 私はこれからも求め続けるぞ、私の信じる道を! そして、ここにいたという伝説のポケモンも!」
「ふん……勝手にすればいい。だが、これ以上俺に突っかかってくるのはやめろ。お前が何を求め、何をしようと興味なんざないが……俺は俺の信じる道を行くだけだ」
そして赤い髪の彼は、床に空いた大きな穴から、塔の地下に目をやると……
「……ここにいたっていう伝説のポケモンも……お前の言うとおりなら、興味も失せたしな。さっさと帰ることにするよ……で、そこの2人は何か用か?」
と、ここで初めて、私とメイがとっくに彼に気付かれていたことを、私達は知った。
その言葉に、ちょっと私達は驚いて……彼の相手をしていたスーツの彼も、『え?』といった感じでこっちを向く。
「……別に何も? ただ……通路の真ん中でバトルされてちゃ通れないもんだから、立ち往生してただけだけど?」
「そ、そうか……確かにそれはそうだな、失礼した。私としたことが、つい熱くなってしまってね……」
と、気付いたようにスーツの人が私達に道を開けてくれた。そして、自分もそこから離れ、他の場所へ歩いていく。
私とメイは、ちょっとだけこの2人のトレーナーのことがひっかかりつつも、別に気にしてもしかたないか、と割り切って……塔の奥へ行くため、まだその場に立ち止まっている赤髪のトレーナーの横を通り抜けて、その場から歩き去った。
……その彼とすれ違う瞬間、
その謎のトレーナーの視線が、私と、そして私の横を歩いていたメイに向けられて……なぜか一瞬だけ、フッと笑ってたように見えたけど……?
☆☆☆
『やけたとう』は、1階より上は全部燃えちゃって、もうない。
そしてその下、地下1階は……こっちも燃えてしまった。
いやまあ、スペースとしては残ってるんだけど……木造の部分はほとんど燃えちゃってるんだよね。
だから、床とかなくて、もう地面まるだしの状態なんだけど……かろうじて、上の階とつながるはしご部分だけは無事だったみたいで、下に下りることが出来た。
まあ、何もないだろうけどね……とか思ってた私とメイの予想は、大きく外れることになった。
地下一階の中心部。
そこには、3匹の……見たこともないポケモンが鎮座していた。
黄色い体に鋭い牙を持つ、獣……虎みたいなポケモン。
茶色の体に赤い頭を持つ、ライオンみたいなポケモン。
そして……青いすらりとした体で、頭に大きなクリスタルみたいなものがついてる、狼みたいなポケモン。
一目見て、ただのポケモンじゃないとわかった。存在感が段違いだから。
おそらく……『伝説級』と言っていいポケモンだと思う。イッシュ地方で見たポケモンたちの中で、似たような存在感のを上げるなら……コバルオン・テラキオン・ビリジオンあたりか。それか、コピペロス。
3体のポケモンは、ほぼ同時にこっちに気付いて視線を向けてきたかと思うと……うち2匹、赤と黄色のポケモンは、そのままどこかへ走り去ってしまった。
しかし、残った青い一匹はというと……ゆっくりとした、優雅にも見える足取りで、こっちに近づいてきた。
そして、私とメイの目の前まで来たかと思うと……
(……ぇっ!? な、何……この状況!?)
くんくん、と、
鼻先を近づけて……私の股間のにおいをかぎ始めた。ちょ、ちょっと、何!?
さっきまですごく神々しい感じだったのに何コレ、と、私とメイが戸惑いつつも唖然としている前で……その謎のポケモンは、ひとしきり私の匂いをかぐと、しかしそれ以上は何もせず、その場から立ち去った。
先の2匹と同じように、風のように走り去って。
……この色々と謎なポケモンの正体が、ジョウト地方で伝説と称されるポケモン……『ライコウ』『エンテイ』『スイクン』であるということがわかるのは……もうちょっと後のことだった。