ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
これまで何度も味わってきた陵辱という屈辱。
しかし、それらがお遊びに思えるくらいの苦しみが……今日一日で、きっちりと私の心に恐怖を刻み込んでいた。
何だかんだで、今まで私が味わってきたのは、快楽を伴った精神を責めるタイプの責め苦だった。だから、心が折れそうになったり、快感に負けて堕ちそうになることはあっても……命の危機までは感じることはなかった。
まあ、今回も命の危機を感じたと言うか、殺されそうになったわけじゃあない。
でも……否が応でもそんな思考がよぎってしまうくらい、あの痛みは……アテナの鞭の痛みは、鮮烈で、凶悪だった。
ドククラゲの触手……そのしなやかさと頑丈さ、そして叩くと同時に、痛みを増幅させる薬品が染み出し、私の肌に何度も何度も、鋭い痛みを刻み込んだ。
快感を伴わない、単なる痛み。その残酷なまでの仕打ちは、私の心を一気に危機感で追い詰めてしまったのだ。
アテナの楽しみが終わり……すなわち鞭打ちの時間が終わると、今度は輪姦の時間が始まる。しかし、その宣告が救いに感じてしまうほど、私の心はアテナの鞭を、深層から恐怖に感じてしまうようになっていた。たったの1日で、だ。
輪姦される私の姿に興奮するアテナ、それを鎮めるため、私を痛めつけ……気が済むとまた輪姦が始まる。
そんなサイクルで、1日は過ぎた。
心身ともに衰弱しきってしまった私は、いつの間にか気絶してしまっていたようで……気がつくと、夜になっていた。最後の鞭打ちは、確か夕方前だったように思える。
「あら、起きたの?」
「ひっ……!?」
何かを思うより先に……聞こえた声に、体が反応してしまう。
小刻みに震えだした体を、両肩を抱くようにして押さえつけながら……声のした方を振り向く私。
そこに立っていたのは……アテナだった。
しかし、手には……鞭は持っていない。
それに気付いてホッとするも……アテナは私の目の前で服のポケットをまさぐると、中から何かを取り出した。
そして、私に差し出してくる。
これは……犬用の首輪? それも、リードのついた……
「つけなさい」
私の目の前――いつの間にか、両手両足は自由になっていた――にそれを突き出して命令してくる、アテナ。
いつもの私なら反発して突っ返すか、そうでなくてもせめて睨み返すくらいはしてたと思う。バカにするな、って。
でも、今の私は心に余裕がない。
抵抗するということが思いつかず……それを手に取り、首に巻きつける。
金具をベルトの穴に通し、ちょうどいいくらいの大きさで固定して……これでいいだろうかと、恐る恐るアテナを見た。
「ふふっ、よく出来ました。お利口な娘は好きよ……? もし逆らってたら……」
するとアテナは、私からは見えない位置……腰の後ろのホルダーに止めていたらしい鞭を取り出して手に持ち、誰にも当たらない位置でひゅんっ! と唸らせる。
「ひっ……!」
その風切り音だけで、私の体は再び震えだす。気のせいか……目じりに熱い感触までも。
「さ、立ちなさい。移動するから……これからあなたが生活する場所へ案内するわ」
言われるがままに私は立ち上がり、アテナの後について歩き出す。
全裸のままで、廊下にいるロケット団達の欲望と蔑みの視線にさらされながら。
それでも、私には……ただ黙ってついていくことしか出来なかった。
だめだ……怖い……! アテナに、逆らえない……!
☆☆☆
監禁されていた部屋を出た時、私は、ここがどこだったのかをすぐに理解した。
(コガネシティの、地下通路……?)
曜日によって色んな露店が出店されてたりする、地下通路。私がロケット団の衣装を拝借した貸衣装屋も、ここにある店の一つ。
もっとも、ロケット団が来たせいで、すっからかんになってるけど。
さっきまで私がいた部屋は、この地下通路の一室……倉庫か何かを、即席で監禁部屋に改造したものだったみたいだ。
アテナと数名のロケット団員は、私をつれてその地下通路の……『関係者以外立ち入り禁止』の横道の先にある、ロックされた扉へ入っていった。さらに1つ階段を下りて。
地下2階……? この町、そんなのあったんだ……?
そこは……かなり大きな倉庫だった。
色んな商品みたいなダンボールが大量に、そこかしこに積まれてる……そこかしこっていうか、壁際に寄せられてる感じだな。
そして、その奥に連れて行かれると、そこには……1人の、壮年の男性がいた。
上はワイシャツに、下は黒っぽいスーツ。どっちも何だか高級そうな感じの服だ。
年相応って言っていいのか、白髪の頭は、ぼさぼさだった。口元には無精ひげが生えている。しかし顔は『おじいさん』でありながらダンディな感じで、髪を整えて髭をそったら、けっこう様になるんじゃないかなと思えるいでたち。
服も高級なものだと思うし、どこかのセレブっていうか、偉い人みたいに見える。
しかしその男性は……手錠で片腕を、部屋の大きな柱の一つに繋ぎとめられていた。
わかりやすく、監禁されている。
手錠の鎖が長いから、ある程度なら自由に動けそうだし……手首の部分は革だ。よく見たら、さっきまで居た部屋で私を縛ってたのと同じ手錠だ。
だから、ある程度は部屋の中を自由に動けそうだし、そこまで窮屈そうでもない。
……監禁されてる時点で相当窮屈だろうけどね、十分に。
その男性は、こっちを見て……私達の先頭を歩いているアテナを見つけると、
「……また来たのか」
「それはもちろん、何度でも来ますわよ。局長さん」
と、アテナが返す。局長……?
もしかして……ラジオ塔の局長!? 塔を占拠してから、ここに監禁してたの!?
そう言われてみると、少し前に雑誌でインタビュー記事が載ってた、コガネシティのラジオ塔の局長さんの写真の……あの人に似てる気がする。今更だけど。
「何度きても私の返事は同じだ、お前達に協力はしない」
「あら、相変わらず冷たいお言葉ですのね……報酬は望みのままにする、とアポロ様もおっしゃっていますのに」
「結構だ。私は悪事に加担したりなどしない……皆が楽しんで聞けるラジオを作る立場のものとして、それを悪用して権力や金を生み出す道具にする気は無い」
「あらあら、態度は相変わらず冷たいけれど、いつ聞いてもご立派ですこと……」
……どうやらロケット団は、この局長さんに、自分の協力者になれ、って迫ってるみたいね。それでこんな所で監禁されてるのか……うんと言うまで逃がさないつもりで。
ラジオ塔の局長となれば、ジョウト地方では屈指の著名人でありVIP。そんじょそこらの金持ちなんかじゃ足元にも及ばない、各分野の発言権なんかを持ってる。
そんな人を裏の協力者にできれば、このジョウト地方で色々と動きやすくなるだろうし、狙うのも頷ける……上手くいってないみたいだけど。
「まあでも、私達も少々浅はかだったと考えていたんですの。お金だけで、あなたほどのお方の協力を仰ごうなんて、鞭で失礼でしたわね……だから局長さん、今日はあなたに、新しくお土産を持ってきたんですよ」
「土産だと? 何を……っっ!?」
直後、
アテナが横に一歩ずれると……局長さんの視線が私に向かい、その目が見開かれた。
ああ、アテナが邪魔で見えなかったんだ、後ろで立ってる私のことが。
いや、そりゃびっくりするよね……いきなり目の前に、全裸の女の子が現れたら。
どん、と背中から押され……私は足がもつれて前に、局長さんとアテナのちょうど間に倒れこむ。
上体を起こしながら、アテナを、そして局長さんを目の端で見る。
ちょっと……どっちも、直視する気にはなれないから。
局長さんは、私を見て……戸惑いと驚きに表情を歪ませている。
「な、何だ一体、これは……何のつもりだ!?」
「こんなせせこましい所に何日も押し込めてしまって、わたくし達としても申し訳なく思っていたんですの。それで、せめて娯楽の1つでも提供できればと思いまして……」
そこまで言ってアテナは、私の首の首輪の、首の後ろの部分をガッとつかんで乱暴に引っ張り、無理矢理体ごと局長さんの方を向かせた。
「こちらの女の子、お好きにお使いいただいて構いませんわよ、局長さん。命令すれば何でも言うことを聞きますから、身の回りのお世話から肉便器まで、ご自由に」
「っ……!? 君達は……何と非道なことを……!!」
裸に首輪。完全に奴隷扱いされている私を見て……それに多分、私の体中についてる赤い鞭打ちの痕にも気付いてるだろう……局長さんは、顔に怒りを浮かべた。
正義感の強い性格なんだろうか、私の今の境遇を見て、怒ってくれてる。
が、当のアテネはどこ吹く風。
「あら、遠慮なさらないで下さいな。もう何日もここにいて、色々とおつらいのでは? お体でも壊されてしまっては私達も困りますし、気分のリフレッシュは大事ですよ? それに、丁度いい運動にもなりますし……ここだけの話、この子中々の……」
「私を侮辱するな! こんな、こんなむごい目にあわされている子を前にどうしろと言うんだ! ふざけたことを……お前達は……!」
呼び方が『君達』から『お前達』になってるな、なんていうどうでもいいところに気付いたけど、何も言わないでおく。目の前では、局長さんが叫ぶように怒ってる。
「我慢は体に毒だと申してますのに……それなら、一度試していただければわかると思いますわ。……さ、アイカちゃん、この方のお相手をなさい」
ぐい、と前に突き出すようにして首輪から手が離れる。
そのせいでまた倒れそうになって……しかし今度は、もともと膝立ちだったから手を突くだけでなんとかこらえられた。
ちらっ、と振り向くと、アテナは再度、目で指示してくる。
視線を前に戻すと……目の前には、パイプ椅子に腰掛けている局長さんの下半身があった。しわが目立つようになった、高級スーツに包まれた下半身が。
アテナの命令が再度、頭をよぎる。……この人の、セックスの相手をしろと。
えっと、それにはまずズボンを……「やめなさい!」……!
私の思考をさえぎり、手を動かそうとした刹那のタイミングで、局長さんの叫び声が私の手を止めさせた。叱るような、しかしどこか優しい声が。
はっとして顔を上げると、疲れた顔の、しかし力強いまなざしの局長さんと目が合った。
「そんなことはしなくていい、このような奴らのいうことなど聞かなくていい! 君はまだ若いんだ、体を、自分を大切にしなさい……」
諭すように言ってくれる局長さん。
……なんて言うか、一言一言に重みがあるなあ……コレが年長者の、いや、人生経験を積んだ先達の貫禄って奴だろうか。
アデクさんとか、オーキド博士にも似た感じのがあった気がするなあ……それに、ナオヤのお父さんや……ちょっとしゃくだけど、サカキの奴にも少し。
……ゲーチスにはなかったな。
結構強い口調で言ってくれてるのに、何だか包み込まれるようで安心する……なんて、私は、私を気遣ってくれるこの人の言葉に、思わずじーんとしてしまっていた。
……そんなことしてる場合じゃない、ってことも忘れて。
「あぐっ!」
「っ! き、君!」
ぐいっ、と、
また後ろから乱暴に首輪を引っ張られ、私は何歩か分後ろに引きずられていく。
そして、私の眼前に……ずいっと、アテナが顔を突き出して目を合わせてきた。
そこにいたって私はようやく、はっとする。やってしまったと。まずい、と。
「何をしているの……私は局長さんの、私達ロケット団の大事なお客様を満足させろといったのよ?」
「あ、あの……」
「それを、ボーっとして何もしないばかりか、遠慮なんてものをさせてしまうなんて……お仕置きが必要ね……」
青ざめる。その言葉に。
目の前でアテナが……振りかぶる―――鞭を。
「や、やめ、待っ……」
――ビシィッ!!
「――っっあぐあぁぁああっ!!!」
身を切る痛み。
強張り、背筋が反る。そのまま倒れこむ、私の体。
電気ショックでも流れたかのような激烈な反応の後、倒れている私の体は痙攣を始めた。上手く呼吸が出来ない……過呼吸みたいに苦しい。それに、痛い。
「おいっ! な、何を……その子に何を……」
「ごめんなさいね局長さん、礼儀のなってない子で。ちゃあんと教育しなおしますから……少しだけお待ちくださいな」
――ビシィッ!!
――ビシィッ!!
「やっ、あっ、が! っ……ひぎぃっ! やめて……もう……」
――ビシィッ!!
――ビシィッ!!
――ビシィッ!!
――ビシィッ!!
「っ! …………っ……!! ……、……」
「……あら、気絶しちゃったみたいね。しょうがないわ、今日はここまでにしましょう。では局長さん、本日はこれにて失礼しますわね? ああ、この子はこのままここに住まわせますので、今・度・こ・そ・遠慮なくお使いくださいね」
遠ざかっていく。アテナの声と足音が。
言ったとおり、私はここに放置されるらしい。
気絶してはいない。まだ、だけど。あと数秒で、意識途切れるけど。
ただ……何だか、あまりの痛みで、かな? 体が上手く動かなくなっただけ。
遠ざかるアテナたちの足音よりも近くで、
「なんと……むごい、ことを……っ!!」
局長さんが、何も悪くないのに……私を案じて泣いてくれている嗚咽が聞こえた。
……これから……どうなるんだろう……?