※この作品はR-18です。

ポケットモンスター Erotic Generation   作:破戒僧

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今回、一挙2話更新です。
第31話とあわせてどうぞ。


第30話 その名はシルバ

 

 

 時は少しさかのぼり、

 アイカとカリンが失踪してから数日が経過した、ある日の夜のこと。

 

 当然ながら、ナオヤ達はアイカと連絡がつかなくなったその時点で、捜索の準備を始めていた。そして音信普通が2日目に到達した時点で、調査を開始した。

 

 ナオヤに話す時間はなかったが、例によってアイカはメイに『私と1日以上連絡つかなくなったら何か起こってるから、私に連絡せずにすぐにナオヤに知らせて』と普段から言い聞かせていたおかげで、異変の察知そのものは早かった。

 

 しかし、誤算だったのは……コガネシティ全体に広がっていたロケット団の影響と、それによる妨害工作だった。

 

 いつぞやのヤマブキシティと同等、いやそれ以上の規模。ロケット団は、完全に制圧、というほどではないにせよ、コガネシティのほぼ全体に団員を散らばらせていたため、警察もうかつには動けない状態だった。

 

 それをいいことに、ロケット団は隠れたりすることもなく、堂々とコガネシティの都市機能を手中に収め、外部からの侵入・接触をありとあらゆる手段で持って妨害し続けた。

 

 電子空間でも行われていたそれのおかげで、介入はおろか情報の伝達すらも酷く遅いものとなっていたために……対策は遅々として進まなかった。

 

 多少強引な手に出る必要があるか……とナオヤが考え始めた、そんな頃だった。

 

 

 夜、

 自宅でもあるシルフカンパニー社屋・居住区画の通路を歩いていたナオヤは……曲がり角に差し掛かった所で、足を止めた。

 

「…………誰だ?」

 

 曲がり角の向こう側に、誰かがいる。

 

 隠れている、とは言いがたい。壁に寄りかかっているらしい体の3分の1ほどが、こっちに見えている。

 

 ナオヤが無言で腰のモンスターボールに手を伸ばすと、

 

「……警戒するな、ってのも無理な話だからそのままでいい。聞いてくれ」

 

 そう言って、声の主は通路の向こうから半分体を覗かせる。

 

 赤い髪に、黒い服。年のころはナオヤ自身と同じくらいの……鋭い目つきの少年。

 

 目の前のその少年の特徴が、以前アイカから聞かされていた……チョウジタウンのロケット団アジトを始めとする各所で見かける少年と一致することにナオヤが気付くまで、何秒もいらなかった。

 

 そして、ナオヤのその心の中を見透かして、『正解だ』とでも言うかのように、少年はあるものをナオヤに投げつけてきた。

 

 丁寧にパッケージに包まれた……『いかりまんじゅう・プレミアムエディション』。

 

「ホントはまた、家族3人で食べてもらおうと思ってたんだが……どうもそういう状況でもないらしい」

 

「お気遣いどうも。……とりあえず、色々とアイカたちが世話になったみたいだね、ありがと」

 

「礼には及ばない。俺の都合と……ただの自己満足だ」

 

「……? どういう意味?」

 

「……悪いが今時間がない。押しかけといてなんだが……世間話はまた今度ってことで、本題を話させて欲しいんだが……いいか?」

 

 赤い髪の少年は、不本意ではある様子だったが、ナオヤとの話を一方的に切り上げた。

 

 そして、眉間に若干のしわを寄せるナオヤに、自らがここに来た……もっと言えば、ナオヤをたずねて来た理由を……そして、ある1つの『提案』を話し始めた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ……というのが、数日前の話。

 

 その後数日をかけて準備した計画を、今ナオヤとその少年は実行に移している。

 ロケット団主催の低俗なパーティ……協力者も多く集まるその会場を摘発し、一網打尽にしつつ人質達全員を救出する、という計画を。

 

 つい今しがた、怨敵アテナの声を下の階から聞きつけたアイカとカリンを見送ったナオヤとメイ。

 

 その直後、ナオヤのライブキャスターに連絡が入った。

 あらかじめ設定していた着信音で、誰からのものかを悟ったナオヤは、画面で相手を確認することなく通話ボタンを押す。

 

『ナオヤか?』

 

「誰にかけてるんだよ、自分で」

 

『ああ、そうだったな。その分だと順調そうだが……お前んとこの嫁と義姉はどうした?』

 

「お礼参りに行った。手加減する気ないみたいだったけど……丁度いいさ。解体業者呼ぶ分の代金が浮く」

 

『おっかねえな、お前のカミさんは……まあでも、作戦自体に影響がないなら何よりだ』

 

「そういうそっちは?」

 

『問題ない……今、ナルシストのバカの鼻っ柱を叩き折ったとこだ。アテナはもうじきぶちのめされるだろうから……これで幹部は全滅だな』

 

「了解。じゃ、後は手はずどおりによろしく……シルバ」

 

 返事を待たず、ナオヤは通話を切った。

 

 

 

 しかし、その相手はと言うと……特にそれを気にした様子もない。

 自分も同じようにライブキャスターをOFFにすると、やれやれ、とため息をつく。

 

「……さっきから火災報知器がうるさいのはそういうわけか。見た目どおり勝気……を通り越して苛烈な性格してるらしいな、あのアイカって子は……」

 

 そんなことを呟く彼――シルバは、そのホテルの地下室にいた。

 

 そしてそこで、積み重ねられた何人もの下っ端ロケット団員の上に座っていた。

 

 まるで、捨てるために1箇所に寄せ集めたゴミの山のように積まれた下っ端たち。バトルマンガなどでなら、実力者がザコ敵を一掃した後などに、その圧倒的な強さや格の差を表現するため、時々見られる構図だ。

 

 そしてその一番上が、幹部のランスだった。

 

「うっ、ぐ……こ、この小僧が……っ!」

 

「あんまりそういうこと言うと、その小僧に叩きのめされてる自分が虚しくなるからやめた方がいいぜ? ……しかしおせーな迎え、まだかな?」

 

 座っている下で身をよじって逃れようとしているランスの頭をわしづかみにし、舌になっている別の下っ端に押し付けて黙らせるシルバ。

 

「ったく、どうせ成功するはずねーんだから、大人しくしてりゃよかったのに……」

 

「お前が! 偉そうな事を言うな! この、七光りが……っ! 綿密な計画を立てての周到な準備の末に今日の日を迎えた、我々の苦労も知らずに……!」

 

「もちっと殊勝な、尊重するに値する類の努力ならそうしてやらんでもなかったんだがな……ったく、人様に迷惑かけるようなバカやって自慢するたー何事だ」

 

「お前がッ……! なぜお前がそれを否定する!? あの方の血を引くお前が……ロケット団の中でも、確かな地位を約束されていたはずのお前がぁぁあああっ!!」

 

「…………ランスお前それ、まだ直ってねーのかよ。つか、こんなことで嫉妬されても困るんだけどよ……そもそも俺、ロケット団になんざ入らねーって昔から言ってるし、親父にも了承取り付けただろうが」

 

 

「――冷たいことをおっしゃいますね、シルバ様」

 

 

「「…………!!」」

 

 突如、動くものはランスとシルバ以外に誰もいなかったはずのその場所に……そのどちらのものでもない声が響いた。

 

 その方向に視線をやると、立っていたのは……ロケット団最高幹部・アポロ。

 

 それを視界に捉えた瞬間、シルバはうんざりしたような顔になり……対照的にランスは、地獄に仏を見たような顔になった――その瞬間に、シルバの手刀が決まり、その体から力が抜け落ちた。

 

「てっきり捕まってくれたもんだと思ってたんだが……しぶといね、お前も」

 

「伊達にロケット団の最高幹部を務めておりませんとも。国際警察の包囲網程度なら……まあ、楽ではありませんでしたが突破できないことはありません。しかしまさか、それを仕向けたのがあなただったとは……知った時は落胆したものです」

 

「今更だな。前々から知ってたろ? 俺がお前らを嫌ってるのは」

 

「それでもいつかわかってくれると……そして、お父様――ボスの後を引き継いで、我々の次期リーダーとなって我々を導いてくれると思っていましたので。ご存知ありませんでしたか? 今もなお、ロケット団の中には……あなたを慕うものも多いことを」

 

「知ってるよ。だからこそ、この上ない形でつっぱねてやったんだろーが、こうして」

 

 はぁ、とため息をつくアポロ。

 

 すると、彼が口を開く前に……シルバの下から、うめくような声が聞こえた。

 

「お前がッ……このロケット団を否定することが許される思っているのか……ボスの血を引き、ボスの座を約束されていたお前が……! サカキ様の息子であるお前がぐがっ!?」

 

 言い終わるか終わらないかのうちに、『しぶてーな』の一言とともに再びシルバの手刀がランスの首元を一撃。今度こそ意識を刈り取った。

 

「……こんな風に、お前も俺に失望なり何なりしてくれれば楽なんだがな」

 

「難しいですね……性分ですから。サカキ様に忠誠を誓っている私としましては、ご子息であり、一流を超える才覚をお持ちのあなたにも期待してしまいます」

 

「……その親父もこないだ、俺が後継者から降りるの認めてくれたんだからよ……お前も諦めてほしいもんだよ。何で急に認められたのかしらねーけど」

 

「それは同感ですが、無理な話です。本来なら、ロケット団ジョウト地方の総指揮官はあなたになるはずだった……私がこうして今ついてはいますが、今も私は思っていますよ……あなたに、我々のトップに立ってほしいと」

 

 その言葉を聴いて、しばらく黙ったシルバだが……すっくと立ち上がると、下っ端の山のてっぺんから降りてきた。

 

 アポロの真正面に立ち、その鋭い目つきでアポロを睨みつける。

 

「……お変わりないですね……その目。サカキ様と同じ、鋭い、全てを射抜くような目だ……」

 

「……アポロ、お前ほどの男なら、もちっとましな生き方ってもんがあるだろーに……はっきり言うぞ。俺はロケット団には入らねえ。泥舟に好んで乗る気はねーからな」

 

「泥舟、ですか……ふふっ、確かにそうかもしれませんね……特に、今ここにおける我々などは。ランスはあのとおりで、アテナやラムダにも連絡がつきません。おそらく……」

 

「ラムダのバカは事前にとっ捕まえてある。ここ数日は、国際警察から派遣されたなんとかって奴が変装してラムダの代わりをやってたはずだ。ラジオ塔の偽局長とかな」

 

「おや、酷い意趣返しだ……偽者の偽者ですか」

 

「色々と下準備が必要だったもんでな……大変だったんだぜ? パスワードや施設の見取り図の入手、それに……捕まってる人質達の救出作戦なんかもな。国際警察に情報をリークしつつ、協力者として動いてくれる連中に声をかけて、内部に侵入して計画の準備をするための手助けをしたりとかな」

 

 あの夜、アイカの救出とロケット団の壊滅のための作戦に手を貸してほしいと申し出たのも、その一環だった。

 

 話を聴いて、それを了承したナオヤにシルバは必要な情報を全て渡した。そしてその上で、作戦の準備や救出に必要な全ての段階で手を貸していた。

 

 アイカたちが捕まっている場所の調査、その情報や目的のリーク、

 

 メイがそこに忍び込んで色々と裏工作を行ったり、アイカ達の元へ言って作戦を伝えるための補助、

 

 さらに、偽の情報で秘密裏に呼び出したラムダの逮捕……そしてそれに伴う、国際警察の潜入捜査員によるラムダとの入れ替わり、etc……

 

 皆、確実にこのジョウト地方のロケット団を再起不能にするための策だった。

 

「以前から邪魔なさっているのはわかっていました。いつか考え直してくださると期待申しあげておりますが……今はとりあえず、火の粉を払わせていただきます」

 

「永続的にそれでかまわねーぜ? もっとも……次を与えるつもりはねえが」

 

 直後、

 シルバとアポロは、腰のモンスターボールに同時に手をかけた。

 

 

 




金銀ライバルの彼、名前は『シルバ』になりました。
暗殺一家のお父さんの顔がよぎった人、すいません。

金銀の男主人公がよく『ゴールド』って呼ばれてて、ライバルがその対比で『シルバー』って呼ばれてるのをネットで見たことがあったのでそっから持ってきました。
……自分のネット閲覧傾向が偏ってるだけだったらすいません。
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