ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
○Side アイカ
「おお、君がアイカ君か! アララギ君から話は聞いておるよ、はるばるよく来たなあ!」
「はい! お会いできて光栄です、オーキド博士」
カントー地方はマサラタウン。ヒウンシティから、知り合い伝手(つて)の船で送ってもらってここまで来た。
その、自然の多い町で町でひときわ目立つ建物……オーキドポケモン研究所で、私はかの有名なオーキド博士と対面していた。
やはりというか……アララギ博士とは一風違って、しかし似てもいるような……フランクでありながら威厳が漂う人だ。
……アララギ博士に関しての軽薄なイメージが私の中にあるせいかもしれないけど。
ともかく、そこで、今のポケモンについてオーキド博士が考える理論なんかを、プチ講演会みたいな感じで聞かせてもらえた。
自慢じゃないけど……私、昔から、アララギ博士の研究所に出入りして資料とかも見てたから……一般人とかよりは全然、そういう話も、専門用語もあるていどまでわかる。
だから、普通なら退屈に感じるかもしれない専門的な講義でも、けっこう有意義な時間を過ごせる。
そんな私に、オーキド博士の話は、すごく魅力的で面白いものだった。
ひとしきり話した所で、これからの話に。
「ふむ……ところで、アイカ君は……これからどうするつもりなんじゃ?」
「そうですね……せっかくのカントーですし、色々回ってみたり……イッシュ地方でそうしたように、ジムバトルしてめぐってみたり、っていうプランを考えてます」
「そうかそうか、うむ……有意義な旅になるといいのう」
そう言って、オーキド博士はうんうんとうなずく。
そして、ちょっと貸してごらん、と……私からポケモン図鑑を受け取ると、手元にあったマシンで最新版にバージョンアップしてくれた。
これで、検索とか……あとは、全国図鑑も見れるようになったわけだ。
私は、オーキド博士に丁重にお礼を言うと、そのまま研究所を後に…………
……しようとして、
どんっ
「きゃっ!」
「おっ、と……ごめんよ」
入り口の所で、ちょうど今入ってきたらしい男の人にぶつかった。
歳は……同じくらいかな。
茶髪に、ちょっと悪い目つき。
Tシャツにジーンズ、ポケットの多い多機能ベストを身につけている人だった。
一応私も謝ってから、今度こそ私は……研究所を後にした。
……この時会ったその人と、今後……何度も会うことになる、ということを……この時の私は、まだ知らなかった。
☆☆☆
「ん? おお、今度はジャクか! 久しぶりじゃのう!」
「どうも、久しぶりっすねオーキド博士。お元気そうで何よりです」
その直後、
アイカとぶつかったその初年は少年は……研究所に入り、オーキド博士と談笑していた。
彼の名は『ジャク』。隣町であるトキワシティ出身のポケモントレーナーで、オーキド博士の教えを受けて育った1人である。
数ヶ月前、トレーナーとして旅立って以来、直接ではこれが久しぶりの、オーキドとの対面であった。
「ふむ……ほう! 捕獲したポケモンの数もじゃが……ジムバッジも順調に集めておるようじゃな。ひい、ふう、みい……4つか!」
「ええ、まあ……1週間後には5つ目を手に入れる予定ですよ。俺の目標は、チャンピオンですからね」
「うむ、志を高く持つことはいいことじゃ、がんばれよ」
昔話に花を咲かせつつ話す2人。
と、そこで……ジャクは、先ほどぶつかった少女のことを思い出した。
「そういえば、博士……さっき、ここから見慣れない女の子が出てきましたけど……博士の知り合いですか?」
「ん? ……ああ、アイカ君のことじゃな。彼女はつい先日カントーを旅しに来たばかりでのう……イッシュ地方のトレーナーなんじゃよ」
「イッシュ地方!? また、遠くから来たんすね……しかも、こんな田舎に……物好きもいたもんだ」
驚くジャク。
そして同時に興味も示す。もしかしたら、自分が見たことのないポケモンをつれていたり……知らない知識を持っているのではないか、と。
「ふむ……まあ、物好きはそうかも知れんが……腕は確かじゃぞ? 何せ、イッシュ地方のジムを全て制覇しておる強者じゃからな。このカントーのジムも、全て回るつもりだと言っておった」
「! ……へぇ……」
そして、強い。
ジャクの中で……彼女への興味がより大きくなった。
(イッシュ地方のトレーナー、か……)
心の中でつぶやき、ジャクはにやりと笑った。
……一方、その頃、
別の町には……もう1人のイッシュ地方のトレーナーが降り立っていた。
☆☆☆
○Side ナオヤ
「ふぅ、ついたか……」
数時間のフライトの後に、僕は故郷……カントー地方のヤマブキシティに帰還した。
ファーストクラスだったから、疲れたりすることは無かったけど……別に、あんな高い席取らなくても……まったく、相変わらずうちの父親は、何考えてるんだか。
……ここに来るのは『久しぶり』だけど……むしろ、始めて来たみたいな感じがするな……。
なにせ、ヤマブキシティってカントーでも有数の都会で、開発がどんどん進んでるから……見渡しただけでも、見慣れないビルやマンションなんかがいくつもある。
それでも……『故郷』っていう感じは微かに残ってるんだから、不思議だよね。
……ホントは……アイカと一緒に来て、色々回れたらよかったんだけど……アイカにはアイカのやりたいことがあるんだしね。
今頃、オーキド博士に会ってる頃かな。
「……ま、後で……合流できるよね。きっと」
自分に言い聞かせるようにそう言って、きっぱり切り替える。
さて、じゃあ……僕は僕の用事を済ませに行かないと。
さっさと父さんに会って……僕は僕の恋人ができた、って……きっぱり言わないと。
そして、全部終わったら……今度こそ、アイカを誘って……カントー地方を回ろう。2人で……一緒に。
そう心に決めて、ヤマブキ空港を出た、
……直後。
……僕の目の前に……黒塗りのリムジンが、いきなり停車した。
思いっきり周囲の視線を集める中で、黒服の、いかにもSPらしい感じの人が1人出てきて……僕の前に出て一礼し、車のドアを開ける。
「お待ちしておりました、ナオヤ坊ちゃま。お迎えに上がりました」
「……別に、頼んでないんだけど……?」
「このくらい当然のことです。何せ、数年ぶりのご帰省ですから」
……いきなり、出鼻くじかれた気分だ……。はぁ、これだから……
先行き、不安だなあ……
ため息をつきながら、僕は車に乗った。
……そして、
十数分、そのまま車に揺られ……本当なら歩いて向かうはずだった、その『目的地』に到着する。
ついたここは……まあ、『実家』って言えば『実家』だけど……別に、家じゃない。
どっちかって言うと『職場』。ただ、まず挨拶を入れるべき父がここにいるから、ここにきただけだ。
しかし、とうとう帰ってきてしまった……という実感の中、やはり出てしまうため息。
車のドアをSPの人が開けてくれたので、いつまでも乗っているわけにも行かず……重い足取りで、リムジンの外に出ると……
……そこには……予想通り過ぎる光景が。
……いや、外れてほしかったんだけどね。
「「「お帰りなさいませ、ナオヤ様!」」」
……父が待つ建物の入り口へと続く、一本道。
その両脇にずらー……っと並んだ、ビジネスマン風の男女数十名。……僕の出迎えのためだけに集まったと見える。……いや、SP的な役割もあるのかもしれんけど。
……そして、
その道の続く先にある建物、それは……『シルフカンパニー』の本社。
……この建物の……最上階に、父がいるわけだけど……
「お待ちしておりました、ナオヤ様。どうぞこちらへ」
「社長……いえ……お父様がお待ちかねですよ」
……いや、
いくら社長令息だからってさ……いつもやり過ぎだって……