ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
ハナダシティを後にして、私が次に向かったのは……クチバシティ。
その時、ちょうどナオヤもクチバシティに行く予定だっていうから、ちょっとの間だけ行動を共にすることにして……一緒にクチバシティに向かった。
で、ついた先のクチバシティだけど……その港に、大きな船が泊まってた。
なんでも、世界一周する豪華客船で、『サント・アンヌ号』っていうらしいんだけど……どうやら、ナオヤの用事っていうのが、その船に乗ることらしくて……って、え? 世界一周行くの?
「いや、行かないけど……どうも、その辺、父さんの陰謀が見え隠れしててさ……」
「……? どういうことそれ?」
「うん……この船の出港、明日なんだけど……僕のお見合い相手が……何人か乗ってるらしいんだよね……。会わなきゃ失礼なくらいに重要な人は1人か2人なんだけど……」
「そのまま船に乗せて、世界一周に行かせて……船の中でお見合いパーティならぬ、お見合いハーレムでもさせようっての? アンタの父さんは」
「そうかも知れないし……や、でも、そんなことになるつもりもないんだけどね」
言いつつも、私達は……その『サント・アンヌ号』が停泊してるクチバ港に向かう。
そして、ナオヤが持ってるチケット(プレミアっぽい)だと……3名まで乗船可能、っていうことらしいから、よかったら私も……って誘われた。
……面白そう……かも?
☆☆☆
私は、ナオヤと一緒に船に乗船して……共用で使えるらしい、ナオヤの部屋に入った。
一応、上流階級も乗ってる豪華客船。ましてや、ナオヤと一緒にいるわけだから、そういう人達にも会うだろうし……船の中を歩くには、それなりの格好をしておいた方がいい、っていうことらしい。
私のラフな格好だと、ちょっと歩きにくいかな、と思ったんだけど……
ナオヤの部屋。そこのクローゼットには、何故か……ナオヤの服のほかに……いろんなサイズの、女物の……高級かつオシャレな服が、いろんな種類ずらりと入っていた。
ドレスっぽいのから、町でも普通に歩けそうな、ラフかつ上品さもあるものまで。
「……なんで、僕の部屋に、女の子の服が……?」
「お見合いで見初めた子を連れ込んで、そのまま一緒に寝泊りできるように……とか考えたんじゃないの?」
「ああ、そういうこと……ははは……」
呆れ気味のナオヤとそんな会話を交わしつつ……私は、ナオヤに断って、その中から1つ選んで借りた。動きにくいのは勘弁だから、見た目ノーブルなやつを。
……うん、着心地はいいわね。
そのまま、一旦別行動にして……後で、一緒に回ろう、ってことになった。
ナオヤは今のうちに、何人かのお見合い相手達に、きちんと断ってくるらしい。いくら重要度……? が低いって言っても、そういう所をできる限り丁寧に済ませるのが、ナオヤのいいところ……とも言える。
そこに私もついていったら……まあ、いくらなんでも失礼よね。
☆☆☆
それで、私は……ナオヤの用事がすむまでの間、船の中を散策している。
途中、いろんな場所に通りがかった。プールとか、レストランとか、ゲームコーナーとか……カジノは、さすがに行くのやめたけど。
と、そんな中……
「あれ、もしかして……アイカじゃないか?」
「!」
聞き覚えのある声が聞こえて、振り向くと……やっぱり。
そこには、3度目の邂逅になる、あのナルシストトレーナー……ジャクがいた。
いつものラフな格好……ジーンズにTシャツにベスト……ではなく、いかにも偉そうな感じの、紺色のフォーマルスーツ姿。顔もいいから……見た目はけっこう決まっている。
「いやー、奇遇だな? お前もこの船に乗ってたのか?」
「……そうね」
そのままなれなれしくこっちに来るジャク。調子よさそうな笑顔を顔に貼り付けて。
服装からして……実家とかが、結構裕福なのかもしれない。……実際、本人……わがままっていうか、自己中っていうか、そういうところあるし……。
「お前、このまま世界一周行くのか? 次ここに来るの……1年後らしいけど」
「ちょっと用事があって乗っただけよ。私、出航前に下りるわ」
「お、また奇遇だな。俺もそうなんだ」
「あっそう」
「でも、用事ってことは……船の中の案内が必要か? もしよかったら、俺が案内してやるぜ?」
「いいわよ、探検しながら行くから」
「お、それいいねえ、楽しそうで。ついてっていいか?」
あー、うっとおしい……このチャラ男、どうにかできないかなー……
☆☆☆
その後……いろいろ回ったけど……ことごとくこの男がついてきて、楽しさ半減。いや、それ以下。
っていうか、こいつ……いつになくしつこい……。
あー……この船は楽しいんだけど、早く降りたいなー……
でも、入り口では出入りに、乗船・降船に関わらずチケットが要るから、チケット持ってるアイツが一緒じゃないと、この船、降りられないし……
外はすっかり夕暮れ時。そんな船内を、私が特にあてもなく歩いていると、
ふいに……さっきまで後ろをストーキングしていたジャクが、壁に手を突いて、私の前に立った。進路をふさぐ要領で。
……かっこつけてるつもり……なの? 全然つけれてないけど。
「……何か用? そこ居られると、進めないんだけど」
「あぁ、実はさ……俺の部屋、このすぐ近くなんだよ」
……いきなり何言い出すの?
「まあ、最高級とまでは言わないけど……ゴールドランクの部屋でさ、広いし、居心地いいし……ベッドなんか、すげー大きくてフカフカなんだぜ?」
「……それが?」
「もしよかったらさあ……そのベッドに、寝てみたくないか、アイカ?」
……なるほど、言いたいことは理解した。理解したくも無かったけど……。
そろそろ我慢が限界にきそうなので、無視して通路の反対側から通り過ぎようとすると、またふさがれた。……しつこい……。
「私、忙しいんだけど」
「何も特にやることないって言ってたじゃんかよ?」
「それでも、あんたに構ってる暇は無いわけ。散策も結構楽しいから」
「もっと楽しいこと教えてやるからさ……なぁ? 俺の部屋、行こうぜ、アイカ?」
にやついて私を誘い……肩に手までかけてくる。顔も近い。聞きたくも無い息遣いが聞こえる。
そしてその手に至っては、だんだん下に下がっきてて……そろそろ指先が胸の辺りまで伸びそうになってたり……
……そろそろ、殴ってもいいわね……
とりあえず右フック、と私が拳を握り締めたその時、
「あ、お待たせアイカ! 遅くなってごめん……何してるの?」
「「!」」
後ろから、唐突に……そんな声が聞こえた。
振り返ると、そこには……ノーブル&フォーマルな礼装に身を包んだ、ナオヤの姿。
わ、一瞬びっくりしちゃった……結構かっこいいかも……。
そのナオヤはというと……私が、見知らぬ男に肩に手を回されてるのを、唖然としてみてる。……あー、ちょっと待ってね、今コイツ振りほどくから。
と、私よりも先に、ジャクの方が先に口を開く。
「あー、お前この子の知り合い? 悪いけどさ、邪魔しないでくれよ。この子、今から俺と……」
「ナオヤ! もぉ……遅いわよ!」
瞬間、私はジャクの手を振りほどいて、そのまま……ナオヤの腕に飛びつく。
そして、そのまま……恋人同士がやる要領で腕を組む。
その様子を、唖然としてみてるジャクと……いきなり抱きつかれてびっくりしてるナオヤ。構わず、私は歩き出す。ナオヤ引っ張って。
すると、ジャクがまだ何か……
「お、おいアイカ? 待てって……っていうか、お前アイカの何なんだよ?」
やっぱり殴ろうかしら、と思って私が振り向くと、
私より先に……今度は、ナオヤが口を開いた。
面白く無さそうな顔をしているジャクに向き直り、きっぱりと、
「……恋人ですよ、この子の」
そう、きっぱりと……
………………って……
……………………ちょっと……あんた……
……それは、さすがに、不意打ち……
やばい、私、今、たぶん…………顔超赤い!
「えっ、な……それ本当……」
「い、行こナオヤ! 早く!」
「えっ? う、うん……」
さっきより更に早足で、私はすたすたとその場を後にした。ジャクは完全に無視して。
っていうか……歩かずにいられない。顔が赤くて、熱くて……じっとしてられない。
……ああもう! 恥ずかしい! 嬉しい!
「あ、アイカ……? どうしたの?」
「な、なんでもない……ナンパなんかされて、機嫌悪いだけ! ほら、さっさと部屋!」
「あ、うん……」