ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
どうぞ。
○Side ナオヤ
社長室に……窓を破壊して直接乗り込んだ僕は、
そこで……1人の男と、にらみ合っていた。
「……これは驚いた……まさかの招かれざる客だな……」
「それはそっちだろ……人んちに勝手に上がりこんで何してるのさ……?」
男の名は……サカキ。ロケット団のボス。
社長室で……部屋の主である社長その人を、最早そっちのけで……僕ら2人は、どちらからともなく、にらみ合っていた。
……色々と、言いたいことはあるけど……その前に、と。
直後、
僕の目配せに応え……隣に浮遊して控えていたポリゴンが『サイケこうせん』を発射。
しかしそれは、サカキではなく……
……見るに耐えない動画を垂れ流していた、ノートパソコンに命中し……跡形もなく消し飛ばした。
それに、ほう、と、感心を織り交ぜた反応を返すサカキ。
「これは……大したものだね……光線の早さも威力も、素晴らしい」
「……ノーパソ、弁償した方が?」
「いや、構わないよ。このくらいは必要経費だろう」
おどけた様子で返すサカキには……しかし、隙は見られない。
やれやれ、とため息をつくと、口を開いた。
「しかし、予想外だな……どうやって父親の会社の危機を知ったのかはわからないが……まさか直接、しかもこんな手段で乗り込んでくるとは……存外、行動力があるらしい」
「これが一番手っ取り早かったしね。階下にはどうせ、下っ端がわんさかいるんでしょ? とても面倒くさくて、相手してられないし」
「ふむ……まあ、確かに、効率的だ……が……」
そこでサカキは、机の上の……さっきまでノートパソコンがあった位置を一瞥し、
「例えそうでも……先に階下をきっちり処理して来るべきではなかったかな?」
「だからそれだと効率悪いんだよ……それに、報告もらったあんたさっさと逃げちゃうだろうし」
「ふむ……逃げざるをえない状況に出来ることは前提なわけか……まあいいだろう」
しかし、とサカキは続ける。
「先ほどの映像を見ていたならわかると思うが……残念なことに、こちらには交渉のカードがある……人質という名の、ね」
……なるほど……やっぱ、そう来るか。
さっき、ノートパソコンに映し出されていた動画は……一瞬見ただけだけど……見間違えようもないものだった。
アイカが……ロケット団の連中によって、無残に犯されている姿。
そして、もう1人……長い黒髪の女の子……かつて、僕がここに住んでいたころ、愛かも入れて3人で一緒に遊んでいた、幼馴染……
今は、この町のジムリーダーを勤める少女……ナツメ。
その2人の、あんな動画があるってことは……2人は人質になっていることは自明。
……しかし、
「それなら心配無用……今頃、救助が終わっている頃だよ」
「…………何だと?」
と、
僕の口から飛び出した、予想外の返答……自分達の切り札であるはずの、切り札そのものを否定されたサカキは……さっきまでの余裕のある表情を、若干崩した。
そして、僕が特にセリフを撤回する様子を見せなかったからか……懐から、スマートフォンのような通信端末を取り出す。部下に確認するつもりだ。
……が、しかし……
「……つながらない……だと?」
おそらく初めて、サカキの顔に困惑が浮かぶ。
同時に……それだけで『何をした?』とでも聞こえてきそうな、鋭い眼光が……僕を捕える。本当に、予想外の事態なのだろう。
……まあ、いいか、教えてあげても……教えたからって、何か出来るわけでもないし。
「何も難しいことはしてないさ。ただ……」
一拍、
「……こいつに、久々に暴れてもらっただけだ」
隣に浮いている、僕の相棒……ポリゴンを指差して、僕は言った。
☆☆☆
○Side アイカ
私とナツメが……幽閉されている、倉庫。
見た目より、壁なんかもずっと頑丈で……ちょっとやそっとじゃ破壊できない。
扉の外側に鍵があるから……用途は違うけど、牢屋としても意外と高い性能を発揮していた、その倉庫は……
扉が消し飛び、壁が粉砕され……見るも無残な状況になっていた。
そして、コレをやったのは……
「お母さん、大丈夫!?」
「メイ……こんなとこまで、よく来たわね……」
自分の身長よりも1.5倍近く大きな、ウルガモスを従えた……メイだった。
……っていうか、メラルバ……進化してたんだ? いつの間に……
当然、メイだけじゃない。
「あ、ああああアイカちゃん……だ、大丈夫ですかっ!?」
「おやおや……酷いことするねえ、ここの、ロケット団って連中も……」
「どこにでもいるもんですね……プラズマ団みたいなやつら……でも、アイカちゃんが無事でよかった……あ、いや、ちょっと無事じゃない、かなぁ……?」
私の姿―――幽閉されてたそのまんまだから、全裸だ―――を見て、狼狽するシキミさん、
プラズマ団と変わらない、ロケット団の鬼畜っぷりにに呆れる、アーティさん、
そして、同じく呆れつつ、私を心配してくれる、フウロちゃん。
なんとまあ……ジムリーダー2人に、四天王1人とは……そりゃ倉庫もふっ飛ぶわね。
と、思ったら……何かまだ何人か、他の階で暴れてるらしい。
アロエさんとか、ハチクさんとか……ハナダシティのカスミとかも来てるらしい。
……すごいわね……摘発が大掛かりとはいえ、なんて豪華メンバー……。
そして、その中から……私の救出ってことで、私が裸を見られても平気な面々が選ばれて、ここに来た……ってわけだ。
メイはまあ、当然として、
シキミさんもフウロちゃんも、同じ女の子だし……シキミさんに至っては、前にポケ姦シーン見られちゃってるし……
アーティさんは……女性の裸を裸婦画のモデルとしか認識しないから大丈夫。
そして、ナオヤは直接敵のボスと戦うために、直で最上階に行ったそうだ。
ホントは、こっちに救助に一緒に来るはずだったらしいんだけど……人員は足りてるから、とりあえずメイ達に任せて……頭を叩きに行ったんだとか。
……それと、もう1つ理由が……
……ナツメ。彼女の存在。
私と同様……陵辱され、精液まみれで横たわっているナツメは……その強靭な精神力のお陰か、心が壊れていたり、極端に不安定になってる様子は無い。
しかし……女としての地獄を味わったのは事実。
私みたいになれてるわけじゃないし……心に折った傷は大きいだろう。
ましてや、そんな姿を……アイツは気にしないだろうけど……思い人である、ナオヤには……見られたくないはずだ。
だから、ナオヤには……今回、はずしてもらったわけだ。
その、ナツメはというと……突然、救助の手が差し伸べられたこの状況に……頭が追いついていないらしく、
私と同じ……全裸に、体のあちこちに精液がこびりついた姿で……ぽかんとしていた。
……えっと、まずは……ナツメを再起動させて……
次に、身だしなみどうにかして……
「はい、お母さん。お湯でぬらしたタオル」
「ありがとメイ、気がきくわね」
「うん! それと……服とモンスターボールも、きっちり取り返してきたよ!」
さすが我が娘……着眼点がしっかりしてるわね。
……さて、
全部終わったら……それから、ナオヤに合流ね。
☆☆☆
○Side ナオヤ
「……にわかには、信じられんな……まさか、そんなことが可能だとは……」
僕が、このビルに侵入するに当たって『やったこと』……それに対するサカキの反応がコレだ。
「別にいいよ、信じなくても……どの道、やることは変わらない」
今回、サカキは……外部との連絡手段を立つために、シルフ本社を占拠した後……セキュリティを含むネットワークを掌握し、外部とのつながりの一切を遮断。
それにより、外部へ助けを求めることも……外部から車内の様子を確認することも、全く不可能な状態になった。
同時に、社内で何かあった場合……たとえば、侵入者が来た場合なんかは、社内のセキュリティシステムを応用して、すぐにわかるようになってる。
この状況は……こいつをとっちめるにせよ、アイカ達を救出するにせよ、こっちに著しく不利だ。
だから、根本から何とかすることにした。
……何をしたのかと言うと……至極簡単。
ポリゴンに頼んで、この会社のネットワークにハッキングし、侵入&掌握。
それによって……サカキが完全に握っていたはずの、この会社の全てのネットワークを……完全に奪い返した、ってだけだ。
そうなりゃあとは簡単。何しようが、どう暴れようがセキュリティ発動しないように出来るし……当然、サカキに連絡も行くはずが無い。やりたい放題だ。
シルフカンパニーで作られた人工ポケモン『ポリゴン』は、もともと、データから作られたバーチャルポケモン。そのくらいのことが出来る能力を持っている。
―――ただし、サカキもバカじゃない。そのくらいの対策はとっていた。
「……解せないな……そういった、外部からのハッキング攻撃に対しての対策は、万全を期していたはずだが……」
「へえ、そうなんですか?」
「電子攻撃において最凶といわれる、『ポリゴンZ』の攻撃をも防ぐシステムを使っていたよ……にも関わらず、感知することも出来ずに乗っ取られるとは……」
なるほど、それはすごい。
ポリゴンZといえば、プログラムの暴走によって生まれた、ポリゴンの最終進化系。
たった1匹で、大規模なネットワークをまるごとクラッシュさせるだけの力を持つ……とまで言われるポケモンだ。
その攻撃をも防ぐセキュリティシステムか、そりゃ確かにすごい。
……けど、残念。
僕のポリゴンは……ちょっと特別なんだ。
どういう意味かって言うと……僕のポリゴンは……普通のポリゴンはもちろん、進化系であるポリゴン2や、ポリゴンZすら持っていない、色々な能力を持っている。
さらに、共通して持っている能力も含め……それらのスペックが異常に高い。
それゆえに、単に戦闘能力が高いにとどまらず……普通は使えない技や特性を使ったり、技の威力が段違いに強かったり、ハッキングとかの戦いに関係ない能力もずば抜けて高かったりする。
……そして、この能力……というよりスペックは……別に、突然変異とかでこうなったわけじゃない。元々こうだ。
いや、というかむしろ……ポリゴンってのは、元々こうだったはずなんだ。
しかし、これらの能力は、スペックは高いけど、その代わりに、ポリゴン自身もトレーナーも扱いづらいし……生産コスト的に全く非現実的だった。
だから……他のポリゴンは、ここまでの性能は持ってない。持っているのは、僕の、この1匹だけだ……。
……さて、
勘のいい方なら……もうわかったんじゃないかな?
……と、表情を見る限り……どうやら、サカキも察したらしい。
そういうことさ……僕の、このポリゴンは……
「そうか……シルフカンパニーによって、『最初に』作られたポリゴンか……」
「そういうこと……正真正銘、この世界に最初に誕生した……ポリゴン第1号さ」
こいつは……このポリゴンは……僕が、父さんに最初にもらったポケモン。
その正体は……研究当初、ハイスペックを追及しすぎたために……強くはなったものの……戦闘力、電子演算力、その他あらゆる分野で強くなりすぎて、
僕を除けば、誰一人こいつの真の力を生かしきれなかった、とてつもないオーバースペックを持つ孤高のポリゴン……それが、こいつなんだ。
ちなみに。
それ以降に生み出されたポリゴンは、制御不能を防止するために……著しくダウングレードしたものばかり。
つまり……ちょっと言い方は悪いけど、こいつの劣化コピーだ。
「なるほど……それなら、納得できる……」
と、サカキは悟ったように言って……
そして……ちら、と、視線を向けた先には……
……先ほど、バトルさせるためにサカキがくりだした……しかし、1秒ともたずにポリゴンによって瞬殺されたニドキングが……気絶した状態で横たわっていた。
「この有様も、うなずけるというものだ……相性の問題もあるとはいえ、私が育てたニドキングが、こうもあっさりと負けるとはね……」
「決して弱くはなかったと思うよ?」
うん、むしろ強かったと思う。見た目からでも、その重厚さや、パワーが伝わってきたくらいだ。
……ただ、
「それ以上に……どうしようもなく、僕もコイツもキレてただけだ」
「なるほど……興味深いな……君も……そして、そのポリゴンも……」
言うなり……サカキは、ニドキングを回収し、新しいモンスターボールを構える。
僕も、ポリゴンに目で指示し……新たな敵への素早い対処に備えようとした……
……その時、
「はいはーい……ごめーん、ちょっと代わってくんない?」
「「「!」」」
聞きなれた声と共に……社長室の、本来の出入り口である扉が開く。
そこには……
「やっほー……遅くなってごめんね、ナオヤ……とゆーわけで、バトンタッチしてくんない? そこのおじさんに色々と言いたいことあるからさ」
階下のロケット団員を、おそらくは片っ端からなぎ倒してここに来たと思しき、アイカとヘルガーのコンビが……堂々と立っていた。