ポケットモンスター Erotic Generation 作:破戒僧
「何で……何で、こんなことに……!?」
ぽつりと呟いたその言葉は、今の私の心情の全てを表していた。
そこにこめられている感情は、後悔でもあり、絶望でもあり、困惑でもあり……しかしそのどれでもないような、今までの人生でほとんど類を見ない感情だった。
何せ、今までこんな自体に出くわしたことがない。
それどころか……普通に暮らしていれば、一生こんな自体に出くわすことなんてないはずだ。それくらいの、異常事態。
……まあ、私は前にも2度ほど、『似たような』自体になら出くわしてるけど……。
ともあれ、今のこの事態は異常極まりない。
それを頭で、パニックになりかけつつも認識し……私は今一度『試した』。
今私は、とある家の床に座っている。半裸で。
具体的には……スカートとパンツを脱ぎ、下半身裸の状態でぺたんと座っている。
しかしコレはいつものように(?)、悪いポケモントレーナーにやられた、というわけではない。私が自分で脱いだ。
さっきこの身に起こった異常事態を確認するために……今まさに再び起こりつつあるけども。
私は、露出している下腹部に……ぐっと力を入れる。
同時に、何かがお腹の中で動くような感じがした。
それも、『うねうね』とか『ぴくぴく』とかではなく、『ごろごろ』と。
それでも構わず、私は力を入れる。ちょうど……排泄の時のように。
しかし、意識して力をこめるのは、もっと前の方……膣口の上のあたり。
手を当てて、外からもその感触を確認しながら、『それ』を感じる周囲にぐっと力を入れて……中から外にひりだすように力んでいく。
位置としては、まさに『子宮』に最初に感じられたその感触は……子宮口から膣内へと出てきて、そこを通り……その過程で少しずつ大きさを増しながら、やがて膣口へ到着。
そして次の瞬間、最後に私がもう一度力むと同時に……狭い膣口をこじ開けて出てきた。
私の恥部からひり出され、零れ落ちたそれは……どこからどう見ても、卵だった。
それが、2つ。
1つは今出したもの。もう1つは……さっき、数分前に出したもの。
しかし別に、何かのマニアックなプレイのように、あらかじめ膣内に卵を押し込んでいたわけではない。何もしていないのに……私の中から、これらが生まれたのだ。
その現象から否応無しに思い出されるのは、イッシュ地方にいた頃の2つの事件の記憶。
どちらも……砂漠の地下の『古代の城』で経験した、女としての地獄。
1つは……プラズマ団による陵辱の末の、遺伝子改造されたメタモンによる出産。
もう1つは……古代の城の影の主、ウルガモスによって卵を産み付けられ、その産屋代わりに子宮内でそれらを育てて産み落とした記憶。
そのうちの1匹は、今私の娘のパートナーポケモンになってるけど。
それら2つで共通する私の思い出。
それが……ポケモンの卵を産んだこと。人間である、私が。
今のこの状況は、あの時にすごくよく似ている。
別に犯されたり産み付けられたりしたわけじゃないんだけど、それはそれで問題だ。
何で『何もしてないのに』、私が卵を産んでいるのか。
一体私の体に、何が起こったのか。
おそらくその答えを解き明かす鍵になるであろう……部屋の隅にある、正体不明の奇妙な機械を、私は困惑の中で見つめていた。
☆☆☆
ことの発端は十数分前、ナナシマでも会ったマサキさんの家がこの近くにあると聞いて訪れた時にさかのぼる。
結論から言うとそこで私は、事故に巻き込まれたのだ。
家に来てみるとマサキさんはいなくて、かわりにマサキさんのポケモンと思しきラッキーが留守番をしていた。
ラッキーに身振り手振りで『お茶でもどうぞ』と誘われたので家にお邪魔したんだけど、その際に私はポケットからコインを落としてしまった。
そのコインは転がっていって、何やら怪しいマシンの中に入って止まった。
で、嫌な予感がする中で私がそれを取りにいったら、狙ったかのような最悪のタイミングでそのマシンが誤作動。私はそれに巻き込まれてしまった。
後になって知ったんだけど、そのマシンはマサキさんが『ポケモンあずかりシステム』を作る際に研究していた『転送装置』だったらしく、私は同じ部屋の反対側の隅に置いてあったもう片方の装置へと飛ばされていた。
慌てて体中調べたけど、特に何も以上は無いし、身につけていた機械類が壊れてる様子もないので、ホッとしていた。
……が、その更に数分後。事件は起きた。
何の前触れもなく……いきなり私の子宮付近に違和感が生まれると同時に、圧迫感から力んだ瞬間に私の膣口から『卵』が出てきたのである。
……絶句した。驚いた。意味がわからなかった。
まさか、転送の瞬間、転送装置には私のほかにもう1つ……ラッキーのものと思しき卵が一緒に入ってしまっていたなんて、思いもしなかった。
なんか以前見た、人間をテレポートさせる装置の実験で、一緒にハエが転送された結果人間と融合してしまい、ハエの遺伝子を持った人間という怪物が生まれてしまった……っていうホラー映画思い出した。
内容が18禁っぽく卑猥でしかも間抜けな感じにはなってるけど、今の私ってまさにそんな感じなんじゃ……?
ま、まさかラッキー(の卵)の遺伝子を取り込んだことで、ラッキーみたいに卵を産める人間になっちゃった、とか言うんじゃないよね……?
「……で、学会でたまたまカントーに来てた私のところに飛び込んできたわけね」
呆れたような声でため息混じりにそう言ってくるアララギ博士。
今自分でも言ってたけど、彼女は今、ポケモン学会の論文発表会のためにこのカントーの研究機関にきていた。
もっとも、それ自体はすでに終わって、今帰り支度してたみたいだけど。
その彼女を捕まえて私は、事情を話して泣きついた。体を調べてほしい、と。
「ご、ごめんなさ……んっ、くぅ……」
今私は全裸になり、ベッドの上に寝転がって、博士の検査を受けている。
目視での観察や触診、聴診器なんかでは何もわからなかったので……今は、膣内に胃カメラみたいな内部検査用の機械を挿入して、膣内や子宮を見てもらっているところだ。
家庭用ホースよりちょっと細いかな、っていうくらいの大きさのコードが、仰向けに全裸で寝ている私の膣内に挿入され……手元のコントローラーを使ったアララギ博士の操作により、膣の奥へ奥へと入っていく。
子宮口に至ると、その先端部からさらに細い管のカメラが出てきて、更に奥へと入っていく。そしてライトをつけ、子宮の中を映すのだ。
モニターに映る私の子宮の中を見て、アララギ博士は、
「……なんか白い液体で内側が汚れてるんだけど……アイカ? あなたついさっき強姦されたかポケ姦でもした?」
「……えっと、『事故』のちょっと前に、ヘルガーと草むらで……」
「洗うわよ。それからやり直し! 全くもう……」
膣内洗浄後、あらためて見てもらった結果、アララギ博士は私の体、というか子宮に起こっていたことを簡単に説明してくれた。
「……悪い方の予感が当たってるわね。細胞サンプルを採取して遺伝子データを見てみたけど、どうやらアイカ、あなたの体内にラッキーの遺伝子が一部混ざってるようだわ」
「……やっぱり、そうですか……」
聞けば、子宮の内側のつくりが、少しだけ普通の人間のそれとは異なるものになっているらしい。
ラッキーの遺伝子が混ざったことで……ラッキーのお腹の袋のような感じのそれに。
そして、私が『卵』を生んだ現象は……この袋の特性が子宮に宿っていたことによるもの、というのがアララギ博士の見解だ。
ラッキーはポケモン図鑑において、こんな風に説明されている。
○ラッキー(たまごポケモン)
1日にいくつか卵を産む。その卵は栄養満点でものすごく美味しいらしい。
『1日にいくつか卵を産む』……この部分。
ラッキーのこの特性が、私の子宮で再現されていたというのだ。
つまり私は子宮で『1日にいくつか卵を』作って、膣口から産む体になったっていうこと……ではなかったみたいだ。
「ただ、いくら事故で組み込まれたといっても、ポケモンの遺伝子やそれに基づいた細胞が人間の体に適合するのは難しかったみたいね。徐々に失活してるわ」
「? それって……治ってきてる、ってことですか?」
「厳密には少し違うけど、そう取ってもらっていいわよ。一時はあなたの子宮はポケモンの遺伝子と人間の遺伝子が混ざった、ラッキーの卵袋みたいな力を持つ臓器になってたけど……時間がたつごとにポケモン遺伝子が人間の遺伝子に負けて淘汰されてきてる。この分なら……後数時間でもとの子宮の機能を取り戻すでしょうね」
そ、そうなんだ、よかった……「ただし」……ただし?
「その段階で、完全にラッキー由来の遺伝子が、ひいてはポケモンの力を持つ子宮が消滅するとは限らないわ。何かの刺激がきっかけになって、一時的にでも再び機能を取り戻す可能性もある……そしてそれによって、あなたの体が思わぬ力を手にする可能性も」
「た、たとえば?」
「例えば……そうね……キーになる刺激の種類なんかは、せいぜい子宮や女性ホルモン、女性としての本能に訴えかける何か、ってくらいの説明しか出来ないけど……もし副作用の例を挙げるとするなら……」
一拍。
「空前絶後……人間でありながら、ポケモンの子供を妊娠することが出来る子宮になっちゃう、とか、ね?」
……じょ、冗談……ですよね?
卵は産まなくなったけど、その代わりにいつかとんでもないものを産んでしまうかもしれない子宮を手に入れてしまった私はそう尋ねるが、アララギ博士からの返答はなかった。