紫煙を燻らす色呆け野郎 作:ユッケ
第1話 〜思わぬ効果と現状確認〜
エイジ749
フライパン山付近
転生する際に、謎の声に送り込まれた場所はフライパン山の近くだった。
その所為で、転生早々に牛魔王に襲われる羽目になり、やむなく倒してから宝に興味がないと説得し、何とか近所に住む事を了承させた。
牛魔王の話によると、炎に囲まれている城に戻れない牛魔王とチチ親子は、どうやら俺の宇宙船の隣にある仮説住宅に住んでいたようだ。
しかし厄介な事に、むやみに倒してしまったばかりに牛魔王に強さを見込まれたのか、「チチを嫁にやる」と言われてしまった。
まさか主人公の嫁に手を出す訳にもいかないので辞退させて貰ったが、牛魔王はもちろんチチまでもが「タケルさ、おらを嫁に貰ってけろ!」と、その気になっている。
どうやら、原作キャラと敵対しないように貰った【原作キャラの初期好感度up】が悪い具合に作用しているようだ。
「どうしたものか……。いや、チチと悟空が会いさえすれば何とかなるだろう。それより今は、宇宙船の確認だな。」
チチの件は一旦忘れてタバコに火を付け、咥えながら謎の声に貰った住居を兼ねた宇宙船を確認していく。
パッと見では宇宙船に見えない、円柱に屋根を乗せたような造りの我が家はこれが意外に大きく、内部は円を三階層に重ねた様な中々に快適そうな構造をしていた。
最上階である1層目は、如何にもなモニターや操作盤がある事から宇宙船の操縦室で間違いない。何故か
2層目は、中央の通路を挟んで左右に同じ造りの部屋が2部屋ずつ計4部屋並び、室内には大きな窓にベッドやテーブル、更には収納などの最低限必要な物は備わっていて特に困る事はなさそうだ。欲を言えば、娯楽らしい娯楽が無いのが不満だが……仕方ない。それは自分で手に入れるしかないな。
幸いにも部屋の一つにあった隠し金庫に、5000万ゼニーもあったので資金面での心配もないしな。
三層目には、調理器具の置かれたキッチンらしき設備や数ヶ月は食いつなげそうな食料の入った保存庫などが並び、そこに今まさに俺が吸っているタバコや、他には酒なんかもあった。奥にある扉の先には大きな部屋が広がっていた。その部屋の中はからっぽで、広さがあるので倉庫か何かに使えそうだ。倉庫とキッチンのちょうど中間の壁にはハッチのようなものがあり、ここから外に出られる。
とまあ、これだけ充実していれば船内で暫く自堕落に生活しても、数ヶ月は十分に生きてられるだろう。
しかし特に宇宙に行くような予定もないので、宇宙船の機能は使わずに単純に家として使う事になりそうだ。
「フゥ〜〜……。それとエネルギー吸収だが、やっぱり
紫煙を吐き出しながら牛魔王との戦闘を思い返す。
牛魔王と戦った際、腕を掴んだ瞬間にエネルギーを吸収出来そうな感覚があった。あの時に発動させていれば、牛魔王のエネルギーを吸収出来たのだろう。
勿体無いので使う事はしなかったが。
「これで残すは一つ、か。とはいえ、確認しようにも相手がいないと使えないだろうし……。」
【原作に出ない敵対者を仲間にする】という力。
こればかりは確認のしようがない。何処で使う場面が来たらアドリブで使いこなすしかなさそうだ。
今考えるべきは、この世界に映画キャラが居るとして誰に使うべきか、という所だな。
そう考えて、顎に手をやりベストな人選は誰か? と俺が悩んでいると、唐突にチチが部屋に入って来た。
「タケルさ、こんなとこに居ただか! ちょ、ちょっと教えてけろ!」
「どうしたチチ、そんなに慌てて?」
灰皿にタバコを押しつぶしながらチチの用件を聞く。
ふと視線を落とすと、チチの手には週刊誌が握られていた。
「この週刊誌に、男を落とすなら胃袋を掴めって書いてただよ。でも胃袋なんてどうやって掴めばいいのか、おらには分からねぇだ。やっぱり、口から突っ込めばいいのけ?」
「アガッ⁉︎ ま、待てっ違う! そうじゃない‼︎」
そう言いながら、チチは俺の口を開けさせようとしてくる。あわや手を突っ込まれる寸前で腕を掴んでやめさせる。
「あのなチチ? 胃袋を掴むっていうのは、美味い料理を食べさせて自分から男が離れない様にする事だ。本当に胃袋を掴もうなんてしたら、逆に嫌われるぞ?」
「そ、そうなのけ? でもおら、まだ料理なんて出来ねぇだ……。こんなおらじゃあ、立派な嫁なんてなれないだよ……。」
確か、原作ではチチは見事な料理を作って悟空に食べさせていた筈だ。まだ悟空と出会う前だし、これから覚えていくんだろうな。
「大丈夫。今は作れなくても、これから作れる様に練習すればいい。少しなら俺も料理出来るし、レシピを教えたり味見ぐらいなら付き合ってやるから。な?」
そう言うとチチはパッと笑顔になり、元気を取り戻して感謝の言葉と共に抱き着かれた。チチの肌を露わにした格好の所為で、ぷにぷにとした柔らかい肌に触れて思わず女を感じてしまった。同時にチチの少女特有の香りが鼻腔を擽り、転生前も女を我慢していた所為か、ピクリとアソコが反応してしまう。
そんな風に僅かに欲情した俺を尻目に、チチはおっ父のお使いに行くと言い部屋を出て行った。
タイミングからして、恐らくフライパン山の火を消す為に亀仙人に芭蕉扇を借りに行くのだろう。
「はぁ〜……。全く、チチはあまりにも無防備だな。もし、俺が襲ったらどうするつもりだ。」
もしかしたら、この世界のチチにとってはそれもありなのかも知れない。しかし、それでは原作が大きく変わってしまうので手を出す訳にはいかない。俺が耐えるしかないだろう。
頑張れ、俺の理性っ!
……とにかく、俺の出番はまだ先だ。
悟空達がピラフ一味にドラゴンボールを奪われるまでは宇宙船でしばらく待機だな。
早く役目を終わらせて自分の人生を歩みたいものだ。
次回、性描写が入ります。