紫煙を燻らす色呆け野郎 作:ユッケ
後々、編集するかも知れません。
第4話 〜己の役目と新たな人生〜
あれから目を覚ましたチチに今回の事を口止めしてから、俺は改めて悟空一行を追跡している。
レーダーの反応を見る限りでは、既にピラフ一味に捕まっているようだ。しかし、そろそろ着きそうな距離まで来ているので、大猿化には間に合うだろう。
それにしても……
「……やっぱり味を占めたのか? チチがあんな口止め料を要求するなんて、な。」
口止め料として、またSEXについて教える事を約束させられてしまったのだ。
それはやむを得ない代価として了承するしかなかった。最後の抵抗に、妊娠の可能性を説明して【初潮が来たらSEXはしない】と最低限の条件はつけておいたが。
それより問題なのは、チチが俺と結婚したがった事だ。
確かにあんな真似をしたのだから、寧ろこうなる事は必然だったのだろう。
あくまでSEXの練習である事を言い訳にして、当初の通り悟空と結婚するように説得したが……それ故に、チチの言うままに提案された口止め料を飲むしかなかった訳だ。
「フゥ〜……まぁ、やっちまった事は仕方ない。こうなりゃ、なるようになれだ!」
吐き出したタバコの煙が目に染みた。
もはや手遅れだが、今となっては自分の節操無しな下半身が悔やまれる。今の俺に出来るのは、原作の流れが大きく狂ってしまわない事を祈るだけだ。
「っと、あれがピラフ城か。まだ大猿化はしてないみたいだな。」
キョロキョロと辺りを見回しても、何かが壊された様子はない。今からピラフ城に突入するのもいいが、悟空の大猿化を待っていた方が効率がいいだろう。
そう考えた俺は、辺りを見渡して身を隠せそうな場所がないか探し、近くにあった人1人が隠れられそうな岩場で事が起きるまで待機する事にした。
………………
…………
……
しばらく待機しているとピラフ一味が出てきた。
すると足元が光り輝き、空が暗くなったと思ったら天に伸びる光と共に、あの有名な神龍が姿を現す。
初めて見た本物の神龍は、原作通り緑色で胴の長いアジア圏の龍の姿をしていた。
『さあ 願いをいえ どんな願いも 一度だけなかえてやろう……』
(うおぉっ⁉︎ 本物だ! 本物の神龍だっ‼︎)
俺は感激していた。
まさか本物の神龍をこの目で見る日が来るなんて、夢にも思わなかった。いつかの日か、俺自身で神龍を呼び出してみたいものだ。
「ギャルのパンティおくれーーー‼︎‼︎」
(お、ウーロンの名台詞! しかし何度考えても、神龍に頼むには勿体無い願いだな。)
ヒラヒラとウーロンの顔にパンティが舞い降りた。
それにしても、あのパンティはいったい誰のなんだろうな?
『願いはかなえてやった では さらばだ』
役目を終えた神龍が消え、空に浮かんだドラゴンボールが四散していく。
(それにしても、必死に集めたドラゴンボールがパンティ一枚に代わるなんて……ピラフ一味にとってはこれ以上ない程の災難だな。)
そんな事を考えていると、ピラフ城を崩しながら大猿が姿を現した。
遂に、この時がやってきたのだ。
「……さあ、俺の出番だ。」
宇宙船にあった青龍刀を構える。
わざわざ目立つ操縦室にあったのだ。今使わずにして何時使えと言うのか。
俺は身を潜めていた岩場から飛び出し、大猿目掛けて全力で走り寄る。
気付かれないよう即座に背後に回り、尻尾を切ろうと振りかぶる……が、大猿の足元にピラフ一味のマイが居る事に気付いた。
ピラフ達は逃げだしたようだが、どうやらマイは腰が抜けて逃げ遅れたらしい。
(ちっ、仕方ないな。助けてやるか。)
マイを踏み潰そうとする大猿の足が迫る中、俺はマイを抱き上げて何とかギリギリ避ける事に成功した。
(あ、あぶねー⁉︎ 死ぬかと思った‼︎)
マイを降ろして大猿の動向を伺う。
大猿はピラフ城を叩き潰している最中で、幸いにも此方に気は向いていないようだ。
「今の内にさっさと逃げろ! 今度こそ踏み潰されるぞ!」
「ハ、ハイぃ〜〜‼︎」
ドタバタと慌てて逃げて行った。
あれだけ離れれば、投石が当たりでもしない限り大丈夫だろう。
それを見届けてから再び大猿に走り寄り、尻尾目掛けて青龍刀を振り抜く。
「よいっ、しょおっ‼︎」
青龍刀は大した抵抗なく、尻尾をズバッと切り落とした。
……命懸けかと思っていたが、案外あっさりと切り落とせてしまうものなんだな。
尻尾を失った大猿は見る見る縮んで行き、やがて気を失った悟空へと戻った。
これで俺の役目は終わり、か。
拍子抜けする程に簡単に済んでしまったが、これで今からが本当の意味で第2の人生って訳だ。
……ん?
よく考えれば、俺はこの世界で最強になれる訳でも無い。
今後異常なまでのパワーインフレを起こす死亡フラグ満載のこの世界で、俺は何を目標にして何を成せばいいんだ?
「あの……あなたは?」
俺が人生の目標を見失っていると、ブルマに誰何されてしまった。
迂闊だった、と言わざるを得ない。
これ以上原作キャラに関わると、下手すれば今後出てくる強敵達と戦う羽目になるかも知れないというのに……。
一度死んだ俺がこうして転生出来たというのに、みすみす危険に飛び込んで死んでしまう、なんてのはあまりにも馬鹿らしい。
どうにかして原作から離れないと……っ!
しかし、誰何されているのに逃げ出したりすれば、怪しい男として認識されかねない。怪しまれなどしたら、果てには敵対してしまう可能性も無きにしも非ずだ。
ぐうぅっ!
悩みどころだが、名乗るくらいなら問題ないか? 大丈夫だよな??
よし、一服して少し落ち着こう。
一旦冷静になって、ブルマに名前を告げたらすぐに立ち去ればいい。
ゆっくりとタバコを咥え、ライターでチリチリと火をつけ肺を紫煙で満たしていく。
「フゥ〜〜……。俺はタケル、無事で良かったな。」
紫煙を吐き、それだけ言ってその場を立ち去った。
去り際に声が聞こえたが、俺は振り返らずに歩き続ける。
結果的に無視する事にはなったが、これで少なくとも安易に敵対されはしないだろう。
ブルマが見えなくなる程に十分距離を取ってから、もう一度タバコを吸う。
何とかなった、のか?
この先どうなるかは分からないが、一つだけ取るべき方針は分かった。
「フゥ〜〜……。とりあえず、これからは目立たないように生きよう。」
クズが無駄に格好つけてます。
馬鹿ですね。鼻で笑ってやりましょう。