インフィニット・ストラトス 〜まどろむ狼たち〜 作:ラグ0109
最早、彼無しは考えられないのです…たとえ堕ちてしまっていても
わたくしにとってクリスマスは、非常に寂しく…そして退屈なイベントでした。
朝から晩までパーティーに次ぐパーティ…取るに足らない男性からのお誘い…。
社交辞令で付き合わなければならない事も多く、適当にあしらえばあしらうほど勝手にヒートアップする方もいました。
ところが…わたくしが彼…狼牙さんと恋仲であると言う事が明るみになった途端、縁談を持ちかけられることがパタリと止んだのです。
理由は明白…イギリスと彼との関係を強く結びつける為に、各方面へ政府が圧力をかけたのでしょう。
ISを動かせる男性の一人。
第三次形態移行を起こした唯一の人間。
宇宙でISを非公式ながら運用した初めての人間。
二代目ブリュンヒルデと遜色なく戦う事ができる稀有な能力。
恐らく、ここが一番のポイント…天災、篠ノ之 束博士の手綱を握る事ができる人間と言う事…。
篠ノ之博士は制御が効かない炉心の様な方ですから…彼女を制御できるアドバンテージは誰しもが欲するところでしょう。
ですが、彼に首輪はつけられない。
彼は誇り高い狼…繋ぎ止める事なんて、本当の意味では無理なのです。
わたくしや楯無さん、簪さん、ラウラさんで囲ってはいますが、それでも翻弄されてしまうのです。
惚れた弱みというやつですわね…。
クリスマス・イヴの今日…そんな狼牙さんはわたくしの元に訪ねてきてくれました。
無論、今日と言う日を独占するために熾烈な争いがあったのですが…。
彼もただ遊びに来たわけでは無く、英国代表候補生達の教官と言う形で訪問するので完全なオフと言う訳でもないのが口惜しく感じます。
あまり、他の女性を見て欲しくありませんから…。
「すまんな…折角のイヴだと言うのに、このような場所に案内させて」
「いえ…お父様とお母様に紹介したかったですし、構いませんわ」
ロンドン郊外にある墓地…雪がひらひらと舞う中、車で移動したわたくし達は雪を踏みしめながら両親の眠る墓へと歩く。
『中々イギリスに来る事はできないのだから、今のうちにご両親に挨拶くらいは済ませたい』
少し、律儀な方だと思ってしまう…でも、たまらなくそれが嬉しい。
わたくしの両親に対して敬意を払ってくれているからこそ、通すべき筋は通そうと言う意志が感じられる。
彼に傘を差してもらい寄り添う様に歩きながらクスリと笑う。
「何か、良い事でも…?」
「えぇ、それはもう…こうして故郷を狼牙さんと歩けるとは思ってもいませんでしたもの」
「俺も死ぬまで国無し子だと思ってたんだがなぁ…自由国籍だから大して変わらんが、自由に見聞を広めに行けると言うアドバンテージはデカい」
「楯無さんと御揃いですわねぇ…」
更識 楯無…学園の生徒会長を務める彼女は、日本人でありながらロシアの国家代表を務めている。
その所為か、それとも『裏稼業』の為なのかは知りませんが、自由国籍を取得しているのです。
御揃い、と言う点にトキメキを覚えてしまうのは、わたくしがまだ幼いからなのでしょうね…。
暫く歩き、両親の眠る墓の前に立つ。
…もう、以前ほど心がかき乱される事がない…わたくしの中で両親に…特にお父様に対する蟠りが解消している証拠なのでしょう。
「すまない、少し持っていてくれ」
「はい…」
狼牙さんはわたくしに傘を手渡し、一歩前に出ると墓石に積もる雪を手で払いのけて持ってきた花束を添えながら片膝をつく。
五分ほどでしょうか…狼牙さんは黙したまま墓石を見つめ続け、わたくしは狼牙さんに雪がかからない様に傘を持っていると、不意に狼牙さんは立ち上がってズボンについた雪を払う。
「ありがとう…我儘を聞いてくれて」
「いえ…きっと顔が見れて両親も喜んでいる事でしょう」
「お前の父親には殴られそうだがな」
「まさか…殴るのはお母様の方ですわよ」
掌で口元を隠しながら、クスクスと笑う。
お父様は非常に温和な方で、お母様の方が激情家でしたから…いえ、手を上げられたことはありませんけども。
狼牙さんに傘を手渡しながら寄り添う様にして抱き付き、両親の眠る墓を見つめる。
「えぇ、大丈夫ですわ…セシリア・オルコットには素敵な殿方がついているのですから…だから、安心してください…お父様、お母様…」
わたくしは一人で背伸びする事を止めました。
止めてくれたのはわたくしの傍にいる殿方…狼牙さんが居なければ、今でもこの墓地の様に寂しい世界でしか物事を計る事しかできなかったと思います。
それほどまでに頑なでしたし、必死でした…貴族であることに。
家督の重圧と言うものは今でも感じますが、それでも彼が傍に居ると思うと乗り越えていく事ができる。
…恋する乙女と言うのは何とも単純ですわね。
お母様も、お父様にこんな感情をむけていたのでしょう…。
「さて…長居して風邪をひいてしまっては事だ…そろそろ戻ろうか」
「そうしましょう…帰ったら温かい紅茶でも飲んで、ゆっくり過ごしましょうか。それでは、お父様、お母様…また来ますわ」
両親の墓に背を向けて狼牙さんと歩き始めると、微かに両親が笑った声が聞こえました。
「いや、まぁ…理解はしていたんだがな?」
「ならば、良いではありませんか…それとも、今更気恥ずかしくなるようなことが?」
その夜…チェルシーも交えての昔話や、貴族の生活の事を狼牙さんにお話しして夜も更けて来たので部屋に案内を…となったので、さも当然の様にわたくしの寝室へと狼牙さんをお連れしました。
えぇ、最早夫婦の様なものですから、同衾したところで何も問題ありませんもの…。
既に、彼に女にしてもらっている身ですしね。
わたくしの部屋のベッドは、学園で狼牙さん達と寝ているベッドよりも遥かに大きく、二人で寝るにはあまりにも広い。
わたくしは途方に暮れている狼牙さんを尻目にベッドの縁に腰掛ける。
「いや、無いが…こう、最低な物言いなんだがな?セシリアといると…なんだ…性欲をもてあます」
「構いませんわ…特別な夜なのですから。わたくしは、貴方に身を捧げているのです…ですから…」
「敵わんなぁ…まったく…」
何処か観念したかのように、狼牙さんはわたくしの隣に座って腰に腕をまわして引き寄せる。
わたくしは逆らうことなく彼の体に引き寄せられ、見上げる様にして顏を見つめる…ドキドキと鼓動が早まっていく。
何時まで経ってもこの瞬間と言うのは酷く緊張してしまう。
彼の匂い、彼の息遣い、彼のギラギラとした金の瞳…。
大昔の頃から変わらないであろうその瞳に見つめられるだけで、わたくしは全てを彼に差し出してしまう。
彼の顏がゆっくりと近づき、唇が重ねられればそっと舌を絡めていく。
「ん…」
ちょっとした幸福感が私の中を駆け巡っていく…。
今、こうしてキスをするだけで満たされていくと同時に、もっととせがんでしまう。
強く、深く、彼に愛を刻み込んでほしいと…。
「今夜は冷えます…温めてくださいますか?」
「もちろん…セシリアならば喜んで温めよう」
ベッドの中に揃って潜り込みながら何度もキスを繰り返し、互いの寝間着に手をかけていく。
直に触れ合って体温を…温もりを感じていたいから。
こうなる事を想定して…はしたない話ですが、わたくしは下着を身に付けませんでした。
少しでも早く彼と触れ合いたかったから…。
「相変わらず…綺麗な体だな…俺とは大違いだ」
「ふふ、男性と一緒に、んっ…されては困ります、わ」
互いに一糸まとわぬ姿になり、狼牙さんはわたくしの胸を優しく揉んで愛撫してくる。
ぴりぴりとした快楽がわたくしの体を支配し、普段は出さないような甘い声が口から漏れていく。
彼だけにしか聞かせ無い甘い嬌声を上げながら、傷だらけの体にわたくしからも手を這わせ、先ほどからわたくしのお腹に当たっている硬くなったペニスに手を伸ばしていく。
触れれば火傷しそうなくらいに熱く、そして硬い…。
「セシリア…」
「フフ…火傷してしまいそうですわ…失礼」
小悪魔染みた笑みを浮かべてベッドの中にもぐっていき、顏を狼牙さんのペニスの前まで移動させて竿部分にキスをした後舌を這わせていく。
匂いを嗅ぐだけでお腹が切なくなり、早く挿入れてほしいと言ってしまいたくなる。
けれども、まだ夜は始まったばかり…お楽しみはとっておいて、今は殿方を精一杯喜ばせるべきでしょう。
「ちゅっ…ん…はぁ…いい、においですわ…」
「っ…もどかしい、な…」
ワザと焦らす様に刺激を与え、ペニスを扱きながら袋を口に含んで優しく舌で刺激を与えると、狼牙さんの腰が少しばかり浮く。
感じてくれている事に喜びを覚えつつ、袋から口を離して先走りが溢れ出している亀頭部分に口を付けて少しだけ吸い込み、狼牙さんの味を口いっぱいに含む。
狼牙さんの手がわたくしの頭に伸びてきますが、それを無視して一気に頬張って頭を動かし、狼牙さんのペニスを口の中全てを使って扱きあげる。
先走りの味だけでは物足りない…口だけでなく体の中全てを狼牙さんの匂いで埋め尽くしたい。
「じゅぶ…んんっ…ふ…ちゅ…!」
「くぁ…せし、りあっ、出てしまう…!」
「出し、て、くださ、い…染めて、ください…んぐっ!」
急かす様にペニスをしゃぶり続けると、いきなり喉奥に噎せ返る様な濃い精液がペニスから吐き出され、零さない様にわたくしは必至に飲み下していく。
射精が終わったのを見計らって口を離し、少し咳き込みながらも恍惚とした気持ちになる。
まるで全身が狼牙さんの匂いで染まったかのような錯覚に陥る。
「っ…は…狼牙さん…どうか、御情けを…」
「……」
目の前でいきり立つペニスを眺めながら、自分の指で膣内を弄り慰めながら懇願する。
ただの淫乱な女に成り下がっているのを頭の片隅で感じている。
けれども、今は目の前の狼に犯されたくて仕方がありません。
指なんかじゃ、満足、できない…!
狼牙さんは無言でわたくしの体をベッドに抑えつけ、レイプさながらの強引さで興奮しきったペニスを思い切り私の膣内に挿入し、腰を強く打ち付けてくる。
「~~~ッ!!!」
「やられっぱなしは性に合わん…気をやってくれるなよ?」
狼牙さんは獰猛な獣の様な目でわたくしを見つめ、激しく何度も奥を叩いてくる。
その度に背筋に電流が走ったかのような快楽が駆け抜け、思考力を欠落させていく。
ただただ、彼を喜ばせる為だけに喘ぎ、自分からも腰を動かしてペニスを扱き上げる。
もっと、彼が欲しい…そう願って止まないから。
「ひっ、ああっ…んっぅ…!!イッ…!!!」
最初こそ耐える事ができたものの、狼牙さんの容赦ない責めの前には理性なんて紙切れ同然。
すぐに幾度も達し、達する度に失禁してしまい、シーツを汚してしまう。
耐えなくてはならないのに、はしたない姿を全て曝け出してしまっている。
彼の目が、手が、体が…わたくしの全てを暴いて蹂躙してしまって…。
どうにもならないまでに堕ちてしまっている。
けれど、きっとこのままでいいと言う妙な確信がわたくしの中にあるのです。
きっと、狼牙さんの事を愛してやまないからなのでしょうけど。
「っ…!セシリア…!!」
「ろう、が…ああああっ!!」
一際強く打ち付けられれば、先ほどとは比べ物にならないほどの快楽とともに、わたくしの子宮が白く染め上げられていく。
あまりにも強い刺激に狼牙さんの体にしがみ付き、ガクガクと痙攣を繰り返す。
「あぅ…あ…はぁ…は…ぁ…」
「っう…セシリア…」
満たされる感覚と同時に、体中を凄まじい疲労感が襲ってくる…。
狼牙さんの体にしがみ付く事も出来ずに体中の力を抜けば、狼牙さんの優しい声を聞きながらそっと意識を手放した。
「ん…朝…?」
ぼんやりとした頭で体を起こそうとして、動かないことに気付く。
理由は単純にして明快…裸の狼牙さんが、わたくしの事を抱き枕か何かの様に抱きしめながら寝ているから。
狼牙さんとのセックスの後、どうも気絶したまま寝てしまったようですわね…。
目の前に狼牙さんの穏やかな寝顔がある…。
一晩中こうして一緒に寝てくれていたのかと思うと、たまらなく嬉しくなってしまう。
「ずっと、ずっとお慕いしていますわ…狼牙さん…」
もぞもぞと体を動かし、狼牙さんの頬に手を伸ばして優しく撫でる。
普段の言動や表情からはくらべものにならないくらい、今の彼は無防備で少年めいている。
きっと、本来の性格はこの寝顔の様に純粋な男の子なのかもしれない…。
そんな寝顔をこうして独占できるのは、ちょっとした優越感があります。
「…俺とて、愛しているさ…」
「フフ…えぇ…そうでなくては…。私がただ一人お慕いする殿方なのですから」
既に目を覚ましていて、独り言を聞かれてしまったようです…気恥ずかしさを隠す様に澄まし顏を作ると、狼牙さんが優しく唇を重ねてくる。
今日はクリスマス…きっといつもより楽しい一日が始まろうとしている。
たっちゃんとかんちゃんも別々を想定…ただし、クリスマス終わったから正月編な!