※この作品はR-18です。

サイヤ人ラブサバイバル   作:ハンマーしゃぶしゃぶ

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まだエロはないです…。


第2話 ベジータ王

荒野のど真ん中。 太陽が燦々と照りつける昼時。

足元にはツフル人の死体がいくつか転がっている。

商人用の中型トラクターがひしゃげてやや後ろに転がっている。

俺はこの日、旅商人のツフル人を襲って売り物を略奪した。

サイヤ人は戦闘民族だ。 同族なら多少の配慮はするが、欲しいものがあれば殺して奪う。

かつて平和な国で農耕民族の末裔をやっていた気がする俺は、骨の髄まで蛮族になっていた。

ツフルの商人は、

サイヤ人の領土近くを通る時は必ず護衛団を引き連れているが、奇襲を仕掛ければ楽勝…。

だった筈なんだが、最近増えてきたサイヤ人の奇襲を警戒してか、

ツフル人はドラゴンボールに欠かせないあのアイテムを創りだした。

スカウターだ。 

護衛の兵士どもはスカウターで、

奇襲を仕掛ける気まんまんで隠れていた俺を発見し、逆に奇襲してきたのだ。

俺の力が下級レベルのままだったら殺されていたかもしれない。

ツフルの兵器はサイヤ人の強靭な気と筋肉を貫く程に優秀だった。

 

「ふーむ………これは…今一。 これも…今一。

 ………おっ、これなんかビーツに似合うかもな」

 

荷台のコンテナをこじ開け物色する。

サイヤ人には到底真似できない装飾品の数々。

ビーツに似合いそうな宝石、貴金属類などを一張羅の毛皮の内ポケットへ入るだけしまう。

スカウターも欲しかったが、全部壊れてしまった。 まだ試作段階とみえて脆い。

粗方盗り尽くした俺はさっさと襲撃現場から逃走した。

 

今年で18歳になった俺とビーツ。

ビーツは15歳の時よりさらに出るとこが出て締まるところが締まっている。

今年こそあの勝ち気エロボディのビーツとエッチしたい。

若人の性への情熱は何者にも止められはしないのだ。

普段のスキンシップは十分につんでいるし、ここは贈り物で一気に流れを掴むしかない。

というか、ちんたらしてたら他の男に盗られるかもしれない。

強く美しく、元気な赤ん坊を産んでくれそうな、

見るからに健康的な肉体を持つビーツには戦闘一途の男サイヤ人でさえ惹かれている。

そんな話を近所の酒場で男どもがしていた。

 

「ビーツっていい体してるよなぁ…」

「あぁ、むしゃぶりつきたくなるタマラねぇ女だぜ。 尻尾の毛艶も色っぺぇよな」

「王の娘じゃなかったら夜這いかけんだがよぉ…へっへっへ」

「夜這いィ? お前程度じゃ返り討ちだろ。 ビーツは俺達の部族で最強の女だぞ」

「なに言ってやがる…ビーツだって女なんだ。 一度手篭めにしちまえばこっちのもんよ」

 

と、このような会話だったと記憶している。

これを離れた席から聞いてしまった俺は

危機感を覚えて居ても立ってもいられなくなってしまった。

これ以上のんびりしてたら、どこぞのオッサンに寝取られてしまうかもしれない。

寝取られなんて………………想像したらちょっとだけ興奮したが、絶対ダメだ!

あの強気で負けん気が強く、

テンション上がって自分のこと『オレ』ってたまに言う隠れ俺っ娘で、

部族一強い女で、巨乳で、幼馴染みで、

弱点の尻尾を克服しよう頑張っているけど

強く握られると色っぽい声出して顔赤くして息荒くなって、

そんなビーツが寝取られた日には………………ごくり。

ビーツの弱点が尻尾で性感帯だとばれたら良い感じに寝取られそうだ。 

そんな要素がビーツにはてんこ盛りだ。

幼い頃から、俺が尻尾に悪戯しまくったせいで開発された性感帯が裏目に出るとは…!

どの道、このまま何事も無く時が経てば

ビーツは部族内の有力エリートとか、外の部族の王族とかと結婚するのだろう。

そうだ。

寝取られなんて、とんだ被害妄想だ。

俺こそが寝取る側の不穏分子だ。

最下級戦士が姫をいただこうってんだから身の程知らずもいいところだ。

そうと決まれば、善は急げ。 さっさと王宮へ忍び込もうと思う。

陽はまだ高いが、夜這いを決行する。

気を高め全力で空を駆けた。

 

 

 

 

 

集落に帰った俺は、心臓が飛び出るほど驚いた。

危機感を持った途端これとは、

実にいいタイミングというか最悪のタイミングというか、間違いなく運命に小細工されている。

なんとビーツと、どこぞの部の王との縁談が進んでいるらしい。

しかもその王の名がベジータというから驚きは二乗だ。

王宮の自室で大量の果物を貪っていたビーツに、とりあえず問い詰めた。

 

「会ったんだって!? べ、ベジータ王ってどんなやつだ!! チビでMハゲか!?」

「え、Mハゲ…、ぷ、ぷぷぷぷ! お、おいゴード…そいつはあんま人前で言うなよ!

 まぁMハゲはあってるが、チビではなかったね」

「髭は!?」

「…? 生えてたけど、それがどうしたっていうんだい」

「そ、そうか…! スカウター試作品に、髭の生えたベジータ…!

 決まりだ…まさかベジータの親父と同世代の時代だったとはな…!

 あの野郎ォ…! 勝てないケンカ売って種族巻き込んで死ぬだけじゃ飽きたらず、

 俺のビーツちゃんまで奪おうってのか!

「お、おい…落ち着けよ?

 見合いなんてオヤジが勝手にやってることで、アタシは別にこれっぽっちも―――」

「どこにいる?」

「え?」

「ベジータ王は…どこにいる?」

「あ、あー、えーと確か客間に泊まってるよ」

「許せねぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「おいって! 落ち着けって! あんな奴と一緒になる気はさらさらねぇって―――」

 

ビーツが何やら言っていたが、

瞬間的に頭が沸き立ってしまった俺は、ビーツの部屋の扉を蹴破って、

全開の気で客間目掛けて飛んでいく。

客間の扉も蹴破り、

 

「邪魔するぞ……ベジータ王はいるかい…?」

 

部屋を見回すと従者らしきサイヤ人の男4人と、

動物の頭蓋骨で出来たネックレスなどで着飾り、上質の毛皮を着込んだ男がいた。

記憶よりも少し若いが、あの顔はまさに髭が生えたベジータ(王子のほう)そのもの!

立ち上がった4人の側近は、殺気立ってこちらを見ているが、すぐには襲ってこない。

 

「………あんたがベジータだな。

 今日は縁談で遠路はるばるよく来てくれたが…悪いがこの話は破談だ」

「ほう…貴様は何者だ?

 王は俺との同盟に乗り気だったが…、貴様は王の決定を覆せるほどの男か?」

「俺はサイヤ人だ。 貴様もサイヤ人ならば分かるだろう?

 欲しい物は奪う………王の意思も身分も関係ない…ビーツは俺の女だ…!」

 

睨みつけながら宣言した俺の言葉が信じられない、といった風であった側近4人は、

それぞれ互いに見合ったりしている。

 

「ふ、ふははははははは! なるほど…確かにサイヤ人流だな…いいだろう。

 ビーツ姫は俺が貰い受けることに変わりはないが、姫もあまり乗り気でないようだからな。

 俺の強さを魅せつけておくのも良かろう。

 表へ出ろ!」

 

衛兵たちがようやく部屋へ詰めかけてきたが、

すぐに俺とベジータ王達は外へ出て行ってしまって状況が飲み込めていなさそうだった。

表、王宮前の広場にて向き合うベジータ王と俺。 

その周りには違う部屋に待機してのだろう…20人ほどのベジータ王の部族戦士が立っている。

俺の部族の王、ビーツの父親も「何事だ!」と血相変えて兵士達とやってきて、

 

「貴様はゴード! これから同盟を結ぼうというベジータ王に何をしている!!

 下級戦士風情がでしゃばって…とち狂ったか! 儂自ら殺してくれる!」

 

怒り狂っていた。

結構可愛がってくれていたと自分でも思う。 恩を仇で返しているのだからまぁ当然だろう。 

サイヤ人とはいえ、上流階級は結構頭を使って、統治とか外交とか頑張っているようだ。

その政略を、目をかけてやっていた最下級戦士に

めちゃくちゃにされたのでは殺したくもなるだろう。

だが、もう俺には王の考えなど関係ない。

どうせ、同盟だのなんだの努力しても

サイヤ人はベジータ王の元に統一されて、ベジータ王家以外はいなくなる。

細かいことは知らないが、多分、サイヤ人統一の過程で他の王家は滅ぼされるのだろう。

オマケに言えばその10年だか20年後には惑星諸共サイヤ人そのものが死に絶える。

早いか遅いかだ。

王など知ったことではない。

王が、その手に気を収束させ始め、俺は若干身構えるが、

 

「父上! 余計な手出しは無用だ!」

 

いつの間にかやってきていたビーツが、父へ一喝した。

 

「ビ、ビーツ…! お主なにを」

「面白そうだ…やらせろよ。 サイヤ人としてこれ以上の催し物はない。

 ベジータ王もさぞ喜んでいることだろうよ…。 なぁベジータ王」

 

口角を釣り上げ獰猛に笑うビーツ。

その、いかにも勇猛な女戦士、といった笑顔に俺を始め周りの男達も見惚れている。

 

「…いかにも。 戦いはサイヤ人至上の喜び。

 俺のような若造の王をこれほど歓待してくれるとは嬉しいぞ。

 ビーツ姫にはご照覧あれ。 俺の戦いぶりに惚れさせてやろう」

「やってみな…ゴードはあたし自慢の玩具だ。 せいぜい恥を晒さないようにな」

 

ニヤリと笑うビーツの眼光は鋭い。

俺は、ビーツの言葉にますますやる気が湧き上がるのを実感した。

闘争を前にサイヤ人の血が滾り、極上の女の声援を受けてオスの血が滾る。

 

「さぁ…始めようぜベジータ王!」

「ふん…下級戦士が………いきがるな!」

 

気を纏って突っ込んでくるベジータ王。

結構な速度だ。 だが、その速度はビーツに日頃殺されかけている俺から見ると物足りない。

 

「ハンッ! 遅ぇ!」

「なに!?」

 

繰り出されるベジータ王の拳を左手で受け止めると、がら空きの脇腹へ蹴撃を叩き込んだ。

 

「ぐ…お…っ! な、なんだと…か、下級戦士なんぞに……!」

 

スカウターが普及していない現在では、相手の強さは不明瞭だ。

ベジータ王は、さぞ俺を舐めていたことだろう。

そのまま、驚きヅラに右拳をぶち込むと、短いうめき声をあげて20mほど吹っ飛んだ。

即座に、

 

「全力でいかなきゃビーツに怒られるからな…!」

 

言いながら、俺は両の掌に気を集め

 

「はッ!!」

 

巨大な2つのエネルギー弾を倒れるベジータ王目掛けて打ち出す。

ベジータ王を中心に爆発が起こり、衝撃音と振動があたりに響いた。

周りの観戦者達は唖然と驚いている。

それもそうだろう。

一、下級戦士が王に一撃入れるなど想像もしなかったに違いない。

ただ一人、ビーツだけが楽しそうに笑っていた。

だがこれで終わったわけではないと確信している。

拳を受け止めた衝撃で理解したが、ベジータ王は強い。

何度か死にかけて強くなった俺と、同じかそれ以上だろう。

あの程度のキックとパンチ、エネルギー弾一発ずつでは絶対に倒れない。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

土煙が晴れると、やはりそこにはベジータ王が立っていた。

血が出ているし、毛皮もボロボロだが、致命傷はなさそうだ。

 

「へぇ…さすがは王だ。 死んでねーか」

 

予想以上にベジータ王が強そうなことに、内心冷や汗が出始めているが、

それをおくびにも出さず憎まれ口を叩いてやる。

 

「き、貴様…! このような恥は初めてだ! 王であるこの俺が!!

 よりにもよってビーツ姫の目の前で、下級戦士なんぞに恥をかかされるとは…!!」

 

ベジータ王の気の質が変わる。

量もさっきとは桁違いに増えていく。

気の感知や操作の修行を行っていない俺も、

スカウターなしでは曖昧にしか強さを理解できない。

だが、ベジータ王が本気になったことがひと目で分かった。

 

「生きたまま生皮を剥いでやるぞ…! 生まれてきたことを後悔させてやるッ!

 この…下級戦士がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

(げっ! はやい!!)

キレたベジータ王の速さは目で追えはするが予想以上で反応に遅れてしまう。

 

「がっ!? は…!」

 

土手っ腹にベジータ王の膝がめり込んでいた。

(さ、さすがベジータの親父! この時点では最強クラスか!?)

そんな考えが頭をよぎる。 

 

「ぎっ!?」

 

直後、脳天に振り下ろされたベジータ王のダブルスレッジハンマーで

俺は轟音と共に地面にめり込んだ。

お目目の中にお星様がキラキラしていると、

むんずと髪を掴まれ引き起こされた。

 

「…どうした下級戦士。 最初の威勢の良さがないな。

 まだ死んでくれるなよ………その程度の男に、

 このベジータ王が血を流したなどと思われては癪だからな」

「へ、へっへっへっ…この程度で誰が死ぬか。 ビーツに比べりゃ蚊が刺したようなもんだ」

「強がりだな…!」

 

確かに強がりだが、半分は本音だ。

ビーツの機嫌が悪い日はこんなもんじゃ済まない。

俺のダメージは、見た目ほど重くないのだ。 

ビーツにやられ慣れてるせいで俺は異常に打たれ強い。

それが俺の最大の強みだろう。

 

「強がりじゃねぇなぁ……! ほれ!」

「う!?」

 

髪の毛を掴んで宙吊りにされていただけで、両腕両足ともに自由。

ベジータ王は油断が過ぎるというものだ。

素早く腰を浮かせ、両足を俺を掴んでいたベジータ王の腕に絡ませる。

するりと体を捻り、腕の関節側に位置取ると、

無理無理頭を引いてベジータ王の手から脱出した。

ブチブチと髪の毛が結構ちぎれてしまった…。

また生えてくれよ…! この歳でハゲは嫌だぞ。 

ナッパみたいにハゲるサイヤ人がいるから心配だ。

それじゃあこのまま…、

 

「どっせぇぇぇいっ!!」

「うぐわああああああああああああッッ!!!!」

 

腕ひしぎ十字固めの要領で締め上げる。

柔道やプロレスに詳しいわけじゃない。 

がっしり決まっているわけじゃないだろうが、

サイヤ人の馬鹿力で思い切りベジータ王の手を引っ張る。

このままちぎってやろうかという勢いで。

 

「き、きさまぁ~~~~ッ!! はなさんかぁぁぁ!!!」

 

悶絶しながらベジータ王は、俺ごと腕を振り上げ地面に叩きつけた。

が、俺は放さない。 そして叩きつけの衝撃はベジータ王の腕に当たり前に伝わる。

 

「ぐ、ぐっ、ぐおおおおおおおおお!!! お、おのれぇい!!!」

 

目は血走って脂汗が滲んでいる。

打撃主体で戦うサイヤ人は、殴る蹴るには耐性がある。

しかし、関節技という発想があまりないようで、ビーツもこれには弱い。

関節技はほんとうに痛い。

打撃のように一瞬の痛みではない。 それだけに技が決まると地獄なのだ。

 

「右腕と………おさらばしな!! ベジータ王!!!」

 

俺は渾身の力で引っ張る。

すると、

 

「ッッッッッ!!!!! …あ、が、が…!!! がぁぁ…!!」

 

鈍い音がしてベジータ王の右腕は粉砕された。

完全にあらぬ方向に関節が曲がった。

普通ならこれで勝負ありだが、これはサイヤ人同士の女をかけた、いわば生存競争。

ベジータ王が、ベジータ王子誕生前に死のうが、原作が変わろうが、

 

「俺が良ければそれでいい!!!」

 

叫んだ俺は、ベジータ王の腕から、今度は背後へと素早く回りこみ、

 

「ぐっ! ッ! ご、おっ! ッッッ!!!」

 

首を絞めた。

右腕でベジータ王の首をホールドし、左の一の腕で締め上げる。

今度も骨を折る心意気で、当然いく。

 

「っっっ、がッッッ…はっ、なっ……、せッッ!!!」

 

必死に手足をバタつかせ藻掻くが、

宙に浮いているので、ベジータ王は地に足をつけて踏ん張れない。

気を色々な方向に放出し加速して逃れようという

なかなか器用な真似もしているが、俺の気で相殺する。

顔はうっ血し、噛み締めた口からはよだれと泡が滲み出てきている。

 

「ベジータ王ぉ!!!!」

「っ!?」

 

突然、サイヤ戦士が乱入してきて、俺を殴り飛ばす。

ベジータ王を絞め殺すことに必死になっていた俺は、顎にモロに拳撃を喰らってしまった。

10m、20mと転がって、やがて立ち上がろうとした俺だったが、視界が歪んで足元がふらつく。

まずい。

ベジータ王は強い。

隙を与えたら立て直される。

そう思っても、膝に力が入らなかった。

入らないところに、

 

「貴様ぁ~~! 許さんぞ下級戦士!」

「俺達の王をよくも!」

 

別のサイヤ人どもが俺を囲んでいて、殴るは蹴るはで袋叩きだ。

 

「て、てめぇら…! ベジータ王の側近共か! 頼まれてもいないのに、助っ人かよ…!

 王の名が泣くぜ!!」

「だ、だまれぇ! 下級風情が王のなんたるかを語るな! このまま消し炭にしてやる!!」

 

額に血管が浮き出るほどに怒っている長髪のサイヤ人が、

エネルギー弾を発現させ俺に構える。

(ま、まずいぞ…無防備で受ければマジで死んじまう!)

そう思える程度には、この側近達は強かった。

気を充実させて防御に備えたいが、

リンチ状態で頭がくわんくわんではコントロールがうまくいかない。

ちょっとマズイ。

死んでしまう。

ビーツちゃん助けてくんないかな。

と、思ったら

 

「ぐわああああああ!!!」

「な、なんだ!? あ!?」

「ビ、ビーツ姫!? な、ななななぜ!!」

 

ビーツが、俺を囲む側近を一人消し炭にした。

祈りが通じたのか、以心伝心というか。

 

「なぜもへったくれもあるかい! 横からくだらねえチャチャ入れやがって…。

 テメェらも文句ねぇな!! 先に手を出したのはコイツらだ!!!」

 

周囲を見渡すと、主にベジータ王の20人の付き人らに向けて啖呵を切るビーツ。

あぁカッコイイよビーツちゃん。

部族関係なく、みながコクコクと首を縦にふる。

つまり側近4人の死は確定だ。

あ。 一人はもう炭化してるから3人か。

 

「ひ、ヒィィィ! お、お待ちをビーツ姫ぇぇぇ! あぎゃ!?」

「わ、我らはベジータ王とビーツ姫によかれとッ、ぐぼっ!!」

「ビーツ様…お待ちください!! どうか! どうか我らの話しをぷげっ!?」

 

まさに瞬殺。

容赦なく叩きこまれた手刀で一人は頭の先から両断され、

顔面にパンチを喰らった一人は首から上が粉々になり、

エネルギー波を全身に浴びた一人は最初の奴と違って完全に消滅した。

いつにもましてエキサイティング。

清々しい殺しっぷりだ。

それぐらいビーツちゃんは怒っていた。

 

「ベジータ王…当然、縁談はなしだ。

 私の玩具に敗けたことは言いふらしゃしないから安心しな。

 クズ4人の処刑については文句は受け付けんぞ」

「ま、待て! 部下の失態については謝ろう。

 だが…、俺はまだ負けてはおらん! 逆転の目はあったのだ!

 俺が下級戦士ごときに負けるはずはない!」

「…どうみてもお前、負けてたろうが。

 それに…あたしは別にお前の強さが見たかったわけじゃない。

 あたしのお気に入りのオモチャを見せつけたかっただけさ」

 

そう言い切ったビーツの、ベジータ王を見る瞳には何も込められていなかった。

侮蔑とか怒りだとか、冷たい視線だとか、そういうものすら一切ない…興味のない視線だった。

あの一瞬の激しい怒気は、あくまで邪魔をした4人にだけ向けられていたものらしい。

4人を処刑した今、ビーツちゃんは結構冷静、というか冷酷だった。

あのベジータ王にそんな目線を向けるなんて。

Mなら喜んじゃうぞビーツちゃん。 M字ヘッドなだけに。

というかお気に入りのオモチャって俺のこと?

どうしよう。 なんか嬉しいぞ。

 

「く………! ビーツ…! 俺との結婚をやめるなどと………後悔するぞ!

 俺以上のサイヤ人などこの世に存在せぬのだぞ!!」

 

ベジータ王のその言葉を聞いたビーツは、くくくっと小さく笑うと

 

「最初から結婚する気なんてないよ。

 オヤジとアンタが勝手に盛り上がってただけなんだからな。

 あたしより弱い父上様の、気に食わない命令なんざ聞くわきゃねーだろ。

 話は終わったろ? もう行っていいかい? っていうかアンタも帰りなよ。

 ………ほらゴード…いつまでお寝んねしてんだよ。

 今日の晩飯はあたしが作ってやる。 その様子じゃ飯作れないだろうからね。 帰るよ」

 

ベジータ王に一瞥もくれることなく、ビーツは倒れてる俺の首根っこを掴んでそのまま肩に担ぐ。

自然と、あと少しでビーツのむちっとした尻に顔を埋められる距離に、俺の頭がくる。

届きはしないのが無念だが、ここからの視点は

歩くたびに揺れるやや大きめの尻の肉とふりふり動く尻尾を堪能できて、

絶景である。 最高である。

 

「ゴードのアホにしちゃあ…………まぁ……うん。 

 あたし欲しさに王にケンカ売るってのは…ちょ、ちょっと…面白かったよ」

 

ビーツの顔を見れないのが残念だが、声と口調からして照れているのが分かった。

 

「そうか……気に入ってもらえたみてぇで…嬉しいぜ……。

 あ~…、ビーツの手料理かぁ………楽しみだ…。

 ………なぁ…その料理って………『あたしを食べて(はーと)』みたいには…ならねぇ?」

「な、なるかバカ!」

「そうか……」

「う………あ~~~~~~、うぅ~~~~~~~~!

 そ、そんな心底残念そうな声…す、すんなよぉ…」

「…あ、そうだ………なぁビーツ…これ…やるよ」

 

内ポケットからごそごそと、昼に盗ってきた髪留めを取り出し、腕を後ろ向きに掲げて差し出す。

やはりビーツちゃんといえば、アニメ『Z』20話のアレだろう。

一瞬しか出番が無かった名無しの女サイヤ人だが、

髪をてっぺんでちょこんと結い上げていたのが忘れられない。

 

「おまえ………………うん……ありがとう」

 

ビーツちゃんの恥ずかしげだけど嬉しそうな声。

顔も見たいが、今は尻と尻尾から目が離せない。

ビーツに運ばれ遠のいていく王宮。

最後に頭をもたげてチラリと広場を見ると、

左手で折れた右腕を庇いながらも凄い形相でコチラを睨むベジータ王がいた。

 




ビーツ姫と某配管工の亀にさらわれることに定評がある桃姫とは何も関係ございません。

いつもこれぐらいの速度で執筆できれれば良いのになぁ…。
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